日別アーカイブ: 2015年12月4日

第72回「サムスン帝国による韓国支配の加速。来年の韓国経済の行方」

第72回「サムスン帝国による韓国支配の加速。来年の韓国経済の行方」

配信日:2012年12月23日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週のメルマガは韓国経済の1年を振り返る総括的な内容なのだが、1年間もあれば、様々な出来事が起きた。第3回韓国F1GP、麗水万博、ナロ号打ち上げ 延期。そして、ご存じの通り、韓国の次期大統領は朴槿恵氏となった。このように2013年も振り返って見れば様々なイベントがあった。

もちろん、米韓FTAの締結、日韓通貨スワップの拡大措置の廃止、経済不振、原発事故、電力不足、アップルとサムスンの特許紛争、北朝鮮のミサイル、ウォン高による追い詰められる輸出業といった韓国経済にも広く関わる出来事もあった。

これらを全てを一度に総括するのは大変難しいので、来年のメルマガですこしずつ述べていくつもりだが、今年、一番重要な出来事はサムスンによる、韓国の支配体制の強化である。それを語らずして、総括をはじめたところで何の意味もない。では、記事のチャートを貼る。

記事のチャート

サムスン電子の独歩高→サムスン、現代以外の株は大暴落→今週の韓国経済

サムスン電子の独歩高

サムスン電子の株価だけ急騰した結果、相場全体が上昇しているかのような錯覚を与えるため、韓国総合株価指数(KOSPI)へのサムスン電子の組み入れ比率を見直すべきではないかとの意見が浮上している。

金融投資協会のパク・チョンス会長は「フィンランドでノキアの時価総額が市場全体の60%を超えた際、組み入れ比率を減らし、指数を見直した例がある。韓国でも株価指数に占めるサムスン電子の割合を調整する必要がある」と指摘した。

その上で、サムスン電子の組み入れ比率を10%前後に減らすか、サムスンを除外した新指数を設けることを選択肢として挙げた。サムスン電子はソウル株式市場の時価総額の18.5%を占め、KOSPIの変動にも相応の影響を与えている。

しかし、KOSPIを算定、発表している韓国取引所の関係者は「指数は連続性が求められるため、KOSPIの算定基準を修正する計画はない。
仮に今後市場の状況が著しくゆがめられた場合には、サムスン電子を除外した参考指数を発表することも検討可能だが、現時点でそういう計画はない」と述べた。

サムスン電子の株価が上場来高値の143万7000ウォンを付けた先月23日、KOSPIは1911.33で引けた。

しかし、本紙がKDB大宇証券に依頼し、サムスン電子を除いて算出したところ、KOSPIは1811.64にとどまった。年初来のKOSPIの騰落率を見ても、サムスン電子を除くと0.8%の下落だが、サムスン電子を含めると4.8%の上昇だった。

大宇証券のキム・ハッキュン投資戦略チーム長は「KOSPIだけ見ると、サムスン電子という単独銘柄で指数を100ポイント、5%以上引き上げた計算になる。サムスン電子とそれ以外の上場企業785社の間で二極化が深刻化していることを示している」と述べた、

株価の二極化進行は、欧州財政危機など世界経済の低迷で韓国の輸出企業が苦戦する中、世界のスマートフォン(多機能携帯電話端末)市場で首位を独走してい るサムスン電子の株価だけが独歩高となっているためだ。その上、株価が上昇し、時価総額が増加すればするほど、株価指数に与える影響が高まる。

サムスン電子の時価総額に占める割合は昨年末の15.3%から26日現在で18.5%まで上昇した。同割合は2003-04年に20%を超える水準まで上昇した後、07-08年には9-10%まで低下していた。

問題点は、実際にはサムスン電子の株価だけが上昇しているにもかかわらず、投資家が市場全体が好転していると錯覚する可能性があることだ。

また、資産運用業界ではファンドの収益率を評価する基準としてKOSPIなど株価指数を活用しているが、サムスン電子に投資していないファンドは運用益が低いと評価される可能性がある。

ドリーム資産運用のイ・ジェヒョン専務は「サムスン電子の株式を買うと、(サムスンの株価変動による)影響を受け過ぎる。かといって、買わなければ収益率が低下するのではないかと心配だ」と述べた。

(朝鮮日報、サムスン電子が独歩高、株価指数に見直し論)

中央日報、朝鮮日報といった韓国の主要紙はサムスングループによって運営されている。サムスングループは韓国を支配する巨大な権力を有した一大組織であ る。その力は政治、金融、メディア、警察、裁判所といったものを掌握し、これまでの韓国政権のウォン安政策はこのサムスンを強くするために行われた。

このように書いていると小説の秘密組織の設定みたいに思えるんだが、本当のことだから末恐ろしい。サムスン電子の時価総額を占める割合が明博政権になってから、この4年間で9-10%→18.5%となった。

つまり、時価総額の株価だけ見てもほぼ二倍である。リーマン・ショック後のウォン安で一番得をした韓国企業は他ならぬサムスンだったといっても、過言では ないだろう。これが一体何を意味するのかは、最初の結論に戻る。すなわち、サムスンによる、韓国の支配体制の強化である。

もはや、韓国ではサムスンに手を出せないのだ。2012年サムスン帝国の完成といっていい。サムスングループの資産規模だけでも韓国全体の2,3割を超え ている。これは世界的な大企業から見ても異例中の異例である。サムスングループは国家企業集団ではなく民間企業であるのに国のトップを7年間独走し続けて いる。

サムスン、現代以外の株は大暴落

【ソウル聯合ニュース】韓国金融委員会が株式市場でサムスン電子と現代自動車の株価のみ上昇する状況について、対策に乗り出した。

株価の偏りにより、企業の資金調達先としての証券市場機能がまひしたとする金錫東(キム・ソクドン)委員長の指摘による措置だ。金委員長が指摘する国内証 券市場の偏りとは、サムスン電子と現代自動車など、ごく少数の財閥グループが市場を占める割合が極端に大きい現象を指す。

