第70回「東日本大震災、脱原発の日本より厳しい韓国の電力事情」

第70回「東日本大震災、脱原発の日本より厳しい韓国の電力事情」

配信日:2012年12月9日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週の韓国経済のメルマガは韓国の電力事情を特集する。結論から述べると、韓国の電力事情は昨年の東日本大震災における脱原発で動いている日本よりも厳しい。

地震が起きなくても相次ぐ原発事故もそうだが、もう一つは韓国の電気料金がガスや石油より安くで提供されていることにある。一番電気料金安いので企業、民間も電気をフルに使っている。

昨年の夏の停電危機では、モラルを守らない韓国企業が罰金を払っても電気を使い続けたという節電意識もほとんどない。ただし、韓国の電気料金は累進制なので、使えば使うほど高くなる。

この辺りの事情を踏まえて、最新の状況をまとめていく。では、記事のチャートを貼ろう。

記事のチャート

電気暖房が急増→冬、最悪の電力難に→エネルギー使用制限措置→東京・韓国・釜山の最高と最低気温→大規模停電(ブラックアウト)の危機→ソウル、12月上旬の積雪量としては32年来の大雪→今週の韓国市場

電気暖房が急増→冬、最悪の電力難に

19日、京畿道果川市にある知識経済部5階の電力産業課。 「冬の電力危機」対策について議論していた。 この冬は寒波のため、来年1月の最大電力需要が約8000万キロワットに達すると予想される。

猛暑が襲った8月6日の過去最大値(7429万キロワット)を大きく上回る。 パク・ソンテク電力産業課長は「史上最も厳しい電力難を迎えることになるだろう」と述べた。

昨年は12月に出した冬季電力対策も今月末に急いで出す考えだ。

企業に節電協調などを求めるのに十分な時間がないからだ。 23日に気象庁から受ける最終天気予報が悲観的なら、予想電力需要はさらに増える。

イ・グァンソプ知識経済部エネルギー資源室長は「企業の需要管理と国民の節電運動を大々的に行ってこそ、冬を無事に過ごせるだろう」と述べた。

冷たい風が吹き始め、また“電力不安”が始まった。 この夏には避けられた「ブラックアウト」(大規模停電)が近づくおそれもあるという懸念からだ。

エアコンもつけない冬に電力難を心配しなければならないのはなぜか。数年前までは灯油で暖房していた人が電気に切り替える“転換需要”が急増したからだ。

ソウル大のイ・ジョンス教授(技術経営経済政策大学院)は「製造業で加熱・乾燥工程に使われる油の需要はこの10年間で52%減少したが、電力は400%急増した」と指摘した。 農家の場合も数年前からビニールハウスの暖房を灯油から電気に切り替えているところが多い。

社会のあちこちでこうした「電気化」現象が目立つ理由がある。 低料金のためだ。 嘉泉大のキム・チャンソプ教授(エネルギーIT学科)は「1990年の電気価格は灯油より3.7倍高かったが、最近は1.2倍ほどで大きな差はない」とし 「油の税金が上がった半面、物価の安定や産業育成などを理由に電気料金は抑えられてきたため」と指摘した。

他の品目と比べても同じだ。 電気料金は昨年、1キロワット時当たり90ウォン(約7円)で、40年前に比べ27倍になった。 同じ期間、コメは67倍、市内バスの料金は131倍に上がっている。 03年以降は原油高が続き、「電気が安い」という認識が広まり、需要が急増した。

知識経済部の調査によると、06年に電力消費全体の19%だった「暖房用電気」は2010年には25%に増えた。 キム・チャンソプ教授は「専門家が数年前から“転換需要”を懸念して政府に対策の準備を促したが、効果はなかった」と述べた。

こうした状況で天気はブラックアウトを招く“伏兵”だ。

先月中旬、北極の韓国茶山科学基地では尋常でない状況が観察された。 大量の氷河が解け、面積が342万平方キロメートルと過去最小となった。 北極の氷が減れば上空の冷たい空気が下降し、韓半島まで覆って酷寒につながる。

