日別アーカイブ: 2015年12月22日

第99回「サムスン電子が営業利益8500億円と過去最高を更新…しかし、株価は2013年6月以降は20%低下」

第99回「サムスン電子が営業利益8500億円と過去最高を更新…しかし、株価は2013年6月以降は20%低下」

配信日:2013年7月28日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週、韓国経済のメルマガは第99回目を迎える。特集のテーマは韓国のGDP3割を超える超巨大企業のサムスングループ系列である。むしろ、この時点でおかしいわけだが、その中の筆頭企業として、サムスン電子の近況について見ていく。では、記事のチャートを張る。

記事のチャート

サムスン電子が営業利益8500億円と過去最高を更新→DoCoMoのツートップ→サムスンの衰退が韓国経済を崩壊させる→今週の韓国経済

サムスン電子が営業利益8500億円と過去最高を更新

サムスン電子は2013年4~6月期決算によると、売上高は前年同期比20.7%増の57兆4600億ウォ ン(約5兆1100億円)、営業利益は47.5%増の9兆5300億ウォン(約8500億円)となり、いずれも四半期ベースで過去最高を記録したという。

この決算の好調理由はスマホ販売が好調だという。これだけ見ればとても株価が上がる好材料なのだが、当日の株価はむしろ下がっている。そして、サムスンの三ヶ月の株価を見ていくと興味深いことがわかる。メルマガではグラフが載せられないのでロイターのリンクを張っておく。

http://jp.reuters.com/investing/quotes/chart?symbol=005930.KS

チャートを見ると6月の1,553,000ウォンをピークに軒並み下がり続けている。

株価なので多少上下に変動があるとしても、営業利益が公開された後、現在の株価は1,303,000ウォンであり、これは前日より、-12,000ウォン 下がっている。つまり、過去最高を記録した営業利益でも投資家にとってあまり好材料に働いていないことがわかる。三ヶ月で20%も下がったわけだが、これはソニー1社の時価総額分に等しいほど。この原因となったのが主力品がスマホ販売しかないことが上げられる。

しかも、この営業利益が過去最高でも、市場予測より低いということで、サムスンのスマホ販売が伸び悩んでいるということを露呈してしまった。また、もう一つ重要なのがサムスンの営業利益の7割が携帯端末事業ということ。

最も、そのスマホ販売も本当に好調かというと、いくつも疑問が出てくるのだが、日本でサムスンのスマホ、ギャラクシーを販売しているDoCoMoだが、そのキャンペーン内容はご存じだろうか。これが面白いので少しのぞいてみよう。

DoCoMoのツートップ

>「ドコモの顔とも言える、ツートップ」

加藤薫社長が2013年5月15日の今夏向けモデル発表会でこう紹介したのが、ソニーの「エクスペリア」と韓国サムスン電子の「ギャラク シー」の最新機種だ。この日は同時に富士通やシャープ、NECカシオなど他メーカーも新製品を披露したのだが、2機種だけが「特別待遇」となった。ウェブ サイトも「ツートップ」として別格の扱いをされている。

他の機種と明確に区別されているのが、価格だ。10年以上継続してドコモ回線を使っていたり、従来型携帯電話から乗り換えたりする場合に料金 を割り引く。プランによってエクスペリアの端末価格は実質5000円に、ギャラクシーも1万5000円ほどにまで下がるという。これ以外の新製品の価格は 出ていないが、加藤社長は報道陣に「1~2万円くらいの差がつくと思う」と発言している。<

(http://www.j-cast.com/2013/05/16175241.html?p=all)

エクスペリアとギャラクシーがツートップという言葉を是非とも、覚えておいてほしい。では、そのツートップの販売台数は2013年6月18日の株式総会で公開された情報ではこうなっている。

エクスペリア 64万台
ギャラクシー 32万台

なんと二倍の台数差が出ている。これが最新の情報によると、エクスペリアが110万台、ギャラクシーは55万台とさらに離されているのがわかる。つまり、エクスペリアが欲しいのに、在庫がないのでギャラクシーをすすめられて買うユーザーが多いということだろうか。

