第83回「突然、1110のウォン安。韓国市場に一体何が起きたのか?円安の恐怖に怯える韓国企業」

第83回「突然、1110のウォン安。韓国市場に一体何が起きたのか?円安の恐怖に怯える韓国企業」

配信日:2013年3月17日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週のメルマガは前回に予告したとおり、日本のドル高、円安で韓国企業が受ける影響とその最新情報について特集していく。また、5日間でウォンが暴落して1110のウォン安となった。明らかにウォン安へ進む速度が速いわけだが、KOSPIは2000を切っていたりする。

正常な反応なら一気にウォン安になれば、韓国の貿易は儲かるのでKOSPI(韓国企業の株価)が高騰してもおかしくはない。しかし、そうはなっていない。その辺りも今週の韓国市場で触れていくつもりだ。では、記事のチャートを貼る。

記事のチャート

韓国政府、検討中の円安対応策→外為規制3種セット→トービン税→現実化する円安の恐怖→今週の韓国市場

韓国政府、検討中の円安対応策

日本の量的緩和とこれによる円安で韓国政府が非常事態を迎えている。 ウォン高を放置すれば、経済を支える輸出が減少するからだ。 外国為替市場の変動性が大きくなれば、97年の通貨危機、08年の金融危機のように外国為替市場の不安定も心配しなければならない。 内需の比率を拡大し、輸出依存度を低めるのも対策だが、短期的には不可能だ。

韓国政府もウォン高基調を否定しない。 貿易規模7位の経済力で通貨の価値が上がるのは自然な流れでもある。 問題はウォン高のペースだ。 為替レートが急激に変動すれば、企業が適応期間を確保できない。 しかも完全開放された韓国の外国為替市場では、外国人はいつでも現金を引き出せる。

こうしたリスクを減らすため、韓国政府はより強力な手段を検討している。 現在も先物為替ポジション限度、外国為替健全性負担金、外国銀行債券投資課税の“外為規制3種セット”があるが、急激な変動を防ぐ装置としては十分でないという認識からだ。

このために提示されたカードが韓国版トービン税。 中でも最も強力な武器は、韓国を出入りするすべての外貨に課税する外貨取引税だ。 しかしこのカードは慎重に検討している。 もし韓国が閉鎖的な経済体制を導入するという認識を強まれば、むしろ投資忌避対象国になる可能性もあるからだ。

政府はこれより低い段階の債券取引税の導入を重視している。 韓国の対外信頼度が高まる中、2010年以降、外国人の韓国債券投資が大きく増えた。 したがって債券取引税だけでも急激な外貨の流出入を制御できるという立場だ。 (以下、省略)

韓国政府が検討中の円安対応策は? | Joongang Ilbo | 中央日報

この記事は少し長いのだが、今後の円安対策という重要な情報なので読んで欲しい。色々と突っ込みたいところはたくさんあるのだが話が進まないので割愛させていただく。

重要なのは韓国が投資に対して課税をしているということだ。先物為替ポジション限度、外国為替健全性負担金、外国銀行債券投資課税の“外為規制3種セットをいう。これについて少し解説しておく。

外来規制3種セット

■先物為替ポジション限度

先物為替ポジションとは、銀行の自己資本に対する先物為替残高比率のこと。この比率を操作することで先物為替取引の量を制限する効果がある。一般的に比率が縮小されれば先物為替取引が減少する。この場合、外貨、特にドルの流出入を減少するので円安対策にも有効である。

■外国為替健全性負担金

外国為替健全性負担金は、銀行・外銀といった金融圏に負債規模などを基準に負担金を付加し、それを米ドルで回収して、外国為替平衡基金に積み立てるもの。つまり、外貨の流出を経路別に対応しようとするもの。これによって金融機関の外債増加を抑制する。

韓国市場というのは日本やアメリカのような巨大市場もなく、ウォンは基軸通貨でもないために、投資家の不安や危機感で市場が大きく動く。また、アジアの新興国なので銀行や投資家が、欧州危機などといった経済の危機的な状況になると投資を回収しやすい。

こういった要素を流動性が高いというわけだが、このような状況なので韓国市場は為替の影響を受けやすいといえる。

■外国銀行債券投資課税

これは名前の通りの意味。外国銀行債券投資に課税する。日本でいう外国銀行債券投資というのは、円建て債券(サムライ債)と外貨建て債券の二種類がある。韓国の場合、サムライ債がウォン建て債券になるだけで意味はかわらない。この債券投資に課税を課すという話だ。

この3つは数年前から導入されてはいるのだが、それでも効果は小さいというのが上の記事だ。副次的な効果はあるにしても、市場規模が小さい韓国では、外国為替や債券の取引量や取引高はまだまだ少ない。この辺りは近年増加傾向であるが、注目されるほどのことはあまりない。

韓国政府が債券に税金をかけるといっても、それの効果はたいしたことないということだ。

そして、また出てきたのが韓国版トービン税の導入である。

トービン税

トービン税とは、外国為替取引(FX)に低率の税金を課すことで、投機目的の取引を抑制する税制度のこと。短期的な取引にトービン税が付加されるなら、外国為替取引が抑制されるのでヘッジファンドにとっては痛い税制度といえる。