気温が1度落ちれば電力需要は50万キロワット増える。 例年より2度低ければ、原子力発電所1基(普通100万キロワット容量)がさらに必要となる状況を迎える。

国会知識経済委員会の呉泳食(オ・ヨンシク)議員(民主統合党)議員は「節電を勘案しない場合、この冬の予備電力は100万-200万キロワット水準」とし「最近、原発の故障が多いが、この冬に原発2基がストップすれば、すぐに停電事態を招くおそれがある」と警告した。

夏は休暇シーズンのため電力消費の半分以上を占める産業の節電を誘導できるが、冬にはその余裕も限られている。

呉議員は「危機を乗り越えるためには、原発の故障・整備計画などを勘案した冬季電力需給計画を支障なく立てる一方、産業用電気料金の引き上げなどの非常対策も必要だ」と述べた。

(電気暖房が急増…この冬、韓国は最悪の電力難も | Joongang Ilbo | 中央日報)

これは2012年10月22日の中央日報の記事だ。全文は長いのだが、電力事情の総括として優秀だと思ったので載せておいた。ようするに夏辺りからやばいと騒がれていたわけだ。その対策が次となる。

エネルギー使用制限措置

3日からデパートや大型マートなどエネルギーを多く使う建物の室内温度が20度以下に制限される。知識経済部は冬季電力需給を安定的に維持するため、来年2月22日までエネルギー使用制限措置をすると明らかにした。(以下、省略)

(暖房温度20度以下に制限=韓国・ソウル | Joongang Ilbo | 中央日報)

このニュースは非常に短いのだが韓国の電力対策がわかる。冬季は電力が不足するので、エネルギー使用制限措置を2月22日までするということだ。その時、室内温度が20度以下に制限される。

東京・韓国・釜山の最高と最低気温

ここで補足しておくが、アジア(東京、ソウル、釜山)の気温について調べておいた。これに関わるのは3ヶ月なので12月、1月、2月の各都市の月別最低と最高の気温は以下の通りとなる。

最高気温

都市名 12 01 02(月)

東京  12 12 10
ソウル 03 01 03
釜山  08 06 06

最低気温

都市名 12 1 2(月)

東京  05 02 02
ソウル -4 -7 -5
釜山  01 02 0

(アジアの平均気温 最高気温・最低気温・降水量 年間の気候)

以上のようになっている。明らかに東京よりも寒い。ソウルなんて最高気温でさえ、3度しかない。このように気温から見ても、この制限措置が厳しいのがわか るだろう。さて、このような現状において韓国も電気料金の見直しについて議論している。管理人は解決策としては、電気料金の値上げと罰金強化しかないと考 えている。

大規模停電(ブラックアウト)の危機

安い電気料金を維持すれば、大規模停電(ブラックアウト)を招く可能性が高いという警告が出された。4日、ソウル太平路の韓国プレスセンターで開かれた中央日報エネルギーフォーラムでだ。

テーマ発表をしたキム・チャンソプ嘉泉大エネルギーIT学科教授は「電気料金が生産コストにもならないうえ、他国に比べて過度に安く、電力過消費を誘発している」と述べた。(途中省略)

共同発表者であるソウル大技術経営経済政策大学院のイ・ジョンス教授は「電気料金が上がれば当然、製造業の競争力が落ちるという主張が出てくるが、現在の 産業用電気料金は製造業平均コストの1.15%にすぎないほど低い」とし「競争国と比較して産業用電気料金の引き上げ余地は十分にある」と述べた。

討論に出席したソン・ヤンフン仁川大教授は「電気料金があまりにも安いため、農村では牛の飼料も電気でつくるという声が出ている」とし「次期政権は何よりも歪んだ価格体系を正す必要がある」と主張した。

(「韓国、電気が石油より安い唯一の国」(2) | Joongang Ilbo | 中央日報)

この教授の述べていることは比較的まともだと思われる。電気料金が安いから皆使う。抑制するためには電気料金を値上げする。しかし、電気料金の値上げは韓 国のような寡占市場だと、おそらく様々な製品の値上げ口実となる。つまり、消費者にとっては出費が増えることになる。さて、実際、12月6日のソウルの状 況がどうなっているかを少しだけ紹介する。

12月上旬の積雪量としては32年来の大雪

日正午、ソウルの江西(カンソ)大橋に近い江辺(カンビョン)北路。一山(イルサン)から九里(クリ)方向に向け走行中の車両が一斉にハザードランプを点灯し、時速10キロメートル未満ののろのろ運転を始めた。この日午前11時から降り始めた雪が突然強まったためだ。

