月別アーカイブ: 2015年12月

第99回「サムスン電子が営業利益8500億円と過去最高を更新…しかし、株価は2013年6月以降は20%低下」

第99回「サムスン電子が営業利益8500億円と過去最高を更新…しかし、株価は2013年6月以降は20%低下」

配信日:2013年7月28日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週、韓国経済のメルマガは第99回目を迎える。特集のテーマは韓国のGDP3割を超える超巨大企業のサムスングループ系列である。むしろ、この時点でおかしいわけだが、その中の筆頭企業として、サムスン電子の近況について見ていく。では、記事のチャートを張る。

記事のチャート

サムスン電子が営業利益8500億円と過去最高を更新→DoCoMoのツートップ→サムスンの衰退が韓国経済を崩壊させる→今週の韓国経済

サムスン電子が営業利益8500億円と過去最高を更新

サムスン電子は2013年4~6月期決算によると、売上高は前年同期比20.7%増の57兆4600億ウォ ン(約5兆1100億円)、営業利益は47.5%増の9兆5300億ウォン(約8500億円)となり、いずれも四半期ベースで過去最高を記録したという。

この決算の好調理由はスマホ販売が好調だという。これだけ見ればとても株価が上がる好材料なのだが、当日の株価はむしろ下がっている。そして、サムスンの三ヶ月の株価を見ていくと興味深いことがわかる。メルマガではグラフが載せられないのでロイターのリンクを張っておく。

http://jp.reuters.com/investing/quotes/chart?symbol=005930.KS

チャートを見ると6月の1,553,000ウォンをピークに軒並み下がり続けている。

株価なので多少上下に変動があるとしても、営業利益が公開された後、現在の株価は1,303,000ウォンであり、これは前日より、-12,000ウォン 下がっている。つまり、過去最高を記録した営業利益でも投資家にとってあまり好材料に働いていないことがわかる。三ヶ月で20%も下がったわけだが、これはソニー1社の時価総額分に等しいほど。この原因となったのが主力品がスマホ販売しかないことが上げられる。

しかも、この営業利益が過去最高でも、市場予測より低いということで、サムスンのスマホ販売が伸び悩んでいるということを露呈してしまった。また、もう一つ重要なのがサムスンの営業利益の7割が携帯端末事業ということ。

最も、そのスマホ販売も本当に好調かというと、いくつも疑問が出てくるのだが、日本でサムスンのスマホ、ギャラクシーを販売しているDoCoMoだが、そのキャンペーン内容はご存じだろうか。これが面白いので少しのぞいてみよう。

DoCoMoのツートップ

>「ドコモの顔とも言える、ツートップ」

加藤薫社長が2013年5月15日の今夏向けモデル発表会でこう紹介したのが、ソニーの「エクスペリア」と韓国サムスン電子の「ギャラク シー」の最新機種だ。この日は同時に富士通やシャープ、NECカシオなど他メーカーも新製品を披露したのだが、2機種だけが「特別待遇」となった。ウェブ サイトも「ツートップ」として別格の扱いをされている。

他の機種と明確に区別されているのが、価格だ。10年以上継続してドコモ回線を使っていたり、従来型携帯電話から乗り換えたりする場合に料金 を割り引く。プランによってエクスペリアの端末価格は実質5000円に、ギャラクシーも1万5000円ほどにまで下がるという。これ以外の新製品の価格は 出ていないが、加藤社長は報道陣に「1~2万円くらいの差がつくと思う」と発言している。<

(http://www.j-cast.com/2013/05/16175241.html?p=all)

エクスペリアとギャラクシーがツートップという言葉を是非とも、覚えておいてほしい。では、そのツートップの販売台数は2013年6月18日の株式総会で公開された情報ではこうなっている。

エクスペリア 64万台
ギャラクシー 32万台

なんと二倍の台数差が出ている。これが最新の情報によると、エクスペリアが110万台、ギャラクシーは55万台とさらに離されているのがわかる。つまり、エクスペリアが欲しいのに、在庫がないのでギャラクシーをすすめられて買うユーザーが多いということだろうか。

なぜ、DoCoMoの店員はギャラクシーをすすめるのか。エクスペリアの方が性能が圧倒的であるにも関わらず、格安でギャラクシーを売ろうとする。考えら れる理由は仕入れ価格が安いから。実質15000円で買えるぐらいだ。DoCoMoはいったいいくらでギャラクシーを仕入れているのか。そして、これがサ ムスンの営業利益過去最高のからくりである。

サムスンの薄利多売戦略を何度か以前にも説明したが、スマートフォンでも同じことをしている。ということは、DRAM、液晶テレビのように、また同じ道を辿ることが予想される。

サムスンの衰退が韓国経済を崩壊させる

もう一つの大事な視点として、サムスン電子の善し悪しは韓国経済にとって大きな影響があるということだ。最初に申し上げた通り、サムスングループの売上高はGDPの3割を超える。KOSPIの時価総額の25%がサムスン電子である。

つまり、サムスン電子の株価が20%下がるだけで、KOSPIも大幅に下がったことになる。これが2000あったKOSPIが1800台まで下がってきた 一つの要因でもある。最も、サムスン電子は事業を拡大して成長しているのに、韓国経済全体の伸び率は鈍化している点も憂慮しておく必要がある。何にせよ、 サムスンが傾けば韓国からの投資が一気にはじけ飛んでしまうので、これからの株価も要チェックというところだ。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

22日 1880.35 1118.90 541.14 243.70 -192億
23日 1904.15 1117.00 541.64 247.05 2942億
24日 1912.08 1112.70 543.60 247.75 -1815億
25日 1909.61 1116.10 541.94 247.90 1553億
26日 1910.81 1111.10 545.31 248.85 1670億

今週の予想レートは、1125~1140だった。

今回は大幅に外れてウォン高となったのだが、管理人の読み違いは日本の参院選での影響である。自民党が圧勝して、株高、円安となると思ったら、逆に株が下がり、円が上がってしまった。現在は1ドル=98円台である。97円突破もあり得るので、今後為替レートも注目だろう。

そして、もう一つが世界的なドル安である。韓国のウォンも、ドルが安くなったために相対的にウォン高となった。この傾向が続くとなればウォン高が続く可能性が高い。ただ、いきすぎたウォン高は介入される懸念が出てくるのでそれほど一気に進むとは思えない。

来週の予想レートは1100~1120にしておく。

以上。今週はこれで終わるが、来週はいよいよ記念の100回を迎える。テーマは「2013年9月以降の韓国経済の展望」である。これから先、韓国経済がいったいどのようになるのか。輸出依存経済なので、他国の状況次第といえばそれまでであるのだが、そのような展望を詳しく見ていく。

読者様の購読に深く感謝する。これからも温かい応援の程をよろしくお願い致します。

第98回「9月、世界銀行とIMFが韓国銀行へのストレステストを実地。賄賂責めで危機を回避する!?」

第98回「9月、世界銀行とIMFが韓国銀行へのストレステストを実地。賄賂責めで危機を回避する!?」

配信日:2013年7月21日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週の韓国経済のメルマガは世界銀行とIMFが行う韓国銀行へのストレステストについてである。ストレステストは経済用語の中でも専門的な部類に入るので一からわかりやすく説明していく。それでは、記事のチャートを張る。

記事のチャート

ストレステストとは何か→2013年9月、韓国でストレステストが決定→韓国政府、慌てて地方債を政府負債に導入→今週の韓国経済

ストレステストとは何か

ストレステストというのは、アジア通貨危機、リーマン・ショックなど、金融市場での予期せぬ事態が生じた時、ポートフォリオ(運用資産)の損失、または損失の回避策を予めシミュレーションしておくリスク管理手法のこと。

ストレステストという言葉が有名になったのは2009年のリーマン・ショック後である。最近は、原発ニュースでも良くこのストレステストという言葉が使われるのだが本来の対象は異なっている。

一般的に、ストレステストは銀行だけではなく、証券会社、生命保険会社、損害保険会社、資産運用会社、企業年金、持ち株会社、リース商社など、幅広い分野で行われている。ただ、今回のメルマガで関係があるのは「銀行」のみなので、銀行だけに焦点を絞っていく。

管理人が欧州危機のニュースをチェックしていたときに、ちょうど注目されていたこともあって知ることになったのだが、つまり、ある世界的な危機が起きたと きにその銀行はどれぐらい耐えることができるのか、または、自己資本比率の低下が想定範囲内なのかといったテストである。

言い換えれば、ストレステストの目的は「客観的な審査で、市場の不安感を解消すること」である。

■ストレステストの実際例

実例として、FRB(連邦準備制度委員会)、米金融当局が行ったのをあげておこう。、

FRBが行ったのは、今後2年間に予想以上に景気が悪化した場合の損失発生状況などを査定し、資本不足額を試算したもので、金融機関の資産内容の透明性を高めることで、資本増強を促し、金融システムの安定化が狙いであった。

ただ、このストレステストには色々問題が発生している。次はそこをみていく。

■ストレステストの問題点その1「不合格となった銀行への信頼低下」

先ほど、ストレステストの目的は「客観的な審査によって、市場の不安感を解消すること」だと述べた。

しかし、ストレステストの結果が不合格の場合には、むしろ信用不安が増大するという問題点がある。起きてもいない危機を想定して事前に対応することはとて も大事なことであるが、それを一般的に公開して不合格となれば、あの銀行は危機には耐えられないという評価が下されてしまうわけだ。評価というのは一人歩 きするので、銀行の信頼を失いかねない。

■ストレステストの問題点その2「審査の判断基準が事前に公開されない」

もう一つの問題点として、ストレステストは客観的な審査のはずなのに、その判断基準が事前には公開されない。つまり、意図的な操作が行われている可能性があるということだ。

ただ、客観的な審査を事前に公開することはリスクも発生する。これが次に紹介するストレステストの課題にもつながる。

■ストレステストの課題は「納得」させる目的と整合性

ストレステストの問題点その2にも関連するが、ストレステストで行う危機的な状況へのシミュレーションというのは、その目的設定によって大きく結果が異な る。つまり、判断基準の難易度によって、合格、不合格が決まるわけだ。難しいと思うのでわかりやすい例で説明していこう。

例えば、リーマン・ショックみたいな金融危機が起きたと想定してストレステストを行う。ある銀行の自己資本比率は3%まで落ちた。別の銀行は4%だった。この時、4%以上の銀行は合格で、3%以下の銀行は不合格となる基準だった。

これぐらいわかりやすいなら苦労はしないのだが、言いたいことはその判断基準をどこまで厳しくするかでも合否の判断が異なってくる。もし、このような判断基準が公開されたらわかりやすいが、それで銀行の危機対処能力が低いことを露呈する。

つまり、起きてもいないリスクが考慮されて、銀行の未来の自己資本比率の低下を招くことになる。不合格になった銀行にお金を預けたいと問われたら、多くの預金者はNOとこたえるだろう。

このような理由から、合格、不合格の審査基準を事前に公開するのは難しいわけだ。だが、そうなればストレステストの目的と整合性が取れない。

銀行に将来の資本増強を促すのが目的なら、合格、不合格の二択で決めてしまうことへは違和感を覚えるわけだ。といっても、数値で決めてもあまり変わらないかもしれない。何かの判断基準による合否はその影響を未来に及ぼす。

