第44回「ようこそ鎌倉幕府へ。韓国政府、為替介入をしてもウォン安防げず!」
配信日:2012年5月27日
最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)
今週のメルマガは予定を変更して、韓国経済の近況を特集していく。今週金曜日のドルとウォンの為替相場1ドル=1185ウォンとなっている。これは今年の 最安値を更新した。どうしてこうなっているのか。今後の韓国経済の動向などを詳しくやっていこう。では、記事のチャートを貼る。
記事のチャート
韓国の貿易依存率→欧州危機→中国経済の停滞→今週の韓国経済
韓国の貿易依存率
韓国の貿易依存率は最新のデータでは97%を超えた。日本が3割ほどに比べて、韓国が高い貿易依存国家であって、経済成長するには外需頼みしかない。そのため、韓国政府は貿易支援策として外需の拡大を推進してきた。
しかし、外需で多国籍企業の競争で勝つには資本を一極集中させる必要がある。そこで財閥優遇策が現れた。これについては政府が先か、財閥が先かは議論が分かれるところだ。どちらにしても、韓国政府が外需拡大をしてきた事実は変わらない。
こうして韓国はずっと経済成長をしてきた。しかし、ご存じの通り、世界経済が不安定になれば、外需は一気に落ち込んでいく。1997年、東アジアから始 まった、アジア通貨危機で韓国は日本とIMFの支援を受けた。2008年の9月のリーマン・ショックによって外需はどん底。慢性的なドル不足になり、株価 は900以下となり、ウォンは1700ウォン間近となった。(第3次通貨危機)
IMF支援が屈辱的だった韓国はアメリカや中国、日本に何とか頼み込んで、通貨スワップ協定の拡大を締結する。これによって、アメリカから300億ドルの スワップを借りることできた。そして、韓国はリーマン・ショックで唯一、アメリから通貨スワップを借りて、この危機を乗り越えた。
こうして、韓国はなんとか乗りきった。だが、リーマン・ショックによって、ますます経済格差が進み、財閥支配が確立していく。特にサムスンが韓国の GDP25%というあり得ない規模となったことは韓国=サムスンではなく、サムスン>韓国という対立関係の変化を意味する。投資家には韓国よりサムスンの ほうが優先されているわけだ。
しかし、その経済成長は長く続かない。ギリシャから欧州危機が始まったからだ。元々はアメリカのサブプライムローンが原因なのは言うまでもないが、欧州はサブプライムローンとCDSによって、慢性的な経済危機が起きている。それが現在まで続いている。
欧州危機
最近の欧州危機でピックアップされているのは、ギリシャの再選挙。スペイン、または銀行の国債格下げ。地方債務の問題。また、フランスのサルコジ大統領が 選挙で敗北。そして、ギリシャのユーロ脱退を防ごうと、ユーロ共同債を発表。とまあ、明らかに迷走している。ギリシャにはドラクマ復活の動きもあり、ギリ シャのユーロ脱退で、EU体制そのものの崩壊も懸念されている。
このような動きで、ドルやユーロは売られて、代わりに比較的安定な円が買われる。そして、欧州銀行は自分の銀行に資金集めのため、新興国からの投資を回収していく。
これが高い貿易依存している韓国経済市場に悪影響を与えている。
韓国の貿易依存は3割が中国、EUは15%ほど。そのあと、アメリカ10%となっている。つまり、EUが転ければ韓国の貿易は落ち込み、韓国市場に投げ売りが始まる。だが、経済が停滞しているのはEUだけではない。何と最大の貿易国、中国にもその兆しが見られるのだ。
中国経済の停滞
[上海 23日 ロイター] 人民元トレーダーは、今年人民元は2─3%上昇するとの予想を見直しつつある。世界の経済情勢の予想以上の悪化と中国経済の減速で、市場で安全志向が表面化しているためだ。
ユーロ圏債務危機はすでに政治問題化しており、リスク回避でドル指数.DXYは23日2010年9月以来の高水準に上昇。中国政府がこのまま人民元の上昇容認姿勢を維持するのか、疑問視する声が広がっている。
さらに注目すべきは、中国の4月の経済指標が相次いで悪化したこと。中国人民銀行に銀行の預金準備率引き下げを促す かたちとなり、中国経済に対する懸念が強まった。この結果、今月は銀行やその顧客の間では、ドル上昇局面で人民元のショートポジションを設定する動きが広 がった。
ある欧州銀行のシニアトレーダーは「中国人民銀行は人民元の大幅下落は容認しないだろうが、輸出減速阻止のため、緩やかな下落が政府の選択肢となる可能性が強まっている」と述べた。
人民元の基準値は過去8営業日連続で下落しており、人民銀行が一定の下落を容認する姿勢を示している。た だ同時に、基準値はスポットレートを上回る水準に設定されており、為替レートの相対的な安定を維持するシグナルとみられている。中国を拠点とするトレー ダー8人を対象とした民間調査では、中期的に人民銀行は経済イベントに基づき人民元の方向を決定し、年末まで下落を容認する可能性があるとの見方が示され た。
(現実味増す人民元の下落、ユーロ圏危機や中国経済減速で | ビジネスニュース | Reuters )
このように高い貿易依存であり、その3割が中国に頼っている韓国経済にとっては悪材料しか存在しない。欧州危機がすぐに収束することはない。むしろ、さらなる混乱が予想される。
今週の韓国経済
>ギリシャ財政危機の影響による急激なウォン安を防ぐため、韓国当局が為替市場に介入していたことが分かった。
企画財政部の朴宰完(パク・ジェワン)長官が24日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、韓国政府の介入を明らかにした。為替ディーラーらは、政府が先週から15億ドル(約1190億円)のドル売りを実施したとみている。
ウォンの対ドル相場は3月に年初来高値を記録した後、これまでに5.5%下がっている。ウォン安は輸出に追い風となるものの、韓国国内の物価上昇をあおるため、急激な進行は望ましくない。
朴長官は「為替の微調整(スムージング・オペレーション)は変動性が非常に大きい場合に行う。しかし、基本的には市場のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に委ねるよう努める」と説明した。
ギリシャ財政危機の再燃を受け、先月中旬以降、韓国金融市場では外国人投資家が3兆2600億ウォン(約2200億円)を回収し、ドル高ウォン安が進んだ。
韓国は急な外貨流出に備え、外貨準備高を増やしているほか、日本や中国との通貨スワップを拡大している。
(http://japanese.yonhapnews.co.kr/economy/2012/05/24/0500000000AJP20120524003100882.HTML)
日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 外国人(ウォン)
21日 1799.13 1168.9 448.89 -569億
22日 1828.69 1163.2 461.45 -306億
23日 1808.62 1172.9 455.90 -3820億
24日 1814.47 1180.5 455.72 -2650億
25日 1824.17 1185.5 462.40 -1377億
さて、最初に介入したというニュースをだしたわけだが、ご覧の通り、まったくきいていない。来週に1200ウォン行くかに注目されるが、KOSPIが上がっても,ウォンが下がるという矛盾には要注意だろう。
KOSPIの買い支えを重視しているかもしれない。ウォンのほうは売りの圧力が強すぎて、禿の餌にしかなってない。大きな変動が予想されるので、しばらくは様子を見た方が良いだろう。
今週のメルマガは以上だが、来週はよほどのことかがない限りは、麗水万博について取り上げたいと思う。それでは、来週も楽しみにして欲しい。
読者様の購読に深く感謝する。これからも応援のほどをよろしくお願い致します。