気象庁によると正午から1時間の間にソウル地域だけで3センチ近い大雪が降った。この日1日でソウル地域に降った雪は7.8センチ。12月上旬の積雪量としては32年来の大雪となった。

2時間で九里方面に向かう江辺北路上り線では10件余りの交通事故が同時多発的に起き深刻な渋滞が起きた。チョ・ジョンホさんは「雪が突然降り始め、1キロメートルごとに追突事故を1件ずつ目撃した。

江西大橋から麻浦(マポ)路へ抜けるのに2時間以上かかった」と話した。オリンピック大路と江辺北路など都市高速道路と世宗路(セジョンロ)、テヘラン路など主要道路も駐車場に変わった。

各地で交通事故が相次いで発生した。正午ごろ西海岸高速道路の瑞山(ソサン)インターチェンジ付近で大型タンクローリー1台がスリップ事故を起こし1時間 にわたり通行がまひした。午後0時5分ごろには仁川(インチョン)空港高速道路シンブルインターチェンジ近くでは10台が絡む追突事故が起きた。

午後1時40分には運行中だった議政府(ウィジョンブ)軽電鉄が突然立ち往生した。この事故で上下線合わせて10本の運行も中断し、乗客は大雪の中を歩いて公共交通機関への乗り換えを余儀なくされた。

7.8センチの雪に埋まるソウル…6日朝の気温は氷点下10度 | Joongang Ilbo | 中央日報)

電力事情が厳しい中、氷点下10度の世界に大雪という想定以上の冷え込みがソウルに襲いかかっている。景気も冷え込んでいるというのに、韓国庶民にとって 悪いことが重なっている。しかし、その電力事情をさらに危うくするのが韓国の原発事故や部品偽造だったりする。思ったより、長くなったので次週に回すこと にする。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

03日 1940.02 1083.10 498.97 256.00 2726億
04日 1935.18 1083.40 502.71 254.90 882億
05日 1947.04 1081.50 496.50 257.20 1093億←介入
06日 1949.62 1083.00 488.03 257.55 2156億←介入
07日 1957.47 1081.70 489.22 259.35 1990億←介入

今週の韓国市場はワロス曲線がずっと続いた感じだ。ワロス曲線とは、相場が「W」のように見える上昇と下降を繰り返すことをいうわけだが、まさに韓国銀行と禿げ(ヘッジファンド)が1080ウォンを巡る激しい攻防戦を繰り広げている証拠である。

今は介入ではなく、スムージングオペレーションというのが流行だ。聯合インフォマックスから介入していると書いてある場所を抜き出してみよう。

05日

ドルは場序盤、北朝鮮の長距離ロケット搭載ニュースに伴う地政学的リスクとポジションプレイ鈍化に1,080w台序盤で支持力を見せた。しかし、午後に 入って、上海株式市場が2%以上上昇し、ユーロも上がってロングストップ物量に押されて1,080w線に近接した。外国為替当局は1,080w台序盤で早 く微調整(スムージングオペレーション)に出て1,080w線崩壊を防いだ。

06日

外国為替当局の1,080w線を守る意志が数回確認され、売り圧力も大きく萎縮した。

07日

A銀行の外国為替ディーラーは「株式資金があふれて当局のスムージングオペレーションを押して下落した。ソウル外為市場締め切り後、域外NDF為替レート がスワップポイントを抜けば1,080.50wを記録しており、来週1,080w線下降テストが期待される。」と言った。

以上。この3日間は間違いなく介入していると投資家は睨んでいる。

来週も1080ウォンの激しい攻防戦が行われる。また、選挙(19日)が近いのでKOSPIも下げることなく維持し、12月のKOSPIは上がることは あっても、下がることはほとんどないだろう。ウォンもすぐに介入すると思われるので、1080ウォン台でキープだと思われる。

さて、来週の予定だが電力事情にも関わる韓国の原発について特集する。電力事情のついでに調べて、事故や部品偽造といった中々、興味深いネタを掴んだので、来週も楽しみにして欲しい。

読者様の購読に深く感謝する。これからも温かい応援のほどをよろしくお願い致します。

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