第5回「韓国の家計債務」
配信日2011年8月7日
最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)
今回、特集するテーマは「韓国の家計債務」になるのだが、管理人のブログを見ている人は、韓国の金融負債が937兆ウォン (70兆円)で、その中で家計債務がだいたい800兆ウォンを迫る勢いだということは知っていると思われる。これについては、すでに800兆ウォン(60 兆円)を超えたようだ。また、消費者物価の上昇と家計債務の増加には、関連性があることを最初に述べておく。
家計負債の返済率も増加に伴い最悪を更新。家計負債を元本はそのまま、利子だけ返済する人々が79%の割合となっている。さらにカードでの負債も増加している。
第5回のメルマガでは家計債務が増加する要因を取り上げる。そして、第6回では、消費者物価の上昇に伴い、悪化する庶民の暮らしを、特に、学生の酷い実態を紹介していく。
(日本円に直すのは、記事によってレートがバラバラというより、書いてないので大体の目安にして欲しい)
記事チャート(第5回と第6回)
家計債務の増加原因(第5回の範囲)→消費者物価の上昇→韓国、学生の実態→数年後、家計負債は1000兆ウォン
家計債務の増加原因
家計債務の増加原因は大きく分けて以下の8つが考えられる。影響の差は異なるが、どれも、家計債務が増加する複合的な要因となっている。順に説明して行こう。
1.口蹄疫と豪雨
2.消費者物価の上昇
3.不動産価格の下落
4.上がらない給料
5.高い法定利息
6.増え続けるカード会社
7.企業の外資比率
8.世界経済の動向
1.韓国の貿易依存度は8割を超えており、内需はほとんどない。その少ない内需の中身はほとんど農業品、畜産品があげられる。特に米などは良く生産しているようだ。しかし、昨年から続く口蹄疫の影響もあって、畜産農家は大打撃を受けた。
韓国の畜産業はだいたい1500万頭ほど、牛や、豚などを飼育しているようだが、その中の300万頭以上が口蹄疫が原因で処分された。しかも、ワクチンを 打っても、防疫対策が甘く、垂れ流し状態が続いている。また埋めた場所も駄目なようで、夏辺りに深刻な被害が予想されているわけだが、これについては何か ニュースになるようなら、こちらでもまとめて見ようと思っている。また、最近、起きて多くの死傷者を出した豪雨の影響などもある。
2.消費者物価については次回で述べる。簡単に説明すれば、驚くべき速さで消費者物価が絶賛上昇中ということだ。
3.不動産価格の下落は、よく言われている韓国の不動産バブルの崩壊である。韓国では不動産を投資に使うことが一般的で、日本の不動産を購入する感覚とは 随分異なるし、貸切保証など、特有の制度もある。ただ、不動産バブルが完全に崩壊したかまでは定かではないが、不動産価格が下落しており、買うより、借りる方の需要が高まっていることは確かなようだ。
4.上がらない給料についてはそのままだ。経済成長が起きているのは財閥企業、輸出企業が中心であり、その恩恵が韓国全体に波及しているわけではない。全 体的に賃金所得が増えないのは韓国経済の成長が極めて限定的で、所得格差の拡大を意味している。その中でも、サムスンが韓国全体のGDPで22%を占めて いることは特筆すべきことだ。
サムスンの成長についても、ウォン安、大企業優遇策などがあるわけだが、今回のテーマは債務と物価なので、これぐらいにして次に行く。
5.高い法定利息というのは、韓国の法定利息は40%近い状態になっている。以前は60%だったのでこれでも下がった方だが、この高い法定利息によって、日本の消費者金融が韓国に進出している。
6.さらに韓国ではカードを使った決済が増えている。いわゆるショッピングローンというやつ。
7.企業の外資比率。これについては給料が上がらない理由にも繋がる。サムスンでも外資が50%。現代自動車が40%。ポスコやSKテレコムも外資比率は ほぼ半分となっており、売上の増加は高い配当金として持って行かれる。そのため実質賃金があがらない。実際、大企業ばかりがウォン安と韓国政府の援助で利 益を上げて、中小企業はボロボロという酷い有様である。
8.最後の世界経済の動向であるが、これは韓国が貿易依存国であるために、アメリカ、欧州、中国といった巨大なマーケットの動向に左右される。ここ1週間 でKOSPIが10%以上下落したのは、アメリカのデフォルト危機が大きく関わっている。デフォルトそのものは回避されたが、ダウが500ドル以上下が り、世界の主要株価が軒並み下落した。韓国の場合は、それ以外にも様々な原因があることはすでに述べた。
以上、8つの理由を簡単に述べた。次回は最新の消費者物価の上昇を追い、学生の酷い実態を紹介する。