なぜ、DoCoMoの店員はギャラクシーをすすめるのか。エクスペリアの方が性能が圧倒的であるにも関わらず、格安でギャラクシーを売ろうとする。考えら れる理由は仕入れ価格が安いから。実質15000円で買えるぐらいだ。DoCoMoはいったいいくらでギャラクシーを仕入れているのか。そして、これがサ ムスンの営業利益過去最高のからくりである。

サムスンの薄利多売戦略を何度か以前にも説明したが、スマートフォンでも同じことをしている。ということは、DRAM、液晶テレビのように、また同じ道を辿ることが予想される。

サムスンの衰退が韓国経済を崩壊させる

もう一つの大事な視点として、サムスン電子の善し悪しは韓国経済にとって大きな影響があるということだ。最初に申し上げた通り、サムスングループの売上高はGDPの3割を超える。KOSPIの時価総額の25%がサムスン電子である。

つまり、サムスン電子の株価が20%下がるだけで、KOSPIも大幅に下がったことになる。これが2000あったKOSPIが1800台まで下がってきた 一つの要因でもある。最も、サムスン電子は事業を拡大して成長しているのに、韓国経済全体の伸び率は鈍化している点も憂慮しておく必要がある。何にせよ、 サムスンが傾けば韓国からの投資が一気にはじけ飛んでしまうので、これからの株価も要チェックというところだ。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

22日 1880.35 1118.90 541.14 243.70 -192億
23日 1904.15 1117.00 541.64 247.05 2942億
24日 1912.08 1112.70 543.60 247.75 -1815億
25日 1909.61 1116.10 541.94 247.90 1553億
26日 1910.81 1111.10 545.31 248.85 1670億

今週の予想レートは、1125~1140だった。

今回は大幅に外れてウォン高となったのだが、管理人の読み違いは日本の参院選での影響である。自民党が圧勝して、株高、円安となると思ったら、逆に株が下がり、円が上がってしまった。現在は1ドル=98円台である。97円突破もあり得るので、今後為替レートも注目だろう。

そして、もう一つが世界的なドル安である。韓国のウォンも、ドルが安くなったために相対的にウォン高となった。この傾向が続くとなればウォン高が続く可能性が高い。ただ、いきすぎたウォン高は介入される懸念が出てくるのでそれほど一気に進むとは思えない。

来週の予想レートは1100~1120にしておく。

以上。今週はこれで終わるが、来週はいよいよ記念の100回を迎える。テーマは「2013年9月以降の韓国経済の展望」である。これから先、韓国経済がいったいどのようになるのか。輸出依存経済なので、他国の状況次第といえばそれまでであるのだが、そのような展望を詳しく見ていく。

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第98回「9月、世界銀行とIMFが韓国銀行へのストレステストを実地。賄賂責めで危機を回避する!?」

第98回「9月、世界銀行とIMFが韓国銀行へのストレステストを実地。賄賂責めで危機を回避する!?」

配信日:2013年7月21日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週の韓国経済のメルマガは世界銀行とIMFが行う韓国銀行へのストレステストについてである。ストレステストは経済用語の中でも専門的な部類に入るので一からわかりやすく説明していく。それでは、記事のチャートを張る。

記事のチャート

ストレステストとは何か→2013年9月、韓国でストレステストが決定→韓国政府、慌てて地方債を政府負債に導入→今週の韓国経済

ストレステストとは何か

ストレステストというのは、アジア通貨危機、リーマン・ショックなど、金融市場での予期せぬ事態が生じた時、ポートフォリオ(運用資産)の損失、または損失の回避策を予めシミュレーションしておくリスク管理手法のこと。

ストレステストという言葉が有名になったのは2009年のリーマン・ショック後である。最近は、原発ニュースでも良くこのストレステストという言葉が使われるのだが本来の対象は異なっている。

一般的に、ストレステストは銀行だけではなく、証券会社、生命保険会社、損害保険会社、資産運用会社、企業年金、持ち株会社、リース商社など、幅広い分野で行われている。ただ、今回のメルマガで関係があるのは「銀行」のみなので、銀行だけに焦点を絞っていく。

管理人が欧州危機のニュースをチェックしていたときに、ちょうど注目されていたこともあって知ることになったのだが、つまり、ある世界的な危機が起きたと きにその銀行はどれぐらい耐えることができるのか、または、自己資本比率の低下が想定範囲内なのかといったテストである。

