第11回「韓国、FTA政策の恐ろしい問題点と最新市場動向」

第11回「韓国、FTA政策の恐ろしい問題点と最新市場動向」

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

配信日:2011年9月18日

今週のメルマガ第11回「韓国、FTA政策の恐ろしい問題点と最新市場動向」をお送りする。突如、舞い込んできた第3次韓国経済危機の動向だけを追っていると、第4次経済危機のための事前説明がまったくできない。

これは本来のメルマガ主旨から外れてしまうので、どちらも追いながらも、韓国経済の実情がわかるメルマガを目指していく予定だ。

最初はFTAについて説明して行くのだが、このFTAも詳しく解説していると、かなりの分量となってしまう。そのため、今回は欧州とのFTA政策について取り上げる。来週のメルマガはアメリカとのFTAを見ていく。では、今週の記事チャートを貼る。

記事チャート

欧州(EU)FTA→FTAのメリットとデメリット→最新の市場動向→気になる韓国経済ニュース

欧州(EU)FTA

ご存じの通り、欧州とのFTAは2011年7月から発効した。だいたい2ヶ月半ぐらいが経過している。また、アメリカとのFTAを締結しようとしている。最初に、FTA(自由貿易協定)について少し解説しておく。

自由貿易協定という言葉の通り、FTA(Free Trade Agreementは2国間以上で結ぶ国際協定。平たく言えば経済上の優遇策。主な内容は、物品の関税、その他の制限的な通商規則、サービス貿易等の障壁など、通商上の障壁をなくすことがあげられる。一番わかりやすいのは物品の関税撤廃だろう。

世界中のどの国でも、大抵は自国産品を保護するために、輸入には高い関税を敷いている。外国から安い商品が大量に入ってくれば、国産の商品が売れなくなるからだ。例えば、日本に入って来る米の関税率は778%となっている。

このような高い関税率で日本の米を安い外国産の米から守っているわけだ。TPP議論などが日本では関東・東北大震災前では盛んに行われていたのだが、高い関税が撤廃されてしまえば、日本の農家が苦しくなるのは見ての通りだ。

TPPは農家だけの問題ではないので、実際はもっと深刻だ。といっても、このメルマガではあまり関係のないことなので、この辺りで割愛させていただく。

FTAのメリット

韓国と欧州のFTAでのメリットは、自動車、家電製品などの韓国の輸出が強い分野が関税引き下げで安くなるので、欧州では輸出増加に期待できる。とまあ、 FTAのメリットは自由貿易を促進し、輸出増加を見込めることにある。自由な競争は経済活動を活性化させる。そうなれば、互いの国同士の交流が盛んにな り、投資も増大する。輸出が増えれば、雇用も産まれるために国内経済も良くなる。

そのために、韓国はチリ、シンガポール、欧州、ASEANなどと自由貿易協定を発効しており、輸出も増大している。また、最新のニュースではこうなっている。
>【ソウル聯合ニュース】自由貿易協定(FTA)を締結した国に対する韓国の輸出がFTA発効後に伸びたこ とが15日、分かった。国会外交通商委員会所属の兪奇濬(ユ・ギジュン)議員(ハンナラ党)が明らかにした。兪議員によると、FTAを締結した国に対する 韓国の輸出は、FTA発効前の3年間の増加率が年平均12.5%だったが、発効後から2010年までは年平均30.0%に達した。<

聯合ニュース

このように輸出が伸びていることは明らかで、韓国経済にも十分なメリットが存在している。

FTAのデメリット

今までメリットばかりを強調してきたが、多国間の協定でウィンウィンの関係というのは中々難しい。FTAで指摘され ているデメリットもしっかり存在する。先ほど述べた通り、安い外国産が入って来れば、自国製品が売れなくなる。これは政府が補助金などを出して、農家を 救ってやればいいという声もある。確かにそれをやれば農家は潰れないし、自国産品を守られる。だが、農家の競争力は落ちてしまう。

普通は儲かる方にシフトする。ある作物を作って、今年は売れないから、来年はこっちの作物を増やそうとするだろう。 白菜が足りないので、来年は生産量を西瓜畑を壊して増やした。しかし、みんな同じことを考えたので、白菜価格は暴落して、逆に西瓜の価格が高騰したニュー スがあった。

ただの一例だが、競争力というものは大事だ。安い製品に太刀打ちできないと諦めてしまえば、自国産品は悉く駆逐されていく。しかも、外国産品のほうが安くて品質が良ければ尚更だ。このFTAでは日本も欧州の工場で作った車が韓国に輸入されることにもなる。

つまり、高品質の日本車が韓国で出回ることになれば、本当に韓国人はヒュンダイなどの車に乗るのか。フランスのル ノー、ドイツのフォルクスワーゲンの車に買い換えるのではないか。反対に欧州では韓国の自動車が安くなるわけだが、欧州産の商品に対抗できる品質なのかと か、問題点は色々出てくる。

そのため、このFTAがどう転ぶかは現段階では未知数といえる。二ヶ月ぐらいはあまりわからない。少なくとも半年~1年ほどのスパンで見る必要がある。なので、欧州と結んだFTAがどうなるかはまだまだ様子見といえる。

最後にこのFTAが拡大するとどうなるかが予想できるニュースを出しておこう。

>駐韓欧州連合商工会議所(EUCCK)が来月1日の韓国・欧州連合(EU)自由貿易協定(FTA)発効を控え、韓国政府に対して非関税障壁の追加撤廃を要求した。

白書は酒類、自動車、銀行、資本市場、建設、化粧 品、化学および農作物、環境およびエネルギー、ファッションおよびラグジュアリー、食品および飲料、商用車、製薬、医療機器、人的資源、保険、知的財産 権、物流および運送、海洋および造船、不動産、租税の20分野別に市場障壁を指摘した。