同委員会の分析によると、総合株価指数(KOSPI)が昨年初め以降、6.6%下落したが、サムスンと現代自を除けば指数の下落幅は15.1%に達する。

特に、サムスンと現代自を含めた指数と、2社を除外した指数の差は、今年に入って急激に拡大し証券市場における両極化現象が一段と際立った。

この間、サムスンの株価は46.8%、現代自は27.4%上昇した。サムスンの株価が150万ウォンを突破した11日現在、国内時価総額1132兆ウォンのうち二つの企業が270兆ウォン(23.0%)を占める。

金委員長は「特定の企業を除けば大部分の企業の事情は思ったよりも厳しい」としながら「企業が資金を直接調達する窓口としての証券市場の機能がまひしているのでは」と指摘した。

同委員会が分析対象とした造船(-44.5%)、運送(-33.6%)、建設(-30.9%)、鉄鋼(-10.8%)など主要業種の株価はここ2年で急落 している。さらに銀行(-34.9%)、証券(-42.9%)など金融部門の不振も浮き彫りになり、実物の低迷が金融にも出ていると指摘した。

(深刻な韓国株式市場 サムスンと現代自だけ勝ち組? | Joongang Ilbo | 中央日報)

この記事は今の韓国経済の現状を端的に表している。サムスン、現代以外の韓国企業は負け組ということだ。

そのため、経済格差が今年一年で恐ろしく進行したわけだ。その経済格差の是正が焦点となったのだが今回の韓国の大統領選挙である。だが、米韓FTAの廃止 を宣言していた対立候補の文在寅氏は敗れてしまった。投票率は75%と大変高い数字で、投票率が高いほど有利だと言われていたのにもだ。

おそらく、これはマスコミの逆アナウンス効果だと思われる。政策はどっちにも似たようなものだが、米韓FTAを廃止されたくないサムスンが裏で手を回し て、マスコミに報道させた。投票率が高くて、もう勝てるなら寒い中、投票に出かけなくてもいいという有権者の思考を操作した。

日本の選挙予測も同じようなものだ。自民党の圧勝と報じられて、選挙に行かなくてもいいやと思った人も多いだろう。

日本はいいとして、韓国の場合はそれが選挙結果に影響を与えた。なぜなら、今回の大統領選挙で最も投票が悪かったのはソウル市だったからだ。投票率は50%である。逆に地方が高かった。

このことから、文在寅氏を応援していたのは経済格差で苦しんでいる地方の韓国人だったということになる。そして、ソウル市の票の低さが命取りとなった。それについては年明けのメルマガネタになるので、そこで詳しく見ていく予定だ。

繰り返しになるが、今年一年で強くなったのはサムスンと現代自動車の二つ。それを実現させたのが韓国の大統領、明博氏による財閥優遇とウォン安政策だった。

この流れが是正されることはない。サムスンの支配体制はますます強固となり、韓国の経済格差はさらに増加する。来年も続くだろう。サムスンが存在する限り。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

17日 1983.07 1072.50 485.48 263.30 1578億←16日は日本の総選挙
18日 1993.09 1072.80 483.19 264.70 2304億
19日 韓国の大統領選挙
20日 1999.50 1074.70 479.21 264.15 2450億
21日 1980.42 1074.30 478.06 ****** 4099億

今週の市場は数値の上でほとんど変化はないように思えるのだが、18日は1070ウォンの一時的なウォン高となった。大統領選挙前日の動きであるが、その後、少しウォン安に触れて、管理人が予想した1075ウォン付近になっているのに注目して頂きたい。

依然としてゴールドマン・サックスが韓国経済は大丈夫だと指摘しているので、ウォン高の傾向は止まらないだろう。現、明博政権の役目は終了したので、これ からまだ介入するかも未知数だ。政権発足前は株価が上昇することが多いのだが、KOSPIは20日、2000台を一時的に回復したが、その後は下がってい る。

選挙結果への市場の反応はそれほどよくはない。ただ、外国人投資家は先月からずっと買いに走っている。経済は確実に悪くなるが、しばらくはこの状態を維持すると見ていいだろう。

韓国市場はアメリカの動きに大きな影響を受けるので、アメリカの財政の崖問題がどうなるかで変わってくる。貿易依存国家である韓国経済の運命は結局、外資に握られている。韓国を支配しているサムスンもその一つである。

以上。今年はこれで終わる。72回で2012年、最後の配信となったわけだが、単純に考えて48回、メルマガを毎週書いてきた。次回は韓国の大統領選挙を振り返る予定だ。

少し、早い挨拶となるが、今年一年、本当にありがとうございました。購読して頂いている読者様には心からお礼を申し上げます。

引き続き、来年も韓国経済の様々な現状を鋭く分析した記事をお届けするので、これからもよろしくお願い致します。

追伸:ノロウイルスが大流行しているそうなので、くれぐれも体調にはご注意ください。

2012年12月22日 ジンボルトより

第71回「韓国の相次ぐ原発事故。部品偽造、原発の事務室で覚醒剤使用と問題が山積み」

第71回「韓国の相次ぐ原発事故。部品偽造、原発の事務室で覚醒剤使用と問題が山積み」

配信日:2012年12月16日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週の韓国経済は電力事情とも関連する韓国の原発事故である。日本ではほとんど報道されないが、韓国では原発事故が相次い でいる。しかも、ただの事故だけでは済まない。核心部品偽造から、事務室で覚醒剤使用ととんでもないことが多発している。では、記事のチャートを貼ってい く。

記事のチャート

新月城原子力発電所1号機が稼働19日で故障→原発事務室で覚醒剤使用→品質検証書を偽造→核心部品17個も偽造→今週の韓国経済

新月城原子力発電所1号機が稼働19日で故障

慶尚北道(キョンサンブクド)の新月城(シンウォルソン)原子力発電所1号機が19日に故障により停止した。先月31日に商業運転を開始してからわずか19日だ。

新月城1号機は年初からの試運転期間にも部品異常など3回にわたり故障を起こしており、安全性に対する不安が大きくなっている。不足する電力需給にも支障が懸念される。(途中省略)