言い換えれば、ストレステストの目的は「客観的な審査で、市場の不安感を解消すること」である。

■ストレステストの実際例

実例として、FRB(連邦準備制度委員会)、米金融当局が行ったのをあげておこう。、

FRBが行ったのは、今後2年間に予想以上に景気が悪化した場合の損失発生状況などを査定し、資本不足額を試算したもので、金融機関の資産内容の透明性を高めることで、資本増強を促し、金融システムの安定化が狙いであった。

ただ、このストレステストには色々問題が発生している。次はそこをみていく。

■ストレステストの問題点その1「不合格となった銀行への信頼低下」

先ほど、ストレステストの目的は「客観的な審査によって、市場の不安感を解消すること」だと述べた。

しかし、ストレステストの結果が不合格の場合には、むしろ信用不安が増大するという問題点がある。起きてもいない危機を想定して事前に対応することはとて も大事なことであるが、それを一般的に公開して不合格となれば、あの銀行は危機には耐えられないという評価が下されてしまうわけだ。評価というのは一人歩 きするので、銀行の信頼を失いかねない。

■ストレステストの問題点その2「審査の判断基準が事前に公開されない」

もう一つの問題点として、ストレステストは客観的な審査のはずなのに、その判断基準が事前には公開されない。つまり、意図的な操作が行われている可能性があるということだ。

ただ、客観的な審査を事前に公開することはリスクも発生する。これが次に紹介するストレステストの課題にもつながる。

■ストレステストの課題は「納得」させる目的と整合性

ストレステストの問題点その2にも関連するが、ストレステストで行う危機的な状況へのシミュレーションというのは、その目的設定によって大きく結果が異な る。つまり、判断基準の難易度によって、合格、不合格が決まるわけだ。難しいと思うのでわかりやすい例で説明していこう。

例えば、リーマン・ショックみたいな金融危機が起きたと想定してストレステストを行う。ある銀行の自己資本比率は3%まで落ちた。別の銀行は4%だった。この時、4%以上の銀行は合格で、3%以下の銀行は不合格となる基準だった。

これぐらいわかりやすいなら苦労はしないのだが、言いたいことはその判断基準をどこまで厳しくするかでも合否の判断が異なってくる。もし、このような判断基準が公開されたらわかりやすいが、それで銀行の危機対処能力が低いことを露呈する。

つまり、起きてもいないリスクが考慮されて、銀行の未来の自己資本比率の低下を招くことになる。不合格になった銀行にお金を預けたいと問われたら、多くの預金者はNOとこたえるだろう。

このような理由から、合格、不合格の審査基準を事前に公開するのは難しいわけだ。だが、そうなればストレステストの目的と整合性が取れない。

銀行に将来の資本増強を促すのが目的なら、合格、不合格の二択で決めてしまうことへは違和感を覚えるわけだ。といっても、数値で決めてもあまり変わらないかもしれない。何かの判断基準による合否はその影響を未来に及ぼす。

極端な可能性でいえば、金融危機が5年後に起こるとは限らないのだ。当然、起こらないとも限らない。

このように銀行のストレステストを有効的に活用するのは難しい。今後の課題といえる。以上を踏まえて韓国でのストレステスト実地ニュースについて見ていこう。

2013年9月、韓国でストレステストが決定

>国際通貨基金(IMF)と世界銀行は、経済危機に直面した際、韓国の銀行にどれだけ抵抗力があるかを調べるストレステストに着手した。家計債務の増大に 加 え、景気低迷で建設、造船、海運などの業種で不良債権が増えており、危機が深刻化した場合に銀行が財務の健全性を維持できるかがチェック対象となる。

金融委員会によると、IMFの局長級を団長とする6人程度の評価団がこのほど韓国入りしており、4日には国民銀行など4大銀行のリスク担当役員と会合を持ったという。

今回のストレステストは、IMFが加盟国の金融システム、金融監督体制などが国際基準を満たしているかを確認するために実施する特別プログラムに沿ったも ので、1999年に導入された。世界的な金融危機後の2009年に主要20カ国(G20)が参加して発足した金融危機対応機関、金融安定理事会(FSB) の加盟国は5年ごとにテストを受けなければならない。9月にはIMFと韓国政府による定例協議が行われ、ストレステストの結果は11月ごろに公表される。

