第69回「不動産バブルの崩壊。ソウルの住宅価格は通貨危機以降で最大の下落」

第69回「不動産バブルの崩壊。ソウルの住宅価格は通貨危機以降で最大の下落」

配信日:2012年12月2日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週のメルマガは韓国の不動産について特集する。すでに何度か特集したのでご存じだと思うが、韓国では不動産バブルが崩壊している。そのために、不動産投資をしていた投資家は土地の価格が下がったことで、負債が増加するといういつもの悪循環が繰り返される。

不動産の価格というのはバブルが弾けてしばらくすれば元に戻る。人が住んでいる限りは住宅も必要なので需要が戻るからだ。 ただ、バブルのような価格にはもうならない。なので、韓国も一年ぐらい経てば住宅価格は落ち着くと考えている。あくまでもこれは今の見通しなので、住宅着工件数のようなデータがまだまだ不足している状況だ。その指数も今は最悪なので参考にはならないんだが。

では、記事のチャートを貼る。

記事のチャート

ソウル住宅価格、通貨危機以降で最大の下落→今年、MMFが43%増加→個人負債増加率過去最低→韓国版サブプライムローン危機→今週の韓国経済

ソウル住宅価格、通貨危機以降で最大の下落

国民銀行によるとソウルのアパート価格は9月の0.6%下落に続き10月も0.6%下落した。これは月間基準で2010年6月の0.6%以後で落ち幅が最も大きい。

ソウルと首都圏のアパート価格も0.5%落ち、9月の0.6%と同水準の下落傾向を続けた。これにより今年に入り10月までのソウルと首都圏のアパート、戸建て、連立住宅含む住宅価格は2.5%下落し、2004年の2.9%以後で最も下げ幅が大きかった。

特にソウルの住宅価格は2.4%下がり、1998年の13.2%以後で最悪の沈滞に陥っている。

住宅価格は下がっているが住宅取引量は最低水準だ。9月のソウルと首都圏の住宅取引量(申告ベース)は1万4800件余りで、昨年同期より50.3%の急減となった。

税金減免が9月24日以後の取り引き分から適用されたが、この効果が現れる10月だけを見ても取引量は特に増えなかった。ソウル市によると10月のソウルの住宅取引量は3906件で、9月の2119件よりは増えたが、昨年同月の4534件と比較すると14%少ない。

今年に入って9月までのソウルと首都圏の取引量は11万1184件で、この部門の統計が集計され始めた2006年以後で最も低かった。

2006年から2011年まで年間平均取引量は15万5000件余りだ。大宇証券のキム・ジェオン不動産チーム長は、「秋のシーズンに税金優遇まであるのに取引量が多くないのは住宅需要者の購買余力が不足しているため」と分析した。

現代経済研究所のパク・ドクペ研究委員は、「景気低迷で取得税減免などの対策効果は限定されるほかない」と話した。

一部では来年以後に住宅価格の回復期待感が息を吹き返すという見方もある。不動産費用が急騰し伝貰(チョンセ)比率(住宅価格に伝貰費用が占める比率)がソウル・首都圏基準で53.7%まで上がり、住宅取得の負担が大きく減った。

ソウル・瑞草区(ソチョク)のアパート伝貰費用は3.3平方メートル当たり1200万ウォンを超えた。

来年には新規供給量が急減するのも市場回復の期待感を高める。

来年のソウル・首都圏のアパート供給量は8万7000世帯余りで、1992年の17万世帯余り以後で最も少ない。

住宅産業研究院のキム・ドクレ研究委員は、「米国と欧州の経済危機、大統領選挙、ソウル・首都圏のニュータウン出口戦略など現在の住宅市場の不確実性の原因が来年上半期には多く解消され回復の期待感が生まれるだろう」と見通した。

ソウルの住宅価格、通貨危機以降で最大の下落 | Joongang Ilbo | 中央日報

これ11月6日の中央日報の記事。他人任せなのがいかにも韓国らしい。こういうときこそ、内需の力を頼りとかにはならない。そもそも、韓国に内需産業など雀の涙ほどもない。

今年、MMFが43%増加

さて、韓国では不動産投資という日本じゃあまり考えられない投資ビジネスを一般人でも行っている。冒頭で書いたのはそのためだ。つまり、不動産投資が低迷すれば、今まで不動産に投資していた投資資金が余ることになる。