今回の故障は国際原子力機関(IAEA)が定めた7段階の事故レベルのうち安全に異常がない「0等級」に相当すると韓国水力原子力は明らかにした。原発運 営時に発生する軽微な事故という説明だ。しかし新月城1号機が1月の試運転後に相次いで停止事故を起こしたという点から安全性をめぐる議論は簡単には静ま りそうにない。(途中省略)

最近このような原発事故が頻発している。霊光(ヨングァン)原発6号機は先月末に制御棒装備に電気を供給する発電機が故障して停止し、猛暑が猛威を振るっ た5日に再稼働した。電源供給に異常が生じて稼動が中断された古里(コリ)1号機も5カ月ぶりに今月初めに再び稼働した。

今年に入って韓国内23基の原発で起きた事故は新月城1号機を含め3件に達する。韓国水力原子力は昨年の7件をはじめ毎年同規模の事故が発生していると明らかにした。日常的という説明だ。

ソウル大学原子核工学科のファン・イルスン教授は、「原発は部品100万個が必要とされる複雑な設備だが竣工初期と老朽化時期に故障率が多い。

古い原発も管理しなければならないが新設発電所の管理策も強化しなければならない」と話した。だが、韓国水力原子力は原発の試運転期間中に発生した停止事故に対しては集計さえしていないことが確認された。

(http://japanese.joins.com/article/799/157799.html?servcode=400&sectcode=430)

これは2012年8月20日の中央日報の記事だ。これ一つの記事を読むだけでどれだけ韓国で原発事故が相次いでいるのが良くわかる。大きな原発事故が起き ていないだけで、これが日本より安全だと到底いえるはずもない。そして、この原発事故で覚醒剤を勤務中に使用していたことが明らかになる。

原発事務室で覚醒剤使用

韓国水力原子力(韓水原)古里(コリ)原子力本部の職員が覚せい剤を使用した容疑で検察の捜査を受けている。覚せい剤の投与は事務室でも行われたことが分 かった。今年に入って停電事故の隠蔽と納品不正で物議をかもした古里原発の勤務規律弛緩がどれほど深刻なレベルかを見せている。

釜山地検は古里原発災難安全チーム所属の2人を麻薬類管理に関する法律違反容疑で拘束したと昨日、明らかにした。2人は暴力団関係者から覚せい剤を入手し、数回にわたり使用した疑いだ。うち1人は勤務時間に災難安全チーム事務室で使用したことが分かった。

2人は原発施設で発生するおそれがある火災などに対処するため、古里原発側が別途に運営する消防隊の所属だ。原発関係者は「該当職員の業務は火災鎮圧などに限定されていて、発電設備の運営とは直接関係はない」と述べたという。

しかし職員の覚せい剤使用を個人レベルの問題と済ませるのは難しい。その間、古里原発では理解しがたいことが相次いだからだ。2月には発電機の故障で電力の供給が中断したが、これを隠ぺいしたことが後に明らかになった。

7月には納品会社から金を受け取った容疑で幹部が多数拘束された。結局、停電・隠蔽の責任を取って韓水原の社長が辞退し、納品不正捜査時は強力な経営刷新を誓う役職員決意大会を開いた。

(http://japanese.joins.com/article/341/160341.html?servcode=100&sectcode=110)

事故の隠蔽などの不正なんて当たり前、しかも、災害安全チームが事務室で覚醒剤を使用している。こんな状態で今まで大きな事故が起きていなかったことが不思議に思える。

韓国社会の裏に潜む、このような事故の隠蔽体質はどのジャンルにもあるわけだが、一歩間違えたらメルトダウンの恐れもある原発でこれとは調べていて恐怖した。だが、こんな物では済まない。運営や管理がずさんなら、その部品を提供する企業にも不正が横行する。

品質検証書を偽造

「原発部品」の管理に10年間穴が空いていたが、独立的な安全規制当局である原子力安全委員会も、原発産業政策責任者である知識経済部もこれを全く知らなかった。

問題が明らかになったのはにせ物部品と中古部品納品不正事件と同じく外部からの情報提供のおかげだった。知識経済部と韓国水力原子力は5日、品質検証書を偽造して輸入した原発部品が2003年から2012年にかけ韓国内5カ所の原子力発電所に供給されたと発表した。

該当部品が大挙投入された全羅南道(チョンラナムド)の霊光(ヨングァン)5・6号機はこの日から稼動を止め、年末までに部品を全面交換することにした。原発2基が一度に停止し、今年の冬は過去に例がない電力難は避けられない見通しだ。

知識経済部の洪錫禹(ホン・ソクウ)長官と韓国水力原子力の金均燮(キム・ギュンソプ)社長はこの日の緊急記者会見で、「国内の納品業者8社が10年間に提出した海外機関の品質検証書60件が偽造されたことが確認された。

検察に捜査を要請した」と明らかにした。金社長は、「9月に外部から情報提供を受け調査に着手した」と話した。該当部品はヒューズ、温度スイッチ、冷却ファンなど237品目の7680点に達した。

これらの部品は古里(コリ)、月城(ウォルソン)、蔚珍(ウルチン)、霊光の4カ所の原発本部に供給されたが、部品が使われたのは霊光3~6号機と蔚珍3 号機の5基だった。実際に使われた部品5200点余りのうち98%が霊光5・6号機に集中投入されたことが確認された。(後は省略)

(http://japanese.joins.com/article/609/162609.html?servcode=400&sectcode=430)

このように品質検証書の偽造が明らかとなり、それを10年間誰一人気づかなかった。まさか、さすがに核心部品の偽造までしていないだろうな・・・・・・と、思った矢先、やっぱり偽造していたことが判明する。

核心部品17個も偽造

民官合同調査団に摘発された部品は、ほとんどが原子力発電所の安全を脅かすほど重要なものだ。国内試験成績書を偽造して摘発されたのは180品目で、部品 数は1555個。うち海水取水ポンプに入る8品目17部品は原発の安全と直結する。これまで摘発された品目をすべて合わせると、計370品目、部品数は1 万100個にのぼる。