金融委関係者は「ストレステストはこれまでIMFの人手不足で延期されてきたが、2004年以降10年ぶりに実施されることになる」と説明した。

(http://kankokukeizai.kilo.jp/2013/07/05/httpkankokukeizai-kilo-jpp602/#more-602)

韓国では10年ぶりにストレステスト実地が決定した。つまり、9月から行われるわけだが、当然、韓国の銀行は不合格にされたら困るので、賄賂責めということになる。

先ほどの問題点2「審査の判断基準が事前に公開されない」にあげたとおり、意図的な操作が行われる可能性がある。というより、格付け会社の接待を見ている限りでは確実に韓国なら行うだろう。

ここ数年で、韓国の貯蓄銀行がかなり潰れたわけだが、韓国の銀行が自己資本比率といった資産データを誤魔化していないなど、まず考えられないので何か出てくるかもしれない。それが公にされるかは賄賂次第というところか。

韓国政府、慌てて地方債を政府負債に導入

IMFと世界銀行が9月に韓国での10年ぶりのストレステストを行うことになった。おそらく、それの下準備だと思われるが、韓国政府が今まで政府の借金になぜか含めなかったLH,韓国水資源公社といった公共機関の借金も合算した。

これで公開された政府借金が1500兆ウォン(約130兆円)となった。ただ、通貨安定証券、外弊債など、まだまだ含まれていない負債が存在するので、この数字も鵜呑みにはできない。

ストレステストについては9月以降なので、このメルマガでもそのうちまた特集する予定なので楽しみにして欲しい。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

15日  1875.16 1122.00 531.67 244.90 1081億
16日  1866.36 1118.00 537.72 242.65 185億
17日  1887.49 1121.60 541.82 244.65 1193億
18日  1875.48 1126.30 541.56 243.45 -1130億
19日  1871.41 1121.70 541.87 243.00 -1321億

今週の予想レートは1110~1130だった。予想範囲内の動きであったので特に言及することはない。中国経済成長率も市場予測であり、バーナンキ、FRB議長の発言も曖昧なものだった。

さて、来週だが21日に、日本で参議院総選挙が行われる。

市場予想、支持率、政治判断からして自民党の圧勝が予想されている。そのため、アベノミクス、ねじれ解消の影響で円安となり、韓国市場ではウォン安、株安となるだろう。予想レートは、1125~1140ぐらいにしておく。

以上。今週はこれで終わる。来週の予定は「サムスンの株価と衰退」についてである。

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第97回「日韓通貨スワップ協定延長なしが決定。中韓通貨スワップは三年間延長するが実質役立たず!?」

第97回「日韓通貨スワップ協定延長なしが決定。中韓通貨スワップは三年間延長するが実質役立たず!?」

配信日:2013年7月14日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週、韓国経済のメルマガは第97回となる。

テーマは7月4日期限で延長なしとなった日韓通貨スワップ協定の経緯やその後である。期限切れとなった金額は130億ドルのうち30億ドル。少ない額だと思うかもしれないが、通貨スワップ協定では金額よりも、その後ろにある背景国が重視される。

つまり、今まで何度も経済危機に陥った韓国を助けて、その危機防止策まで講じた日本が今後、韓国を助けないと意思表示したということになる。

残りの100億ドルはIMFやASEAN諸国との関係もあり、韓国が自由に使える金額はわずかである。その反対に、韓国は中国との中韓通貨スワップの延長を決定した。では、記事のチャート張って見ていこう。

記事のチャート

中韓通貨スワップ協定、三年間延長決定→韓国側の切実な要求→中韓通貨スワップ協定の現状→今週の韓国経済

中韓通貨スワップ協定、三年間延長決定

日本との通貨スワップ協定延長がなしとわかるニュースが出た頃、韓国の朴槿恵大統領は経済界要人を何十人も引き連れて訪中をしていた。そして、そこで中韓首脳会談を行い、2014年10月の有効期限だった両国間の通貨スワップ協定期間を3年延長することで合意した。また、必要に応じて規模の拡大など検討。

