第23回「なぜ、大きな震災もなかった韓国で停電危機が起きているのか」

23回「なぜ、大きな震災もなかった韓国で停電危機が起きているのか」

配信日:2011年12月18日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今回のメルマガは韓国の電力事情を取り上げて行く。タイトルにも入れておいたが、なぜ、東日本大震災のような大きな地震があったわけでもないのに韓国で「停電危機」が起きているのかを説明していこう。では、いつものように記事チャートを貼る。

記事チャート

原油価格の高騰が原因か→韓国の供給予備率、わずか0.36%→停電危機対策→今週の韓国市場

原油価格の高騰が原因か

あまり知られていないのだが、韓国は原油価格が高騰すれば世界で一番影響を受ける国となっている。これは管理人がリビア情勢の悪化により、深夜に消灯例が出されたときに調べた情報だが、ここにも載せておこう。

GDPのシェアとして現在報告を感度をみると、石油価格上昇に関して最も弱い経済が韓国、Turkey,Greece、アイルランドと南アフリカであるとわかる。

二位はトルコ、ギリシャと続くが、トルコと比べても倍以上の数値だ。反対に産油国であるメキシコ、カナダ、ロシア、サウジアラビアなどは原油価格上昇に最も強い国となる。

韓国経済、原油価格急騰で最も弱い国は圧倒的に韓国!

この記事は2011年3月1日なので、だいたい9ヶ月半経過しているわけだ。世界情勢は大きく変化している。リビアは反政府軍に占領された。

一応、一時的にはリビア問題は終結した。そこで、次なる疑問が浮かび上がる「原油価格の急騰がおさまっているなら、韓国の停電危機はどこから来るのか?」だ。今、起きている停電危機は3月の頃と話が異なるのだ。原油価格が下がっているというデータも出しておこう。

リビア情勢が悪化した2月~4月にかけてはWTI(原油価格先物)原油価格の急騰が顕著に見られる。最高価格が114.4ドルという凄まじい上昇だった。その後、国連の介入でリビア情勢が落ち着いてから、2011年9月には最低値の74ドルまで下がった。

現在、イランでの問題が浮上していて、再び急騰しているのだが、それでもリビアの時よりは遙かに安い。少しだけリビア情勢についても触れておく。

イラン問題とは、イランの学生によるイギリス大使館襲撃事件が起こり、イギリスとアメリカは同盟国各国にイランへの経済制裁を呼びかけた。これは日本も韓国も加わった。

イランの経済制裁に反対しているのは、中国とロシアであり、さらにアメリカが無断で飛ばした無人戦闘機がイラン軍によって回収されたことで、アメリカのイ ランへの不法侵入が明るみとなった。この背景にイギリスによるイランへの核疑惑による追加経済制裁、国内での銀行取引停止指示があったことを追加してお く。

事件が起きたのは11月29日で、当時の原油価格は100ドル近い数値だった。それからだいたい2週間が経過して、12月13日は100ドルをつけていた。現在、12月17日では93.89ドルとなってる。ここ数日で少し下がっている。少し見ておこう。

>ニューヨーク原油先物相場は反落。9月以来の大幅安となった。石油輸出国機構(OPEC)が生産目標の引き上げで合意したことや、欧州の債務危機封じ込めが難航していることが手掛かり。

OPECはウィーンでの総会で、目標生産量を日量3000万バレルに引き上げることで合意した。ユーロが対ドルで1月以来初めて1ユーロ=1.30ドルを割り込むと、原油は下げ幅を拡大した。欧州で資金調達の負担が高まったことで、危機が波及するとの懸念が強まった。<

12月14日の米国マーケットサマリー:株は続落、欧州懸念が再燃 – Bloomberg

以上。原油価格の動向は世界経済、韓国経済を見る上でもかかせない要素になっている。後は金価格もあるのだが、話が韓国経済に進まないので、これぐらいで割愛する。疑問点は解けたと思う。