海水取水用ポンプ内の核心部品であるインペラー・バルブ・ウェアリングも含まれている。このポンプは原子炉以外の原発機器の過熱を防ぐ冷却水の熱を海水を引いて冷ます役割をする。冷却水を海水でまた冷却するということだ。

インペラーはポンプ内にある羽根車で、水を引き込む。バルブはそのポンプの流入口を開閉し、ウェアリングはインペラー周辺の摩耗を防ぎ、密閉する役割もす る。このポンプがきちんと作動しなければ、各種計測器など原発内の機器が過熱し、誤作動する可能性が高い。その場合、原発の状況を正しく把握するのが難し くなる。

このポンプは非常用発電機が稼働すれば、その熱を冷ますための冷却水をまた冷却したりもする。ポンプが故障すれば、非常時に作動する非常用発電機が過熱で停止する可能性もある。この場合、原発全体の電源供給が中断するおそれもある。

ポンプは非破壊試験成績書を偽造した。非破壊検査は、部品を分解できないため、内部に亀裂がないかどうかを超音波やX線で内部をのぞいて見る検査法。こうした検査をしない場合、部品に異常があっても確認できない。

外国の品質検証書を偽造したことが確認された継電器・フューズ・スイッチは電源系統の安全と直結する。継電器は異常電流を感知して電源遮断機に信号を送り、作動させる役割をする。

異常電源監視装置ということだ。継電器が不良品なら、異常電流をきちんと確認できず、電源を遮断すべき時に遮断できない。電源を遮断すべきでない時に遮断 するなど誤作動が起こる可能性もある。結局、電源系統に異常が発生すれば、原発が突然停止するなどの深刻な事故が発生する。

原子力安全委員会のオム・ジェシク安全政策課長は「この10年間に国内会社が納品した安全等級部品に対し、試験成績書の偽造がないかどうか全数調査する計画」とし「原発の安全を脅かすことが再発しないよう改善対策を用意していく計画」と述べた。(後、省略)

(http://japanese.joins.com/article/445/164445.html?servcode=400&sectcode=430)

再発防止とかのレベルじゃない。核心部品に偽造とか、本当に何かあったときに大惨事一直線だろうに。韓国の原発が安全なんていう言葉はどこにもない。部品 からして老朽化以前に偽造されている。不正するにもほどがあるだろうに。もし、何かあったら韓国の一都市が全滅するのだ。

このようなことが日本ではほとんど報道されてない。韓国の電力事情もそうだが、韓国旅行がどれだけ危険かがわかるだろう。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

10日 1957.42 1079.00 489.59 259.15 1246億
11日 1964.62 1076.70 481.59 260.10 1970億
12日 1975.44 1075.00 485.33 262.00 2095億←北朝鮮ミサイル発射
13日 2002.77 1073.00 490.15 264.90 5391億
14日 1995.04 1074.60 491.65 264.85 123億

今週の韓国市場は北朝鮮ミサイル発射といったイベントの他に、アメリカのQE4政策といわれる量的緩和の期待、長期国債の買い入れ継続などでドルが売られた。おかげで1070ウォン目前に迫ったわけだが、今週は表だった韓国銀行の介入が見られない。

そのせいもあって、ウォン高がかなりの速さで進行したといえる。ただ、1070ウォンを突破すれば、介入するという警戒感があり、そこまでは進まなかった。

だが、来週は日本は総選挙、アメリカは財政の崖問題で議会は紛糾している。また、欧州はイタリアの借金が2兆ユーロ突破などと悪材料が色々ある。日本は選挙の結果で円安になると思われるが、来週は為替が大きく動く可能性が高いので手を出すのは控えたほうが良いだろう。

来週の韓国市場は1075ウォン付近だと思われる。ただ、介入するかしないかは韓国銀行の判断が怪しい。韓国も選挙前なので、ウォン高で放置するのは票に響くと思う。

以上。今週はこれで終わるが、来週はサムスンと他企業を比較して韓国経済の表と裏に迫ろうと思う。表はサムスン帝国がますます好調で韓国経済は絶好調だと吹聴されること。その裏ではサムスンや現代以外の韓国企業は全てぼろぼろになっているという現実。

どちらを強調するかで韓国経済の見方も変わってくる。管理人はサムスンだけは韓国経済で勝ち組なら、他が死んでもいいというのは好まない。サムスンこそが 韓国人が真に潰すべき企業の筆頭である。だが、それが出来る時代は終わった。今はサムスン帝国の下に韓国という国がある。

今年一年の韓国経済の総括もまさにそれである。結局、サムスンや現代の株価だけが大幅上昇している。

読者様の購読に深く感謝する。これからも温かい応援のほどをよろしくお願い致します。

第70回「東日本大震災、脱原発の日本より厳しい韓国の電力事情」

第70回「東日本大震災、脱原発の日本より厳しい韓国の電力事情」

配信日:2012年12月9日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週の韓国経済のメルマガは韓国の電力事情を特集する。結論から述べると、韓国の電力事情は昨年の東日本大震災における脱原発で動いている日本よりも厳しい。

地震が起きなくても相次ぐ原発事故もそうだが、もう一つは韓国の電気料金がガスや石油より安くで提供されていることにある。一番電気料金安いので企業、民間も電気をフルに使っている。

昨年の夏の停電危機では、モラルを守らない韓国企業が罰金を払っても電気を使い続けたという節電意識もほとんどない。ただし、韓国の電気料金は累進制なので、使えば使うほど高くなる。

この辺りの事情を踏まえて、最新の状況をまとめていく。では、記事のチャートを貼ろう。

記事のチャート

電気暖房が急増→冬、最悪の電力難に→エネルギー使用制限措置→東京・韓国・釜山の最高と最低気温→大規模停電(ブラックアウト)の危機→ソウル、12月上旬の積雪量としては32年来の大雪→今週の韓国市場

電気暖房が急増→冬、最悪の電力難に

19日、京畿道果川市にある知識経済部5階の電力産業課。 「冬の電力危機」対策について議論していた。 この冬は寒波のため、来年1月の最大電力需要が約8000万キロワットに達すると予想される。