日本に土下座できなかった韓国が中国との通貨スワップ協定、560億ドル相当の規模(約5.5兆円)の延長を決定したわけだが、上に書いたとおり、有効期限が1年もあったのを、なぜ、今の段階で延長を韓国側が求めたのか。

それが、先ほど説明した日韓通貨スワップ廃止での日本の後ろ盾がなくなることでの韓国経済への危機感だと読み取れる。そして、次のニュースである。

韓国側の切実な要求

>28日、パク大統領の中国訪問に随行した関係者によれば韓国は当初、今回の首脳会談を契機に韓中通貨スワップ満期延長を議論することにし、企画財政部と 韓国銀行関係者が中国人民銀行と密かに事前接触を行なっていた。だが、人民銀行は「あえて延長する必要があるのか」と消極的な立場を取ったと伝えられた。 <

(ソースは韓国経済(韓国語)なので2chより記事掲載)

中国は韓国銀行関係者の要請を拒否していた。だが、韓国にとっては日韓通貨スワップが切れるこの時期に何としてでも延長決定にならないと死活問題になる。そこで外交部に助けを求め、中韓首脳会談で韓国側が逆提案するという形での合意となった。

内心、30億ドルなんて大した金額ではないと吹聴しながら、如何に韓国にとって日韓通貨スワップ協定が生命線であったかはわかる行動であろう。それでも日本に土下座したくなかったようだが、今後、韓国経済がさらに悪化すれば、おそらく日本に泣きついてくると思われる。

個人的には日本政府に要求を退けて欲しいのだが、政治の世界というのは駆け引きなのでどうなるかはわからない。

だが、ハードカレンシーでもなく、為替介入でレートを調整する通貨(元)をいくら手に入れたところで、どこまで韓国経済の盤石となるのかを考えれば、はっきり言ってただの「こけおどし」であろう。日本の円と元では信頼度が異なるからだ。

そもそも、中国経済で貿易統計の凄まじい水増しが発覚した以上、あらゆる経済データが信用できない。そして、さらに酷いのは中韓通貨スワップ協定の現状である。

中韓通貨スワップ協定の現状

韓中通貨スワップ資金(3600億元・約64兆円)を活用した貿易決済制度が有名無実化している。国内ウォンの融資金利が相対的に低くなったが、最近、中国の短期金利の指標である上海銀行間貸出金利(SHIBOR・時報)が急騰し、金利の条件が著しく悪化したためである。

○5つの銀行の実績皆無

25日、金融業界によると、7つの都市銀行(国民・新韓・ウリィ・つ・企業・外国為替・農協)の通貨スワップ資金外貨貸し出し残額(20日基準)は700万元(約13億ウォン)に過ぎなかった。

韓国銀行が昨年12月に “韓中通貨スワップ資金取引決済支援制度”を導入してから6ヶ月が過ぎたが、取扱実績は期待に及ばないこと。この制度は、中国人民銀行が通貨スワップに預けた人民元の国内輸入業者が貿易決済資金に使えるようにしたことが重要である。

対中国の貿易をする企業に安定的に人民元を提供することにより、為替リスクと取引コストを削減することができるものと期待を集めた。韓中通貨スワップの常設化の基盤を用意したという点でも注目された。

しかし、銀行や企業の反応は冷ややかだ。

韓銀が数値公開に消極的で、記者が7対都市銀行を調査した結果、ウリィ銀行から700万元程度の融資が出ただけで、残りの6つの銀行は、残高が皆無だった。

これまでの融資をして返済されたものまで含めた完全な外貨融資取扱高も7800万元(約147億ウォン)に過ぎなかった。外国為替とウリィ銀行が実績があるだけで、残りの国民、新韓一つの企業、農協などは開始すらしていなかった。(省略)<

(neverニュース。ソースは韓国語なので2chより記事掲載)

少し長い記事になるのだが、中韓通貨スワップ協定の現状が期待以下だということがわかる。3600億元あっても7800万元しか使っていない。使った銀行 もわずか。管理人も最初は中国との貿易が拡大すれば、通貨スワップでの貿易決済資金としてどんどん使うと思っていた。ところが、蓋を開ければ1億元にすら 達していない。まさに「こけおどし」である。

