第50回「これからの韓国経済の行方 証券市場から債券市場 流れ出る外国マネー」

第50回「これからの韓国経済の行方 証券市場から債券市場 流れ出る外国マネー」

配信日:2012年7月8日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週のメルマガは50回記念。何かイベント用意しているわけではないが、現時点で予想できる範囲で韓国経済の行方を追ってみる。特に証券市場から債券市場に向かう動きが強まっていることに注目だ。まずは、ここ数年間の背景をまとめてみる。では、記事のチャートを貼る。

記事のチャート

財閥寡占化とFTA、韓国国内の動き→中国依存が鮮明に。韓国証券市場から逃げていく投資家→サムスンだけが過去最高益に→債券市場が新しい投資先に→今週の韓国経済

財閥寡占化とFTA

韓国の民間企業100社が保有する資産総額は政府資産の95%水準に達することが1日、分かった。

財界専門サイトの財閥ドットコムがまとめた「大韓民国100大グループ」によると、公営企業と民営化した 公営企業を除き、財閥総帥が率いる企業の資産ランキングで、上位100社の資産(2011年末ベース)は合計で1446兆7620億ウォン(約101兆 円)となった。韓国政府が今年5月末に発表した政府の資産総額1523兆2000億ウォンの95%に上る。

政府が保有する資産は緩やかに増加するため、100社の資産は早ければ2012年末に政府の資産規模を超えるとみられる。 100社のうち上位5社の資産は754兆ウォンと、全体の52%を占めた。

サムスングループの資産が279兆820億ウォンで最も多く、現代自動車(154兆7140億ウォン)、SK(136兆4670億ウォン)、LG(100兆7750億ウォン)、ロッテ(83兆3910億ウォン)の各グループが続いた。 100位となったシンドリコーの資産は1兆3150億ウォンで、サムスンの212分の1にすぎなかった。

韓国経済、民間企業上位100社の資産総額が政府試算の95% 上位5社だけで全体の52%

韓国は0.01%の財閥グループが支配する国。それを表したのが上の記事となっている。リーマン・ショック以後、経済格差はここまで進行した。以前にサムスンが韓国政府より上だと指摘したが、韓国ではサムスンが支配階級と頂点となった。

ある意味では、もっとも近未来に韓国は生きている。一企業グループにより、政治と経済の掌握。だが、実際はサムスンと現代以外の財閥グループは切り離されている。

さて、興味深いデータがある。それは欧州とのFTAの成果だ。

>今月から欧州の自動車メーカー各社は、乗用車の価格を一斉に1-2%引き下げ、韓国市場攻略を強化してい る。韓国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)が発効してから1年たち、昨年7月の値下げに続き、追加値下げに踏み切った形だ。1億ウォン(約 690万円)を超える高級車の中には、FTA発効前より1000万ウォン(約69万円)ほど値下げされたモデルも多い。

欧州車の販売がFTA効果で好調な伸びを示す一方で、韓国の国産車は上半期の販売実績が前年同期を6%近く下回り、業界は非常事態に直面している。現代自動車は今月、ソナタを70万ウォン(約4万9000円)、ソナタ・ハイブリッドを250万ウォン(約17万3000円)それぞれ値引きするなどして対抗している。<

韓国経済、韓国とEUのFTA発効から1年 欧州車攻勢、韓国の国産車販売が6%減

FTA政策が韓国庶民に恩恵をもたらすことは何度か指摘した通り。それは国内の寡占化が関税を取り払うことで、欧州市場に対抗するために値段を下げざる得 なくなったためだ。管理人の視点からすれば、韓国、EUのFTAは成功だと思う。庶民は安くで物が購入できるようになった。物価高を抑えるにも貢献した。

韓国企業にとっては失敗かもしれないが、このメルマガはあくまでも韓国経済の分析であって、韓国企業経済の分析ではない。管理人の優先は庶民の暮らしである。

中国依存が鮮明に、サムスンだけが過去最高益

>世界証券市場の5月末現在の時価総額が47兆9000億ドル(約3857兆3869億円)となり、過去最 高を記録した2007年末の78%程度に縮小したと推計された。韓国取引所が25日、国際取引所連合(WFE)に加盟する20取引所の時価総額を集計した 結果を公表した。

世界証券市場の時価総額は、5月に欧州債務危機が再燃したことを受け昨年末に比べ0.43%(2000億ドル)減少し、韓国証券市場でも133億ドルが消失したとみられる。

地域別では欧州債務危機の打撃を受けた欧州地域(アフリカ・中東を含む)の時価総額が昨年末に比べ11.18%減少し、最大の下げ幅を記録した。一方、米州は4.43%、アジア・太平洋地域は3.09%増加した。

アジア・太平洋地域の株式時価総額が世界証券市場に占める割合は31.52%となり、2009年から連続で欧州地域を上回った。欧州地域の割合は25.41%で、2007年末から5.09ポイント減少した。

韓国経済、韓国証券市場の時価総額は昨年末に比べ133億ドル低下

さて、欧州危機、アメリカの景気後退などで、アジア・太平洋地域が人気が高まっているが、韓国からは明らかに投資が逃げている。世界の中国依存が証券市場 からでもよくわかるわけだ。韓国の場合は貿易でもさらに中国依存をしているわけだが。では、次はこの不景気でもなぜか過去最高を記録するサムスン電子であ る。