猛暑が襲った8月6日の過去最大値(7429万キロワット)を大きく上回る。 パク・ソンテク電力産業課長は「史上最も厳しい電力難を迎えることになるだろう」と述べた。

昨年は12月に出した冬季電力対策も今月末に急いで出す考えだ。

企業に節電協調などを求めるのに十分な時間がないからだ。 23日に気象庁から受ける最終天気予報が悲観的なら、予想電力需要はさらに増える。

イ・グァンソプ知識経済部エネルギー資源室長は「企業の需要管理と国民の節電運動を大々的に行ってこそ、冬を無事に過ごせるだろう」と述べた。

冷たい風が吹き始め、また“電力不安”が始まった。 この夏には避けられた「ブラックアウト」(大規模停電)が近づくおそれもあるという懸念からだ。

エアコンもつけない冬に電力難を心配しなければならないのはなぜか。数年前までは灯油で暖房していた人が電気に切り替える“転換需要”が急増したからだ。

ソウル大のイ・ジョンス教授(技術経営経済政策大学院)は「製造業で加熱・乾燥工程に使われる油の需要はこの10年間で52%減少したが、電力は400%急増した」と指摘した。 農家の場合も数年前からビニールハウスの暖房を灯油から電気に切り替えているところが多い。

社会のあちこちでこうした「電気化」現象が目立つ理由がある。 低料金のためだ。 嘉泉大のキム・チャンソプ教授(エネルギーIT学科)は「1990年の電気価格は灯油より3.7倍高かったが、最近は1.2倍ほどで大きな差はない」とし 「油の税金が上がった半面、物価の安定や産業育成などを理由に電気料金は抑えられてきたため」と指摘した。

他の品目と比べても同じだ。 電気料金は昨年、1キロワット時当たり90ウォン(約7円)で、40年前に比べ27倍になった。 同じ期間、コメは67倍、市内バスの料金は131倍に上がっている。 03年以降は原油高が続き、「電気が安い」という認識が広まり、需要が急増した。

知識経済部の調査によると、06年に電力消費全体の19%だった「暖房用電気」は2010年には25%に増えた。 キム・チャンソプ教授は「専門家が数年前から“転換需要”を懸念して政府に対策の準備を促したが、効果はなかった」と述べた。

こうした状況で天気はブラックアウトを招く“伏兵”だ。

先月中旬、北極の韓国茶山科学基地では尋常でない状況が観察された。 大量の氷河が解け、面積が342万平方キロメートルと過去最小となった。 北極の氷が減れば上空の冷たい空気が下降し、韓半島まで覆って酷寒につながる。

気温が1度落ちれば電力需要は50万キロワット増える。 例年より2度低ければ、原子力発電所1基(普通100万キロワット容量)がさらに必要となる状況を迎える。

国会知識経済委員会の呉泳食(オ・ヨンシク)議員(民主統合党)議員は「節電を勘案しない場合、この冬の予備電力は100万-200万キロワット水準」とし「最近、原発の故障が多いが、この冬に原発2基がストップすれば、すぐに停電事態を招くおそれがある」と警告した。

夏は休暇シーズンのため電力消費の半分以上を占める産業の節電を誘導できるが、冬にはその余裕も限られている。

呉議員は「危機を乗り越えるためには、原発の故障・整備計画などを勘案した冬季電力需給計画を支障なく立てる一方、産業用電気料金の引き上げなどの非常対策も必要だ」と述べた。

(電気暖房が急増…この冬、韓国は最悪の電力難も | Joongang Ilbo | 中央日報)

これは2012年10月22日の中央日報の記事だ。全文は長いのだが、電力事情の総括として優秀だと思ったので載せておいた。ようするに夏辺りからやばいと騒がれていたわけだ。その対策が次となる。

エネルギー使用制限措置

3日からデパートや大型マートなどエネルギーを多く使う建物の室内温度が20度以下に制限される。知識経済部は冬季電力需給を安定的に維持するため、来年2月22日までエネルギー使用制限措置をすると明らかにした。(以下、省略)

(暖房温度20度以下に制限=韓国・ソウル | Joongang Ilbo | 中央日報)

このニュースは非常に短いのだが韓国の電力対策がわかる。冬季は電力が不足するので、エネルギー使用制限措置を2月22日までするということだ。その時、室内温度が20度以下に制限される。

東京・韓国・釜山の最高と最低気温

ここで補足しておくが、アジア(東京、ソウル、釜山)の気温について調べておいた。これに関わるのは3ヶ月なので12月、1月、2月の各都市の月別最低と最高の気温は以下の通りとなる。

最高気温

都市名 12 01 02(月)

東京  12 12 10
ソウル 03 01 03
釜山  08 06 06

最低気温

都市名 12 1 2(月)

東京  05 02 02
ソウル -4 -7 -5
釜山  01 02 0

(アジアの平均気温 最高気温・最低気温・降水量 年間の気候)

以上のようになっている。明らかに東京よりも寒い。ソウルなんて最高気温でさえ、3度しかない。このように気温から見ても、この制限措置が厳しいのがわか るだろう。さて、このような現状において韓国も電気料金の見直しについて議論している。管理人は解決策としては、電気料金の値上げと罰金強化しかないと考 えている。

大規模停電(ブラックアウト)の危機

安い電気料金を維持すれば、大規模停電(ブラックアウト)を招く可能性が高いという警告が出された。4日、ソウル太平路の韓国プレスセンターで開かれた中央日報エネルギーフォーラムでだ。

テーマ発表をしたキム・チャンソプ嘉泉大エネルギーIT学科教授は「電気料金が生産コストにもならないうえ、他国に比べて過度に安く、電力過消費を誘発している」と述べた。(途中省略)

共同発表者であるソウル大技術経営経済政策大学院のイ・ジョンス教授は「電気料金が上がれば当然、製造業の競争力が落ちるという主張が出てくるが、現在の 産業用電気料金は製造業平均コストの1.15%にすぎないほど低い」とし「競争国と比較して産業用電気料金の引き上げ余地は十分にある」と述べた。

