第93回「7月の日韓通貨スワップ協定終了で韓国経済は崩壊するのか」
配信日:2013年6月9日
最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)
今週の韓国経済は「日韓通貨スワップ協定」を特集する。2013年7月、日韓通貨スワップ協定は韓国側の延長要請がない限り終了するわけだが、日本ではイ ンターネットを通じて、それによって韓国経済は崩壊するという噂がある。噂の検証するまでもなくそれは「デマ」である。それについても解説していく。で は、記事のチャートを貼る。
記事のチャート
日韓通貨スワップ協定とは→日本側にメリットはあるのか→韓国が行っている通貨スワップ協定→7月に廃止されて韓国経済は崩壊するのか→今週の韓国経済
日韓通貨スワップ協定とは
2005年に、日本はアジアの通貨危機に備えて、韓国、中国、ASEANといったアジア諸国と通貨スワップ協定を締結した。
通貨スワップの目的は主に為替レートの安定である。ヘッジファンドなどによる大規模な通貨の一方的な売買で、為替レートが急激に変化した場合、国の中央銀行は為替介入を行う。この為替介入は基本は外貨準備高で行う。
また、この通貨スワップ協定はよく勘違いされるが、これは国の条約ではない。あくまでも国の中央銀行同士の金融協力である。なので、通貨スワップ協定は日銀のサイトに掲載されている。
仮に外貨準備高が底をつき始めたときにスワップを要請すれば、相手国の通貨を予め定められた一定レートの通貨と交換してもらうことができる。
これである程度の通貨が供給されるので、韓国では外貨準備高+通貨スワップ協定の金額がなぜか介入出来る資金としてニュースになる。
また、リーマン・ショック時に日韓通貨スワップ協定は200億ドル、2011年に欧州危機によって300億ドルと増額されたわけだが、全部借りるにはIMFの承認が必要となっていた。
チュンマイ・イニシアチブもそうだが、通貨スワップ協定は自由に使える介入資金という見方は間違いである。使えば外貨準備高が底をついたと投資家から見られるからだ。そのため、IMFの承認がいた。
しかし、民主党政権が締結したドル・自国通貨スワップ300億ドルはIMF承認は必要なかった。民主党は韓国を助けるのに必死だったわけだ。
日本側にメリットはあるのか
韓国のメディアでは日本が韓国に通貨スワップ協定要請したというふざけたデマが流されているのは、あくまでも日韓両国経済が共に安定的に成長していくことを目的という建前があるからだ。
ちなみに、通貨スワップ協定そのものに日本側のメリットは一つもなく、デメリットしかない。日本の通貨スワップ協定は主に他国への経済支援である。なぜなら、日本経済が崩壊したらこのような資金でどうにかできる市場ではない。
デメリットとしては交換した通貨スワップそのものが、介入資金が底をついて韓国側が返さないこと。これはリーマン・ショック時からいわれており、700億ドル相当のリスクがあった。
だが、ご存じの通り、2012年に韓国の前大統領、明博氏が、日本の固有の領土である竹島に不法上陸を行い、我が国の天皇陛下を侮辱したことで、日韓関係は急激に冷え込んだ。
そこで、野田政権が増額分の延長を打ち切った。その時の韓国メディアの報道は日本側が要請した。そんなものは必要ない。今までの感謝の言葉すらなかった。
はっきり述べておくと、このような態度ででる韓国を助ける必要はないだろう。
韓国が行っている通貨スワップ協定
2001年 チュンマイ・イニシアチブで日本から100億ドル、中国から40億ドル
2005年、日韓通貨スワップ協定30億ドル←7月に終了予定?
2008年 米韓通貨スワップ協定300億ドル←現在失効中
2008年 韓中通貨スワップ協定、64兆ウォン
2011年 ドル・自国通貨スワップ300億ドル←2012年10月終了
以上。
韓国が締結している通貨スワップ協定の一覧を作ったわけだが、今回、7月に失効される予定なのは2005年の日韓通貨スワップ協定30億ドルのみである。この時点で、韓国経済が通貨スワップ失効で7月に崩壊するというのがデマであることはわかるのではないだろうか。
7月に廃止されて韓国経済は崩壊するのか
30億ドルがなくなっても、チュンマイ・イニシアチブで100億ドル、韓中で64兆ウォン(700億ドル相当)の通貨スワップ協定があるの だ。また、発表通りなら、韓国は3281億ドルの外貨準備高を所持している。そのため、韓国経済がたかが30億ドルで崩壊するというのは考えられない。
以上の理由から、7月に韓国経済が終了することはない。ただ、ヘッジファンドや投資家が日本という後ろ盾をなくした韓国市場をどう見るか、少なくとも好意的には見ないだろう。韓国経済が崩壊しないまでもウォン安を招く可能性はある。
今週の韓国経済
日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(単位はウォン)
03日 1989.57 1128.00 569.41 261.30 -190億
04日 1989.51 1122.00 561.55 260.80 1093億
05日 1959.19 1115.80 549.09 256.55 -355億
06日 お休み
07日 1923.85 1117.10 535.75 251.10 -9320億←サムスン電子株暴落
今週の予想レートは1125~1135であった。
予想より、かなりウォン高となったわけだが、この理由は日経平均の乱高下、ドル/円が100円台を突破して99円になってしまったことが上げられる。韓国そのもの理由ではなく、アメリカ、日本の為替レートが大きく影響した。
また、もう一つ重要なのがサムスン電子の株価が暴落したことである。それがどうしてかというと、JPモルガンの報告書にスマートフォン市場で伸び率が鈍化するサムスン電子というニュースが掲載されたためだ。
>サムスン電子株価を引き下げたのは前日JPモルガンが出した報告書だった。JPモルガンはサムスン電子分析報告書で、ギャラクシーS4の今年の販売推定 値を従来7900万台から5900万台に下方修正した。4月末に登場した後1カ月間に世界で 1000万台売れたが、最近になって販売が鈍化する信号が表れているという理由だった。<
つまり、サムスン電子の一度に大量生産、低価格販売というDRAM,液晶テレビで行われた市場荒らしでシェアを独占するといういつものやり方が、スマートフォン市場で限界が見えているということになる。そのため、6.2%の暴落である。
極論をいえば、サムスン電子のギャラクシー売上に韓国経済はかかっている。なぜなら、サムスン電子の利益は70%がスマートフォン関連である。そして、サムスン電子は韓国GDPの15%ほどを握っている。
ギャラクシー(サムスン)が転けたら韓国経済が崩壊するということになる。管理人からすれば、日韓通貨スワップ協定の30億ドルで、韓国経済崩壊のデマより、よほど信憑性があると思われる。
サムスン電子はKOSPIの5分の1の時価総額であるので、サムスンが転けるだけでKOSPIは暴落する。いかに韓国がサムスンしかないことがわかるニュースでもある。
さて、このウォン高は一時的なものと思われるので、来週には元に戻っていると思われる。予想レートは1110~1120ぐらいとしておく。韓国経済は他国 の経済に悪影響されることが多い。アメリカの雇用統計が良ければドル高となるので、自然とウォン安傾向になると思われる。
次回の予定だが、今年も韓国の「電力危機」がやって来ている。
昨年も同じように取り上げたのだが、どうしてそうなったかは少し事情が異なる。例の韓国原発で偽装書類部品が大量に使われていることが判明して韓国の原発は停止した。そのため、電力供給が追いつかないのだ。つまり、今年の夏もブラックアウトの危機が迫ることになる。
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