極端な可能性でいえば、金融危機が5年後に起こるとは限らないのだ。当然、起こらないとも限らない。

このように銀行のストレステストを有効的に活用するのは難しい。今後の課題といえる。以上を踏まえて韓国でのストレステスト実地ニュースについて見ていこう。

2013年9月、韓国でストレステストが決定

>国際通貨基金(IMF)と世界銀行は、経済危機に直面した際、韓国の銀行にどれだけ抵抗力があるかを調べるストレステストに着手した。家計債務の増大に 加 え、景気低迷で建設、造船、海運などの業種で不良債権が増えており、危機が深刻化した場合に銀行が財務の健全性を維持できるかがチェック対象となる。

金融委員会によると、IMFの局長級を団長とする6人程度の評価団がこのほど韓国入りしており、4日には国民銀行など4大銀行のリスク担当役員と会合を持ったという。

今回のストレステストは、IMFが加盟国の金融システム、金融監督体制などが国際基準を満たしているかを確認するために実施する特別プログラムに沿ったも ので、1999年に導入された。世界的な金融危機後の2009年に主要20カ国(G20)が参加して発足した金融危機対応機関、金融安定理事会(FSB) の加盟国は5年ごとにテストを受けなければならない。9月にはIMFと韓国政府による定例協議が行われ、ストレステストの結果は11月ごろに公表される。

金融委関係者は「ストレステストはこれまでIMFの人手不足で延期されてきたが、2004年以降10年ぶりに実施されることになる」と説明した。

(http://kankokukeizai.kilo.jp/2013/07/05/httpkankokukeizai-kilo-jpp602/#more-602)

韓国では10年ぶりにストレステスト実地が決定した。つまり、9月から行われるわけだが、当然、韓国の銀行は不合格にされたら困るので、賄賂責めということになる。

先ほどの問題点2「審査の判断基準が事前に公開されない」にあげたとおり、意図的な操作が行われる可能性がある。というより、格付け会社の接待を見ている限りでは確実に韓国なら行うだろう。

ここ数年で、韓国の貯蓄銀行がかなり潰れたわけだが、韓国の銀行が自己資本比率といった資産データを誤魔化していないなど、まず考えられないので何か出てくるかもしれない。それが公にされるかは賄賂次第というところか。

韓国政府、慌てて地方債を政府負債に導入

IMFと世界銀行が9月に韓国での10年ぶりのストレステストを行うことになった。おそらく、それの下準備だと思われるが、韓国政府が今まで政府の借金になぜか含めなかったLH,韓国水資源公社といった公共機関の借金も合算した。

これで公開された政府借金が1500兆ウォン(約130兆円)となった。ただ、通貨安定証券、外弊債など、まだまだ含まれていない負債が存在するので、この数字も鵜呑みにはできない。

ストレステストについては9月以降なので、このメルマガでもそのうちまた特集する予定なので楽しみにして欲しい。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

15日  1875.16 1122.00 531.67 244.90 1081億
16日  1866.36 1118.00 537.72 242.65 185億
17日  1887.49 1121.60 541.82 244.65 1193億
18日  1875.48 1126.30 541.56 243.45 -1130億
19日  1871.41 1121.70 541.87 243.00 -1321億

今週の予想レートは1110~1130だった。予想範囲内の動きであったので特に言及することはない。中国経済成長率も市場予測であり、バーナンキ、FRB議長の発言も曖昧なものだった。

さて、来週だが21日に、日本で参議院総選挙が行われる。

市場予想、支持率、政治判断からして自民党の圧勝が予想されている。そのため、アベノミクス、ねじれ解消の影響で円安となり、韓国市場ではウォン安、株安となるだろう。予想レートは、1125~1140ぐらいにしておく。

以上。今週はこれで終わる。来週の予定は「サムスンの株価と衰退」についてである。

読者様の購読に深く感謝する。これからの応援の程をよろしくお願い致します。

第97回「日韓通貨スワップ協定延長なしが決定。中韓通貨スワップは三年間延長するが実質役立たず!?」

第97回「日韓通貨スワップ協定延長なしが決定。中韓通貨スワップは三年間延長するが実質役立たず!?」

配信日:2013年7月14日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週、韓国経済のメルマガは第97回となる。

テーマは7月4日期限で延長なしとなった日韓通貨スワップ協定の経緯やその後である。期限切れとなった金額は130億ドルのうち30億ドル。少ない額だと思うかもしれないが、通貨スワップ協定では金額よりも、その後ろにある背景国が重視される。

つまり、今まで何度も経済危機に陥った韓国を助けて、その危機防止策まで講じた日本が今後、韓国を助けないと意思表示したということになる。

残りの100億ドルはIMFやASEAN諸国との関係もあり、韓国が自由に使える金額はわずかである。その反対に、韓国は中国との中韓通貨スワップの延長を決定した。では、記事のチャート張って見ていこう。

記事のチャート

中韓通貨スワップ協定、三年間延長決定→韓国側の切実な要求→中韓通貨スワップ協定の現状→今週の韓国経済

中韓通貨スワップ協定、三年間延長決定

日本との通貨スワップ協定延長がなしとわかるニュースが出た頃、韓国の朴槿恵大統領は経済界要人を何十人も引き連れて訪中をしていた。そして、そこで中韓首脳会談を行い、2014年10月の有効期限だった両国間の通貨スワップ協定期間を3年延長することで合意した。また、必要に応じて規模の拡大など検討。

日本に土下座できなかった韓国が中国との通貨スワップ協定、560億ドル相当の規模(約5.5兆円)の延長を決定したわけだが、上に書いたとおり、有効期限が1年もあったのを、なぜ、今の段階で延長を韓国側が求めたのか。

それが、先ほど説明した日韓通貨スワップ廃止での日本の後ろ盾がなくなることでの韓国経済への危機感だと読み取れる。そして、次のニュースである。

韓国側の切実な要求

>28日、パク大統領の中国訪問に随行した関係者によれば韓国は当初、今回の首脳会談を契機に韓中通貨スワップ満期延長を議論することにし、企画財政部と 韓国銀行関係者が中国人民銀行と密かに事前接触を行なっていた。だが、人民銀行は「あえて延長する必要があるのか」と消極的な立場を取ったと伝えられた。 <

(ソースは韓国経済(韓国語)なので2chより記事掲載)

中国は韓国銀行関係者の要請を拒否していた。だが、韓国にとっては日韓通貨スワップが切れるこの時期に何としてでも延長決定にならないと死活問題になる。そこで外交部に助けを求め、中韓首脳会談で韓国側が逆提案するという形での合意となった。

内心、30億ドルなんて大した金額ではないと吹聴しながら、如何に韓国にとって日韓通貨スワップ協定が生命線であったかはわかる行動であろう。それでも日本に土下座したくなかったようだが、今後、韓国経済がさらに悪化すれば、おそらく日本に泣きついてくると思われる。

個人的には日本政府に要求を退けて欲しいのだが、政治の世界というのは駆け引きなのでどうなるかはわからない。

だが、ハードカレンシーでもなく、為替介入でレートを調整する通貨(元)をいくら手に入れたところで、どこまで韓国経済の盤石となるのかを考えれば、はっきり言ってただの「こけおどし」であろう。日本の円と元では信頼度が異なるからだ。

そもそも、中国経済で貿易統計の凄まじい水増しが発覚した以上、あらゆる経済データが信用できない。そして、さらに酷いのは中韓通貨スワップ協定の現状である。

中韓通貨スワップ協定の現状

韓中通貨スワップ資金(3600億元・約64兆円)を活用した貿易決済制度が有名無実化している。国内ウォンの融資金利が相対的に低くなったが、最近、中国の短期金利の指標である上海銀行間貸出金利(SHIBOR・時報)が急騰し、金利の条件が著しく悪化したためである。

○5つの銀行の実績皆無

25日、金融業界によると、7つの都市銀行(国民・新韓・ウリィ・つ・企業・外国為替・農協)の通貨スワップ資金外貨貸し出し残額(20日基準)は700万元(約13億ウォン)に過ぎなかった。

韓国銀行が昨年12月に “韓中通貨スワップ資金取引決済支援制度”を導入してから6ヶ月が過ぎたが、取扱実績は期待に及ばないこと。この制度は、中国人民銀行が通貨スワップに預けた人民元の国内輸入業者が貿易決済資金に使えるようにしたことが重要である。

対中国の貿易をする企業に安定的に人民元を提供することにより、為替リスクと取引コストを削減することができるものと期待を集めた。韓中通貨スワップの常設化の基盤を用意したという点でも注目された。

しかし、銀行や企業の反応は冷ややかだ。

韓銀が数値公開に消極的で、記者が7対都市銀行を調査した結果、ウリィ銀行から700万元程度の融資が出ただけで、残りの6つの銀行は、残高が皆無だった。

これまでの融資をして返済されたものまで含めた完全な外貨融資取扱高も7800万元(約147億ウォン)に過ぎなかった。外国為替とウリィ銀行が実績があるだけで、残りの国民、新韓一つの企業、農協などは開始すらしていなかった。(省略)<

(neverニュース。ソースは韓国語なので2chより記事掲載)

少し長い記事になるのだが、中韓通貨スワップ協定の現状が期待以下だということがわかる。3600億元あっても7800万元しか使っていない。使った銀行 もわずか。管理人も最初は中国との貿易が拡大すれば、通貨スワップでの貿易決済資金としてどんどん使うと思っていた。ところが、蓋を開ければ1億元にすら 達していない。まさに「こけおどし」である。

これは中国市場の金利の問題が関連していると思われるのだが、中国経済を特集したとき、シャドーバンクが拡大した経緯に市場金利が浸透していないことを述べた。つまり、通貨スワップを利用する金利が安定していなく急騰したりしているわけだ。

極端に言えば中国政府の気分次第で元のレートや金利が変化するので、韓国銀行としてリスクを考えれば危なくて使えないとの認識だ。そのため、二国間のス ワップ金利を安定させるシステムを構築する必要があるわけだが、規模の拡大は検討されても、そういったシステム関連での動きはない。

結論を述べれば、中韓通貨スワップは金額こそ大きいが、今のままではほとんど「絵に描いた餅状態」ということになる。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 外国人(ウォン)

08日 1816.85 1152.30 515.85 235.95 -2052億
09日  1830.35 1141.70 519.34 238.45 -1013億
10日 1824.16 1135.80 515.64 236.40 -220億
11日 1877.60 1122.10 527.25 244.20  2770億
12日 1869.98 1124.50 532.47 243.45  1167億

今週の予想レートは1130~1150だった。順調に予想通り動いていたのに11日に一気にウォン高となっている。これには管理人も朝から気づいてブログなどでウォンチャートで高層ビルが建ち並んでいると知らせた。

さて、この原因は、米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が、労働市場の見通しが大幅に改善するまでは緩和措置を継続するとの趣旨の発言をしたこと が好感されてのウォン高である。もう一つは中国経済の成長予測が7,7%から7.5%まで引き下げられたこと。最も、7.5%も成長しているとは到底思え ない。