これは中国市場の金利の問題が関連していると思われるのだが、中国経済を特集したとき、シャドーバンクが拡大した経緯に市場金利が浸透していないことを述べた。つまり、通貨スワップを利用する金利が安定していなく急騰したりしているわけだ。

極端に言えば中国政府の気分次第で元のレートや金利が変化するので、韓国銀行としてリスクを考えれば危なくて使えないとの認識だ。そのため、二国間のス ワップ金利を安定させるシステムを構築する必要があるわけだが、規模の拡大は検討されても、そういったシステム関連での動きはない。

結論を述べれば、中韓通貨スワップは金額こそ大きいが、今のままではほとんど「絵に描いた餅状態」ということになる。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 外国人(ウォン)

08日 1816.85 1152.30 515.85 235.95 -2052億
09日  1830.35 1141.70 519.34 238.45 -1013億
10日 1824.16 1135.80 515.64 236.40 -220億
11日 1877.60 1122.10 527.25 244.20  2770億
12日 1869.98 1124.50 532.47 243.45  1167億

今週の予想レートは1130~1150だった。順調に予想通り動いていたのに11日に一気にウォン高となっている。これには管理人も朝から気づいてブログなどでウォンチャートで高層ビルが建ち並んでいると知らせた。

さて、この原因は、米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が、労働市場の見通しが大幅に改善するまでは緩和措置を継続するとの趣旨の発言をしたこと が好感されてのウォン高である。もう一つは中国経済の成長予測が7,7%から7.5%まで引き下げられたこと。最も、7.5%も成長しているとは到底思え ない。

FRBの議長発言は限定的に影響したと思われるので、このまま韓国の株価やウォンが上がっていく感じではない。ただ、中国のGDP発表が控えており、ドルが上がる可能性が高い。また、韓国内の貿易統計の発表も来週あるので、材料をどう見るかで予想レートが異なる。

ウォン高、ウォン安になる材料が色々揃っているのでそれをぶつけて検討した上での予想レートは1110~1130ぐらいだろうか。どちらに傾くにせよ上昇幅は限定的になると見ている。

以上。今週はこれで終わる。来週の予定は「IMFと世界銀行の韓国へのストレステスト」についてだ。ストレステストとは何かという基本的なところから説明していく。

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第96回「478兆円規模。シャドーバンクが中国経済を第二のリーマン・ショックへと導くのか」

第96回「478兆円規模。シャドーバンクが中国経済を第二のリーマン・ショックへと導くのか」

配信日:2013年7月7日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週の韓国経済は、前回に予告したとおり、中国経済の話題である。先週から株価の下落が続いている中国だが、それは一体どうしてなのかというのが今回のテーマである。その一つの答えに、最近、話題となっているのが「シャドーバンク(影の金融)」である。

これについては初めて聞く読者様も多いと思われるので、シャドーバンクというものがどういうものかについて説明してから見ていくことにする。では、記事のチャートを貼る。

記事のチャート

シャードバンクとは何か→最大478兆円規模?だが、その実態は誰にもわからない→第二のリーマン・ショックが中国で起こるのか?→韓国経済への波及→先週の韓国経済→今週の韓国経済→7月の韓国経済特集

シャードバンクとは何か

シャドーバンクを日本語に直せば、「影の金融」といった意味となる。

私的融資や信託ローン、ノンバンクからの借り入れから、住宅関連のモーゲージブローカー、ファイナンス会社、資産担保証券、資産担保コマーシャルペー パー、銀行の連結対象の投資子会社、マネー・マーケット・ファンド、ヘッジファンド、デリバティブ、銀行持株会社などといったものから構成されている。つ まり、言い方が昭和ぽいが表には出ないが確実に存在する金融である。

最大478兆円規模?だが、その実態は誰にもわからない

問題はその規模が誰にもわからないことだ。これがCDSと似ているところ。もっとも予想が大きいのは、アメリカのムーディーズが数字である。 私的融資や信託ローン、ノンバンクからの借り入れ、資産運用商品を通じた銀行の簿外預金などシャドーバンキング業務の規模は2012年末までに29兆元に 達したとされている。日本円で直すと、478兆5000億円であり、中国のGDPのおよそ3割にも当たる。もっともその実態は中国政府ですら把握できていない。

