第76回「韓国企業の上位100社、外国人株主への配当が4年で二倍を超える。割合は40%」
配信日:2012年1月27日
最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)
今週のメルマガ特集は韓国企業の外国人に対する配当である。すでにタイトルにも書いたが韓国の時価総額上位100社の外国人株主への配当が倍増している。 しかも、4年間である。リーマン・ショック後から、韓国企業に投資しているのが誰なのかが透けて見えてくることだろう。では、記事のチャートを貼る。
記事のチャート
外国人株主への配当が4年で二倍→今週の韓国経済
外国人株主への配当が4年で二倍
韓国有価証券市場に上場している12月決算法人のうち、時価総額上位100社に投資した外国人株主に対し、2012事業年度の業績に応じた配当金として5兆8000億ウォン(約4841億円)が支払われる見通しだ。4年前の2倍を超える金額となる。
聯合ニュースは16日、金融情報会社のエフエヌガイドと韓国取引所の資料に基づき、有価証券市場に上場している12月決算法人のうち、時価総額上位100社の2012年の配当金を分析した。
分析には、2012年の予想EPS(一株当たり当期純利益)に2007~2011年に黒字を記録した年度の配当性向平均を適用する方式が使われた。
分析の結果、配当総額は14兆5395億ウォンと予想された。2011年(11兆5714億ウォン)に比べ25.7%、2008年(7兆4123億ウォン)に比べ96.1%、それぞれ増加した。配当総額に占める外国人株主への配当の割合も急上昇している。
2008年は32.64%だったが、2009年は35.95%、2010年は37.66%、2011年は38.45%と伸び続け、2012年は 39.57%と予測された。金額ベースでは、2008年の2兆4196億ウォンから2012年は5兆7537億ウォンと、4年間で137.8%増となる見 通しだ。
(http://japanese.joins.com/article/758/166758.html?servcode=300§code=300)
韓国人が稼いだお金の4割は外国人に持って行かれてるわけだ。しかも、それがリーマン・ショック後から始まっていることに注目だ。リーマン・ショック後、韓国は1600ウォンという空前のウォン安、そしてドル不足へと誘われた。
あの時、管理人はいつIMFに助けを求めるか楽しみにしていたわけだが、米韓通貨スワップ300億ドルを借りて、日本と中国の通貨スワップの拡大措置で、 韓国はドル不足を解消して経済危機を乗り越えた。それから、日本のメディアからは、リーマン・ショックからいち早く立ち直った国だと賞賛したわけだが、 今、思えばあの当時も巨大な金が日本のマスメディアに流れていたことになる。
それは置いとくとして、韓国はウォン安、輸入減少によって、過去最高の貿易黒字を達成する。これでホルホルしていたわけだが、実はこれが不況型黒字だった ことは言うまでもない。つまり、韓国経済危機は今でも継続されているのだ。2012年、その危機を乗り越えるために中国との関係を強化したことは記憶に新 しいだろう。
逆に明博大統領の竹島への不法侵入、我が国の天皇陛下に対する侮辱発言が問題となり、日本は韓国との通貨スワップの拡大措置を廃止にした。
そのような2009年から、外資はしっかりと韓国企業を自分のものとしてきたことになる。そして、4年でなんと二倍である。この外国人に貢ぐ筆頭はもちろ ん、サムスン電子である。サムスンの営業利益の配当はだいたい6%前後であり、その配当を受け取る半分は外国人投資家である。これが銀行関連だともっと酷 くなる。
さて、問題はこの4800億円が多いか少ないかであるが、金額からすればたいしたことはない。日本市場の方が規模が大きいので、日本企業の方が外資に配当 金をわたしていることだろう。調べてみると、2012年は外国人法人等が26.3%であり、配当総額が5.4兆円となり、そのうちの1.4兆円ほど外国人 投資家に渡していることになる。
この程度の配当金なのかと思うわけだが、実際、韓国企業で儲かっていたというのは、サムスンと現代の2社しかなかったことは以前のメルマガに触れたとおりだ。ほとんど赤字状態であるのに、4800億円を持って行かれたことになる。
外国人への配当が増えているのはいいことだが、実はそれも長くは続かないフラグというものがいくつか出てきている。その辺りは次週のメルマガネタであるのだが、韓国から外資が撤退しようとしているようなのだ。