FRBの議長発言は限定的に影響したと思われるので、このまま韓国の株価やウォンが上がっていく感じではない。ただ、中国のGDP発表が控えており、ドルが上がる可能性が高い。また、韓国内の貿易統計の発表も来週あるので、材料をどう見るかで予想レートが異なる。

ウォン高、ウォン安になる材料が色々揃っているのでそれをぶつけて検討した上での予想レートは1110~1130ぐらいだろうか。どちらに傾くにせよ上昇幅は限定的になると見ている。

以上。今週はこれで終わる。来週の予定は「IMFと世界銀行の韓国へのストレステスト」についてだ。ストレステストとは何かという基本的なところから説明していく。

読者様の購読に深く感謝する。これからの応援の程をよろしくお願い致します。

第96回「478兆円規模。シャドーバンクが中国経済を第二のリーマン・ショックへと導くのか」

第96回「478兆円規模。シャドーバンクが中国経済を第二のリーマン・ショックへと導くのか」

配信日:2013年7月7日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週の韓国経済は、前回に予告したとおり、中国経済の話題である。先週から株価の下落が続いている中国だが、それは一体どうしてなのかというのが今回のテーマである。その一つの答えに、最近、話題となっているのが「シャドーバンク(影の金融)」である。

これについては初めて聞く読者様も多いと思われるので、シャドーバンクというものがどういうものかについて説明してから見ていくことにする。では、記事のチャートを貼る。

記事のチャート

シャードバンクとは何か→最大478兆円規模?だが、その実態は誰にもわからない→第二のリーマン・ショックが中国で起こるのか?→韓国経済への波及→先週の韓国経済→今週の韓国経済→7月の韓国経済特集

シャードバンクとは何か

シャドーバンクを日本語に直せば、「影の金融」といった意味となる。

私的融資や信託ローン、ノンバンクからの借り入れから、住宅関連のモーゲージブローカー、ファイナンス会社、資産担保証券、資産担保コマーシャルペー パー、銀行の連結対象の投資子会社、マネー・マーケット・ファンド、ヘッジファンド、デリバティブ、銀行持株会社などといったものから構成されている。つ まり、言い方が昭和ぽいが表には出ないが確実に存在する金融である。

最大478兆円規模?だが、その実態は誰にもわからない

問題はその規模が誰にもわからないことだ。これがCDSと似ているところ。もっとも予想が大きいのは、アメリカのムーディーズが数字である。 私的融資や信託ローン、ノンバンクからの借り入れ、資産運用商品を通じた銀行の簿外預金などシャドーバンキング業務の規模は2012年末までに29兆元に 達したとされている。日本円で直すと、478兆5000億円であり、中国のGDPのおよそ3割にも当たる。もっともその実態は中国政府ですら把握できていない。

前回、中国の話題に触れたときで銀行間市場のオーバーナイトの金利が30%を一時的に超えたことを伸べた。銀行同士での貸し借りができない。中国政府が資金供給をしたという記事もあった。他にもなぜかATMから預金を引き出せなく、システムトラブルと片付けていた銀行もあった。そういった銀行がシャードバ ンクからお金を借りていても何ら不思議はない。

しかも、株価暴落は資金供給がされても収まらずに上海総合株価は今週2000を割った。

このような状態から、今年の経済成長率が7.5%を維持できるわけもない。しかも、貿易統計で4倍、さらに他の統計では10倍といった水増しとは思えない数値が確認された。もはや、中国の真のGDPは日本以下、いやドイツ以下だと述べても、それほど間違っているとは思えなくなってきた。

これの問題は日本の国債より酷い。なぜなら、利子によって天文学的な単位で増えて行くからだ。経済に天文という単語が出てきて驚いたと思う。だが、実際に シャドーバンクで借りた利子がわずか数パーセントに済むとか誰も思わない。少なくとも年利10%以上だろう。この規模での借金が年利10%で増加するな ら、天文学的な数字で増加といっても強ち間違いではない。

478兆円規模でのシャドーバンクでの利子を唯一返すことができる方法は中国が偽りでも7.5%以上の高成長をするしかないのだ。低成長では利子の高さで飲まれてしまう。

シャドーバンクの取り立ては日本の消費者金融より酷いと思われるので、借りた人間は表銀行の借金より、こちらを優先するだろう。なら、表銀行の借金はいつ までも放置されて、表銀行は資金を回収できない。よって銀行は資金不足に陥り、倒産してしまう。システミックリスクによって、全ての銀行に波及すれば、第 二のリーマン・ショックの完成である。

だが、中国の場合はただの金融ショックだけで終わらない。報道はされていないが確実に増加している「暴動」が発生することになる。それは中国共産党を潰す 社会問題となる恐れもある。だとすれば、中国政府はシャドーバンクを潰そうと動く可能性がある。それも第二のリーマン・ショックを引き起こしかねない。

第二のリーマン・ショックが中国で起こるのか?

さて、シャードバンクが第二のリーマン・ショックを引き起こす理由は上で述べた通り、二つである。ここで整理しておこう。

1.シャドーバンクの利子増加によって、表銀行の返済が滞る。表銀行が倒産してシステミックリスクを誘発して、リーマン・ショックへ

2.規模が拡大するシャドーバンクを中国政府が規制(高金利の禁止など)に入ることで、シャードバンクのみならず、実体経済を潰してしまい、リーマン・ショックへ

1については上で説明してきたので、2についてだが、そもそもシャドーバンクがこれだけ拡大してきた原因は、市場金利が浸透していないためだ。また、不動産バブルの投資などにもシャドーバンクの資金が大きく影響している。だとすれば、シャドーバンクは中国経済成長のある意味、一つの車輪と捉えることができ る。

ここでもう一度金利について説明しておく。金利とは将来におけるリターンとも取れる。つまり、今、お金を貸して、将来には金利がついてこれだけ資産が増加する。その金額は多ければ多いほど、お金が回る。今、中国政府が一時的に高金利を認めているわけだが、これが高金利を認めないとしたら、どうなるのか…… 低金利で大金を貸すようなことはない。つまり、資金不足となっていく。

お金を借りている企業は倒産し、貸した金融も潰れるといった連鎖が起こりうる。今は大丈夫だとしても、そのようなことが起これば、これも第二のリーマン・ショックに発展することになる。

韓国経済への波及

色々と見てきたが、1と2は同時並行で起こりえるので、どちらにせよ中国の崩壊は避けられない。それが数年後なのかは定かではないが、韓国経済の中国依存 は24.5%で最大の取引先である。今年はさらにその依存が増えると思われるので、崩壊が確実視される中国経済に縋る韓国経済という図式が完成する。

韓国経済は外部的に中国経済崩壊、内部的にも1000兆ウォンの家計債務危機、4000億ドル規模の外債の増加という危機的な状況を抱えていることにな る。どちらも絶賛進行中ということで、今年の9月以降に峠を迎えると予想している。他にも、財政の崖問題などもあるので、9月以降の韓国経済についてはか なり注目だろう。

先週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 外国人(ウォン)

24日 1799.01 1161.40 508.65 233.60 -2493億 日韓通貨スワップ延長なし報道
25日 1780.63 1160.20 480.96 234.10 -1358億
26日 1783.45 1154.50 493.07 232.15 -2169億
27日 1834.70 1149.70 512.25 239.60 1057億
28日 1863.32 1142.00 519.06 242.00 4430億 ←中韓通貨スワップ延長報道

先週の予想レートは1140~1170だった。予想範囲内を推移していたわけだが、27、28日に急激に回復している。これは韓国の5月の経常収支が86 億ドルと過去最大となったニュースや中国株価の下落に歯止めがかかったことがあげられる。経常収支は4月が39億ドルなので、なんと二倍以上である。た だ、これだけで素直に喜べるほど韓国経済の状態は良くない。

経常収支というのは、貿易収支、貿易外収支、移転収支といったものに分けられてるわけだが、大事なのは貿易収支の輸入と輸出の差である。そのニュースを出しておく。

>関税庁が14日に公表した「5月の輸出入動向」によると、5月の輸出額は483億6300万ドル(約4兆5862億円)で、前月より4.5%、前年同月 比で3.2%それぞれ増加した。輸入は424億4800万ドルとなり、前月比3.1%減、前年同月比では4.6%減となった。

注目は輸入が減っていて輸出が増えているところだ。これは不況型黒字の典型例ともいえる。つまり、経常収支が過去最大と喜んでいるわりには、輸入が減っているので内心の経済状態は良くないといえる。

来週の予想レートだが、中国株価の下落が一段落つき、経常収支が過去最大の黒字となったことでウォン高に推移するのではないかと予想する。1130~1145というところだろうか。ただ、中国の動向が読めないので不安な要素はある。

今週の韓国経済(7月6日追記)

6月は第5週があってメルマガが先週休みだった。それで直前の情報が1週間前では得られないので、7月6日に1週間の韓国経済を振り返っておく。といっても、今週はそれほど動いていない。

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 外国人(ウォン)

01日 1855.73 1132.40 527.81 242.30 -300億
02日 1855.02 1134.00 526.92 242.25  382億
03日 1824.66 1143.70 521.31 237.45 -2773億
04日 1839.14 1139.40 525.22 239.30 -853億
05日  1833.31 1142.30 525.40 239.15 -1501億

今週の韓国経済は日経平均が14000円を回復する中で、KOSPIだけが下がっていく感じだった。もっとも1800以下にはなってないので、底は 1800で硬いと思われる。次の重要な数値はKOSPI1800以下となるので、ここが1600まで下がっていくとリーマン・ショック前のKOSPIとな る。外国人も今週は様子見が強い。

ウォンのほうはあまり値動きはしていない。予想レート範囲内で面白みにかけていた。来週の予想も1130~1150というところだ。

後、6日の時点でサムスンの株価がまた下がっている。5日に過去最高益を上げたニュース発表とともに暴落というのは珍しいわけだが、あれだけ大量生産して 出荷数を増やして、過去最高益が前年とたいして変わらないなら、スマートフォン依存の限界が見えたことへの失望売りだと分析している。

7月の韓国経済特集

これはおまけなのだが、7月分の特集内容がだいたい決まったので知らせておこう。97回は日韓通貨スワップが延長しなかった話。98回は10年ぶりに行われることとなったIMFと世界銀行の韓国へのストレステストについて。99回はサムスンの株価と衰退。

そして、8月に入るがいよいよメルマガ100回目を迎える。100回目の予定は2013年9月以降の韓国経済の展望である。

100回目は2013年9月から峠を迎えるであろう韓国経済の問題点を浮き彫りにする。以上のような予定となっているので楽しみにしていただきたい。

以上、今週はこれで終わるが来週の予定は、日韓通貨スワップが7月4日で期限切れとなり、延長しないという決定が出た。このように日本との関係を断ち切っ たあと、韓国の朴槿恵大統領は中国に通貨スワップ延長を自ら申し出た。これはますます中国依存、属国化のフラグだろう。この辺りの経緯を見ていこうと思 う。 読者様の購読に深く感謝する。これからも温かい応援の程をよろしくお願い致します。