は現金資金で持っている投資家も増えているのだが、マネー・マネジメント・ファンドMMF)にかなり集まっているようだ。

ここ、11ヶ月で富裕層全体の40%がMMFなど短期現金性資産になったことが中央日報に書いてある。つまり、韓国の金持ち連中は投資をするのを控えて、投資する機会を淡々と狙っているということだ。その額が76兆8000ウォン(約6兆円)という。

金持ちが適切な運用先を見いだせなくなったというのは投資の減少を意味する。それには不動産投資が大きく影響しているわけだ。

個人負債増加率過去最低

【ソウル聯合ニュース】韓国の個人負債増加率が過去最低を記録した。長期不況と不動産景気の低迷が主な原因で、経済全般で副作用などが懸念される

韓国銀行(中央銀行)が15日に公表した「月別預金取扱機関の家計貸付(個人融資)」をみると、2012年8月の個人負債残高は649兆8189億ウォン(約48兆円)と集計された。前年同月より4.1%増えたもので、過去最低の増加率となる。

韓国銀行が個人融資の統計を取り始めた2003年10月以来、前年同月比の増加率は通常6~8%台を維持してきた。2011年8月の増加率は8.8%を記録している。

しかし、政府当局が「負債増」を懸念し個人融資を規制した上、景気低迷まで重なり、月別の個人融資増加率は2011年8月をピークに12カ月連続で減少を続けている。これは過去最長となる。

こうした傾向が続けば、9月以降の増加率は3%台に下落する可能性が高いと韓国銀行は見込んでいる。個人負債増加率が下落した最も大きな要因は不動産の景気低迷による住宅担保融資の需要が急減したため。

LG経済研究院は「住宅を購入する需要が減ったのが主な要因。金融機関は景気低迷による返済のリスクの向上で融資を抑制している」と指摘する。

急激な個人融資増加率の鈍化は経済全般に副作用をもたらす可能性がある。

現代経済研究院は「政府の個人融資抑制対策以降、融資が難しくなった上、家計の経済事情まで厳しくなり、金を借りないようだ。個人負債の増加が減るのは望ましいが、庶民が金を借りるルートがなくなり、消費者金融に移りかねない」と懸念を示した。

個人負債増加率が過去最低 不動産景気悪化で=韓国 | Joongang Ilbo | 中央日報

長いんだが切るところが難しいので全文掲載する。先ほど、住宅価格が下落したニュースを取り上げた。金を借りないのではなく、「借りれない」のが正解だ。なぜなら、不動産を担保にして金を借りていたのだ。つまり、住宅価格が下がればその担保価値が消えてしまうので、借りられなくなってしまった。

もう一つ重要なのは、借りられないから、消費者金融に金を借りるということだ。韓国の消費者金利の上限は39%だったと思う。これについてはさらに下げるというニュースがあったので、もしかしたら下がっているかもしれないが、調べてみたら載っていないのでまだだと思われる。

消費者金融の金利は最大39%とっていいわけで、これを行うのが外資系銀行となる。つまり、不動産価格下落で金を借りれなくなった韓国人は、消費者金融、カードローンなどに頼らざる得なくなり、ますます家計債務を増やすことになった。しかも、借りているのは外資の銀行である。

それが不動産バブル崩壊した現在の状態ということになる。だが、もう一つ興味深いのがある。それが韓国版サブプライムローンの襲来である。少し古いが10月30日の朝鮮日報の記事を抜粋する。

韓国版サブプライムローン危機

■ハウスプアの苦痛増大

昨年8月現在で、韓国全土の住宅ローンのLTVは47%で、全体的には安定している。しかし、住宅価格が急落している首都圏郊外や一部地域のマンションでは、韓国版サブプライム問題の影が忍び寄っている。

ある市中銀行が地域別に2009年5月と今年5月のLTVを比較した結果、京畿道金浦市で平均50%から57%に上昇。京畿道東豆川市、楊平郡は09年より6ポイント上昇し、それぞれ56%、51%となった。

今年から来年にかけ、住宅ローン残高305兆ウォン(約20兆9500億円)の46%が満期を迎えるか、元金返済猶予期間が終了する。ウリ、国民、新韓、 ハナ、農協の5行で、年内に満期が到来し、返済しなければならない住宅ローンは23兆8000億ウォン(約1兆6400億円)に上る。住宅価格下落を理由 に融資の延長や借り換えを全額認めず、元金の10%を返済するよう求めた場合、2兆3800億ウォン(約1640億円)を返済しなければならなくなる。

