第95回「韓国経済に赤信号。サムスン電子株暴落からKOSPI、ウォンも投げ売り状態
配信日:2013年6月23日
最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)
今週、韓国経済のメルマガは先週予定していたサムスン電子とウォン、KOSPIについて見ていく。
先週の最後に危険な兆候だと述べたわけだが、今週はその通りの動きとなった。ただ、ウォンがここまで下がるとは予想外である。金曜日の最安値が1159 ウォン。しかも、ここから為替介入を行ったことがわかった。それで、少し戻して終値は1156ウォンとなり、ほとんど為替介入分は食われてしまう結果と なった。
また、KOSPIのほうもサムスン電子株暴落から、1900以下となり、今週は1800を切る直前まで暴落した。最終的には1822となったのだが、ウォンとKOSPIを見れば韓国経済に激動が走ったことは確かである。一体何があったのかを今から説明していこう。
では、記事のチャートを貼る。また、今回はいつも最後に見ていた「今週の韓国経済」の中身が中心となる。
記事のチャート
今週の韓国経済→サムスン電子株の暴落→20日の韓国経済→中国銀行間市場の金利上昇 オーバーナイト→21日の韓国経済
今週の韓国経済
日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)
17日 1883.10 1126.20 524.50 246.50 -642億
18日 1900.62 1131.10 534.26 247.70 -1580億
19日 1888.31 1130.80 531.41 246.70 -1285億
20日 1850.49 1145.70 525.59 240.35 -4610億
21日 1822.83 1154.70 520.89 236.65 -7800億←韓国政府の為替介入
以上。今週の予想レートは1125~1140だった。今週の韓国経済が暴落であったことは数値を見ればはっきり読み取れる。19日まではそれほど値動きが なかったわけだが、20日、21日と酷いのでこの二日を詳しく見ていく。さて、今週を振り返る前に、サムスン電子の暴落ニュースについて少し触れておきた い。
サムスン電子株の暴落
サムスン電子株価が一日に6%以上も下落した。7日のKOSPI(韓国総合株価指数)市場 でサムスン電子は前営業日比9万4000ウォン(6.2%)安の142万7000ウォンで取引を終えた。時価総額は224兆ウォン(約20兆円)から 210兆ウォンへと一日に14兆ウォンも減少した。
サムスン電子株価を引き下げたのは前日JPモルガンが出した報告書だった。JPモルガンはサムスン電子分析報告書で、ギャラクシー S4の今年の販売推定値を従来7900万台から5900万台に下方修正した。4月末に登場した後1カ月間に世界で1000万台売れたが、最近になって販売 が鈍化する信号が表れているという理由だった。
JPモルガンは「サムスン電子に(スマートフォン用)カメラ部品、本体、アプリケーションプロセッサー(AP)を納品する会社を通じて確認した結果、注文 量が月1000万台から最近700万-800万台に減少した」と主張した。ギャラクシーS4販売が停滞した原因については欧州の景気 低迷を挙げた。外国人はこの日、サムスン電子株を6650億ウォン売り越した。 (後、省略)
(http://japanese.joins.com/article/509/172509.html)
21日の現在、サムスン電子株は132万5000ウォンとなっている。一気に下がったことで、多少の反発あったようだ。ただ、それ以外の韓国株価はほぼ全滅といっていいほど下がったので、KOSPIは1806まで落ちた。
6日は150万ウォン→21日で132万ウォン・・・だいたい15%ほど値下がりしたことになる。スマートフォンしかないとずっといわれているので、サムスンの新事業が軌道に乗れないなら、さらにサムスンの株価は下がるだろう。
20日の韓国経済
では、20日の韓国経済に話を移す。ウォンとKOSPIが暴落した原因は主に二つ。一つは、アメリカが米国債を大規模に買い入れる現在の金融緩和策の指針 を発表したことで米国債の金利が急騰、 ドルが上昇し、ウォンを売ってドルを買う動きが強まったこと。つまり、ドル高ウォン安の流れとなった。
ここまでは大体の予想通りといったところだ。問題は2つ目の理由である。それは、中国の6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が 市場の予想を下回ったことから、韓国経済への悪影響に対する懸念である。
製造業購買担当者景気指数(PMI)の速報値が48.3となり、9カ月ぶり安値に下落した。つまり、中国の景気低迷がはっきり数値から見て取れたことで、中国依存3割の韓国経済がやばいという認識である。
中国銀行間市場の金利上昇 オーバーナイト
渡邊哲也さんのTwitterによると、中国銀行間市場の金利上昇 オーバーナイト(一晩)もので30%超えているらしく、銀行間での取り付け騒ぎが起きているのこと。これを見て調べてみた。すると、そのニュースが本当だとわかった。
>(一部省略)その中国では上海短期金融市場の混乱に拍車がかかっており、翌日物の債券レポ金利は午後3時05分現在で前日比613ベーシスポイント (bp)上昇の14.00%と10年ぶり超の高水準になっている。一時30.00%で取引された。ベンチマークとなる7日物の債券レポ金利は同437bp 上昇の12.87%となっている。