第95回「韓国経済に赤信号。サムスン電子株暴落からKOSPI、ウォンも投げ売り状態」

第95回「韓国経済に赤信号。サムスン電子株暴落からKOSPI、ウォンも投げ売り状態

配信日:2013年6月23日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週、韓国経済のメルマガは先週予定していたサムスン電子とウォン、KOSPIについて見ていく。

先週の最後に危険な兆候だと述べたわけだが、今週はその通りの動きとなった。ただ、ウォンがここまで下がるとは予想外である。金曜日の最安値が1159 ウォン。しかも、ここから為替介入を行ったことがわかった。それで、少し戻して終値は1156ウォンとなり、ほとんど為替介入分は食われてしまう結果と なった。

また、KOSPIのほうもサムスン電子株暴落から、1900以下となり、今週は1800を切る直前まで暴落した。最終的には1822となったのだが、ウォンとKOSPIを見れば韓国経済に激動が走ったことは確かである。一体何があったのかを今から説明していこう。

では、記事のチャートを貼る。また、今回はいつも最後に見ていた「今週の韓国経済」の中身が中心となる。

記事のチャート

今週の韓国経済→サムスン電子株の暴落→20日の韓国経済→中国銀行間市場の金利上昇 オーバーナイト→21日の韓国経済

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

17日 1883.10 1126.20 524.50 246.50 -642億
18日 1900.62 1131.10 534.26 247.70 -1580億
19日 1888.31 1130.80 531.41 246.70 -1285億
20日 1850.49 1145.70 525.59 240.35 -4610億
21日 1822.83 1154.70 520.89 236.65 -7800億←韓国政府の為替介入

以上。今週の予想レートは1125~1140だった。今週の韓国経済が暴落であったことは数値を見ればはっきり読み取れる。19日まではそれほど値動きが なかったわけだが、20日、21日と酷いのでこの二日を詳しく見ていく。さて、今週を振り返る前に、サムスン電子の暴落ニュースについて少し触れておきた い。

サムスン電子株の暴落

サムスン電子株価が一日に6%以上も下落した。7日のKOSPI(韓国総合株価指数)市場 でサムスン電子は前営業日比9万4000ウォン(6.2%)安の142万7000ウォンで取引を終えた。時価総額は224兆ウォン(約20兆円)から 210兆ウォンへと一日に14兆ウォンも減少した。

サムスン電子株価を引き下げたのは前日JPモルガンが出した報告書だった。JPモルガンはサムスン電子分析報告書で、ギャラクシー S4の今年の販売推定値を従来7900万台から5900万台に下方修正した。4月末に登場した後1カ月間に世界で1000万台売れたが、最近になって販売 が鈍化する信号が表れているという理由だった。

JPモルガンは「サムスン電子に(スマートフォン用)カメラ部品、本体、アプリケーションプロセッサー(AP)を納品する会社を通じて確認した結果、注文 量が月1000万台から最近700万-800万台に減少した」と主張した。ギャラクシーS4販売が停滞した原因については欧州の景気 低迷を挙げた。外国人はこの日、サムスン電子株を6650億ウォン売り越した。 (後、省略)

(http://japanese.joins.com/article/509/172509.html)

21日の現在、サムスン電子株は132万5000ウォンとなっている。一気に下がったことで、多少の反発あったようだ。ただ、それ以外の韓国株価はほぼ全滅といっていいほど下がったので、KOSPIは1806まで落ちた。

6日は150万ウォン→21日で132万ウォン・・・だいたい15%ほど値下がりしたことになる。スマートフォンしかないとずっといわれているので、サムスンの新事業が軌道に乗れないなら、さらにサムスンの株価は下がるだろう。

20日の韓国経済

では、20日の韓国経済に話を移す。ウォンとKOSPIが暴落した原因は主に二つ。一つは、アメリカが米国債を大規模に買い入れる現在の金融緩和策の指針 を発表したことで米国債の金利が急騰、 ドルが上昇し、ウォンを売ってドルを買う動きが強まったこと。つまり、ドル高ウォン安の流れとなった。

ここまでは大体の予想通りといったところだ。問題は2つ目の理由である。それは、中国の6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が 市場の予想を下回ったことから、韓国経済への悪影響に対する懸念である。

製造業購買担当者景気指数(PMI)の速報値が48.3となり、9カ月ぶり安値に下落した。つまり、中国の景気低迷がはっきり数値から見て取れたことで、中国依存3割の韓国経済がやばいという認識である。

中国銀行間市場の金利上昇 オーバーナイト

渡邊哲也さんのTwitterによると、中国銀行間市場の金利上昇 オーバーナイト(一晩)もので30%超えているらしく、銀行間での取り付け騒ぎが起きているのこと。これを見て調べてみた。すると、そのニュースが本当だとわかった。

>(一部省略)その中国では上海短期金融市場の混乱に拍車がかかっており、翌日物の債券レポ金利は午後3時05分現在で前日比613ベーシスポイント (bp)上昇の14.00%と10年ぶり超の高水準になっている。一時30.00%で取引された。ベンチマークとなる7日物の債券レポ金利は同437bp 上昇の12.87%となっている。

中国では、今月に入ってからの資金需給の逼迫(ひっぱく)が今週さらに悪化しており、銀行やその他金融機関は非中核事業の縮小を余儀なくされている。エコ ノミストは、短期金利が高止まりした場合、融資コストの上昇を招く可能性があると指摘。流動性の逼迫が改善しなければ、中国の景気減速に拍車がかかるとの 懸念が出ている。

市場では、中国人民銀行(中央銀行)に資金供給の実施を求める声が強まっているが、人民銀は応じていない。(省略)<

(http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE95J05X20130620?pageNumber=2&virtualBrandChannel=0)

さらに、人民銀が明日、資金供給したニュースがある。

>6月21日(ブルームバーグ):中国人民銀行(中央銀行)は20日、国内金融システムに500億元(約7900億円)を供給した。交通銀行の中国担 当チーフストラテジスト、洪灝氏が明らかにした。同日の中国金融市場では資金の逼迫(ひっぱく)で、指標となる短期金利が過去最高に達した。

洪氏は電話取材に対して、500億元は短期の流動性オペレーションによって銀行1行に供給されたと述べ、他の複数行も資金獲得に向けた協議をしていたと説明した。洪氏は今回の資金供給について、メカニズムの「適切な活用」だと評価した。

洪氏は金融業界の複数の匿名の関係者の話を基に、人民銀が翌日物5.1%、7日物5.4%の金利で資金を供給したと話した。人民銀の報道官は行内規定を理由に匿名を条件に、資金供給については承知していないと述べた。

ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、ウィーコーン・チョン氏(香港在勤)は「資金供給があって当然だと思う。市場の安定は常に監督当局と中銀の最優先課題のはずだ」と語った。

人民銀が流動性不足に対処するための公開市場操作を手控えていることから、中国の銀行間金利は20日に跳ね上がった。銀行間資金の取引センターNIFCに よれば、翌日物レポ金利 は前例のない527ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇で、過去最高の12.85%となった。7日物は270bp上昇し、過去最高の 10.77%。

中国銀行は20日、全ての支払いを遅滞なく行ったと自行のミニブログで明言した。中国工商銀行(ICBC)の広報担当者は、同行が人民銀から資金供給を受けたかどうかについてコメントを控えている。

(http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MOOMFP6JTSF201.html)

これを見る限りでは、渡邊哲也氏の情報に信憑性が出てくる。どうして資金提供をしたか理由は説明されていない。つまり、他の銀行が貸してくれないので、中国政府が資金供給をしたということだ。中国が表だった理由をのべるはずもないのはおわかりだろう。

こ のような動きがあり、中国経済もかなり逼迫している状態となっている。バブル崩壊が間近なのか、貿易統計が4倍に水増しされていた事実も発覚している。中国経済の実態が明るみになれば、韓国経済はついでに滅んでしまうかもしれないので、管理人も注意してみている。そうした動きがあり、21日はさらにウォン 安、KOSPI暴落となる。

21日の韓国経済

すでに、先ほど述べた通り、開幕からウォンの投げ売り状態である。そこで、韓国政府は1159ウォンで為替介入を行った。

>トレーダーによると、韓国外為当局は21日、ウォン安抑制に向けて米ドル売り介入を行ったもよう。0543GMT時点で、ウォンは1ドル=1151.9 ウォン付近で取引され、一時付けた安値1159.4ウォンから大幅に上昇したが、国内市場の前営業日終値1145.7ウォンからは大きく下げている。

(http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPT9N0E404620130621)

1160ウォンはまずいという判断だろう。つまり、この先、ウォン安になれば韓国政府は介入する意志を見せたことになる。そのため、来週のウォンもかなり激動になる可能性がある。

ここまで行くとどのタイミングで介入をするか。1150.1160辺りが確率が高そうだが、ウォンの数値が全く読めない。介入判断で数値が変わってしまう。

しかも、日本との通貨スワップ終了予定が7月3日とある。当然、このままでは中国に支援を受けなければいけなくなるわけだが、その中国も韓国なんかに構っている暇があるのか。予想レートは1140~1170辺りだろうか。ということで、来週の韓国経済も目が離せない。

さて、次週の予定だが、こうなってしまうと「中国経済の現状認識」が重要となる。

管理人は中国経済についてはそれほど詳しくないので特集するのは難しいのだが、今後の韓国経済に大きく影響するのは目に見えている。なので、色々調べて書いてみようと思う。もちろん、今週の韓国経済に大きな動きがあればそちらを特集する予定だ。

読者様の購読に深く感謝する。これからも応援の程よろしくお願い致します。

第94回「韓国電力危機の発端は原発停止。だが、安い電力に依存過ぎている経済構造にも問題あり」

第94回「韓国電力危機の発端は原発停止。だが、安い電力に依存過ぎている経済構造にも問題あり」
配信日:2013年6月16日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週の韓国経済のメルマガは「韓国電力危機」を特集する。

すでに71回のメルマガで取り上げたことであるが、韓国では原発の事故が相次いでいる。その原発事故の原因を韓国の教授はこのように指摘した。

>ソウル大学原子核工学科のファン・イルスン教授「原発は部品100万個が必要とされる複雑な設備だが竣工初期と老朽化時期に故障率が多い。古い原発も管 理しなければならないが新設発電所の管理策も強化しなければならない」と話した。だが、韓国水力原子力は原発の試運転期間中に発生した停止事故に対しては 集計さえしていないことが確認された。<

このように韓国は原発を作ってはいるものの管理やその対応などがあまりにも杜撰である。事故の隠蔽なんて当たり前。しかも、原発事務室で原発安全チームが 覚醒剤を使用するような馬鹿までいた。さらに、ここから酷い。韓国の企業の中で原発部品の品質保証書を偽造したことがわかり、その数は1万個にも及ぶ。こ れを10年間も気づかなかったらしい。

ここまでは書類偽造部品の話だ。当然、安全基準に満たない部品を使えばいつ事故が起きてもおかしくない。そこで、韓国は原発を停止することになった。これが「韓国電力危機」の始まりである。では、前置きが少し長くなったが記事のチャートを貼って見ていく。