確かにこうした原油価格の上昇にイラン情勢の緊張はあるのだが、高い数値で取引されているわけではない。なので、韓国の停電危機の根本的な要因にはなりえない。関係ないとは言い切れないが。

管理人が韓国の電力事情に注目しだしたのはリビア情勢からの深夜消灯令からだが、世間的に注目を集めたのは日経新聞が猛暑によって、韓国で停電一歩寸前にまで行きそうなところだったと報じたことである。まずはそのニュースを見て欲しい。

韓国の供給予備率、わずか0.36%

>【ソウル=島谷英明】15日に発生した韓国の大規模停電で、当時の予備電力は韓国電力公社側が説明していた343万キロワットを大きく下回る24万キロワットにすぎなかったことが19日までにわかった。

供給予備率でみると、わずか0.36%。電力需要が供給を超過して全土が一斉停電する寸前だったことを意味しており、ずさんな供給体制が改めて浮き彫りになった。<

しかし、夏の猛暑ぐらいで停電一歩手前になるというのは明らかにおかしい。そこで調べて見ると、中央日報にこのような記事がある。

>廉明天(ヨム・ミョンチョン)電力取引所理事長のこの日の陳述によると、停電の当日、使用できる予備電力はすでに午後1時35分に「深刻」段階の100万キロワット以下に落ちた。

その後、午後2時35分に50万キロワット以下に、3時には24万キロワットまで急激に落ち、全国同時停電の直前まで進んだ。結局、午後3時11分に電力取引所は輪番停電措置を決めた。

こうした緊迫した状況の中、主務部処の知経部は水増しされた数値を信じて特別な措置を取らなかったということだ。「15日以前にも電力予備力が100万キ ロワット以下に落ちたことがあったか」という議員の追及に、廉理事長は「何度かあったはず」と答えた。廉理事長は「(当時も)実務陣が通常的に判断して処 理し、知経部に報告しなかった」と述べた。<

(<大規模 停電事態>「誰の落ち度?」責任問題めぐり国会で攻防(2) | Joongang Ilbo | 中央日報 )

これが9月20日の中央日報の記事。数値を水増ししたあげく、電力予備力が危険な水域でも報告すらしないことが何度もあったと。中々、恐ろしいことを淡々と述べている。

こうして、韓国の電力事情が実は相当危険な状態だったことが明るみにされていくわけだが、では、どうして韓国はこれほど電力供給不足となっているんだろう か。それは電気料金が極端に安いためだ。韓国の電気料金は累進制となっている。累進制というのは価格や量に応じて比率が高くなることをいう。使えば使うほ ど電気代が上がりやすくなる。

そのため、昨年には電気毛布を買った韓国の消費者が、それを一日20時間つけていただけで、電気代が三倍になって、業者を訴えたという報道がある。

もちろん、消費者は電気毛布以外にも、テレビ、冷蔵庫、照明などといった電気製品から電気を使っていた。販売業者の電気代が一日に数十円しかかからないというのは嘘でも何でもなく、合計電気量が大幅に上昇したために、電気代が増加したことになる。

これが累進制の怖いところだ。これは日本でも同じなので気を付けて欲しい。日本では電気以外にも、ガスや灯油などを使って、寒い冬を過ごすと思うのだが、 韓国は電気代が安いので、ほとんどが電気に頼り切っているという問題がある。韓国の停電危機が起きている原因は、電気への過度な一極集中のためだったりす る。安いから庶民や企業が電気をたくさん使う。

それで儲かっていれば良いのだが、ブログの読者様によると、韓国の電気事業は全て赤字だという。つまり、赤字分を韓国の国民が負担していることになる。そ のため、発電所を作って電力供給を増やすということも急には出来ないようだ。そこで、停電危機対策に節電と値上げに踏み切ることになる。次の二つの記事を 読んでもらいたい。

