第79回「北朝鮮が核実験を強行……ところが市場は1078ウォンのウォン高となる!」
配信日:2013年2月17日
最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)
今週のメルマガは予定を変更して、北朝鮮が核実験を強行したニュースを中心に1週間の韓国市場を振り返る。最初に結論を述べておくと、2月12日、北朝鮮が核実験を行ったのだが、今週の終値は1078ウォンのウォン高となった。
核実験を行う前の最高値が1098ウォンだったので激しい乱高下といえるわけだが、地政学な見解では通貨は下がるはずなのだ。しかし、なぜかウォンは高く なったという逆の結果である。これには金利を据え置きにしたというニュースもあるのだが、それにしてはおかしな話だと思わないだろうか。では、記事のチャートを貼っていく。
記事のチャート
北朝鮮が核実験を強行→今週の韓国経済→核実験前のウォン市場→核実験後のウォン市場→追加ミサイル発射の影響はたいしたことない?
北朝鮮が核実験を強行
【ソウル時事】北朝鮮は12日、咸鏡北道吉州郡で、2006年10月、09年5月に続く3回目の核実験を実施したもようだ。12年12月の長距離弾道ミサ イル発射から短期間のうちに再び国際社会を挑発する強硬策に踏み切ったことで、朝鮮半島情勢はさらに緊迫した局面に入った。
日米韓などは、国連安全保障理事会の緊急協議開催を要請する方針。日本政府は2月12日、安全保障会議を開催し、韓国政府も国家安全保障会議を緊急招集。 韓国国防省報道官は「追加の核実験やミサイル発射の可能性についても注視している」と述べた。また、聯合ニュースは米韓両軍は対北朝鮮情報監視態勢のレベ ルを引き上げたと伝えた。
北朝鮮は公式発表を行っていないが、核実験は吉州郡豊渓里の実験場で行われたとみられる。日本政府によると、核実験によるとみられる人工的な地震波は、 12日午前11時57分50秒に観測。地震の規模はマグニチュード(M)5.2。豊渓里で行われた過去2回の核実験の際の地震規模より大きい。爆発規模に ついて、韓国国防省は6~7キロトンと推定。06年の爆発規模は1キロトン未満、09年は数キロトンとみられている。
実験した爆発物の型は不明。北朝鮮は事前に「高いレベルの核実験」実施の方針を示しており、初めてのウラン型やブースト型核分裂弾(強化原爆)の可能性もある。
秘密裏の開発が容易なウラン型の実験に成功したとすれば、北朝鮮の核の脅威は新たな段階に入る。過去2回と同様のプルトニウム型や、コンパクトで強力な爆 発力を持つブースト型の場合も、ミサイルに搭載できる小型の核弾頭開発につながる恐れがある。(2013/02/12-14:05)
(時事ドットコム:北朝鮮が核実験=3回目、挑発継続-地震規模、過去最大)
北朝鮮が核実験を強行して、過去最大の地震が発生した。国連安保、日本政府の対応なども色々あったわけだが、そういうのは韓国経済にはあまり関係ないので割愛する。問題はこれ以降のウォンである。
今週の韓国経済
日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)
11日 お休み
12日 1945.79 1090.80 503.72 257.20 1353億←北朝鮮が核実験を強行
13日 1976.07 1086.80 507.99 261.85 1125億
14日 1979.61 1083.80 512.53 262.80 764億
15日 1981.18 1078.30 514.58 262.60 20億
以上となった。まずは12日の北朝鮮の核実験前の市場から見ていこう。
核実験前のウォン市場
11日は旧暦の正月で韓国市場はお休みだった。管理人は今週のウォンレートは1100~1110と予測していた。1095ウォンで始まった市場はウォン売 りの圧力が強くて1098ウォンまで下降する。これは北朝鮮の核実験懸念によるウォン安進行の動きだった。ここまではいい。
核実験後のウォン市場
北朝鮮が核実験したニュースが12時過ぎにもたらされた。それまで少し上がっていたウォンだが、数ウォンほど下がり1096ウォンとなった。ところが、核実験懸念が消えたせいなのか、ウォン高へと舵を取るようになり、12日の終値は1090.80である。
このような不思議な結果となったわけだが、本来なら、北朝鮮が核実験を行ったことで大幅なウォン安が進行するはずだった。しかし、市場の反応はわずか数ウォンである。
毎日、核実験を出来るはずもないので、市場の懸念が消えたのはわかる。だが、ここまで北朝鮮の核実験が影響を与えなかった事実はこれからの韓国経済を分析をしていく上では考慮する必要がある。
その後、無慈悲にもウォン高へ一直線である。介入懸念はあってもどんどんウォン高となり、15日の終値は1078ウォンである。また、外国人の動きでは、来週はG20があるので、核実験後は材料待ちの様子で外国人の取引高は少なくなっている。
追加ミサイル発射の影響はたいしたことない?
さて、来週の市場予測は1070~1080ウォンと予想するが、実は北朝鮮はもう一つ、核実験の他に、弾道ミサイル打ち上げへの懸念がある。ただ、核実験 でたいした値動きがないなら、ミサイルぐらいでそれほど変動するとは思えない。以前としてウォン高に触れるのではないだろうか。
以上。今週は急遽、予定を変更して北朝鮮による核実験に対する韓国市場の反応を追った。結果的にはウォン高という驚くべきものだったが、何度も同じことが 繰り返されることで衝撃が和らいでいるということかもしれない。こうなると、アメリカが軍事衝突に動くか、北朝鮮が韓国に戦争でも仕掛けてこない限りは急 激な反応はしないと考えている。
さて、来週の予定だが今週に振り返るはずだった韓国の経済指標を見ていくつもりだ。
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