前回、中国の話題に触れたときで銀行間市場のオーバーナイトの金利が30%を一時的に超えたことを伸べた。銀行同士での貸し借りができない。中国政府が資金供給をしたという記事もあった。他にもなぜかATMから預金を引き出せなく、システムトラブルと片付けていた銀行もあった。そういった銀行がシャードバ ンクからお金を借りていても何ら不思議はない。

しかも、株価暴落は資金供給がされても収まらずに上海総合株価は今週2000を割った。

このような状態から、今年の経済成長率が7.5%を維持できるわけもない。しかも、貿易統計で4倍、さらに他の統計では10倍といった水増しとは思えない数値が確認された。もはや、中国の真のGDPは日本以下、いやドイツ以下だと述べても、それほど間違っているとは思えなくなってきた。

これの問題は日本の国債より酷い。なぜなら、利子によって天文学的な単位で増えて行くからだ。経済に天文という単語が出てきて驚いたと思う。だが、実際に シャドーバンクで借りた利子がわずか数パーセントに済むとか誰も思わない。少なくとも年利10%以上だろう。この規模での借金が年利10%で増加するな ら、天文学的な数字で増加といっても強ち間違いではない。

478兆円規模でのシャドーバンクでの利子を唯一返すことができる方法は中国が偽りでも7.5%以上の高成長をするしかないのだ。低成長では利子の高さで飲まれてしまう。

シャドーバンクの取り立ては日本の消費者金融より酷いと思われるので、借りた人間は表銀行の借金より、こちらを優先するだろう。なら、表銀行の借金はいつ までも放置されて、表銀行は資金を回収できない。よって銀行は資金不足に陥り、倒産してしまう。システミックリスクによって、全ての銀行に波及すれば、第 二のリーマン・ショックの完成である。

だが、中国の場合はただの金融ショックだけで終わらない。報道はされていないが確実に増加している「暴動」が発生することになる。それは中国共産党を潰す 社会問題となる恐れもある。だとすれば、中国政府はシャドーバンクを潰そうと動く可能性がある。それも第二のリーマン・ショックを引き起こしかねない。

第二のリーマン・ショックが中国で起こるのか?

さて、シャードバンクが第二のリーマン・ショックを引き起こす理由は上で述べた通り、二つである。ここで整理しておこう。

1.シャドーバンクの利子増加によって、表銀行の返済が滞る。表銀行が倒産してシステミックリスクを誘発して、リーマン・ショックへ

2.規模が拡大するシャドーバンクを中国政府が規制(高金利の禁止など)に入ることで、シャードバンクのみならず、実体経済を潰してしまい、リーマン・ショックへ

1については上で説明してきたので、2についてだが、そもそもシャドーバンクがこれだけ拡大してきた原因は、市場金利が浸透していないためだ。また、不動産バブルの投資などにもシャドーバンクの資金が大きく影響している。だとすれば、シャドーバンクは中国経済成長のある意味、一つの車輪と捉えることができ る。

ここでもう一度金利について説明しておく。金利とは将来におけるリターンとも取れる。つまり、今、お金を貸して、将来には金利がついてこれだけ資産が増加する。その金額は多ければ多いほど、お金が回る。今、中国政府が一時的に高金利を認めているわけだが、これが高金利を認めないとしたら、どうなるのか…… 低金利で大金を貸すようなことはない。つまり、資金不足となっていく。

お金を借りている企業は倒産し、貸した金融も潰れるといった連鎖が起こりうる。今は大丈夫だとしても、そのようなことが起これば、これも第二のリーマン・ショックに発展することになる。

韓国経済への波及

色々と見てきたが、1と2は同時並行で起こりえるので、どちらにせよ中国の崩壊は避けられない。それが数年後なのかは定かではないが、韓国経済の中国依存 は24.5%で最大の取引先である。今年はさらにその依存が増えると思われるので、崩壊が確実視される中国経済に縋る韓国経済という図式が完成する。

韓国経済は外部的に中国経済崩壊、内部的にも1000兆ウォンの家計債務危機、4000億ドル規模の外債の増加という危機的な状況を抱えていることにな る。どちらも絶賛進行中ということで、今年の9月以降に峠を迎えると予想している。他にも、財政の崖問題などもあるので、9月以降の韓国経済についてはか なり注目だろう。