韓国経済、1091ウォンのウォン高。忍び寄る「韓国版サブプライム危機」の影

LTVについては52のメルマガで特集したと思うが、ここでも簡単に説明しておく。

LTVとは、loan to value ratio. 韓国語では担保認定比率。 銀行などが住宅商店街ビルディングなどを担保にして金を貸す時担保物の実際価値対応大出金額の比率を意味する。 銀行は現在60%内外でLTVを適用している。

詳しい説明は宣伝となるのだが、第52回のメルマガを見ていただきたい。

第52回「韓国不動産バブル崩壊 住宅担保認定比率(LTV)が仇に」

先ほど説明してきたとおり、銀行は不動産担保にして、融資を行ってきた。しかし、不動産バブルの崩壊によって、住宅価格が下落しても一行に売れないので、その所有者は借金を借金で返すという多重債務に陥る。

LTVというのが不動産価格の現状維持、もしくは上昇に対応したものなので、不動産価格の下落LTVが問題となる可能性がある。今のところ、そこまで大きな問題とはなっていない。

>今年から来年にかけ、住宅ローン残高305兆ウォン(約20兆9500億円)の46%が満期を迎えるか、元金返済猶予期間が終了する。ウリ、国民、新 韓、ハナ、農協の5行で、年内に満期が到来し、返済しなければならない住宅ローンは23兆8000億ウォン(約1兆6400億円)に上る。<

おそらく、韓国政府が手を打ってくるだろうが、このように韓国の不動産事情は峠を迎えている。バブルが崩壊して、銀行資金回収が加速するなら、この住宅ローン残高を返すために、韓国の庶民はますます消費者金融に頼ることになる。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

26日 1908.61 1085.50 496.24 251.50 242億
27日 1925.20 1084.10 493.63 253.75 -695億
28日 1912.78 1086.50 494.48 252.35 -2648億

29日 1934.85 1084.10 490.99 255.20 459億←アメリカ政府の介入自粛要請。ナロ号打ち上げ延期。

30日 1932.90 1082.90 493.69 255.45 787億

今週の市場は29日にイベントがいくつかあった。アメリカ政府がウォン高を恐れて介入を繰り返す、韓銀に介入自粛を促した。さらに介入した報告書を提出せよと求めたわけだが、それを韓国は一蹴した。

従う必要性は別にない。米韓FTAのISD条項違反で訴えられる可能性が増えただけだ。

露骨な介入効果が効いたのか、今週はたいして値は動いてない。だが、この辺りじゃ輸出はきついので、1080ウォン台を維持しながら、1100まで戻していくと思われる。次回も1080ウォン台の攻防戦になるだろう。

もう一つ重要なのが中国経済がかなりやばい状況に来ていることや、スペインの財政再建策はもう暗礁としか思えないぐらいのところだ。欧州危機、中国経済低迷、そして、アメリカの財政の崖と……。韓国経済に降りかかる試練が来年も続きそうだ。

以上。今週はこれで終わるのだが、いよいよ師走に入った。何かイベントがなければ、韓国経済の一年を振り返りたいと思う。家計負債、貿易状況、サムスン、電力事情、大統領選挙などの5つの視点から見ていこうと考えているのだが、順番は前後入れ替わるかもしれない。

また、12月は5週目があるし、日本は正月前なのだが、韓国は旧暦なので市場は開いている。なので、年明けのメルマガは1月6日に配信する予定としている。12月はややこしいので、今後の配信スケジュールをあげておく。

配信スケジュール

12月02日 第69
12月09日 第70回
12月16日 第71回
12月23日 第72回(今年最後)
12月
30日 5週目なのでお休み

2013年1月

1月6日 第73回

後、23日配信から二週間ぐらい休みになるのだが、韓国市場に大きな動きが出る可能性がある。なぜなら、アメリカの財政の崖、欧州危機、日本や韓国の選挙といったイベントがりながら、北朝鮮のミサイル実験も行われる可能性がある。

そこで、大きく韓国市場が動いたときは号外のメルマガを配信しようと考えている。その時は市場の動きだけを追ったシンプルなメルマガになると思われるので、ご理解いただきたい。

読者様の購読に深く感謝する。これからも応援のほどをよろしくお願い致します。

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