第53回「韓国不動産バブル崩壊なのに不動産賃貸価格は上昇中なのはなぜ?」

第53回「韓国不動産バブル崩壊なのに不動産賃貸価格は上昇中なのはなぜ?」

配信日:2012年8月5日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週のメルマガは前回の続きで、韓国の不動産バブルについてである。前回、韓国の不動産バブルが崩壊していることを説明したが、最後に不動産賃貸価格が上 昇中だと正反対なことを述べた。不動産購入者は激減しているのに、借りる人間は増えた。どういうことなんだろうか。では、記事のチャートを貼る。

記事のチャート

韓国不動産の特徴→チョンセ権設定とは?→今週の韓国経済

韓国の不動産特徴

韓国の不動産については正直よくわからない。日本と不動産システムがずいぶん異なるからだ。そのため、日本と同じような視点で見ると見誤る可能性がある。まずは不動産の特徴を書いておく。

賃貸条件が正確でない(しっかりと契約しないといけない)
図面がない物件が多い(土地が整理されていない場所)
賃貸権の相違(権利関係が複雑)
管理費
賃貸保証金
権利金
契約面積
確定日付(日本にはない)
チョンセ権設定(日本にはない)

以上。これが韓国の不動産だ。特に最後の確定日付、チョンセ権設定が韓国不動産の特徴だろう。この二つを説明する。

確定日付というのは、先物取引を思い浮かべていただければいい。韓国での不動産の賃貸は住む家のためではなく、ほとんどが投資目的で賃貸するという。つまり、不動産投資は一種の財テクなのだ。

そのために、オーナーは投資目的で家を購入して、その家を賃貸して収入を得ようとする。もちろん、前回に説明したLTVのような制度を使ってだ。つまり、 銀行からの融資で家を購入するから、満期日までに不動産をどうにかしないといけなくなる。そのために、急に不動産所有者がかわることだってある。次にチョ ンセ権を説明しよう。

チョンセ権設定とは?

韓国では、高額の保証金のみをオーナーに預け賃貸料を支払わないというチョンセ制度というものがある。この時点で日本人の管理人には理解出来ないのだが、「ある」のだから仕方がない。

つまり、オーナーはその保証金を使って、さらに何かに投資してお金を増やすということなのだろう。そんな上手い話がいつまでも続くとは思えないが・・・・・・。もちろん、保証金だから後で返してもらうことになる。

だが、個人のオーナーが真面目に返すとは限らない。相手は韓国人なのだ。とても高いリスクが伴うから法定金利が39%だとしても安い方になる。それは置いといて話を戻すと、当然、オーナーから保証金を返してもらえないと困るので、ここでチョンセ権を設定することになる。

チョンセ権とは不動産の登記簿に賃貸借契約に伴い保証金をオーナーに預けていることを質権化することをいう。これは、一般の抵当権と同じく順位により保護されるので、オーナーが保証金の返還が不可能になった場合は、競売手続きを経て返還してもらうことができる。

また、オーナーが契約満期になっても保証金を返してくれない場合には、このチョンセ権を以って競売申請をして取り返すことも出来る。

*抵当権とは、〘名〙債権者が担保となる物件の使用を債務者に任せておきながら、債務不履行の場合はその物件から優先的に弁済を受けることのできる権利。

これは日本の民法でも定められている権利。理由があって約束を履行されない場合は、優先的に弁済を受けられる。

当然、優先的な弁済なので、自分の順位の確認と、いくらまでチョンセ権設定が保証されるかなど、詳しい取り決めをしておく必要がある。競売なら売れる物件かどうかも重要だ。

前回の話で確認したように不動産が売れない事態が起きていれば、このチョンセ権設定をしていても不動産が売れない限りは資金は返済されない。つまり、不動 産が売れなくて、不動産価格の値崩れを起こせば、連鎖式で借金だけが雪だるま式に増えていく。何も投資が1件だけと限らない。

このようなシステムが韓国の不動産の特徴なわけだが、不動産価格が値上がりしている頃には素晴らしいシステムだったかもしれない。だが、一つの歯車が狂う と連鎖式で他も全てが駄目になるという恐ろしい制度だったりする。LTVしかり、チョンセ権設定なども、結局は不動産バブル崩壊なんて考えてもいなかった 制度ということだ。

韓国不動産バブル崩壊なのに不動産賃貸価格は上昇中なのはなぜ?という答えは、つまり、住宅価格が横ばいか、下落する中、賃貸保証金のみが高騰しているからということになる。

今週の韓国経済

先週、メルマガは5週目でお休みだったので、今回はまとめて二週間分の動きを掲載する。

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人

23日 1789.49 1146.6 472.24 235.9 -1963億
24日 1793.93 1146.1 468.28 236.8 -96億
25日 1769.31 1151.2 454.72 234.5 -907億
26日 1782.47 1146.9 457.86 235.9 -448億
27日 1829.16 1138.3 464.72 242.5 4745億

30日 1869.40 1137.6 465.46 244.5 4782億
31日 1881.99 1130.6 467.61 250.4 6126億
01日 1879.93 1126.5 468.53 250.9 449億
02日 1869.40 1131.7 466.63 249.0 2116億
03日 1848.68 1134.8 465.28 246.0 -650億

以上。先週下がっていたKOSPIやウォンは、欧州危機の救済で力強い支援の約束を受けて急上昇。先週から今週にかけて上がっている。また、今週の最後に アメリカの雇用統計が予想より良くて、ダウが13000ドル台を回復した。つまり、来週もダウに連動してさらに上がることが予想される。

ただ、KOSPIは急上昇したのに、ほとんどコスダックが上がっていないのが気になる。ドーピングの可能性も考慮した方が良い。

今週はこれで終わりだが、次週はロンドンオリンピック特集である。経済の話題にほぼ関係ないが時期的に旬な話題であり、なぜか韓国人は様々なトラブルに巻き込まれたり、引き起こしたりしているので、ある意味、興味深い。次週は軽い息抜き回だと思っていただければいい。

読者様の購読に深く感謝する。これからも応援のほどをよろしくお願い致します。

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