記事のチャート

書類偽装部品を使用した新古里原発2号機・新月城1号機の原子炉停止へ→公共機関、韓国企業の節電対策→韓国軍も20%節電→電力危機の理由→今週の韓国経済

書類偽装部品を使用した新古里原発2号機・新月城1号機の原子炉停止へ

韓国原子力安全委員会の李銀哲(イ・ウンチョル)委員長は28日、新古里原発2号機(釜山市機張郡)と新月城原発1号機(慶尚北道慶州市)の原子炉を停止 すると明らかにした。新古里原発1、2号機と新月城原発1、2号機では試験成績表が偽造された不良部品の使用が発覚していた。

先月から定期整備中だった新古里1号機は整備期間を延長し、不良部品を交換する。現在運用許可の審査段階にある新月城2号機でも部品を交換する。このため電力需要が高まる夏を前に電力不足となる可能性が出てきた。

(http://m.yna.co.kr/mob2/jp/contents_jp.jsp?cid=AJP20130528001100882&domain=6&ctype=A&site=0100000000&mobile)

電力危機を告げるニュースがこれである。このニュースは5月の終わりに取り上げたので、大体、今から二週間ほどまえになる。韓国の電力危機対策はかなりの無茶ぶり。その一つに、公共機関での20%節電がある。

節電対策

>(省略)対策によると、全公共機関は月間電力使用量を前年比で15%削減し、午後2~5時のピーク時間帯には20%以上削減することにした。ピーク時間帯には照明の半分を消灯するとともに、冷房温度を28度以上に設定する。

電力需給警報の「準備・関心段階」(予備電力300万~500万キロワット)では非常発電機を稼働し、「注意・警戒段階」(予備電力100 万~300万キロワット)では冷房機器の稼働を止める。公共機関以外の大規模なビルは冷房温度を26度以上に設定することにした。冷房温度規制が適用され るビルは契約電力が100キロワット以上の約6万8000カ所。ピーク時間帯には首都圏の地下鉄13路線の運行間隔を1~3分延長する。

電力需要が急増するとみられる8月5日から30日までは大口需要家に対し、1日4時間(午前10~11時、午後2~5時)に3~15%の節電を実施するよ う求める。対象企業は契約電力5000キロワット以上の2万8036社になる見通し。7~8月には電力需要のピーク日とピーク時間帯に電気料金を最大3倍 引き上げ、非ピーク時は割引する料金制を拡大施行する。(省略)<

(http://m.yna.co.kr/mob2/jp/contents_jp.jsp?cid=AJP20130531002500882&domain=6&ctype=A&site=0100000000&mobile)

このような節電対策が7月~8月の真夏にかけて行われる。しかし、どう考えても無理があるだろう。もし、これで20%も削減できるなら最初からもっとでき ているはずだろうに。韓国の企業がどこまで従うかは知らないが、今年の夏の韓国電力危機はブラックアウトの可能性も出てきた。なぜなら、まだ夏にすらなっ てないのに急激に暑くなっているからだ。

最初の峠になるのが(6月9日~15日)で、現在、メルマガを書いているのが16日(今回は最新情報が重要なので配信の当日に書いている)なのだがブラッ クアウトは起きていない。無事に最初の電力危機は乗り越えたというところだ。しかし、夏に向けて韓国の公共機関、企業だけではなく韓国軍も20%節電が決 まった。

韓国軍も20%節電

>[アジア経済ヤンナクギュ記者]軍当局が電力需要のピーク時間帯に使用する電力量を20%まで減らすことにした。 このため、電力量が減らない部隊は、3回の警告をして戦闘施設のほか、すべての施設に電気を遮断する措置を下すことにした。

13日、軍当局によると、ギムグァンジン国防相は11日、全部隊に重要書簡を送って電力需要が急増する7?8月には前年同月比15%以上、ピーク時間帯には、20%以上を必ず節電するように指示した。

軍当局は、電気を節約するために注意、注意、警戒、深刻などの危機段階的対応措置の強度をアップしました。注意段階(予備電力300万?200万kW)に 入ると、部隊内のジム、ゴルフ場、宗教施設から停電を実施することにした。境界のステップ(200万?100万kW)で管理。住宅、訓練施設を停電する方 針を決めた。

特に軍当局は、前年同月比5%以上の使用量が増加したバッグは、1次警告を、10%以上増加すると2次警告をする。3回目の警告時はすべての建物が強制的に遮断する予定である。(省略)

(http://www.asiae.co.kr/news/view.htm?idxno=2013061310475401097)

これをやるのは他国のことなので別に構わないのだが、北朝鮮が真夏日に攻めてきたらどうするんだろうか。軍は節電していてまともに戦うことはできませんで したとかにならないのか。韓国は電力危機、北朝鮮は食糧難。どちらも軍にとって決定的に大事なものが欠けている。案外、攻めて来れないか。

電力危機の理由

今回の電力危機の発端は原発停止なわけだが、実は電気に依存しすぎている韓国経済の構造にも問題がある。すなわち、電力が異常に安いのだ。ガスや石油と いったものより、安価で提供しているので、韓国の企業だけではなく、韓国全体で電気使用量が莫大に増加した。その安い電気に外資系企業も目をつけた。

韓国政府は電力の需要予測というものを出していたのだが、そのような理由から需要予測を大きく上回ることになった。まあ、この需要予想の仕方に問題がある かもしれないが、そもそも、電力に依存しきっている韓国そのものが、今回の電力危機を引き起こす一つの要因となっている。他にも、罰金を払っても節電をし ない韓国企業の体質などもある。

まだ、電力危機は最初の峠を迎えただけであって、夏にすらなっていない。7月~8月にどうなるかはメルマガでも注目していくわけだが、ブラックアウトになってしまえば、韓国経済に大きな悪影響を与えるし、ピーク時に工場が停止すれば出荷する商品数は激減してしまう。

工場というのは1分止めて、1分後に動かせるような家電とは違い、1分止めるだけで、動かすのは30分後になるのがざらにある。この辺りがどうなるかもしっかりと見ていく予定だ。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

10日 1932.70 1127.30 547.00 252.70 -3294億
11日 1920.68 1134.00 547.87 250.75 -5802億
12日 1908.80 1134.20 547.42 248.30 -4038億
13日 1882.73 1134.40 540.82 245.00 -9523億
14日 1889.24 1126.50 536.04 245.85 -3767億

予想レートは1110~1120だった。月曜日から一気にウォン安となってしまって、今回の予想レートは大きく外れた。戻すとは思っていたのだがその戻す 期間が速い。これの理由ついては、日本のドル/円が94円台となり円高傾向に推移して、日経平均株価の暴落したことが上げられる。

最近の日経平均は外国人、投機筋が積極的に動いている。どこで落ち着くのかは微妙なのだが、1万円を割ることはないだろう。これから参院選にかけて株価の 上昇は見込める。ただ、実体経済にそれほど回復兆しが見られなく、株価だけが安倍政権の期待だけで上昇していたことは事実であり、アベノミクスの真の成果 が問われるのはここから6ヶ月先ぐらいだろうか。

経済対策は長いスパンで見る必要がある。麻生副総理も述べていたが、株が上がる、下がるのは普通のことで、それに投資していたのに、急に下がったからどうだというのは本人の責任である。投資というのはそういうものであり、短期間の上げ下げは政府の責任ではない。

話がだいぶそれてしまったが、このような理由で韓国経済のウォンもかなり激しく動いた。しかし、今週末は1126ウォンと戻している。来週も、ドル/円と 日経平均に左右される可能性はある。ただ、ウォン高になる理由が少ないのでウォン安だろう。予想レートは1125~1140としておく。

さて、今週もう一つ注目なのがKOSPIと外国人である。前回に少し触れた通り、サムスン電子株が急落している。今週末に少し戻したのだがそれでもKOSPIの5分の一の時価総額を持つサムスン電子がKOSPIを1900以下にしたとみていい。

外国人が大量に投げ売りをしている状況であり、せっかく貿易での黒字や基準金利据え置きといった材料が役に立ってない有様である。このような状態が来週に 落ち着くかは、韓国以外の国に依存することが多いので正直微妙である。ただ、極めて危険な兆候とはいえる。そのため、来週はサムスン電子の株価を中心に KOSPIの動向を追っていく。

読者様の購読に深く感謝する。これからも応援の程をよろしくお願い致します。

第93回「7月の日韓通貨スワップ協定終了で韓国経済は崩壊するのか」

第93回「7月の日韓通貨スワップ協定終了で韓国経済は崩壊するのか」

配信日:2013年6月9日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週の韓国経済は「日韓通貨スワップ協定」を特集する。2013年7月、日韓通貨スワップ協定は韓国側の延長要請がない限り終了するわけだが、日本ではイ ンターネットを通じて、それによって韓国経済は崩壊するという噂がある。噂の検証するまでもなくそれは「デマ」である。それについても解説していく。で は、記事のチャートを貼る。

記事のチャート

日韓通貨スワップ協定とは→日本側にメリットはあるのか→韓国が行っている通貨スワップ協定→7月に廃止されて韓国経済は崩壊するのか→今週の韓国経済

日韓通貨スワップ協定とは

2005年に、日本はアジアの通貨危機に備えて、韓国、中国、ASEANといったアジア諸国と通貨スワップ協定を締結した。

通貨スワップの目的は主に為替レートの安定である。ヘッジファンドなどによる大規模な通貨の一方的な売買で、為替レートが急激に変化した場合、国の中央銀行は為替介入を行う。この為替介入は基本は外貨準備高で行う。

また、この通貨スワップ協定はよく勘違いされるが、これは国の条約ではない。あくまでも国の中央銀行同士の金融協力である。なので、通貨スワップ協定は日銀のサイトに掲載されている。

仮に外貨準備高が底をつき始めたときにスワップを要請すれば、相手国の通貨を予め定められた一定レートの通貨と交換してもらうことができる。

これである程度の通貨が供給されるので、韓国では外貨準備高+通貨スワップ協定の金額がなぜか介入出来る資金としてニュースになる。

また、リーマン・ショック時に日韓通貨スワップ協定は200億ドル、2011年に欧州危機によって300億ドルと増額されたわけだが、全部借りるにはIMFの承認が必要となっていた。

チュンマイ・イニシアチブもそうだが、通貨スワップ協定は自由に使える介入資金という見方は間違いである。使えば外貨準備高が底をついたと投資家から見られるからだ。そのため、IMFの承認がいた。

しかし、民主党政権が締結したドル・自国通貨スワップ300億ドルはIMF承認は必要なかった。民主党は韓国を助けるのに必死だったわけだ。

日本側にメリットはあるのか

韓国のメディアでは日本が韓国に通貨スワップ協定要請したというふざけたデマが流されているのは、あくまでも日韓両国経済が共に安定的に成長していくことを目的という建前があるからだ。

ちなみに、通貨スワップ協定そのものに日本側のメリットは一つもなく、デメリットしかない。日本の通貨スワップ協定は主に他国への経済支援である。なぜなら、日本経済が崩壊したらこのような資金でどうにかできる市場ではない。

デメリットとしては交換した通貨スワップそのものが、介入資金が底をついて韓国側が返さないこと。これはリーマン・ショック時からいわれており、700億ドル相当のリスクがあった。

だが、ご存じの通り、2012年に韓国の前大統領、明博氏が、日本の固有の領土である竹島に不法上陸を行い、我が国の天皇陛下を侮辱したことで、日韓関係は急激に冷え込んだ。

そこで、野田政権が増額分の延長を打ち切った。その時の韓国メディアの報道は日本側が要請した。そんなものは必要ない。今までの感謝の言葉すらなかった。

はっきり述べておくと、このような態度ででる韓国を助ける必要はないだろう。

韓国が行っている通貨スワップ協定

2001年 チュンマイ・イニシアチブで日本から100億ドル、中国から40億ドル

2005年、日韓通貨スワップ協定30億ドル←7月に終了予定?

