第78回「なぜ、日本のアベノミクスに韓国メディアが恐怖するのか」
配信日:2012年2月10日
最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)
今週の韓国経済は日本のアベノミクスに異常なまでの警戒を抱く韓国メディアを特集する。アベノミクスが目指す政策は日本の デフレ脱出なわけだが、それに伴う円安、株高で韓国経済は沈むという。しかし、管理人が分析したところではそれはただ日本をヒールにしたいがための韓国政府、韓国メディアの口実である。
2012年から顕著に出始めた経済の悪化を日本のせいにしようというわけだ。韓国人がどこまで信じるのかは知らないが、連日に渡って日本を批判するのはそういう魂胆だろう。では、記事のチャートを貼って、韓国メディアのニュースを見ていこう。
記事のチャート
アベノミクス、最大の被害国は「韓国」→日本と競争が激しい輸出製品→中小輸出企業の93%が損失→今週の韓国経済
アベノミクス、最大の被害国は「韓国」
日本政府の景気浮揚策が東南アジア諸国には「薬」になる反面、韓国には「毒」になるだろうという分析が相次いでいる。
HSBCとクレディスイスなど金融世界大手は21日、 日本の通貨緩和政策と10兆3000億円規模の景気浮揚策の最大の受恵国はタイとマレーシア、インドネシアなどになると分析した。日本企業が復活すること で原材料や部品の需要が増加し、投資も増えるためという説明だ。東南アジアは日本企業の伝統的な経済協力と投資地域だ。
HSBC香港のフレデリック・ニューマン代表は、「日本企業と銀行が東南アジアに投資を拡大するだろう。これは現地資産価格と投資、消費を刺激し、東南ア ジア諸国の今年の経済成長率を押し上げることになるだろう」と話した。これに対しこれら金融会社は日本の為替政策の最大の被害国として韓国を挙げた。
円安で自動車と電子、造船など日本と競合する産業の輸出競争力が弱まり少なくない打撃を受けるという見通しだ。INGグループ アジアリサーチ責任者のティム・コンドン氏は、「アジアの激しい通貨戦争で韓国が最前線に立っている」と評した。(途中省略)
一部では日本や米国などが通貨戦争で事実上無制限の量的緩和競争を行っている中でも、韓国は基準金利を相対的に高く維持しウォン高を自ら招いているという 分析も出ている。ひとまず物価不安が引き起こされない限り韓国も金利を下げ通貨価値を安定させる必要があるという見方だ。
韓国銀行は11日の金融通貨委員会で1月の基準金利を年2.75%で据え置き、金利引き下げを予想した市場にショックを与えている。だが、韓国銀行は「対 外経済環境の不確実性が晴れながら韓国の景気も緩やかな回復の流れを見せることになるだろう」と楽観論を展開している。
(<a href=”http://japanese.joins.com/article/083/167083.html?servcode=300& amp;amp;sectcode=300″>「アベノミクス」、最大の被害国は韓国 | Joongang Ilbo | 中央日報</a>)
これは1月22日の中央日報の記事。日本のアベノミクスで1番被害を受けるのは韓国。その理由は競争企業が多いからだと。日本のパクリ製品をウォン安で売 りまくって儲けたわけで、日本企業が攻勢に出れば、韓国製品が売れなくなるわけだ。同じ値段なら品質が良い日本製品が売れるのは言うまでも無い。まずはどれだけの商品が日本と被るのかを見て頂こう。
日本と競争が激しい輸出製品
(道中省略)操業日数も影響を与えた。昨年1月の操業日数は旧正月連休により24日にすぎなかった。今年1月は26日だった。1日当たりの輸出額は20億ウォン前後だ。今年は旧正月が2月にある。1月の輸出が増えたが、すでに政府が2月の輸出を心配している理由だ。
錯視を取り除くと円安の恐怖は脅威的だ。現代経済研究院は3日、今年の輸出が6%減少するとの見通しを示した。日本政府が目標にした対ドル7%の円安水準 を考慮して分析した数値だ。消費者の行動変化がすぐに現れる観光ではすでに現実化した。日本人観光客はこの4カ月間に18%減った。この傾向が続き日本へ 行く韓国人観光客もそれだけ増えると仮定すると、今年の観光収支損失は10億ドルに達すると現代経済研究院は分析した。
現代経済研究院のイ・ブヒョン首席研究委員は、「円安は沈黙の殺人者のように中長期的に韓国産業の競争力を落としてしまうだろう。日本に比べ韓国が劣勢に ある業種から打撃を受けかねない」と話した。劣勢業種には、米国では自動車・機械、中国では鉄鋼・機械・自動車、欧州連合(EU)では鉄鋼・機械などが挙 げられる。
実体経済より先行する証券業界ではすでに企業の第1四半期業績を一斉に下方修正した状態だ。証券情報業者のFnガイドによると、現代自動車に対する証券会社の第1四半期営業利益見通しは昨年末の推定より9.1%少ない2兆745億ウォンに引き下げられた。
