第32回「韓国の大統領、李明博(イミョンバク)の逮捕フラグ ダイヤモンド・ゲートとは?」
配信日:2012年2月26日
最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)
今週の韓国経済は、少し経済とは異なった政治的な話が中心になる。ただ、政治・経済という言葉があるとおり、政治と経済は互いに関連し合っている。また、経済のファンタメンタルズでも、「政治安定性」というものがある。
韓国の場合は北朝鮮との関係が悪化すれば、投資した資金が回収されていく。このような理由からして、ただ経済事象を追うだけでは、投資するときのリスクを完全に見誤ってしまうことがある。
韓国では2012年に選挙が行われることが何度か知らせた通りだ。そこで、少し日程を出しておこう。この時期が来たら、相場は上向きやすいので、株価が上がる可能性が高い。それはアメリカの大統領選挙を見ればよくわかるだろう。
ただ、為替についてはウォン安、ウォン高でも、韓国経済にとって悪影響を及ぼすために、上がるか下がるかの予想はしにくい。管理人は今のように同じ範囲を行ったり来たりすると考えている。
選挙の日程(2月25日現在)
国会議員総選挙まであと46日 4月11日
大統領選挙まであと298日 12月25日頃?
ざっと数えたので、大統領選挙の日程は少しずれるかもしれない。ただ、4月と12月に二つの選挙が韓国で行われることになる。つまり、この時期前は要注意 である。選挙はおそらく与党の惨敗となる。すでに前回あげた米韓FTAを反対運動を盛りあげて、選挙戦の焦点にした野党は攻勢を強めるだろう。
また、経済成長を遂げていても、儲けは財閥グループが持っていくだけで、庶民には何ら還元されてなく、物価高で生活は苦しい。家計債務は900兆ウォンを超えている。そんな不満は全て与党に向けられる。
勝てるとは思えない。だが、どのみち政権交代しても、韓国経済が奇跡的に復活することは99%あり得ない。明博大統領は優秀だった。ここまで経済を延命させた。2008年9月から、綱渡りの経済をここまで持たせた。
その手腕は高く評価するが、韓国の庶民はそう思うだろうか?そんなことは考えない。なぜなら、自分たちは苦しいからだ。しかし、IMF融資を回避して、経済を延命させるにはアメリカ、日本、中国と通貨スワップ協定しかなかった。
あの時の状況を冷静に分析すればそうするしか択肢がなかったともいえる。しかし、庶民の視点では、サムスンホルホルしていても、お腹が空くだけ。結局、何もしてくれなかったということになる。
その結果は4月にわかるので楽しみにするとして、前置きは長くなったが、今回は韓国の大統領の「逮捕フラグ」である。今までの韓国の大統領はその座を降りてから、ろくな死に方をしていない。その意味はわかると思う。
つまり、この明博大統領にも、そうなる可能性があるということだ。既に側近の疑惑などが色々と報じられているわけだが、今回は一番疑惑が大きくなっている「ダイヤモンド・ゲート」を特集していく。では、記事のチャートを貼る。
記事のチャート
資源外交主導の高官、捏造疑惑→CNKの株価捜査疑惑→韓国外交部に家宅捜索→今週の韓国経済
資源外交主導の高官、捏造疑惑
韓国の李明博政権が主要政策に掲げる「資源獲得外交」の中心にいた複数の政府高官らが、韓国企業によるカメ ルーンでのダイヤモンド鉱山の採掘権取得を後押しした上、膨大な推定埋蔵量をでっち上げた発表を外交通商省にさせて企業の株価をつり上げ、多額の利益を得 た疑いが強まっている。
李政権は大統領周辺の不正が次々発覚し既に求心力を失っているが、「ダイヤモンド・ゲート」と呼ばれる今回の疑惑は、政権中枢の人物が自らの利益のために国家政策を進めた疑いまである。検察は24日にも捜査を本格化させる見通しだ。(共同)
(ダイヤ採掘で大型疑惑浮上 韓国、資源外交主導の高官 – MSN産経ニュース )
これが1月24日のMSN産経の記事。これが本当なら政府ぐるみの国家的な陰謀ということになる。次に中央日報の社説を読んで頂きたい。
CNKの株価操作疑惑
CNKインターナショナルの株価操作事件疑惑が監査院の監査結果発表後、むしろ拡大している。パク・ヨンジュン前知識経済部次官をはじめとする多くの現政権実力者が関連したという主張が政界から相次いで提起されているためだ。