ウォン高にして配当金を頂いたら撤収、そして、ウォン安になった頃に戻ってきて安くで買いたたく。これがヘッジファンドでいつものやり方だ。彼らは豚を食べるときはまずは餌をたくさんあげて丸々太らせる。
比喩を使ったわけだが、2009年からの動きを知る限りでは、まさに同じ事が繰り返されている。1997年のアジア危機以来からずっとだ。しかも、年々、 やり方が狡猾になってきており、ローンスターの一件もあり、彼らは条約というものから罠を張っていく。米韓FTAがそのためにあることは言うまでもない。 ラチェット、ISD、スナップバック条項然りだ。
これも後のネタではあるのだが、米韓FTAを締結しているのに韓国製品に対するダンピング税やアメリカ肉もFTA対象にしろというニュースがあった。 FTAというのは互いの関税を取り払い自由な貿易拡大を目指すというのが本来の趣旨だ。だが、アメリカにはそのようなものは見当たらない。日本もスーパー 301条でずいぶん苦しめられたことがある。
ヘッジファンドの親玉といえば、ゴールドマン・サックスなわけだ。彼らの韓国経済への評価は非常に素晴らしいのが多い。次週はこの辺りを特集したい。
今週の韓国経済
日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)
21日 1986.86 1062.90 514.66 263.00 -1878億
22日 1996.52 1062.30 516.59 264.75 -2116億
23日 1980.41 1066.20 513.26 261,80 -43億
24日 1964.48 1068.70 508.63 259.65 -2247億
25日 1946.69 1074.50 506.83 256.40 -5157億
さて、今週だが非常にややこしいことになった。18日の終値と比べて、為替が急に5ウォンも下がっており、25日は1074ウォンである。ウォン高傾向 だったウォン市場に何があったのか。そして、どうしてウォン安なのにKOSPIが下がっているのか。外国人も相当投げ売りしている。まずは整理してみよ う。
まず、22日だが日銀の政策会合発表に投資家は落胆。
円に失望売りが生じて、円高、株安によってウォン高傾向が是正される。23日もその調整が続き、ドル/円は88円まであがった。だが、25日には91円を 突破した。この数日、この急激な円安についてはアメリカ経済指標が良かったことでドル高になったわけだ。そして、韓国ウォンもアメリカがドル高になったこ とで、自然とウォン安へと触れたわけだ。
通貨の価値はその国の経済見通しも大きく関わるので、アメリカの景気が良くなれば、韓国のウォンが下がるのは言うまでもない。しかし、それとは別にもう一 つ、北朝鮮が3度目の核実験を行うニュースが入ってきた。さらに、地政学的なリスクで韓国ウォンと韓国株も売られたことになる。しかし、それだけでは説明 できない動きがある。
それが次のメルマガで特集する予定のバンガードとゴールドマンサックスという超大手投資ファンドの韓国撤退フラグである。このようなフラグを感じ取った投資家が株を投げ売りしたことで、24日、25日は売り注文が多いわけだ。
さて、次週の動きだが1080ウォンもあり得るかもしれない。管理人は北朝鮮の動きを警戒していたわけだが、残念ながら一度に色々起きすぎて処理出来ない。
急激な円安もそうだが、今の市場はどこでも不安定だと思われる。ウォン高になってしばたくたつので業績が悪くなった韓国企業の株はさらに投げ売りが来る。 ということは、来週も株安、ウォン安になる可能性は非常に高い。レートは1070ウォン~1080ウォンという予想したい。
アメリカ経済の復活見通しでウォン高の圧力が予想外に弱まったわけだが、このままウォン安へとなるんだろうか。北朝鮮が核実験に踏み切ればさらにウォン安、株安が進む可能性もある。
このように今後の見通しが予想もつかない事態となっている。外国人の投げ売りが止まるかは微妙だが、韓国経済で持ち直す材料はない。もし、ウォン高圧力が完全に消えて外国人が撤退すれば後は落ちるだけ。株安、ウォンの大暴落が始まることになる。
今週はこれで終わるが次回の予定は外国人投資家の撤退フラグについて見ていくので楽しみにしてほしい。
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