討論に出席したソン・ヤンフン仁川大教授は「電気料金があまりにも安いため、農村では牛の飼料も電気でつくるという声が出ている」とし「次期政権は何よりも歪んだ価格体系を正す必要がある」と主張した。

(「韓国、電気が石油より安い唯一の国」(2) | Joongang Ilbo | 中央日報)

この教授の述べていることは比較的まともだと思われる。電気料金が安いから皆使う。抑制するためには電気料金を値上げする。しかし、電気料金の値上げは韓 国のような寡占市場だと、おそらく様々な製品の値上げ口実となる。つまり、消費者にとっては出費が増えることになる。さて、実際、12月6日のソウルの状 況がどうなっているかを少しだけ紹介する。

12月上旬の積雪量としては32年来の大雪

日正午、ソウルの江西(カンソ)大橋に近い江辺(カンビョン)北路。一山(イルサン)から九里(クリ)方向に向け走行中の車両が一斉にハザードランプを点灯し、時速10キロメートル未満ののろのろ運転を始めた。この日午前11時から降り始めた雪が突然強まったためだ。

気象庁によると正午から1時間の間にソウル地域だけで3センチ近い大雪が降った。この日1日でソウル地域に降った雪は7.8センチ。12月上旬の積雪量としては32年来の大雪となった。

2時間で九里方面に向かう江辺北路上り線では10件余りの交通事故が同時多発的に起き深刻な渋滞が起きた。チョ・ジョンホさんは「雪が突然降り始め、1キロメートルごとに追突事故を1件ずつ目撃した。

江西大橋から麻浦(マポ)路へ抜けるのに2時間以上かかった」と話した。オリンピック大路と江辺北路など都市高速道路と世宗路(セジョンロ)、テヘラン路など主要道路も駐車場に変わった。

各地で交通事故が相次いで発生した。正午ごろ西海岸高速道路の瑞山(ソサン)インターチェンジ付近で大型タンクローリー1台がスリップ事故を起こし1時間 にわたり通行がまひした。午後0時5分ごろには仁川(インチョン)空港高速道路シンブルインターチェンジ近くでは10台が絡む追突事故が起きた。

午後1時40分には運行中だった議政府(ウィジョンブ)軽電鉄が突然立ち往生した。この事故で上下線合わせて10本の運行も中断し、乗客は大雪の中を歩いて公共交通機関への乗り換えを余儀なくされた。

7.8センチの雪に埋まるソウル…6日朝の気温は氷点下10度 | Joongang Ilbo | 中央日報)

電力事情が厳しい中、氷点下10度の世界に大雪という想定以上の冷え込みがソウルに襲いかかっている。景気も冷え込んでいるというのに、韓国庶民にとって 悪いことが重なっている。しかし、その電力事情をさらに危うくするのが韓国の原発事故や部品偽造だったりする。思ったより、長くなったので次週に回すこと にする。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

03日 1940.02 1083.10 498.97 256.00 2726億
04日 1935.18 1083.40 502.71 254.90 882億
05日 1947.04 1081.50 496.50 257.20 1093億←介入
06日 1949.62 1083.00 488.03 257.55 2156億←介入
07日 1957.47 1081.70 489.22 259.35 1990億←介入

今週の韓国市場はワロス曲線がずっと続いた感じだ。ワロス曲線とは、相場が「W」のように見える上昇と下降を繰り返すことをいうわけだが、まさに韓国銀行と禿げ(ヘッジファンド)が1080ウォンを巡る激しい攻防戦を繰り広げている証拠である。

今は介入ではなく、スムージングオペレーションというのが流行だ。聯合インフォマックスから介入していると書いてある場所を抜き出してみよう。

05日

ドルは場序盤、北朝鮮の長距離ロケット搭載ニュースに伴う地政学的リスクとポジションプレイ鈍化に1,080w台序盤で支持力を見せた。しかし、午後に 入って、上海株式市場が2%以上上昇し、ユーロも上がってロングストップ物量に押されて1,080w線に近接した。外国為替当局は1,080w台序盤で早 く微調整(スムージングオペレーション)に出て1,080w線崩壊を防いだ。

06日

外国為替当局の1,080w線を守る意志が数回確認され、売り圧力も大きく萎縮した。

07日

A銀行の外国為替ディーラーは「株式資金があふれて当局のスムージングオペレーションを押して下落した。ソウル外為市場締め切り後、域外NDF為替レート がスワップポイントを抜けば1,080.50wを記録しており、来週1,080w線下降テストが期待される。」と言った。

以上。この3日間は間違いなく介入していると投資家は睨んでいる。

来週も1080ウォンの激しい攻防戦が行われる。また、選挙(19日)が近いのでKOSPIも下げることなく維持し、12月のKOSPIは上がることは あっても、下がることはほとんどないだろう。ウォンもすぐに介入すると思われるので、1080ウォン台でキープだと思われる。

さて、来週の予定だが電力事情にも関わる韓国の原発について特集する。電力事情のついでに調べて、事故や部品偽造といった中々、興味深いネタを掴んだので、来週も楽しみにして欲しい。

読者様の購読に深く感謝する。これからも温かい応援のほどをよろしくお願い致します。

第69回「不動産バブルの崩壊。ソウルの住宅価格は通貨危機以降で最大の下落」

第69回「不動産バブルの崩壊。ソウルの住宅価格は通貨危機以降で最大の下落」

配信日:2012年12月2日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週のメルマガは韓国の不動産について特集する。すでに何度か特集したのでご存じだと思うが、韓国では不動産バブルが崩壊している。そのために、不動産投資をしていた投資家は土地の価格が下がったことで、負債が増加するといういつもの悪循環が繰り返される。

不動産の価格というのはバブルが弾けてしばらくすれば元に戻る。人が住んでいる限りは住宅も必要なので需要が戻るからだ。 ただ、バブルのような価格にはもうならない。なので、韓国も一年ぐらい経てば住宅価格は落ち着くと考えている。あくまでもこれは今の見通しなので、住宅着工件数のようなデータがまだまだ不足している状況だ。その指数も今は最悪なので参考にはならないんだが。

