第97回「日韓通貨スワップ協定延長なしが決定。中韓通貨スワップは三年間延長するが実質役立たず!?」

第97回「日韓通貨スワップ協定延長なしが決定。中韓通貨スワップは三年間延長するが実質役立たず!?」

配信日:2013年7月14日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週、韓国経済のメルマガは第97回となる。

テーマは7月4日期限で延長なしとなった日韓通貨スワップ協定の経緯やその後である。期限切れとなった金額は130億ドルのうち30億ドル。少ない額だと思うかもしれないが、通貨スワップ協定では金額よりも、その後ろにある背景国が重視される。

つまり、今まで何度も経済危機に陥った韓国を助けて、その危機防止策まで講じた日本が今後、韓国を助けないと意思表示したということになる。

残りの100億ドルはIMFやASEAN諸国との関係もあり、韓国が自由に使える金額はわずかである。その反対に、韓国は中国との中韓通貨スワップの延長を決定した。では、記事のチャート張って見ていこう。

記事のチャート

中韓通貨スワップ協定、三年間延長決定→韓国側の切実な要求→中韓通貨スワップ協定の現状→今週の韓国経済

中韓通貨スワップ協定、三年間延長決定

日本との通貨スワップ協定延長がなしとわかるニュースが出た頃、韓国の朴槿恵大統領は経済界要人を何十人も引き連れて訪中をしていた。そして、そこで中韓首脳会談を行い、2014年10月の有効期限だった両国間の通貨スワップ協定期間を3年延長することで合意した。また、必要に応じて規模の拡大など検討。

日本に土下座できなかった韓国が中国との通貨スワップ協定、560億ドル相当の規模(約5.5兆円)の延長を決定したわけだが、上に書いたとおり、有効期限が1年もあったのを、なぜ、今の段階で延長を韓国側が求めたのか。

それが、先ほど説明した日韓通貨スワップ廃止での日本の後ろ盾がなくなることでの韓国経済への危機感だと読み取れる。そして、次のニュースである。

韓国側の切実な要求

>28日、パク大統領の中国訪問に随行した関係者によれば韓国は当初、今回の首脳会談を契機に韓中通貨スワップ満期延長を議論することにし、企画財政部と 韓国銀行関係者が中国人民銀行と密かに事前接触を行なっていた。だが、人民銀行は「あえて延長する必要があるのか」と消極的な立場を取ったと伝えられた。 <

(ソースは韓国経済(韓国語)なので2chより記事掲載)

中国は韓国銀行関係者の要請を拒否していた。だが、韓国にとっては日韓通貨スワップが切れるこの時期に何としてでも延長決定にならないと死活問題になる。そこで外交部に助けを求め、中韓首脳会談で韓国側が逆提案するという形での合意となった。

内心、30億ドルなんて大した金額ではないと吹聴しながら、如何に韓国にとって日韓通貨スワップ協定が生命線であったかはわかる行動であろう。それでも日本に土下座したくなかったようだが、今後、韓国経済がさらに悪化すれば、おそらく日本に泣きついてくると思われる。

個人的には日本政府に要求を退けて欲しいのだが、政治の世界というのは駆け引きなのでどうなるかはわからない。

だが、ハードカレンシーでもなく、為替介入でレートを調整する通貨(元)をいくら手に入れたところで、どこまで韓国経済の盤石となるのかを考えれば、はっきり言ってただの「こけおどし」であろう。日本の円と元では信頼度が異なるからだ。

そもそも、中国経済で貿易統計の凄まじい水増しが発覚した以上、あらゆる経済データが信用できない。そして、さらに酷いのは中韓通貨スワップ協定の現状である。

中韓通貨スワップ協定の現状

韓中通貨スワップ資金(3600億元・約64兆円)を活用した貿易決済制度が有名無実化している。国内ウォンの融資金利が相対的に低くなったが、最近、中国の短期金利の指標である上海銀行間貸出金利(SHIBOR・時報)が急騰し、金利の条件が著しく悪化したためである。