EUCCK会長のウィルティジェ・ルノー三星(サムスン)自動車社長は「韓EU間FTA締結でEU企業の韓国市場進入を防ぐ貿易障壁が解消されるものと期待されるが、依然として解決されなければならない市場進入障壁が存在する」と述べた。<

EU「韓国、非関税障壁の追加撤廃を」…FTA発効控えて圧力 | Joongang Ilbo | 中央日報

以上。貿易依存国の韓国にとってはFTAそのものは悪い政策ではない。但し、上にあげたような20分野の障壁が取り除かれるようなことになれば、欧州産の安価で質も良い製品が韓国に輸入されて、韓国は衣・食・住を他国に奪われてしまう。

国にとってこの3つは何よりも大切であり基本だ。インフレ、ウォン安になっても原油を輸入しないといけない韓国には辛い。資源もない韓国にとって、FTAはまさに諸刃の剣といえる。

最新の市場動向(9月12日~16日)

今週、韓国市場は祭日でお休みだったこともあるので、実質は3日分しかない。なので、14,15,16日の3日分をまとめて張る。

KOSPI   ウォン   KOSDAQ  外国人

14日  1,749.16  1107.6   452.30   -6,907億
15日  1774.08   1115.9   454.95   -1,925億
16日  1840.10   1112.4  467.84     871億

以上。お休みから空けてKOSPI市場が暴落、30ウォンもウォン安が一気に進行したのが14日だ。ダウがその前にえらく下がっていたので、KOSPIがこうなることは予想していたわけだが、ウォンがここまで安くなるとは思っていなかった。

16日でKOSPIが回復したのに、ウォンがそのままになっていることに注目して欲しい。また外国人の売買動向も注目だ。

気になる韓国経済ニュース

>ドイツのデュッセルドルフ地裁は9日、韓国のサムスン電子製多機能端末「ギャラクシー10・1」が米アップルの「iPad(アイパッド)」に似すぎているとして、ドイツ国内での販売禁止の継続を決定した。<

韓国経済、ドイツでサムスン製端末販売禁止

>韓国企画財政部(省に相当)の朴宰完(パク・チェワン)長官は今月9日、就任100日を迎えたのに際し「来年の経済成長 率を4.8%と予想したが、(9月末までに国会に)予算案を提出する際に見直しがあり得る」と述べた。これに関連し、企画財政部の関係者は「来年の経済成 長率予測値を現在の4.8%から4%台半ばに引き下げる可能性がある」と述べた。<

韓国経済、韓国政府、経済成長率予測を引き下げへ

>ギリシャの債務不履行(デフォルト)が起 きれば両行が経営悪化に陥りかねないという話だ。驚いた投資家は危険資産から逃げた。KOSPIは3.5%以上下落した。日本の株価は1%余り下がった。 ソウル外為市場のドル相場は30.5ウォンのドル高ウォン安となる1107.8ウォンで引けた。<

韓国経済、仏銀行の格付け引き下げ…ウォンは急落、円は急騰

>韓国銀行(韓銀)は16日、「第2四半期の資金循環」(暫定)と題した資料で、6月末現在の家計負債は計 993兆2000億ウォンと集計されたと明らかにした。これは3ヵ月前より28兆3000億ウォン(2.9%)が増えた数値で、1ヵ月間で9兆4000億 ウォンずつ増加したことになる。<

韓国経済、家計負債1000兆ウォンに迫る、韓国経済の「時限爆弾」

それほど驚くニュースはない。今の流れはこうなっている。

ギリシャがデフォルト危機→ユーロ安でドル高→ドル高、ウォン安

今回のフランスの格下げもギリシャの債券が原因である。フランスとドイツでギリシャ国債の69%を持っているらしく、1年物で132%の利回りがついてし まった国債のデフォルト(債務不履行)が囁かれている。このまま行けば、5年以内にほぼ確実にギリシャはデフォルトすると予測さえある。

最近の韓国経済の動向はFTAもあって、欧州市場の影響が韓国も無視できない悪い意味でのグローバル化が進んでいる。そのため、欧州経済で何かあれば、リーマン・ショックのようなことが再び起こりうるということだ。

なので、韓国経済にとって今後、どうなるかはアメリカと欧州次第ということになる。それが落ち着いても4度目の韓国経済危機は確実にやってくる。詰んでいる状況をどうやって打開がするのかはわからない。家計負債の増加もいよいよ大台にまで迫ってきた。

しかし、基準金利を上げれば、家計負債の利子が増えてしまう。物価抑制には金利を上げる政策が取られるわけだが、それが政府ができないわけだ。では、税金を安くすればどうか。今度は韓国政府の負債が膨らんでしまう。

今、全部で2500兆ウォンぐらいなわけだが、決して、楽観視できるような財政状況ではない。また銀行は融資の引き締めに乗り出している。これをやれば、 カードローンの負債が増えて来るので、かえって借金は増大する。借金をして家を売る羽目になれば、不動産の価格が暴落する。

どの対策も効果があるが、デメリットも存在するので難しい。韓国経済にとってこの数年で苦しい状況に追い込まれていくのをしっかりと認識してほしい。

以上。これで第11回目のメルマガ「韓国、FTA政策の恐ろしい問題点と最新市場動向」を終了する。来週はアメリカのFTAと最新経済動向を追っていく予定だ。

ご購読に感謝する。これからも応援のほどよろしくお願いする。

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