2008年 米韓通貨スワップ協定300億ドル←現在失効中

2008年 韓中通貨スワップ協定、64兆ウォン

2011年 ドル・自国通貨スワップ300億ドル←2012年10月終了

以上。

韓国が締結している通貨スワップ協定の一覧を作ったわけだが、今回、7月に失効される予定なのは2005年の日韓通貨スワップ協定30億ドルのみである。この時点で、韓国経済が通貨スワップ失効で7月に崩壊するというのがデマであることはわかるのではないだろうか。

7月に廃止されて韓国経済は崩壊するのか

30億ドルがなくなっても、チュンマイ・イニシアチブで100億ドル、韓中で64兆ウォン(700億ドル相当)の通貨スワップ協定があるの だ。また、発表通りなら、韓国は3281億ドルの外貨準備高を所持している。そのため、韓国経済がたかが30億ドルで崩壊するというのは考えられない。

以上の理由から、7月に韓国経済が終了することはない。ただ、ヘッジファンドや投資家が日本という後ろ盾をなくした韓国市場をどう見るか、少なくとも好意的には見ないだろう。韓国経済が崩壊しないまでもウォン安を招く可能性はある。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(単位はウォン)

03日  1989.57 1128.00 569.41 261.30 -190億
04日  1989.51 1122.00 561.55 260.80 1093億
05日  1959.19 1115.80 549.09 256.55 -355億
06日 お休み
07日  1923.85 1117.10 535.75 251.10 -9320億←サムスン電子株暴落

今週の予想レートは1125~1135であった。

予想より、かなりウォン高となったわけだが、この理由は日経平均の乱高下、ドル/円が100円台を突破して99円になってしまったことが上げられる。韓国そのもの理由ではなく、アメリカ、日本の為替レートが大きく影響した。

また、もう一つ重要なのがサムスン電子の株価が暴落したことである。それがどうしてかというと、JPモルガンの報告書にスマートフォン市場で伸び率が鈍化するサムスン電子というニュースが掲載されたためだ。

>サムスン電子株価を引き下げたのは前日JPモルガンが出した報告書だった。JPモルガンはサムスン電子分析報告書で、ギャラクシーS4の今年の販売推定 値を従来7900万台から5900万台に下方修正した。4月末に登場した後1カ月間に世界で 1000万台売れたが、最近になって販売が鈍化する信号が表れているという理由だった。<

つまり、サムスン電子の一度に大量生産、低価格販売というDRAM,液晶テレビで行われた市場荒らしでシェアを独占するといういつものやり方が、スマートフォン市場で限界が見えているということになる。そのため、6.2%の暴落である。

極論をいえば、サムスン電子のギャラクシー売上に韓国経済はかかっている。なぜなら、サムスン電子の利益は70%がスマートフォン関連である。そして、サムスン電子は韓国GDPの15%ほどを握っている。

ギャラクシー(サムスン)が転けたら韓国経済が崩壊するということになる。管理人からすれば、日韓通貨スワップ協定の30億ドルで、韓国経済崩壊のデマより、よほど信憑性があると思われる。

サムスン電子はKOSPIの5分の1の時価総額であるので、サムスンが転けるだけでKOSPIは暴落する。いかに韓国がサムスンしかないことがわかるニュースでもある。

さて、このウォン高は一時的なものと思われるので、来週には元に戻っていると思われる。予想レートは1110~1120ぐらいとしておく。韓国経済は他国 の経済に悪影響されることが多い。アメリカの雇用統計が良ければドル高となるので、自然とウォン安傾向になると思われる。

次回の予定だが、今年も韓国の「電力危機」がやって来ている。

昨年も同じように取り上げたのだが、どうしてそうなったかは少し事情が異なる。例の韓国原発で偽装書類部品が大量に使われていることが判明して韓国の原発は停止した。そのため、電力供給が追いつかないのだ。つまり、今年の夏もブラックアウトの危機が迫ることになる。

読者様の購読に深く感謝する。これからも温かい応援のほどをよろしくお願い致します。

第92回「円高、円安でも増える対日貿易赤字。日本と韓国の貿易関係は相変わらず変化なし」

第92回「円高、円安でも増える対日貿易赤字。日本と韓国の貿易関係は相変わらず変化なし」

配信日:2013年6月2日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週の韓国経済は、韓国の対日貿易赤字について特集していく。韓国が日本から何を購入しているかは部品素材・機械といった物が大半を占める。

これは、韓国が日本製の機械や部品を使用して製品を組み立て他国に輸出しているからとなる。では、前置きはこれぐらいにして記事の記事のチャートを貼る。

記事のチャート

液晶パネル大国・韓国、重要部品の国産化率ゼロ→対日貿易赤字推移→円高の逆説→対日輸出の増加=対日赤字拡大の公式壊れる=韓国→2013年、対日貿易赤字は拡大傾向に→今週の韓国経済

液晶パネル大国・韓国、重要部品の国産化率ゼロ

韓国は液晶パネル大国だ。2000年代半ば以降、10年近くにわたり、世界の液晶パネル市場で首位に立っていたのは、サムスン電子かLGディスプレーだった。両社による液晶パネルの輸出額は今年30兆ウォン(約2兆1700億円)を超える見通しだ。

しかし、その内情を見ると、依然として「砂上の楼閣」だ。サムスン電子、LGディスプレーが生産する液晶パネルの国産化率は70%に届かない。特に一部の 重要部品は国産化率がゼロのケースも多い。例えば、液晶は独メルク、日本のチッソなどから全量輸入している。液晶を覆うガラス基板の前後に貼り付ける偏光 板は富士フイルム、コニカなど日本企業に頼っている。

韓国ディスプレー産業協会のチェ・ヨンデ常務は「韓国は15年遅れで液晶パネル産業に参入し、日本に追い付いたが、素材・部品の競争力ではまだ開きが大きい」と指摘した。(後、省略)

(http://kankokukeizai.kilo.jp/2013/05/01/httpkankokukeizai-kilo-jpp312/)

この記事を見て、一体何が日本に追いついたのか知りたいところだが、液晶パネルを構成する主要部品すら自国で作れないのは見ての通りだ。さらに、液晶パネ ル以外でも、自動車の機械部品なども似たような状況だ。そもそも、主要部品を輸入しているということは、それがなければ生産ストップするということにな る。この辺りが、対日貿易赤字にも絡んでくる。

日本は2011年3月11日に起きた東日本大震災で、東北地方が特に壊滅的な被害を被った。そこには多くの部品を製造する日本企業の工場があり、世界の企業は部品確保の対応に追われた。サムスンやLGも例外ではない。

さて、ここから対日貿易赤字を3年ほど振り返る。まずは2010年の状況からである。

対日貿易赤字推移

2010年 329億ドル←過去最大
2011年 286億ドル
2012年 255億ドル
2013年 1月~3月 2482億円(拡大傾向)

円高の逆説

韓 国貿易協会は5日、「昨年の対日貿易赤字(暫定値)は348億ドルで、過去最大だった 08年の327億ドルを超えた」と明らかにした。 昨年の韓国の貿易黒字(417億ドル)の83%にもなる。 昨年、対日輸出も29.5%増えたが、輸入は31.8%も増加し、赤字幅が過去最大になったのだ。

原因は、韓国の主力輸出品である半導体・家電などの核心中間材(素材・部品)を日本に依存しているからだ。 最近の円高は、輸入価格の上昇、貿易収支の悪化を深刻にさせている。

三星(サムスン)経済研究所が4日に発表した報告書「日本の円高対応力」によると、日本は輸出取引で日本円決済の比率を高める方法 (00年の36%から昨年は41%)で為替の影響を減らしている。

報告書は、村田製作所やキヤノンなどの会社を例に挙げながら、「日本企業は圧倒的な品質力とシェアで価格交渉力を強め、為替レートの変動によるコスト負担を海外に転嫁している」と分析した。

(http://japanese.joins.com/article/437/136437.html?servcode=300&sectcode=300)

円高の影響で貿易赤字が拡大したという話だが、日本企業が円高対策をしっかりやってきていることが窺える。

そこにはキャノンや村田製作所の名前が出ているのだが、このような企業が韓国に機械や部品を輸出しているので、液晶テレビなどのシェアで、ソニーやシャー プがサムスン、LGに負けたというよりは、むしろ、その分野で圧倒的なシェアを誇る日本企業に負けている構図が見えてくる。この辺りは日本のマスメディア はほとんど触れない。しかし、大事な点であろう。

さて、次は2012年の記事になるのだが、この東日本大震災や円高の影響で対日貿易赤字に変化があった。

“対日輸出の増加=対日赤字拡大”の公式壊れる=韓国

>昨年の東日本大震災と円高の影響で韓国の対日貿易赤字が改善された。

韓国貿易協会が16日に明らかにしたところによると、昨年1~11月の日本への輸出は2010年の同じ期間と比べ41.3%増の 360億ドルで、過去20余年で最大の増加率を記録した。輸入は7%増の624億ドルだった。対日赤字は264億ドルだったが、これは2010年に比べ 65億ドル減った。

日本からの部品素材輸入の割合が高い韓国は、これまで輸出が増えれば対日貿易赤字幅が大きくなるのが公式となっていた。ところが昨年 は韓国の輸出が過去初めて5000億ドルを突破したが、むしろ対日赤字幅は減った。

これは対日輸出が急増したのに伴ったもので、日本企業が大震災と円高という悪材料を同時に体験しながら韓国製品購買に熱を上げたためだと貿易協会は分析した。

対日輸出は震災発生6カ月前の2010年第3四半期からすでに平均輸出増加率を超えており、輸入は2010年第4四半期から平均輸入増加率を下回った。

貿易協会は今回の貿易赤字改善が1998年の通貨危機と2008年の金融危機の時の「対世界輸出不振→国内投資萎縮→対日輸入減少→対日赤字減少」とは根 本的に違うと強調した。過去2回の場合はすべて資本財分野で赤字が改善されたが、昨年は原材料分野で赤字幅が大きく減ったためだ。

品目別では2010年(1~11月)に対日赤字を見せた建設鉱山機械・合成ゴム・照明機器・音響機器・事務機器など多数の機械品目が昨年は黒字に転じた。照明機器と音響機器はこの10年間赤字が続いていた。

“対日輸出の増加=対日赤字拡大”の公式壊れる=韓国 | Joongang Ilbo | 中央日報

これが2011年の状況なわけだが、東日本大震災、円高の影響がかなりでている。特に、原材料分野で赤字幅が大きく減ったというのは、日本からの原材料の輸入が一時的にストップされたわけだ。

