第99回「サムスン電子が営業利益8500億円と過去最高を更新…しかし、株価は2013年6月以降は20%低下」
配信日:2013年7月28日
最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)
今週、韓国経済のメルマガは第99回目を迎える。特集のテーマは韓国のGDP3割を超える超巨大企業のサムスングループ系列である。むしろ、この時点でおかしいわけだが、その中の筆頭企業として、サムスン電子の近況について見ていく。では、記事のチャートを張る。
記事のチャート
サムスン電子が営業利益8500億円と過去最高を更新→DoCoMoのツートップ→サムスンの衰退が韓国経済を崩壊させる→今週の韓国経済
サムスン電子が営業利益8500億円と過去最高を更新
サムスン電子は2013年4~6月期決算によると、売上高は前年同期比20.7%増の57兆4600億ウォ ン(約5兆1100億円)、営業利益は47.5%増の9兆5300億ウォン(約8500億円)となり、いずれも四半期ベースで過去最高を記録したという。
この決算の好調理由はスマホ販売が好調だという。これだけ見ればとても株価が上がる好材料なのだが、当日の株価はむしろ下がっている。そして、サムスンの三ヶ月の株価を見ていくと興味深いことがわかる。メルマガではグラフが載せられないのでロイターのリンクを張っておく。
http://jp.reuters.com/investing/quotes/chart?symbol=005930.KS
チャートを見ると6月の1,553,000ウォンをピークに軒並み下がり続けている。
株価なので多少上下に変動があるとしても、営業利益が公開された後、現在の株価は1,303,000ウォンであり、これは前日より、-12,000ウォン 下がっている。つまり、過去最高を記録した営業利益でも投資家にとってあまり好材料に働いていないことがわかる。三ヶ月で20%も下がったわけだが、これはソニー1社の時価総額分に等しいほど。この原因となったのが主力品がスマホ販売しかないことが上げられる。
しかも、この営業利益が過去最高でも、市場予測より低いということで、サムスンのスマホ販売が伸び悩んでいるということを露呈してしまった。また、もう一つ重要なのがサムスンの営業利益の7割が携帯端末事業ということ。
最も、そのスマホ販売も本当に好調かというと、いくつも疑問が出てくるのだが、日本でサムスンのスマホ、ギャラクシーを販売しているDoCoMoだが、そのキャンペーン内容はご存じだろうか。これが面白いので少しのぞいてみよう。
DoCoMoのツートップ
>「ドコモの顔とも言える、ツートップ」
加藤薫社長が2013年5月15日の今夏向けモデル発表会でこう紹介したのが、ソニーの「エクスペリア」と韓国サムスン電子の「ギャラク シー」の最新機種だ。この日は同時に富士通やシャープ、NECカシオなど他メーカーも新製品を披露したのだが、2機種だけが「特別待遇」となった。ウェブ サイトも「ツートップ」として別格の扱いをされている。
他の機種と明確に区別されているのが、価格だ。10年以上継続してドコモ回線を使っていたり、従来型携帯電話から乗り換えたりする場合に料金 を割り引く。プランによってエクスペリアの端末価格は実質5000円に、ギャラクシーも1万5000円ほどにまで下がるという。これ以外の新製品の価格は 出ていないが、加藤社長は報道陣に「1~2万円くらいの差がつくと思う」と発言している。<
(http://www.j-cast.com/2013/05/16175241.html?p=all)
エクスペリアとギャラクシーがツートップという言葉を是非とも、覚えておいてほしい。では、そのツートップの販売台数は2013年6月18日の株式総会で公開された情報ではこうなっている。
エクスペリア 64万台
ギャラクシー 32万台
なんと二倍の台数差が出ている。これが最新の情報によると、エクスペリアが110万台、ギャラクシーは55万台とさらに離されているのがわかる。つまり、エクスペリアが欲しいのに、在庫がないのでギャラクシーをすすめられて買うユーザーが多いということだろうか。
なぜ、DoCoMoの店員はギャラクシーをすすめるのか。エクスペリアの方が性能が圧倒的であるにも関わらず、格安でギャラクシーを売ろうとする。考えら れる理由は仕入れ価格が安いから。実質15000円で買えるぐらいだ。DoCoMoはいったいいくらでギャラクシーを仕入れているのか。そして、これがサ ムスンの営業利益過去最高のからくりである。
サムスンの薄利多売戦略を何度か以前にも説明したが、スマートフォンでも同じことをしている。ということは、DRAM、液晶テレビのように、また同じ道を辿ることが予想される。
サムスンの衰退が韓国経済を崩壊させる
もう一つの大事な視点として、サムスン電子の善し悪しは韓国経済にとって大きな影響があるということだ。最初に申し上げた通り、サムスングループの売上高はGDPの3割を超える。KOSPIの時価総額の25%がサムスン電子である。
つまり、サムスン電子の株価が20%下がるだけで、KOSPIも大幅に下がったことになる。これが2000あったKOSPIが1800台まで下がってきた 一つの要因でもある。最も、サムスン電子は事業を拡大して成長しているのに、韓国経済全体の伸び率は鈍化している点も憂慮しておく必要がある。何にせよ、 サムスンが傾けば韓国からの投資が一気にはじけ飛んでしまうので、これからの株価も要チェックというところだ。
今週の韓国経済
日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)
22日 1880.35 1118.90 541.14 243.70 -192億
23日 1904.15 1117.00 541.64 247.05 2942億
24日 1912.08 1112.70 543.60 247.75 -1815億
25日 1909.61 1116.10 541.94 247.90 1553億
26日 1910.81 1111.10 545.31 248.85 1670億
今週の予想レートは、1125~1140だった。
今回は大幅に外れてウォン高となったのだが、管理人の読み違いは日本の参院選での影響である。自民党が圧勝して、株高、円安となると思ったら、逆に株が下がり、円が上がってしまった。現在は1ドル=98円台である。97円突破もあり得るので、今後為替レートも注目だろう。
そして、もう一つが世界的なドル安である。韓国のウォンも、ドルが安くなったために相対的にウォン高となった。この傾向が続くとなればウォン高が続く可能性が高い。ただ、いきすぎたウォン高は介入される懸念が出てくるのでそれほど一気に進むとは思えない。
来週の予想レートは1100~1120にしておく。
以上。今週はこれで終わるが、来週はいよいよ記念の100回を迎える。テーマは「2013年9月以降の韓国経済の展望」である。これから先、韓国経済がいったいどのようになるのか。輸出依存経済なので、他国の状況次第といえばそれまでであるのだが、そのような展望を詳しく見ていく。
読者様の購読に深く感謝する。これからも温かい応援の程をよろしくお願い致します。