第34回「1000兆ウォン(71兆円)を超えた家計債務。その爆弾が爆発する日も近いのか

第34回「1000兆ウォン(71兆円)を超えた家計債務。その爆弾が爆発する日も近いのか

配信日:2012年3月9日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週のメルマガは前回の予告通り、韓国、「家計債務」の最新情報を紹介する。

事実上1000兆ウォン(71兆円)を超えた家計債務の原因は大きく分けて次の4つ。

物価インフレ、賃金所得の横ばい。財閥独占による経済格差。そして、クレジットカード債務の増加などだ。数年前までは、不動産など物件投資によって負債が 多かったのだが、最近では生活費のために借金をする庶民も増加中ということで、雪だるま式に債務が激増している。では、記事のチャートを貼る。

記事のチャート

1000兆ウォンを超えた家計債務→第二金融圏の甘い罠→今週の韓国経済

1000兆ウォンを超えた家計債務

韓国の家計負債が昨年末基準で900兆ウォン(約65兆円)を超えた。事実上の家計負債である自営業者の負債まで合わせると1000兆ウォンを超える。

もちろんまだ金融機関の健全性を深刻に害するほどではない。 一部が不良債権化しても金融機関が支えれば、システムの危機につながることもない。 それでも家計負債の深刻性が指摘されるのは今後の問題のためだ。 この状況が続けば経済全般に手の施しようもなく大きな影響を与えることになる。

(途中省略)

すぐにも国内の消費が大きな影響を受ける。 昨年10-12月期の実質消費支出がマイナスに転じた理由だ。 このままだと今年3.6%という低成長も達成できない。 どうにかして家計負債問題を解決または緩和する必要がある。

金融委員会が先日、信用協同組合や信用金庫など第2金融圏の家計融資を抑制することにしたのは、こうした背景からだ。昨年6月、家計負債を減らすために銀 行の敷居を高めたところ、需要が第2金融圏に流れた。昨年10-12月期の銀行の融資は5.6%増だった半面、第2金融圏の融資は13.6%も増えた。 家計負債の抑制に失敗したということだ。

同時に負債の質も悪化した。 問題は、今回の対策も失敗する可能性が高いという点だ。 庶民を貸付業者など違法金融市場に追い込むことにならないか懸念される。 政府としてはジレンマだ。 家計負債を減らさなければならないが、下手をすると深刻な経済危機を招くおそれもある。

家計負債問題の最終的な解決法は経済活性化しかない。 所得を増やして負債償還負担を減らし、不動産取引を正常化し、負債の負担から軟着陸させることだ。 分配や福祉に専念していては家計負債問題を解決することはできない。

【社説】家計負債900兆ウォン、経済の活性化が解決法 | Joongang Ilbo | 中央日報

02月28日の中央日報から。長いのだが今の韓国の家計債務情報を端的に現しているので注目だ。文章の途中で「金融圏」という言葉が出てきたと思う。これを説明しておきたい。

第一金融

都市銀行、地方銀行、農協などといった一般の銀行のことをいう。多くの日本人はこの銀行を毎日利用している。庶民にも、一番馴染みがある金融機関だろう。

では、銀行の一般業務とはなんだろうか。簡単だろう。資金の貸し付けである。それと、簿記では良くでてくる手形割引き。他にも為替決済などが主な業務だ。まあ、他にも色々やっているのだが。

第二金融

貯蓄銀行、信用組合、保険会社、投資証券など。

昨年の取り付け騒ぎでお馴染みの貯蓄銀行。信用組合というのは、その組合員に必要な資金を融通する。ある一定の保険料を支払うことで、何かがあったときにお金を支払う保険会社。投資証券は、株や債券、FX、先物などを扱うのはすでにご存じだろう。クレジットカードは第二金融に属する。

第三金融

その他。

金融機関として登録されていないのだが、お金を貸すようなところ。つまり、消費者金融などが当たる。まあ、ただ、韓国だと消費者金融は第二金融にはいっているかんじだ。

以上。改めて記事を抜き出すと

>昨年6月、家計負債を減らすために銀行の敷居を高めたところ、需要が第2金融圏に流れた。昨年10-12月期の銀行の融資は5.6%増だった半面、第2金融圏の融資は13.6%も増えた。 家計負債の抑制に失敗したということだ。<