さて、これが2012年になるとさらに赤字が減少して、255億ドルとなった。これは日本が韓国への輸入が 3.24兆円となり、過去最大となったことがあげられる。このように対日貿易赤字は2年連続で減少傾向となっているわけだが、では、2013年の最新状況 はどうなっているのか。実は真逆となっている。

これがアベノミスクにおけるデフレ脱却のための円安成果である。安倍政権が誕生したのは2012年の12月であり、ここから円安、株高と進んできた。その影響が対日貿易赤字にはっきりと見て取れる。

2013年、対日貿易赤字は拡大傾向に

日本の財務省が23日までに公表した4月の貿易統計によると、韓国の4月の対日貿易赤字は2482億円で、前年同月比45.7%、前月比で3.6%それぞれ増加した。

今年1月に888億円だった対日貿易赤字は、2月に1336億円、3月に2395億円と4月までに3カ月連続で拡大している。

韓国の対日貿易赤字の増加とともに、日本の貿易黒字全体に占める対韓貿易黒字の割合も上昇している。(後は省略)

聯合ニュース

このように、安倍政権が誕生したことで対日貿易赤字は元に戻りつつある。それが円安だけの影響なのか。日本の民主党における韓国重視政策による輸入増加が ストップしたのが大きな原因かはデータがないので定かではない。ただ、このまま行けば対日貿易赤字は300億ドル突破するだろう。

まとめると、韓国が日本に輸入依存している、部品・素材分野は、円高でもキャノンや村田製作所といった企業は価格競争力が相当強かった。そこに、円安が加われば、さらに対日貿易赤字が拡大していくのが読み取れるわけだ。

結論を述べると、東日本大震災以外では、日本と韓国の貿易関係にあまり大きな変化はないということになる。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

27日 1979.97 1122.40 577.56 258.70 399億ドル
28日  1986.22 1126.90 585.69 261.55 -699億ドル
29日 2001.20 1132.90 585.69 261.55 3610億ドル
30日 2000.10 1127.40 581.13 261.85 2312億ドル
31日 2001.05 1129.70 577.87 262.30 1605億ドル

今週の予想レートは1120~1140だった。少しウォン安になった程度で、最安値も1133ウォンほどなので予想範囲というところだろう。KOSPIが2000台に戻ってきたことは注目だ。どうやらこの辺りのウォンレートだと韓国に有利と見た投資家が多いようだ。外国人も28日以外は買い攻勢に出ている。

来週の予想レートは1125~1135としておく。

ウォン安傾向は続くであろうが、上昇幅は小さいと見ている。来週に発表される米国経済指標がある程度良いと思われるので、円安が加速する流れだろう。ただ、円安がどこまでウォンに影響するかは難しい。判断材料が乏しいというところだ。

以上。今週はこれで終わる。次回は日韓通貨スワップについて特集する。すでに存じている読者様も多いと思われるが、今年の7月で日韓通貨スワップの期限が切れる。

延長するか、しないかは安倍政権の判断なのだが、日本には何のメリットもない通貨スワップ協定であり、日本政府は中国・韓国をスルーした外交政策を続けて いる。これを見る限りではこのまま終了してもおかしくはない。ただ、韓国からすれば日本という大きな後ろ盾を失うことになる。

読者様の購読に深く感謝する。これからも応援の程をよろしくお願い致します。

第91回「円安で価格競争力低下の韓国企業。円キャリートレードの巻き戻しを恐れる韓国経済」

第91回「円安で価格競争力低下の韓国企業。円キャリートレードの巻き戻しを恐れる韓国経済」

配信日:2013年5月27日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週のメルマガは円キャリートレードについてである。円キャリートレードの用語を説明しつつ、今、韓国経済に何が起こりつつあるかをわかりやすく解説していく。では、記事のチャートを貼って早速始めて行こう。

記事のチャート

円キャリートレードとは→円キャリーの巻き戻し→円キャリートレードにおける二つの懸念材料→今週の韓国経済

円キャリートレードとは

日本の長期不況が生み出した低金利を利用したトレード。考え方はFXで一般的なスワップポイントにも似ている。つまり、日本が低金利をずっと続けているの で投資資金を円で借りて利息を安くして、その借りたお金を利回りが比較的に高い韓国のウォンなどで運用することだ。簡単な例を出しておこう。

日本円で100万借りて利息は低金利の0.01%だとする。この100万円を金利が2.75%の韓国ウォンに投資したらどうなるかである。

計算するまでもなく、高い方が儲かるので、100万円の利息を引いても、利益が出ることになる。このような投資方法を「円キャリートレード」という。例で は韓国をあげたが、金利が高い、オーストラリア、カナダといった国でもこのような円キャリートレードが盛んに行われている。大事なのはこの順番と円安効果 である。

低金利の日本から資金を借りて、その資金を新興国などの投資に使う。韓国の場合もこのような資金の流れがあり、それが韓国の投資にも呼び水となっている。ただ、韓国がもっとも心配するのは円安効果の方だ。

■円安効果

円キャリートレードが増えれば、円売り・ドル買いが進むため、為替市場は円安・ドル高となる。投資家が日本の円を借りるということは、円の流通量が増える。つまり、それだけ円の供給量が増えるために円安となるわけだ。

円キャリーの巻き戻し

では、円キャリーの巻き戻しは何なのか。説明は簡単だ。先ほどと逆の現象が起こること。日本が他の新興国より、低金利だからという前提があるために成り立つのが円キャリートレードなので、各国が日本のように低金利となったらどうなるかを考えればいい。

こうなってしまうと、韓国のような新興国の投資は減少してしまう。投資の魅力がなくなり、北朝鮮問題を始め、リスクだけが顕在化してしまうためだ。これは韓国からの投資引き上げを意味する。

さて、現在のところはそのような現象は起きていない。だが、日本の景気が回復すれば、金利を上昇する動きは必ず現れる。それが数年後になるかはわからない。アベノミスクで確かに日経平均は15000円台を突破したが、これは方向性を示したにすぎない。

実行するのはまだまだこれからであり、順調だった日経平均も、木曜日と金曜日は激しい乱高下が繰り返されていた。ヘッジファンドや外国人の利益確定だと思われるが、原因だった中国より下がっているところを見れば、小さなバブルが起きていたのかもしれない。

では、話を韓国経済に戻す。

円キャリートレードにおける二つの懸念材料

円キャリートレードが加速すると円安になることは上で説明した。円安になるとどうなるかはメルマガでも何度も取り上げてきたとおり、韓国企業の価格競争力が低下してしまう。

品質で劣る韓国製品が、高品質でさらに円安で安くなった日本製品に勝てるはずもない。つまり、韓国には円キャリートレードで二つの不安材料を抱えているのだ。

1.円キャリートレードの資金が韓国に流入して、その後、一斉に引き上げる
2.円安が加速して、価格競争力がますます不利となる

このような懸念材料を示すニュースが5月16日の朝鮮日報に掲載されている。ご覧頂こう。

>(最初省略)低利の円資金を高金利の海外に投資する「円キャリートレード」が本格化するのではないかとの見方も浮上している。円キャリートレードは円安に拍車を掛ける可能性が高く、韓国にとっては新たな悪材料となる。

■海外投資増やす日本の投資家

日本の財務省によると、日本の投資家による海外投資は、先月21日以降の2週間で4636億円の買い越しだった。

4月中旬までは海外の資金が日本に流入していたが、資金が逆流し始めた格好だ。日本の投資家はアベノミクス (安倍首相の経済政策)で日本株が上昇したことを受け、4月中旬までは9兆5000億円の海外投資資金を日本に還流させた。

こうした動きは、円資金の需要を増やし、円安の進行を遅らせるブレーキの役割を果たした。円キャリートレードの出現は、円安を抑えたブレーキが外れること を意味する。4月下旬以降、資金の流れが逆転したのは、主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で円安政策が容認されたことがきっかけと なった。

朴海植(パク・ヘシク)金融研究院上級研究委員は「円安に対する市場の期待がさらに高まり、円キャリートレードが増えれば、世界的に円安の流れが加速する可能性がある」と述べた。

韓国銀行は先月30日「円キャリートレードの最近の推移と拡大可能性点検」と題した報告書で「日本は大規模な金融緩和に積極的に乗り出しているが、米など はこれまでの量的緩和政策(債券買い入れなど)を徐々に縮小する可能性が高い。そうなれば円安だけでなく、日米間の金利差が拡大し、円キャリートレードが 拡大する可能性が高い」と分析した。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの調査によると、米国の経済専門家の55%が年内に米国の量的緩和政策の縮小が始まるとみている。

一方、IM投資証券のイ・ジョンウ・リサーチセンター長は「円キャリートレードが増える可能性があるが、日本と先進国の金利差が小さいため、2000年代の初めや半ばのような大規模な流れにはならないのではないか」と予想した。

韓銀によると、2000年以降、円キャリートレードは3回活発化したが、過去には先進国と日本の金利差が4-5ポイントに達していたのに対し、現在の金利差は0.29ポイントにとどまっている。

■韓国への影響は?

円キャリートレードの資金が韓国に影響を与えるルートは二つある。一つは直接韓国の株式・債券市場に資金が流入し、あるタイミングで急激に資金が引き揚げられるパターンだ。もう一つは世界的に円安が加速し、韓国の株式市場などに影響を与えるリスクだ。

まず、円キャリートレードの資金が韓国に大量に流入する兆しはまだない。金融監督院によると、日本の投資家は3月に韓国株を510億ウォン(約47億円)買い越した。買い越しは昨年7月以来8カ月ぶりとなる。

当面比較的大きいリスクは、円キャリートレードで世界的に円安が加速することだ。イ・センター長は「過去に比べ、円キャリートレードがそれほど活発ではないとしても、衝撃は過去より大きい可能性がある」と指摘した。

2000年代初めと半ばの円キャリートレードは、1-2年かけて円が対ドルで10-20円下落したが、今回はわずか半年で20円も円安が進んでいるためだ。<

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/14/2013051400366.html

これで、管理人がメルマガで特集した理由がわかったのではないだろうか。最後の一文が気になったのだ。半年で20円の円安となった。実際、どこまで円安が進むかは不透明だ。

円キャリートレードが増え、さらなる円安となれば、価格競争力が低下する韓国企業に勝ち目はない。それは輸出の縮小を意味する。貿易とはパイの奪い合いがほとんどだからだ。貿易でしか成り立たない韓国経済がさらに悪化することは目に見えている。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

20日 1982.43 1116.80 567.32 259.40 895億
21日 1981.09 1110.60 572.69 259.10 596億
22日 1993.83 1114.00 574.25 260.10 1353億
23日 1969.19 1128.70 569.34 257.15 140億←日経平均爆下げ
24日  1973.45 1127.75 574.06 257.80  -860億

以上。今週の予想レートは1110~1125だった。ウォン安になるのは予想通りではあるが、表だった為替介入がなかった。1125がマジノ線だと思っていたが、どうやらまだウォン安にしたいようだ。

23日、中国経済失速により、日経平均が大幅に下がったことを受け、そのリスクの影響か、ウォン安が加速した。10ウォンほど下がったのだが、次の日は1130ウォン台を突破した。