監査院はCNKのカメルーンでのダイヤモンド鉱山開発権獲得の事実を外交通商部の報道資料として発表したキム・ウンソク外交通商部エネルギー資源大使とこの会社の株式取り引きに加担した外交通商部職員に対する懲戒を要求する線で監査結果を発表した。
監査院はパク前次長とチョ・ジュンピョ前国務総理室長らに対しては調査権限の限界などを理由に挙げ直接的な関連事実は確認できなかったと明らかにした。
ただし監査院はパク前室長とチョ・ジュンピョ前国務総理室長らがキム大使、オ・ドクキュンCNK代表らと事前に協議した情況があるということを明らかにし、検察に調査結果を渡した。検察はすぐにCNK本社を家宅捜索するなど捜査に着手した。
しかし監査院の発表直後、鄭泰根(チョン・テグン)議員は、「政権実力者と関連した2人以上がCNKの新株引受権を安値で取得したという情報がある」と明らかにし、民主統合党の朴映宣(パク・ヨンソン)最高委員は大統領周辺の実力者を取り上げた。
彼らの暴露が事実なのかはまだわからない状況だ。しかし万一事実と明らかになるならば、「ダイヤモンドゲート」と呼べる、現政権の代表的権力不正事例になるに値する。
高位公職者らの株価操作介入疑惑と外交通商部の公務員たちの不法取り引きだけでも十分に国民的非難を受ける重大な事案だ。しかし単純に公職者の不正次元を越え権力中枢の人物たちが多数加担したと発表されるならば、その波紋は果てしなく続くほかない。(後は省略)
(【社説】CNK株価操作、権力実力者は介入したのか | Joongang Ilbo | 中央日報 )
長い文章であるが、もし、これが事実として断定されたのなら、大統領逮捕フラグにまで及ぶ可能性が高い。なぜなら、それが出来るのは権力中枢者たちしか無理だからだ。その波紋は果てしなく続き、大統領逮捕にまで上り詰める。さらに事件の続報を追う。
韓国外交部に家宅捜索
CNKインターナショナルの株価操作疑惑を捜査中のソウル中央地検金融租税調査3部は30日、ソウル鍾路区(チョンノグ)外交通商部庁舎の金殷石(キム・ウンソク)エネルギー資源大使の事務室と報道官室、金大使の自宅などを家宅捜索した。外交部の家宅捜索は初めて。
検察は、外交部が2010年12月、CNKのカメルーンダイヤモンド鉱山埋蔵量を4億2000万カラットに大きく膨らませた報道資料を発表した経緯を確認するため、CNKに関する外交文書などを確保したという。(後は省略)
(韓国外交部に家宅捜索…CNK株価操作疑惑で | Joongang Ilbo | 中央日報 )
疑惑がなければ家宅捜索まではしない。この記事は1月31日である。これを見たときに、メルマガの特集中に何か出ると予想したのだが、まだ何も続報は来ていない。この巨額な株価捜査疑惑が果たして、韓国経済にどのような影響を与えるのか。色々と楽しみだ。
今週の韓国経済
日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 外国人(ウォン)
20日 2024.90 1123.5 540.33 1807億
21日 2024.24 1122.6 543.06 1269億
22日 2028.65 1126.0 544.20 2884億
23日 2007.80 1129.0 541.13 -373億
24日 2019.89 1125.8 544.14 1654億
以上。株価は上がって、為替はたいして変わってないのがよくわかるだろう。先ほど、少し為替動向にふれたが、何か起きない限りは大丈夫だ。今週はギリシャ の第二支援が13兆6000億円に決定して、日経平均も上がった。円も量的緩和もあって、今、ドルと円では81円台にまでなっている。
このまま無事に行けば良いのだが、欧州危機を乗り越えたわけでもなく、ギリシャが何とかなっても、スペイン、イタリア、ポルトガルなどまだまだ危機はいく らでもある。不安を煽るようになってしまうが、ギリシャが事実上デフォルトするとすれば、CDSの爆弾が爆発して、連鎖倒産の危険性が高まる。
ということで、次回のメルマガはCDSの仕組みを出来るだけわかりやすく説明したいと思う。ただ、経済用語の中でも1,2を争う難解用語で、大変高度な内容となっている。その用語が理解出来た上で、ギリシャの危機がとてつもない不安要素だと言うことを説明したい。
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