○5つの銀行の実績皆無

25日、金融業界によると、7つの都市銀行(国民・新韓・ウリィ・つ・企業・外国為替・農協)の通貨スワップ資金外貨貸し出し残額(20日基準)は700万元(約13億ウォン)に過ぎなかった。

韓国銀行が昨年12月に “韓中通貨スワップ資金取引決済支援制度”を導入してから6ヶ月が過ぎたが、取扱実績は期待に及ばないこと。この制度は、中国人民銀行が通貨スワップに預けた人民元の国内輸入業者が貿易決済資金に使えるようにしたことが重要である。

対中国の貿易をする企業に安定的に人民元を提供することにより、為替リスクと取引コストを削減することができるものと期待を集めた。韓中通貨スワップの常設化の基盤を用意したという点でも注目された。

しかし、銀行や企業の反応は冷ややかだ。

韓銀が数値公開に消極的で、記者が7対都市銀行を調査した結果、ウリィ銀行から700万元程度の融資が出ただけで、残りの6つの銀行は、残高が皆無だった。

これまでの融資をして返済されたものまで含めた完全な外貨融資取扱高も7800万元(約147億ウォン)に過ぎなかった。外国為替とウリィ銀行が実績があるだけで、残りの国民、新韓一つの企業、農協などは開始すらしていなかった。(省略)<

(neverニュース。ソースは韓国語なので2chより記事掲載)

少し長い記事になるのだが、中韓通貨スワップ協定の現状が期待以下だということがわかる。3600億元あっても7800万元しか使っていない。使った銀行 もわずか。管理人も最初は中国との貿易が拡大すれば、通貨スワップでの貿易決済資金としてどんどん使うと思っていた。ところが、蓋を開ければ1億元にすら 達していない。まさに「こけおどし」である。

これは中国市場の金利の問題が関連していると思われるのだが、中国経済を特集したとき、シャドーバンクが拡大した経緯に市場金利が浸透していないことを述べた。つまり、通貨スワップを利用する金利が安定していなく急騰したりしているわけだ。

極端に言えば中国政府の気分次第で元のレートや金利が変化するので、韓国銀行としてリスクを考えれば危なくて使えないとの認識だ。そのため、二国間のス ワップ金利を安定させるシステムを構築する必要があるわけだが、規模の拡大は検討されても、そういったシステム関連での動きはない。

結論を述べれば、中韓通貨スワップは金額こそ大きいが、今のままではほとんど「絵に描いた餅状態」ということになる。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 外国人(ウォン)

08日 1816.85 1152.30 515.85 235.95 -2052億
09日  1830.35 1141.70 519.34 238.45 -1013億
10日 1824.16 1135.80 515.64 236.40 -220億
11日 1877.60 1122.10 527.25 244.20  2770億
12日 1869.98 1124.50 532.47 243.45  1167億

今週の予想レートは1130~1150だった。順調に予想通り動いていたのに11日に一気にウォン高となっている。これには管理人も朝から気づいてブログなどでウォンチャートで高層ビルが建ち並んでいると知らせた。

さて、この原因は、米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が、労働市場の見通しが大幅に改善するまでは緩和措置を継続するとの趣旨の発言をしたこと が好感されてのウォン高である。もう一つは中国経済の成長予測が7,7%から7.5%まで引き下げられたこと。最も、7.5%も成長しているとは到底思え ない。

FRBの議長発言は限定的に影響したと思われるので、このまま韓国の株価やウォンが上がっていく感じではない。ただ、中国のGDP発表が控えており、ドルが上がる可能性が高い。また、韓国内の貿易統計の発表も来週あるので、材料をどう見るかで予想レートが異なる。

ウォン高、ウォン安になる材料が色々揃っているのでそれをぶつけて検討した上での予想レートは1110~1130ぐらいだろうか。どちらに傾くにせよ上昇幅は限定的になると見ている。

以上。今週はこれで終わる。来週の予定は「IMFと世界銀行の韓国へのストレステスト」についてだ。ストレステストとは何かという基本的なところから説明していく。

読者様の購読に深く感謝する。これからの応援の程をよろしくお願い致します。

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