日経平均の動向がウォン安にも影響が出ていることがわかる。ただ、KOSPIはあまり変わっていない。外国人投資家も投げ売りに来ていない。

来週の予想ウォンは1120~1140にしておく。少し多めに幅を取ったのは介入が来ない限り、ウォン安傾向が続くと見ているからだ。ただ、1140まで行けば介入が来てもおかしくはない。今後の韓国政府の為替動向は注視したい。

さて、来週の予定は韓国の対日貿易赤字についてである。このテーマで切り込むのはわりと初なのだが、韓国という国は円安、円高でも対日貿易赤字が膨らむ特殊な経済構造をしている。そこで、最新の対日貿易赤字と過去の対日貿易赤字を振り返り特集してみたいと思う。

読者様の購読に深く感謝する。これからも応援の程をよろしくお願い致します。

第90回「スマートフォンが好調でサムスンの利益増収。ドル箱の成長戦略は出荷数にあり」

第90回「スマートフォンが好調でサムスンの利益増収。ドル箱の成長戦略は出荷数にあり」

配信日:2013年5月19日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週の韓国経済は韓国のスマートフォン事業についてである。

すでにご存じの通り、韓国のサムスンがスマートフォンシェアでは世界一であり、iPhoneが抜き去られてしまったわけだが、その成長戦略がどこにあったのか。タイトルに書いたとおり、出荷数にある。これは調査会社が出した結論が興味深い。まずはこれを引用しよう。

>市場調査会社Strategy Analytics社のエグゼクティヴディレクター、ニール・モーストンは、第1四半期に関するリポートの中で、「サムスンはアップルの約2倍を超えるスマートフォンを出荷し、9倍速く成長している」と指摘している。<

サムスンの成長戦略は実はDRAM、液晶テレビの頃と変わっていない。大量生産、大量出荷、低価格で市場を独占する。それ が出来るのは韓国政府による補助金とウォン安があるからだ。つまり、これは誰でも出来る成長戦略ではない。あくまでも圧倒的な資本と国の協力が不可欠だ。 では、前置きはこれぐらいにして記事のチャートを貼っていく。

記事のチャート

サムスンのAndroid利益独占→ジョブズ氏の死から数年、iPhone5Sはどこまで受け入れられるか→世界のスマートフォン普及率→今週の韓国経済→アメーバブログの削除について

サムスンのAndroid利益独占

> 国の市場調査会社、ストラテジー・アナリティックスの推計によると、米グーグルのモバイル基本ソフト(OS)「アンドロイド(Android)」を搭載す るスマートフォンを手がけるメーカーの中で、韓国サムスン電子の利益が突出しており、同社が利益をほぼ独占している状態だという。(途中省略)

それによると、世界のスマートフォンメーカーが今年1~3月に端末を販売したことで得た営業利益の合計は125億ドル。その約43%に当たる53億ドルがアンドロイド搭載スマートフォンよってもたらされた。

そしてサムスンが1~3月にアンドロイド搭載スマートフォンを販売したことで得た営業利益は約50億ドル。つまりアンドロイドスマートフォン市場全体に占める同社の利益の割合はほぼ95%となった。

サムスンに次いで利益が多かったメーカーは韓国LGエレクトロニクス。だが同社のアンドロイドスマートフォン事業の営業利益は1億ドル程度にすぎず、市場全体に占める割合はわずか数パーセント。サムスンとLG以外のメーカーの合計も1億ドル程度にとどまっている。(省略)

別の調査会社である米ガートナーがまとめたスマートフォンの販売統計によると、今年1~3月期に世界で販売されたスマートフォンの台数は2億1004万台。このうち74.4%に当たる1億5618万台がアンドロイド端末だった。

一方1~3月期のスマートフォンメーカー別販売台数を見ると、サムスンが6474万台でトップ。10~12月期に続き 6000万台を超えた。この 後、米アップルの3833万台、LGの1008万台、中国ファーウェイ(華為技術)の933万台、中国ZTE(中興通訊)の788万台と続いている。(途 中省略)

こうした状況では、同社(サムスン)のアンドロイドへの影響力がおのずと強くなり、グーグルや他社メーカーにとっての脅威になりつつあると指摘されている。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37804?page=2

この記事を読んで驚いた読者も多いのではないだろうか。

まさにサムスンの成長戦略通りとなっており、そのシェアは拡大するばかり。しかも、グーグルまでが脅威になりつつあるという現状。しかも、サムスンだけで はなくLG電子もスマートフォン市場で頑張っている。確かに新興国ではまだまだスマートフォンが普及しているとは言えないし、日本でも普及率は20%ぐら いだ。

だが、スマートフォンの普及率は世界的に見ても拡大する一方で、アップル社のiosと、グーグル代表するAndroid勢が火花を散らしているわけだが、実際は、アップルとサムスンの戦いとなっているのがこのデータから明らかだろう。

スマートフォン市場の拡大はこれからも続くだろうし、数々の便利なアプリが登場してくることから、アプリ開発競争も激化す る。日本企業も当然、スマートフォン市場は無視出来ないわけだが、すでにアプリ開発のほうが中心となっており、ガラケーは厳しい状態へと追い込まれてい る。といっても、日本ではそれほどスマートフォン普及しているわけではない。

ただ、サムスンの大量出荷での利益独占は今後、我々にとっても無視出来ない影響を与える可能性がある。最後の一文を付け加えておいたのはそのためだ。

ジョブズ氏の死から数年、iPhone5Sはどこまで受け入れられるか

実際、サムスンのスマートフォンがiPhoneより性能が悪いとしても、低価格で普及されれば、シェアは逆転してしまった わけだ。iPhoneの部品は日本製企業も多数関わっているので、管理人としてはアップル側を応援しているわけだが、iPhone5Sの発売でどうなるか はまだわからない。

やはり、天才的な経営者であったジョブズ氏が亡くなったことが大きいと思われる。多くの著名人が、アップル社はジョブズ死 の死後数年で衰退していくという予想をしている。一時的にはアップル社は世界一の時価総額となったわけだが、それもジョブズ氏がいてこそであった。つま り、iPhone5Sは今後のサムスンと戦えるかという投資の判断で重要視されるわけだ。

サムスンは後追い企業であり、相手からのアイデアをぱくれば良いだけだが、アップル社は自力で先を開拓しなければならない。この違いは大きい。

世界のスマートフォン普及率

最後に世界のスマートフォン普及率について見ておこう。1位はどこだと思うだろうか。アメリカじゃないのか?と思うかも知れない。しかし、実は一位は中東の国なのだ。

1位 アラブ首長国連邦 61%

2位 サウジアラビア 60%

3位 オーストラリア 52%

4位 イギリス 51%

4位 スウェーデン 51%

(http://www.thinkwithgoogle.com/mobileplanet/ja/graph/?active=country&country=us&country=ie&country=ae&country=uk&country=in&country=id&country=eg&country=nl&country=au&country=at&country=ca&country=sa&country=sg&country=ch&country=se&country=es&country=th&country=cz&country=dk&country=tr&country=nz&country=no&country=fi&country=fr&country=cn&country=tw&country=jp&country=kr&category=DETAILS&topic=DETAILS_PENET&stat=PENET01&wave=wave2&age=all&gender=all)

1位と2位が中東諸国。しかも、どちらも原油で儲けている金持ちの国。アメリカは8位。日本はさらに下となる。スマートフォンシェアを国別で見ると中東諸国がトップを飾ったわけだが、これもサムスンの成長戦略に関わっている。

これは古い話になるのだが、日本の高度経済成長次第、日本が積極的にOEM戦略でアメリカ市場を攻略していたとき、サムスンは日本が進出しているところを避けながら事業を拡大した経緯がある。

あの頃の日本企業にかなうはずもなく、当然の戦略だったわけだが、その時の事業拡大が今のサムスンの販売経路となっている。サムスンがどうして日本企業と思われるような富士山などをCMに使ったかもここにある。中東は比較的に親日の国が多いためだった。

サムスンのやり方は決して良いとは言えないが、資本主義経済においては利益を獲得したものが勝者となる。資本主義社会を批判すれば、それは共産主義の考え方が出てくることになる。

少なくとも管理人は資本主義経済を見ているので、今後、サムスンのシェアがどのようになるかは注目していきたい。もっとも、サムスンがここまで強くなったのは日本の民主党のおかげだが。

今週の韓国経済

13日 1948.70 1111.70 565.72 254.00 -748億
14日 1968.83 1106.60 560.47 256.85 1586億
15日  1971.26 1114.50 565.65 256.55 548億
16日 1986.71 1116.40 566.06 259.35 2949億
17日 お休み(釈迦誕生日)

以上。今週の予想レートは1100~1115だった。

最後は少しウォン安となったが大体の予想範囲で収まっている。さて、次週だが、日本の円が100円突破して、103円まで下がっている。日本の円安で1番 被害を受ける国は韓国だと外国メディアが報じているので、これを見る限りではさらなるウォン安が進むと予想される。政府介入が来るかも知れないので、 1125ウォン辺りがマジノ線ではないだろうか。予想レートは1110~1125にしておく。

アメーバブログの削除について

さて、ここで一つ残念な知らせをしなければいけない。管理人が運営していたアメーバブログが利用規約に違反したということ で削除されてしまった。今まで書いた5000以上の韓国経済の記事が消えてしまうことになった。キャッシュが残ってはいるもの、全部元通りには到底出来な い。

経済記事が中心のブログが消されてしまったわけだが、アメブロは表現規制について厳しく取り締まっているようだ。ただ、管 理人は韓国のニュースをそのまま掲載していただけで、いかがわしいサイトにアクセスを誘導した覚えもない。なぜ消されたかを問い合わせても答えてくれない ので、アメーバブログはやめて、自分でレンタルサーバーを借りて、ワードプレスを使ってサイトを作成した。

まだ記事のキャッシュを拾っている途中で、ほとんど記事の更新は出来ていないが、これからはこちらのブログに遊びに来て頂きたい。

日本の底力!(韓国経済危機特集)

http://kankokukeizai.kilo.jp/

幸い、多くの読者様が急いで作った仮りブログに来てくださった。Twitterやメルマガもあるし、消されて驚いた読者様が名前を検索してたどり着いてくれたという報告もある。消されてしまっても、管理人がめげずに頑張っているのは、こうした多くの読者様もおかげである。

また、有料メルマガ代の購読代金をレンタルサーバー代に当てることができたので、ついでに日本語のドメインも作ってきた。ドメイン名は「韓国経済危機.jp」である。

韓国経済はすでに取られていたのだが、韓国経済危機はまだ残っていたのだ。これは嬉しい誤算であった。なので、韓国経済危機.jpでもこのブログに飛べるようになっている。まあ、まだまだグーグル検索に乗れるほどの知名度はない。

http://韓国経済危機.jp/

メルマガ購読してくださる多くの読者様のおかげさまでこうして一から再スタートを切ることができた。5年にわたるブログは 消えても、多くの読者様との絆は全く消えていないことが何よりも励みになる。これからも精進していくので、新しいブログと、メルマガのほうもよろしくお願 いする。

次回の予定だが、日本の円安が進む中で、韓国は円キャリートレードについて恐れている。次回は円キャリートレードについて説明していく。

読者様の購読に深く感謝する。これからも応援の程をよろしくお願い致します。