この文章は後の記事にも関連するので大事なポイントとなっている。

家計負債900兆時代――「銀行圏では無理なので第二金融圏で借ります」


韓国人二人のうち一人は家計負債があるが、第二金融圏(※3)から融資を受けた者の事情は見かけよりも遥かに深刻だ。

市中銀行よりも高い金利を負担しなくてはならないが、返済する余力は都市銀行利用者に比べて大きく落ちる。彼らが第二金融圏から受ける融資は殆どが生活資金のための「生計型ローン」という点で更に際どい。景気が悪化した場合、最初に崖っぷちに追いやられる危険性が高い。

◇「高金利の罠」を隠した第二金融圏の誘惑?

「最低7.7%から 最大6000万ウォン(約439万円)まで 5年間の自分のお金のように使えます」(A貯蓄銀行の信用貸付)「職場が無くてもOK? 最低6.5%から 2000万ウォン(約147万円)まで融資」(B消費者金融業者無職ローン)「超低金利 即日7000万ウォン(約512万円)可能 30分以内に入金」(Cキャピタル)

市中銀行の敷居は高く、第二金融圏や不法金融の低金利マーケティングはますます酷くなっている。今すぐお金が必要な人々にとって、第二金融圏は仕方ない選 択であり甘い誘惑だ。現在の消費者金融上限金利は39%だが、広告では年利6~7%を提示している。しかし、いざ融資相談をすると話は変わる。

パク・チンソン(42)氏は「広告では年利8~19%台なので相談を受けたが事実と違った」とし、「銀行からの融資を受けられないほどに信用等級が低い状態なので、最終的に最高金利で融資を受けざるを得なかった」と訴えた。

最近では、制度圏金融会社(※4)を詐称して不法に広告する事例も増えていて頭が痛い。金融監督院は今年1月から2ヶ月間、インターネット上で金融会社を 詐称し融資を募集した疑いがある52社を摘発した。また、制度圏金融会社のローン商品を不当に広告した疑いがあるローン仲介業者28社を摘発した。

◇第二金融圏の家計融資も限界見える

第二金融圏の家計融資の増加率は急激に上昇している。

韓国銀行によると、昨年の貯蓄銀行・相互金融・保険各社などの第二金融圏全体の家計融資は402兆3000億ウォン(約29兆4341億円)で前年比 9.9%増加した。昨年、銀行圏の家計融資増加率は5.7%であった。2004年の193兆8000億ウォン(約14兆1793億円)から7年を経て2倍 に増え、銀行の家計融資の増加率(1.65倍)を飛び越えた。

第二金融圏の内訳別に家計融資の増加率を見るとより恐ろしい。

相互金融の家計融資は、昨年13.1%増の175兆ウォン(約12兆8038億円)だった。年間平均16.1%ずつ増加し、わずか9年の間に4倍近い規模 に成長している。保険各社の家計融資増加率も2010年の3%から昨年は9.3%に急増した。貯蓄銀行では構造調整を行なったにも関わらず24.9%の増 加率を記録した。

家計負債問題の最終的な解決法は経済活性化しかない。 所得を増やして負債償還負担を減らし、不動産取引を正常化し、負債の負担から軟着陸させることだ。 分配や福祉に専念していては家計負債問題を解決することはできない。

中央日報/韓国語(2012/03/02 11:06)

二つの記事をまずは読んで欲しい。増え続ける家計債務をなんとか抑えようと韓国の銀行は審査を厳しくした。その結果、第一金融圏の融資は5.6%増え、第二金融圏の融資は13.6%増となった。

当然、消費者金融にお金を借りれば39%まで法定利息の支払いが待っている。銀行の融資が低金利、消費者金融が高金利なら、どちらが家計債務を増加させているかなんて小学生でもわかる話だ。

ここで思い出して欲しいことがある。韓国のこうした消費者金融の大元がどこにあるのかだ。そう、日本でもそうだが消費者金融はほとんど大手の銀行が別会社を作って運営しているのだ。