>【ソウル時事】韓国のサムスン電子が6日発表した今年4~6月期決算(暫定値)によると、 営業利益は前年同期比78.7%増の6兆7000億ウォン(約4690億円)と、四半期ベースで過去最高を記録した。売上高は同19.2%増の47兆ウォ ン(約3兆2900億円)と、昨年10~12月期に次ぐ高水準だった。スマートフォン(多機能携帯電話)の新製品「ギャラクシーS3」の販売好調が業績を 押し上げたとみられる。<

明らかにおかしいわけだが、どうやったらサムスンほどの大きな企業営業利益が78.7%も増えるのか。まあ、そのからくりの正体は韓国での財閥優遇策と ウォン安なんだが。むしろ、サムスン優遇策でもあるんだろうか。サムスンバブルとでもいうべきもの?サムスンについては黒い噂が絶えないので、この発表は あくまでも表向きだと思われる。

だが、韓国は喜んでもいられない。サムスンが過去最高益をたたき出そうが、その配当金は外国人投資家が持って行く。そのために、一生懸命に株価対策をしな ければならない。といっても、サムスンの株価は下がっている。実はこれ市場予測(7兆ウォン)には届いていないのだ。要するにはこれでも失望売りなのだ。

債券市場が新しい投資先に

>3年物国債利回りが韓国銀行(中央銀行)の基準金利である7日物レポ金利を下回る逆転現象が4年ぶりに起きた。6日の債 券市場では、3年物国債利回りが前日を0.04%下回る年3.23%となり、基準金利(3.25%)を下回った。こうした逆転現象は2008年のリーマン ショック当時以来4年ぶりのことだ。3年物国債利回りは、無担保コール翌日物金利(3.25%)も下回った。

債券市場では通常、長期債ほど債券保有者のリスクが大きいため、長期債の利回りは短期金利よりも高い。3年物国債利回りが7日物レポ金利を下回るというのは正常な状況ではない。

逆転が起きた原因は複合的だ。まず、前日に中国と欧州の中央銀行が基準金利を引き下げたことが要因だ。韓銀関係者は 「中国と欧州が利下げを行わなければならないほど、世界景気が悪いのではないかという懸念が高まり、韓銀も基準金利を引き下げるのではないかという期待感 が高まったため、国債に買いが集まった」と指摘した。

国際金融市場では、韓国の国債が一種の安全資産として認識されており、外国人による投資需要が増えている。欧州財政 危機以降、国際債券市場は、米国、ドイツ、英国などの国債が取引される「プレミアリーグ」とスペイン、イタリア、ギリシャなど財政不安の国々の国債が流通 する「マイナーリーグ」に二分化された。

そうした中、韓国は国家財政が比較的安定しており、国債の発行金利も先進国より高いため、「準プレミアリーグ」扱い され、外国人の債券投資を引き寄せている。金融監督院によると、5月末現在で外国人のウォン建て債券保有額は88兆5460億ウォン(約6兆2000億 円)で、上場債券全体に占める外国人の保有割合は7.1%だった。保有額、保有割合ともに過去最大となった。

しかし、債券人気が好ましいとは言い切れない。ソロモン投資証券のイ・ジョンウ・リサーチセンター長は「過度の流動 性が生産に投じられず、債券に集中したことによる怪現象だ。債券バブルが発生し、将来的に基準金利が引き上げられた際、損切り売りが集中し、債券利回りが 急激に上昇する可能性がある」と述べた。

Chosun Online | 朝鮮日報

これは7月7日の最新記事。重要なのは証券市場から逃げた投資が債券市場に集まっていることだ。そして、外国人のウォン建て債券保有額が過去最大となっていること。といっても、まだ全体の保有割合は7%に過ぎない。

新しい動きではあるが、確実に移行するとはいえない。基準金利が引き上げられる可能性は限りなく低いのは韓国の家計 債務が莫大に増加しているためだ。ずっと3.25%に据え置かれている。ただ、こうなってくると、韓国に求められるのが「ウォン高」となる。つまり、これ からウォン高になれば、債券を持っている外国人投資家は儲かるわけだ。

今までウォン安政策で輸出を促進してきた韓国。だが、外国人投資家が債券市場に移行するなら、展開は全く真逆になる。これから債券市場にも注目するほうがいいというのが結論だ。今後の動向をまとめるとこうなる。

韓国内→FTAで寡占化が崩壊 VS 財閥グループ経済格差

韓国外→中国依存高まる。中韓FTA政策でさらに?

外国人投資家→韓国証券市場→韓国債券市場(バブル?)

韓国企業→サムスンの独占が加速!他グループ減収

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 外国人 先物

02日  1851.65 1146.1 490.43 399億 245.7
03日  1867.82 1138.3 493.91 197億 245.5
04日  1867.82 1135.8 495.81 164億 248.4
05日  1875.49 1135.0 497.34 138億 240.4
06日  1858.21 1137.8 497.22 161億 245.6

以上。今週もそれほど大きな値動きはなかった。試験的に先物を入れてみたが先物相場の基準がよくわかっていない。最もそれほど大きな市場ではないのだが。

今週は50回記念として今後の動向を追ってみた。来週は韓国の輸入原油についてだ。今、イランがアメリカやEUの経 済制裁の元に、各国が原油輸入規制し始めた。核開発疑惑のイランと取引を減らすように仕向けられたためだ。韓国はイランからだいたい1割ほど輸入してい た。そのため、イラン輸入ができなくなれば、国内の原油価格も高騰するおそれもある。その辺りを詳しく見ていく予定だ。

50回という記念すべき大台を配信できたことを読者様に深く感謝する。これからも応援のほどをよろしくお願い致します。

 

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