中国では、今月に入ってからの資金需給の逼迫(ひっぱく)が今週さらに悪化しており、銀行やその他金融機関は非中核事業の縮小を余儀なくされている。エコ ノミストは、短期金利が高止まりした場合、融資コストの上昇を招く可能性があると指摘。流動性の逼迫が改善しなければ、中国の景気減速に拍車がかかるとの 懸念が出ている。
市場では、中国人民銀行(中央銀行)に資金供給の実施を求める声が強まっているが、人民銀は応じていない。(省略)<
(http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE95J05X20130620?pageNumber=2&virtualBrandChannel=0)
さらに、人民銀が明日、資金供給したニュースがある。
>6月21日(ブルームバーグ):中国人民銀行(中央銀行)は20日、国内金融システムに500億元(約7900億円)を供給した。交通銀行の中国担 当チーフストラテジスト、洪灝氏が明らかにした。同日の中国金融市場では資金の逼迫(ひっぱく)で、指標となる短期金利が過去最高に達した。
洪氏は電話取材に対して、500億元は短期の流動性オペレーションによって銀行1行に供給されたと述べ、他の複数行も資金獲得に向けた協議をしていたと説明した。洪氏は今回の資金供給について、メカニズムの「適切な活用」だと評価した。
洪氏は金融業界の複数の匿名の関係者の話を基に、人民銀が翌日物5.1%、7日物5.4%の金利で資金を供給したと話した。人民銀の報道官は行内規定を理由に匿名を条件に、資金供給については承知していないと述べた。
ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、ウィーコーン・チョン氏(香港在勤)は「資金供給があって当然だと思う。市場の安定は常に監督当局と中銀の最優先課題のはずだ」と語った。
人民銀が流動性不足に対処するための公開市場操作を手控えていることから、中国の銀行間金利は20日に跳ね上がった。銀行間資金の取引センターNIFCに よれば、翌日物レポ金利 は前例のない527ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇で、過去最高の12.85%となった。7日物は270bp上昇し、過去最高の 10.77%。
中国銀行は20日、全ての支払いを遅滞なく行ったと自行のミニブログで明言した。中国工商銀行(ICBC)の広報担当者は、同行が人民銀から資金供給を受けたかどうかについてコメントを控えている。
(http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MOOMFP6JTSF201.html)
これを見る限りでは、渡邊哲也氏の情報に信憑性が出てくる。どうして資金提供をしたか理由は説明されていない。つまり、他の銀行が貸してくれないので、中国政府が資金供給をしたということだ。中国が表だった理由をのべるはずもないのはおわかりだろう。
こ のような動きがあり、中国経済もかなり逼迫している状態となっている。バブル崩壊が間近なのか、貿易統計が4倍に水増しされていた事実も発覚している。中国経済の実態が明るみになれば、韓国経済はついでに滅んでしまうかもしれないので、管理人も注意してみている。そうした動きがあり、21日はさらにウォン 安、KOSPI暴落となる。
21日の韓国経済
すでに、先ほど述べた通り、開幕からウォンの投げ売り状態である。そこで、韓国政府は1159ウォンで為替介入を行った。
>トレーダーによると、韓国外為当局は21日、ウォン安抑制に向けて米ドル売り介入を行ったもよう。0543GMT時点で、ウォンは1ドル=1151.9 ウォン付近で取引され、一時付けた安値1159.4ウォンから大幅に上昇したが、国内市場の前営業日終値1145.7ウォンからは大きく下げている。
(http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPT9N0E404620130621)
1160ウォンはまずいという判断だろう。つまり、この先、ウォン安になれば韓国政府は介入する意志を見せたことになる。そのため、来週のウォンもかなり激動になる可能性がある。
ここまで行くとどのタイミングで介入をするか。1150.1160辺りが確率が高そうだが、ウォンの数値が全く読めない。介入判断で数値が変わってしまう。
しかも、日本との通貨スワップ終了予定が7月3日とある。当然、このままでは中国に支援を受けなければいけなくなるわけだが、その中国も韓国なんかに構っている暇があるのか。予想レートは1140~1170辺りだろうか。ということで、来週の韓国経済も目が離せない。
さて、次週の予定だが、こうなってしまうと「中国経済の現状認識」が重要となる。
管理人は中国経済についてはそれほど詳しくないので特集するのは難しいのだが、今後の韓国経済に大きく影響するのは目に見えている。なので、色々調べて書いてみようと思う。もちろん、今週の韓国経済に大きな動きがあればそちらを特集する予定だ。
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