では、記事のチャートを貼る。

記事のチャート

ソウル住宅価格、通貨危機以降で最大の下落→今年、MMFが43%増加→個人負債増加率過去最低→韓国版サブプライムローン危機→今週の韓国経済

ソウル住宅価格、通貨危機以降で最大の下落

国民銀行によるとソウルのアパート価格は9月の0.6%下落に続き10月も0.6%下落した。これは月間基準で2010年6月の0.6%以後で落ち幅が最も大きい。

ソウルと首都圏のアパート価格も0.5%落ち、9月の0.6%と同水準の下落傾向を続けた。これにより今年に入り10月までのソウルと首都圏のアパート、戸建て、連立住宅含む住宅価格は2.5%下落し、2004年の2.9%以後で最も下げ幅が大きかった。

特にソウルの住宅価格は2.4%下がり、1998年の13.2%以後で最悪の沈滞に陥っている。

住宅価格は下がっているが住宅取引量は最低水準だ。9月のソウルと首都圏の住宅取引量(申告ベース)は1万4800件余りで、昨年同期より50.3%の急減となった。

税金減免が9月24日以後の取り引き分から適用されたが、この効果が現れる10月だけを見ても取引量は特に増えなかった。ソウル市によると10月のソウルの住宅取引量は3906件で、9月の2119件よりは増えたが、昨年同月の4534件と比較すると14%少ない。

今年に入って9月までのソウルと首都圏の取引量は11万1184件で、この部門の統計が集計され始めた2006年以後で最も低かった。

2006年から2011年まで年間平均取引量は15万5000件余りだ。大宇証券のキム・ジェオン不動産チーム長は、「秋のシーズンに税金優遇まであるのに取引量が多くないのは住宅需要者の購買余力が不足しているため」と分析した。

現代経済研究所のパク・ドクペ研究委員は、「景気低迷で取得税減免などの対策効果は限定されるほかない」と話した。

一部では来年以後に住宅価格の回復期待感が息を吹き返すという見方もある。不動産費用が急騰し伝貰(チョンセ)比率(住宅価格に伝貰費用が占める比率)がソウル・首都圏基準で53.7%まで上がり、住宅取得の負担が大きく減った。

ソウル・瑞草区(ソチョク)のアパート伝貰費用は3.3平方メートル当たり1200万ウォンを超えた。

来年には新規供給量が急減するのも市場回復の期待感を高める。

来年のソウル・首都圏のアパート供給量は8万7000世帯余りで、1992年の17万世帯余り以後で最も少ない。

住宅産業研究院のキム・ドクレ研究委員は、「米国と欧州の経済危機、大統領選挙、ソウル・首都圏のニュータウン出口戦略など現在の住宅市場の不確実性の原因が来年上半期には多く解消され回復の期待感が生まれるだろう」と見通した。

ソウルの住宅価格、通貨危機以降で最大の下落 | Joongang Ilbo | 中央日報

これ11月6日の中央日報の記事。他人任せなのがいかにも韓国らしい。こういうときこそ、内需の力を頼りとかにはならない。そもそも、韓国に内需産業など雀の涙ほどもない。

今年、MMFが43%増加

さて、韓国では不動産投資という日本じゃあまり考えられない投資ビジネスを一般人でも行っている。冒頭で書いたのはそのためだ。つまり、不動産投資が低迷すれば、今まで不動産に投資していた投資資金が余ることになる。

は現金資金で持っている投資家も増えているのだが、マネー・マネジメント・ファンドMMF)にかなり集まっているようだ。

ここ、11ヶ月で富裕層全体の40%がMMFなど短期現金性資産になったことが中央日報に書いてある。つまり、韓国の金持ち連中は投資をするのを控えて、投資する機会を淡々と狙っているということだ。その額が76兆8000ウォン(約6兆円)という。

金持ちが適切な運用先を見いだせなくなったというのは投資の減少を意味する。それには不動産投資が大きく影響しているわけだ。

個人負債増加率過去最低

【ソウル聯合ニュース】韓国の個人負債増加率が過去最低を記録した。長期不況と不動産景気の低迷が主な原因で、経済全般で副作用などが懸念される

韓国銀行(中央銀行)が15日に公表した「月別預金取扱機関の家計貸付(個人融資)」をみると、2012年8月の個人負債残高は649兆8189億ウォン(約48兆円)と集計された。前年同月より4.1%増えたもので、過去最低の増加率となる。

韓国銀行が個人融資の統計を取り始めた2003年10月以来、前年同月比の増加率は通常6~8%台を維持してきた。2011年8月の増加率は8.8%を記録している。

しかし、政府当局が「負債増」を懸念し個人融資を規制した上、景気低迷まで重なり、月別の個人融資増加率は2011年8月をピークに12カ月連続で減少を続けている。これは過去最長となる。

こうした傾向が続けば、9月以降の増加率は3%台に下落する可能性が高いと韓国銀行は見込んでいる。個人負債増加率が下落した最も大きな要因は不動産の景気低迷による住宅担保融資の需要が急減したため。

LG経済研究院は「住宅を購入する需要が減ったのが主な要因。金融機関は景気低迷による返済のリスクの向上で融資を抑制している」と指摘する。

急激な個人融資増加率の鈍化は経済全般に副作用をもたらす可能性がある。

現代経済研究院は「政府の個人融資抑制対策以降、融資が難しくなった上、家計の経済事情まで厳しくなり、金を借りないようだ。個人負債の増加が減るのは望ましいが、庶民が金を借りるルートがなくなり、消費者金融に移りかねない」と懸念を示した。

個人負債増加率が過去最低 不動産景気悪化で=韓国 | Joongang Ilbo | 中央日報

長いんだが切るところが難しいので全文掲載する。先ほど、住宅価格が下落したニュースを取り上げた。金を借りないのではなく、「借りれない」のが正解だ。なぜなら、不動産を担保にして金を借りていたのだ。つまり、住宅価格が下がればその担保価値が消えてしまうので、借りられなくなってしまった。