ただ、記事にも書いてあるとおり、トービン税は韓国投資そのものの撤退を促す可能性がある。韓国資産の投げ売りが始まればウォンの大暴落が始まる恐れがある。そうなってしまえば、もう止められない。通貨危機の悪夢が再び到来する。

現実化する円安の恐怖

インドネシアの大手パイプメーカーのスピンドではこのところ逆転した韓国と日本の価格表が話題だ。先月末に契約した東京製鉄の熱延コイル契約価格は1トン 当たり660ドル。韓国製はこれより高い1トン当たり680~690ドルで契約した。この契約分は4~5月に供給される。

鉄鋼供給を仲介する韓国系商社の支店長は、「インドネシア進出20年で初めて体験すること」と話した。これまで日本製品は 韓国製より少なくても1~2%高く売れた。

彼は「日本企業が在庫がないと言うので韓国のものを買っているのが実情」とし、「このまま行けば韓国企業は 5~6月の船積み分はやむを得ず損して売らなければならないだろう」と予想した。

円安の恐怖が現実になった。海外市場では価格逆転現象が起きる品目が現れた。韓国の100大輸出品のうち日本と競合関係にある製品は約半分の49品目に達する。このうち電子・IT業種を除いた相当数は相対的に安い価格が韓国製品の支えとなっていた。(途中省略)

円安の産業別影響を議論するために設けられた 非公開会議だった。機械業種では現在2億8000万ドルの輸出減少が起きていると報告された。1ドル当たり100円まで円安が進めば輸出減少は11億1200万ドルに達すると予想された。

すでに韓日間で悲喜が交錯する品目も複数に上る。韓国貿易協会によると韓国の輸出1位品目である灯油など石油製品は昨年12月の輸出 が前年同月比9.2%減った。しかし日本はむしろ3.3%増えた。

電気回路関連製品輸出もやはり韓国は12.6%減少したが日本は8.4%増加した。新た に実った果実、これから実る果実を先に取って食べるのも円安で財布が厚くなった日本企業だ。「タンドラ」「タコマ」など軽トラック部門が強いトヨタは米国 の住宅新築や補修が増えるとすぐ軽トラック販売が今年に入り20%増えた。

新興市場でも日本の攻勢が強化された。トヨタはオマーンで自動車価格を最大 18%引き下げ、日産はクウェートで最大3500ドルの価格割引をしている。

日本車ビッグスリーの昨年の中東での販売は88万台余で前年同期比30%増え た。特に昨年の中東地域での自動車販売増加の70%はトヨタによるものだった。アフリカやオーストラリアなどでも日本車の割引マーケティングが続いている。(後は省略)

現実化する円安の恐怖、徐々に失速するMade in Korea(2) | Joongang Ilbo | 中央日報

これも長いのでかなり省略した。全文読みたい人は記事のリンクを辿って欲しい。さて、色々と書いてあるのだが、かなりぶっちゃけて解説すると、韓国製品と日本製品が同じ価格になれば勝負にならないということだ。

つまり、ウォン安によって韓国製品は日本製品より価格が2割、3割安かったわけだが、日本の輸出業は最近の円安によって、その価格差がなくなってきている。そうなれば、品質で日本製品に劣る韓国製品が勝てるわけがない。

所詮、日本の技術をぱくりまくって起きた産業ばかりなので、日本を追い越すことなどできるはずもない。競合品が49品目がある時点でおかしいだろうに。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 外国人(ウォン)

11日 2003.35 1094.80 540.44 264.70 -2210億
12日 1993.34 1095.20 543.88 262.45 -1110億
13日 1999.73 1097.40 549.73 262.90 -100億
14日 2002.13 1109.00 553.58 263.05 -1832億
15日 1986.50 1110.30 554.81 263.40 -5887億

今週の予想ウォンは1085~1100と予想していたが1110ウォンのウォン安となった。08日が1090ウォンだったのでウォン安傾向になるとは予想はできたが、20ウォンも下がるとは思わなかった。

原因はアメリカの景気回復期待によるドル買いである。後は北朝鮮リスクというのもある。これについては前回に触れたとおりで、これからアメリカの経済指標やダウが改善されていくなら、ウォン高への圧力はかなり緩和されていくことだろう。

大事なのはKOSPIが下がっており、外国人が投げ売りしているところだ。特に15日のデータに注目していただきたい。KOSPIは2000を割って、外国人が-5887億ウォンを売却している。

今後、過度なウォン安で為替介入が起きるかどうかだが、韓国の適正レートは1100~1150ぐらいだ。つまり、これに到達しない限りは、ウォン安で為替の介入は低いとみる。

そして、来週も米経済回復期待、5000億ドル以上の外国人株式純売り渡し、北朝鮮リスクを見ても、ドル買い心理であろう。

ただ、イタリアの債務危機問題が気になる。今、なぜか市場がほとんど反応していない。この前は、イタリアの政治低迷によってダウや日経が大幅に下落して、円高にもなったのだが……。気になるがウォン安傾向が覆ることは少ないだろう。

来週の予想レートは1105~1130としたい。

以上。今週はこれで終わる。さて、来週はシャープがサムスンと資本提携を結んだという衝撃的な事実がある。どうして、シャープは仇敵ともいえるサムスンと手を組まざる得なくなったのか。サムスンの狙いはどこにあるのかを解説していく。

読者様の購読に深く感謝する。これからも温かい応援の程をよろしくお願い致します。

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