近年、韓国の消費者金融は莫大に数が増えて、「金の卵を産むガチョウ」といわれている。そして、韓国の主要銀行は、ほぼ外資が独占していることは最初の方のメルマガで触れた。

これがどれだけ恐ろしいことがわかるだろうか。皮肉にも、韓国の庶民の負債が大幅に増加させているのは、他でもないニコニコ顔で資金を貸しているはずの第 一金融「銀行」が原因ということになる。つまり、銀行が審査を厳しくしたからますます家計債務が悪化した。本来は審査を厳しくして借りにくくすれば、家計 債務は減少するはずだった。

だが、実はここでも大きな勘違いがある。それは最初にあげたこの記事だ。

>もちろんまだ金融機関の健全性を深刻に害するほどではない。 一部が不良債権化しても金融機関が支えれば、システムの危機につながることもない。 それでも家計負債の深刻性が指摘されるのは今後の問題のためだ。 この状況が続けば経済全般に手の施しようもなく大きな影響を与えることになる。<

先ほど述べたとおり、韓国の主要銀行は全て外資が抑えている。仮に一部が不良債権化して、本当に金融機関が支えるのかが懸念される。外資にとって、韓国の庶民がどうなろうが株価が上がれば何ら問題はない。

さらに不安要素として、米韓FTAがあげられる。もし、金融機関の不良債権を支えることが、外国資本に取って「不利益」となるなら、ISD条項が適用されるかもしれないわけだ。

管理人は、家計債務から生じる経済危機が起きたとき、庶民の借金が帳消しになる可能性は低いとみている。徳政令などすれば、外交資本は韓国から投資を一斉 に引き揚げ、ハイパーインフレとなり、それはアジア版のジンバブエを造り上げるかもしれない。そして、もう一つ最後に突っ込みたいのがここだ。

>家計負債問題の最終的な解決法は経済活性化しかない。 所得を増やして負債償還負担を減らし、不動産取引を正常化し、負債の負担から軟着陸させることだ。 分配や福祉に専念していては家計負債問題を解決することはできない。<

なるほどと思ってしまうわけだが、最終的な解決策が経済の活性化なら、とっくにこの問題は解決していることに注目してほしい。韓国のGDPはわずかながら毎年、増えている。2011年なら3.1%増だ。

しかし、そのGDPの成長はサムスンという超巨大な企業はじめ0.1%の財閥が吸い上げている。だからこそ、サムスングループだけで韓国のGDPの4分の1という、とてつもない大きさに成長した。だが、庶民の暮らしは何一つ良くなってないし、むしろ悪化している。

中央日報の結論がいかにおかしいのがわかってきたのではないか。今、やることは富の再分配。内需の拡大。サムスンの解体なのだ。しかし、そのサムスンがあまりにも巨大すぎて、もう誰も潰せないほどのモンスターとなった。

余談だが、まだ管理人は途中しか読んでないのだが、サムスンの真実、告発された巨大企業という本の日本語訳がつい最近発売された。

ここには恐るべきサムスンの実態が綴られている。この本を書いたキム・ヨンチョルという人は、サムスンの財務チーム、法務チームに所属していた弁護士で、 監視、尾行、盗聴、退職後もサムスンによる圧力があったようだ。そして、政治権力とマスコミを掌握しているサムスンと敵対することの怖さがかかれてある。

全部読んだら、メルマガでもその内容をまとめたものを紹介する予定だが、この本を出版したのはハンギョレ新聞であることも付け加えておく。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 外国人(ウォン)

05日 2016.06 1118.5 539.74 -587億
06日 2000.36 1122.9 533.62 -2335億
07日 1982.15 1134.8 532.48 -3783億
08日 2000.76 1118.3 535.76 -4251億
09日 2018.30 1117.8 539.45 234億

今週の韓国経済は、7日はウォン安になったのだが、結局、09日で元に戻っている。KOSPIの変動は選挙前で起きにくい事は以前に述べた通りだ。

さて、今週のメルマガはこれぐらいにしておくが、来週はK-POPについて特集していく。世界の韓流ブームなんてものがただの幻で、実は大赤字という経済の実態を見ていく予定だ。

読者様の購読に深く感謝する。これからも温かい応援のほどを宜しくお願い致します。

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