もう一つ重要なのは、借りられないから、消費者金融に金を借りるということだ。韓国の消費者金利の上限は39%だったと思う。これについてはさらに下げるというニュースがあったので、もしかしたら下がっているかもしれないが、調べてみたら載っていないのでまだだと思われる。

消費者金融の金利は最大39%とっていいわけで、これを行うのが外資系銀行となる。つまり、不動産価格下落で金を借りれなくなった韓国人は、消費者金融、カードローンなどに頼らざる得なくなり、ますます家計債務を増やすことになった。しかも、借りているのは外資の銀行である。

それが不動産バブル崩壊した現在の状態ということになる。だが、もう一つ興味深いのがある。それが韓国版サブプライムローンの襲来である。少し古いが10月30日の朝鮮日報の記事を抜粋する。

韓国版サブプライムローン危機

■ハウスプアの苦痛増大

昨年8月現在で、韓国全土の住宅ローンのLTVは47%で、全体的には安定している。しかし、住宅価格が急落している首都圏郊外や一部地域のマンションでは、韓国版サブプライム問題の影が忍び寄っている。

ある市中銀行が地域別に2009年5月と今年5月のLTVを比較した結果、京畿道金浦市で平均50%から57%に上昇。京畿道東豆川市、楊平郡は09年より6ポイント上昇し、それぞれ56%、51%となった。

今年から来年にかけ、住宅ローン残高305兆ウォン(約20兆9500億円)の46%が満期を迎えるか、元金返済猶予期間が終了する。ウリ、国民、新韓、 ハナ、農協の5行で、年内に満期が到来し、返済しなければならない住宅ローンは23兆8000億ウォン(約1兆6400億円)に上る。住宅価格下落を理由 に融資の延長や借り換えを全額認めず、元金の10%を返済するよう求めた場合、2兆3800億ウォン(約1640億円)を返済しなければならなくなる。

韓国経済、1091ウォンのウォン高。忍び寄る「韓国版サブプライム危機」の影

LTVについては52のメルマガで特集したと思うが、ここでも簡単に説明しておく。

LTVとは、loan to value ratio. 韓国語では担保認定比率。 銀行などが住宅商店街ビルディングなどを担保にして金を貸す時担保物の実際価値対応大出金額の比率を意味する。 銀行は現在60%内外でLTVを適用している。

詳しい説明は宣伝となるのだが、第52回のメルマガを見ていただきたい。

第52回「韓国不動産バブル崩壊 住宅担保認定比率(LTV)が仇に」

先ほど説明してきたとおり、銀行は不動産担保にして、融資を行ってきた。しかし、不動産バブルの崩壊によって、住宅価格が下落しても一行に売れないので、その所有者は借金を借金で返すという多重債務に陥る。

LTVというのが不動産価格の現状維持、もしくは上昇に対応したものなので、不動産価格の下落LTVが問題となる可能性がある。今のところ、そこまで大きな問題とはなっていない。

>今年から来年にかけ、住宅ローン残高305兆ウォン(約20兆9500億円)の46%が満期を迎えるか、元金返済猶予期間が終了する。ウリ、国民、新 韓、ハナ、農協の5行で、年内に満期が到来し、返済しなければならない住宅ローンは23兆8000億ウォン(約1兆6400億円)に上る。<

おそらく、韓国政府が手を打ってくるだろうが、このように韓国の不動産事情は峠を迎えている。バブルが崩壊して、銀行資金回収が加速するなら、この住宅ローン残高を返すために、韓国の庶民はますます消費者金融に頼ることになる。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

26日 1908.61 1085.50 496.24 251.50 242億
27日 1925.20 1084.10 493.63 253.75 -695億
28日 1912.78 1086.50 494.48 252.35 -2648億

29日 1934.85 1084.10 490.99 255.20 459億←アメリカ政府の介入自粛要請。ナロ号打ち上げ延期。

30日 1932.90 1082.90 493.69 255.45 787億

今週の市場は29日にイベントがいくつかあった。アメリカ政府がウォン高を恐れて介入を繰り返す、韓銀に介入自粛を促した。さらに介入した報告書を提出せよと求めたわけだが、それを韓国は一蹴した。

従う必要性は別にない。米韓FTAのISD条項違反で訴えられる可能性が増えただけだ。

露骨な介入効果が効いたのか、今週はたいして値は動いてない。だが、この辺りじゃ輸出はきついので、1080ウォン台を維持しながら、1100まで戻していくと思われる。次回も1080ウォン台の攻防戦になるだろう。

もう一つ重要なのが中国経済がかなりやばい状況に来ていることや、スペインの財政再建策はもう暗礁としか思えないぐらいのところだ。欧州危機、中国経済低迷、そして、アメリカの財政の崖と……。韓国経済に降りかかる試練が来年も続きそうだ。

以上。今週はこれで終わるのだが、いよいよ師走に入った。何かイベントがなければ、韓国経済の一年を振り返りたいと思う。家計負債、貿易状況、サムスン、電力事情、大統領選挙などの5つの視点から見ていこうと考えているのだが、順番は前後入れ替わるかもしれない。

また、12月は5週目があるし、日本は正月前なのだが、韓国は旧暦なので市場は開いている。なので、年明けのメルマガは1月6日に配信する予定としている。12月はややこしいので、今後の配信スケジュールをあげておく。

配信スケジュール

12月02日 第69
12月09日 第70回
12月16日 第71回
12月23日 第72回(今年最後)
12月
30日 5週目なのでお休み

2013年1月

1月6日 第73回

後、23日配信から二週間ぐらい休みになるのだが、韓国市場に大きな動きが出る可能性がある。なぜなら、アメリカの財政の崖、欧州危機、日本や韓国の選挙といったイベントがりながら、北朝鮮のミサイル実験も行われる可能性がある。

そこで、大きく韓国市場が動いたときは号外のメルマガを配信しようと考えている。その時は市場の動きだけを追ったシンプルなメルマガになると思われるので、ご理解いただきたい。

読者様の購読に深く感謝する。これからも応援のほどをよろしくお願い致します。