先週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 外国人(ウォン)

24日 1799.01 1161.40 508.65 233.60 -2493億 日韓通貨スワップ延長なし報道
25日 1780.63 1160.20 480.96 234.10 -1358億
26日 1783.45 1154.50 493.07 232.15 -2169億
27日 1834.70 1149.70 512.25 239.60 1057億
28日 1863.32 1142.00 519.06 242.00 4430億 ←中韓通貨スワップ延長報道

先週の予想レートは1140~1170だった。予想範囲内を推移していたわけだが、27、28日に急激に回復している。これは韓国の5月の経常収支が86 億ドルと過去最大となったニュースや中国株価の下落に歯止めがかかったことがあげられる。経常収支は4月が39億ドルなので、なんと二倍以上である。た だ、これだけで素直に喜べるほど韓国経済の状態は良くない。

経常収支というのは、貿易収支、貿易外収支、移転収支といったものに分けられてるわけだが、大事なのは貿易収支の輸入と輸出の差である。そのニュースを出しておく。

>関税庁が14日に公表した「5月の輸出入動向」によると、5月の輸出額は483億6300万ドル(約4兆5862億円)で、前月より4.5%、前年同月 比で3.2%それぞれ増加した。輸入は424億4800万ドルとなり、前月比3.1%減、前年同月比では4.6%減となった。

注目は輸入が減っていて輸出が増えているところだ。これは不況型黒字の典型例ともいえる。つまり、経常収支が過去最大と喜んでいるわりには、輸入が減っているので内心の経済状態は良くないといえる。

来週の予想レートだが、中国株価の下落が一段落つき、経常収支が過去最大の黒字となったことでウォン高に推移するのではないかと予想する。1130~1145というところだろうか。ただ、中国の動向が読めないので不安な要素はある。

今週の韓国経済(7月6日追記)

6月は第5週があってメルマガが先週休みだった。それで直前の情報が1週間前では得られないので、7月6日に1週間の韓国経済を振り返っておく。といっても、今週はそれほど動いていない。

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 外国人(ウォン)

01日 1855.73 1132.40 527.81 242.30 -300億
02日 1855.02 1134.00 526.92 242.25  382億
03日 1824.66 1143.70 521.31 237.45 -2773億
04日 1839.14 1139.40 525.22 239.30 -853億
05日  1833.31 1142.30 525.40 239.15 -1501億

今週の韓国経済は日経平均が14000円を回復する中で、KOSPIだけが下がっていく感じだった。もっとも1800以下にはなってないので、底は 1800で硬いと思われる。次の重要な数値はKOSPI1800以下となるので、ここが1600まで下がっていくとリーマン・ショック前のKOSPIとな る。外国人も今週は様子見が強い。

ウォンのほうはあまり値動きはしていない。予想レート範囲内で面白みにかけていた。来週の予想も1130~1150というところだ。

後、6日の時点でサムスンの株価がまた下がっている。5日に過去最高益を上げたニュース発表とともに暴落というのは珍しいわけだが、あれだけ大量生産して 出荷数を増やして、過去最高益が前年とたいして変わらないなら、スマートフォン依存の限界が見えたことへの失望売りだと分析している。

7月の韓国経済特集

これはおまけなのだが、7月分の特集内容がだいたい決まったので知らせておこう。97回は日韓通貨スワップが延長しなかった話。98回は10年ぶりに行われることとなったIMFと世界銀行の韓国へのストレステストについて。99回はサムスンの株価と衰退。

そして、8月に入るがいよいよメルマガ100回目を迎える。100回目の予定は2013年9月以降の韓国経済の展望である。

100回目は2013年9月から峠を迎えるであろう韓国経済の問題点を浮き彫りにする。以上のような予定となっているので楽しみにしていただきたい。

以上、今週はこれで終わるが来週の予定は、日韓通貨スワップが7月4日で期限切れとなり、延長しないという決定が出た。このように日本との関係を断ち切っ たあと、韓国の朴槿恵大統領は中国に通貨スワップ延長を自ら申し出た。これはますます中国依存、属国化のフラグだろう。この辺りの経緯を見ていこうと思 う。 読者様の購読に深く感謝する。これからも温かい応援の程をよろしくお願い致します。