停電危機対策

>韓国政府はこの冬、電力不足で大停電になるおそれがあるとして、電力需要ピーク時のネオンサインの禁止 や、首都圏の地下鉄の運行本数削減などの「緊急節電策」を決めた。知識経済省は日本の節電策も参考にしたとしており、「日本国民に負けずに協力してほし い」と呼びかけている。

期間は12月から来年2月末までで、電力需要のピークとなる午後5時から2時間、すべての商業施設などでネオンサインの点灯を原則として禁じる。首都圏の地下鉄は午前10時から正午まで運行間隔をあける。

さらに、契約電力が1千キロワット以上の大口利用者には、電力使用量を昨年比で1割減らすよう義務付け、100キロワット以上の利用者には暖房の温度を20度以下にするよう求めた。違反が判明すれば、最大300万ウォン(約20万円)の過料を科す方針だ。<

韓国停電危機、「日本国民に負けずに協力してほしい」 ネオン禁止・地下鉄削減…韓国も節電の冬

>電気の需要が集中した場合、相対的に料金 が高くなる「ピーク料金制」の適用対象が、デパート・大型ビルなどから5階建て以上の中型ビルにまで拡大される。ピーク料金制が適用されれば、冬季のピー ク時間の午前11時に電気を使用した場合、午後1時に使用した場合より料金単価が40%以上、深夜に比べると2倍以上高くなる可能性がある。

電気料金も5日から住宅用と農作業用を除いて平均4.5%引き上げられる。8月の4.9%引き上げに続いて、4カ月ぶりにまた上がる。今年の電気料金引き上げ率は9.63%となる。ただ、住宅用・農作業用・伝統市場用の料金は据え置かれる。<

韓国停電危機、冬の“電気戦争”…「ピーク料金制」を5階建て以上のビルに拡大=韓国

このように節電とピークの電力消費量を減らすようにの義務付け、電気料金の値上げなど、停電危機対策は取られたのだが、今年の冬の寒さ次第では、停電しても何らおかしくない。

以上が韓国の電力事情であるが、根本的に電気料金の見直し、ガスや石油などの別エネルギー利用を推進するなどの対策が必要だろう。まあ、その辺は韓国政府が考えることなので、今回はこれぐらいにしておこう。

今週の韓国市場

日付 KOSPI  ウォン KOSDAQ 外国人

12日 1899.76 1146.9 515.22     9億
13日 1864.06 1154.0 511.30  -2035億
14日 1857.75 1156.2 508.38  -3471億
15日 1819.11 1163.0 497.76  -2900億
16日 1839.96 1158.6 504.58    261億

以上。気がついたらまた下がってきている。特にKOSPIがあまり下がってないのに、外国人の売りが激しい13日と14日には注目だ。欧州危機もどうなるかわからないので、何ともいえないのだが、今週の主要ニュースで、管理人が大事だと思うのを一つだけあげておく。

>[ニューヨーク 15日 ロイター] 格付け会社フィッチ・レーティングスは15日、米欧の大手6銀行の格付けを引き下げた。今回の措置は大手金融機関の格付け見直しの一環。

発行体デフォルト格付け(IDR)を引き下げたのは以下の銀行。

米バンク・オブ・アメリカ「A+」から「A」に引き下げ

英バークレイズPLC「AA─」から「A」に引き下げ

仏BNPパリバ「AA─」から「A+」に引き下げ

クレディ・スイスAG「AA─」から「A」に引き下げ

ドイツ銀行「AA─」から「A」に引き下げ

米ゴールドマン・サックス・グループ「A+」から「A」に引き下げ

米シティグループ「A+」から「A」に引き下げ

フィッチが米欧大手7銀行を格下げ、バンカメやゴールドマンなど | Reuters

格付について次週のメルマガで特集したいと思う。今回のこの欧米の主要銀行の引き下げニュースは重要だ。韓国がどのランクかというと「A」だったりする。 格付については、格付会社の存在自体が問題視され始めているわけだが、実際、引き下げニュースは市場では悪い材料として扱われている。

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