KTB投資証券はウォンが100ウォン上昇するとSKハイニックスは5700億ウォン、LGディスプレーは4800億ウォン台の営業利益が減ると予想し た。サムスン証券のユ・スンミン投資戦略チーム長は、「円安の速度と水準により差があるだろうが1月よりは2月、第1四半期よりは第2四半期の企業見通し が悪化しかねない」と話した。
(http://japanese.joins.com/article/904/167904.html?servcode=300§code=300)
輸出額を演出するために操業日数を増やしたようだ。それはともかく劣勢業種についてだ。アメリカでは自動車・機械、中国は鉄鋼・機械・自動車、EUは、鉄鋼・機械などとなっているようだ。次に中小企業が影響を受ける円安ウォン高の損失を見ていこう。
中小輸出企業の93%が損失
大韓商工会議所は5日、「先月末に中小輸出企業300社を対象に調査した結果、93%がウォン高にともなう損失を出している」と発表した。特に家電・自動 車業種では調査に応じた企業すべてが「損失を出している」と答えた。ゴム・プラスチック業種の97%、IT機器は96%、造船は93%の企業が影響を訴え た。電子製品メーカー関係者は、「ウォンが50ウォン上昇するごとに輸出額が6.7%ずつ下がる」と話した。企業の3割は何の対策もなくそのまま為替相場 変動にともなう損失を抱え込んでいることも明らかになった。(後は省略)
(http://japanese.joins.com/article/063/168063.html?servcode=A00§code=A10)
そろそろ結論に入るが、結局、韓国経済が好調に見えていたのは、日本企業が円高のために輸出競争力が落ちていたことが最大の理由だったということだ。そこ には財閥優遇、ウォン安政策という明博政権によるものもある。だが、韓国製品が日本製品と同じ価格で戦えるほどの品質、価格競争力を維持出来るとは誰も 思っていないのが上のニュースだ。
つまり、ここ4年間にわたる民主党政権による日本の舵取りが韓国経済に1番大きく貢献していたわけだ。そして、円高で日本企業のエルピーダは破産、シャー プは倒産の寸前まで追い込まれた。日本人にとって皮肉な結果ではあるが、今からどう分析しようがその結果が覆ることはない。民主党を選んだ国民の選択が間 違いであったことは言うまでもない。
日本経済がデフレから脱却して、韓国経済が本当に沈むかどうかは正直判断するのは難しい。サムスンは生き残るだろうし、中国との関係を強化して通貨スワッ プなどで経済危機を脱する可能性は十分考えられる。しかし、本当の経済危機である家計債務の爆弾は確実に増加している。これがいつ爆発するのか。
今年の注目点としては、日本経済の復活で沈んでいく韓国経済というところだろうか。案外、韓国にとどめを刺すのは日本かもしれない。ただ、日本が今まで通 りの円高だったとしても、韓国経済が悪化していたのは事実なので、韓国メディアの報道は言い訳に過ぎないことに注意したい。
今週の韓国経済
日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)
04日 1953.21 1084.60 501.32 257.00 584億
05日 1938.18 1087.00 498.16 254.80 22億
06日 1936.19 1088.10 502.56 254.70 -878億
07日 1931.77 1088.30 501.78 254.35 719億
08日 1950.90 1095.70 504.94 257.90 509億
以上となった。先週、1100~1120とウォン推移を予測したわけだが、思ったよりはウォン安が進行しなかった。過度な介入はチャートを見る限りでは何 度かあったと思われる。ただ、その介入効果は弱いというところだ。おかげで1100を超えないで1095ウォンで止まった。しかし、来週は北朝鮮の核実験 懸念で1100ウォンを超えると思われるので、予想レートは1100~1110としたい。
ただ、韓国は9日から旧暦で正月を迎えているので、来週の市場は12日からとなっている。中国市場も休みなので、休み明けでも北朝鮮が核実験でも強行しない限りは大幅な値動きはしないだろう。
今週はこれで終わるが、来週は韓国の貿易状況を見ていこうと思う。ウォン高の効果が市場に現れるのはだいたい半年後なので、貿易に直接反映していることはないのだが影響が出るのは必至だ。輸出、輸入、外貨準備高、資本収支といったデータを中心に見ていきたい。
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