第103回「韓国の家計債務980兆ウォンと1000兆ウォンまであとわずか。真の韓国経済危機が迫る!」
配信日:2013年8月25日
最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)
今週のメルマガは家計債務について特集する。100回辺りから韓国経済の脆弱な経済構造 の理由、韓国経済が再び9月以降に危機に陥る理由を10個にわけて説明した。
最新の情報を追加した10個はそこらの書店で並んでいる韓国経済危機本よりは 速報性が高い情報を提供できたと思う。特に電力危機などどこにも掲載されてないまさに旬の情報だった。最も、どの本を斜め読みしても、管理人の指摘してい ることからそれほど外れたものはない。文章は違えど、指摘している点はほぼ同じだ。
さて、今回は家計債務がもたらす真の韓国経済危機とは何かを中心にして、最後に家計債務の最新情報をまとめていく。では、記事のチャートを張る。わかりやすいように、最初に日本の借金について取り上げる。
記事のチャート
日本の借金が1000兆円超えたのは危機なのか?→家計債務がもたらす真の韓国経済危機とは→家計負債980兆ウォン突破→今週の韓国経済
日本の借金が1000兆円超えたのは危機なのか?
最近、日本のマスメディアは日本政府の借金が1000兆円を超えたと報道しているわけだが、それをわかりやすく日本人一人当たり、792万円と報道してい るのはご存じだろう。だが、これは間違いである。なぜなら、国民の借金ではなく、大多数の国民が日本政府に金を貸しているのだ。
つまり、792万円は国民のお金なので借金ではないのだ。この時点で日本のマスメディアが経済に音痴なのかはわかるだろう。簡単な内訳はこうだ。
残高の内訳は、国債が830兆4527億円、借入金が54兆8071億円、一時的な資金不足を補うための政府短期証券が123兆3683億円だった。国の借金は13年度末には、1107兆円になる見通しだ。
このように書いてある。ここでは注目なのは国債である。実は国債は日本の銀行が95%ほど購入している。日本の金融資産は1600兆円である。そして、日 本は世界一の債権国である。さらにいえば、国債の利率はアベノミクスでハイパーインフレになるとか、愚かなマスメディアが述べていたが、ご覧の通り、長期 国債は8月22日現在で、10年物0.759である。1%すら超えていない。これでどうやって日本が破綻するのか教えて欲しいところだ。
つまり、日本人が銀行にお金を預ける→銀行はそのお金を運用するため日本国債を購入→利息が銀行に入る→銀行は預けた資産になけなし利息を出す→以後繰り返し
このような感じなのだ。確かに政府の借金が1000兆円を超えたことははっきりしているが、これは別に今すぐ慌てる問題ではない。プライマリーバランスの問題もあるが、日本銀行は日本国債をほぼ購入している限り、結局、日本人のお金となって返ってくる。
もちろん、内債なのでギリシャのようにはならない。つまり、借金といっても、身内から借りるのと、他人から借りるのは大きくことなるということだ。これは ぶっちゃければ、日本政府が借金を帳消しにするということもできなくはない。大量の円を刷ってばらまくことだってできるわけだ。まあ、さすがにそれは他国 から批判されるのでしないと思うが。
家計債務がもたらす真の韓国経済危機とは
さて、日本政府の借金については解説したとおりだ。でも、これから語っていく韓国の家計債務は日本の事情とは決定的に異なる。つまり、韓国政府、韓国人が 借金しているのは内債ではない。外債であること。また、政府の借金は外債で4000億ドルあること。他にも地方や公共機関の借金がある。
では、韓国人の金融資産はいくらなのだろうか。2011年11月30日で2兆4000億ドルである。これは世界の金融資産の1.3%で、アメリカが22.5%、日本は9.3%であった。
つまり、2兆4000億ドルは資産なので、これが借金より多ければ、それほど問題ないわけだ。980兆ウォンがおよそ86兆円である。2兆4000億ドル は円に直すと、236兆円だろうか。つまり、韓国の金融資産は236兆円ある。この金融資産を上回らない限りは大丈夫である。
さて、家計債務だけでは金融資産を上回らないのだが、実はこれに外債4000億ドル、地方の借金を入れると韓国政府の借金は1500兆ウォンで130兆円 となる。つまり、130+86=216兆円となる。あれ?後、20兆円しかないじゃないか。計算してここまでとはびっくりした。
整理すると
韓国の金融資産は236兆円
韓国の借金は216兆円
日本の金融資産は1600兆円
日本の借金は1000兆円
これを比率に直すと、韓国91%、日本は62%となる。これならわかりやすいだろう。本来、資産も計上して取り上げるのが当たり前である。借金の規模が増 えて1000兆円を超えたと騒いでも、実は62%ぐらいなのだ。一方、韓国は91%である。これが韓国の真の経済危機の実態である。金融資産より、借金の 方が多くなる。しかも、外債である。
韓国政府が徳政令を発動して、韓国政府からの基金での借金帳消しはできても、外債から借りたお金の帳消しはできない。つまり、外債から借りたお金は政府が肩代わりしているのが徳政令の正体なのだ。
額面だけを見てもわからない情報というのはよくある。実際、韓国経済で家計負債の増加がもたらす真の経済危機を理由を分析した韓国メディアは存在しない。管理人が真の経済危機と述べているのは、金融資産と借金の逆転現象である。後、韓国は9%しか余裕がないのだ。
都合の良いことに後、家計債務が20兆円増えたら、金融資産と借金が=となってしまう。最も、この金融資産の内訳は知らないので、ここに不良債権が山ほど含まれていてもおかしくはない。
このように韓国の真の経済危機は着実に進んでいる。だが、これって打つ手がないのだ。日本の場合は円をひたすら刷るだけで解決する。だが、韓国の場合、ウォンを刷りまくれば急激なウォン安となって返ってくる。ウォン安になれば、外債はドルなんで、借金が増加する。
このように、日本と韓国の借金事情を比較しながらまとめたわけだが、実際、全然異なっていることがわかったと思われる。韓国の方が借金事情は日本より遙か に深刻なのだ。くれぐれも額面だけの記事を鵜呑みにしないこと。最も、このメルマガを購読している読者様は経済通だと思われるので、そんなことはないと思 うが。では、最後に最新ニュースを出しておこう。
家計負債980兆ウォン突破
>家計負債がまた急速に増えている。22日の韓国銀行(韓銀)によると、6月末現在の家計信用残額は980兆ウォン(約86兆円)と、過去最高となっ た。4-6月期だけで16兆9000億ウォン増えた。前年同期比の増加率も5.5%にのぼった。増加ペースがまた速まったのだ。家計信用とは、家計が銀行 などで借りた「家計貸出」とカード・分割払いなど「販売信用」を合わせた金額。
家計の負債増加の主な原因は住宅担保貸出だ。6月末の取得税減免終了を控え、住宅取引と貸出が大きく増えた。家計貸出残額は6月末基準で926兆7000億ウォンと、4-6月期だけで17兆5000億ウォン増加した。
一方、販売信用は6000億ウォン減少した。クレジットカードの代わりにチェックカードを使用する人が増え、消費心理も冷え込んだからだ。
家計負債が年内に1000兆ウォンを超えるという予想も出ている。賃貸住宅の保証金が大きく上がり、そのために貸出が増えているからだ。現代経済研 究院の関係者は「急騰する賃貸住宅の保証金が最近の家計負債増加の主要要因として浮上しているだけに、実効性のある安定対策が求められる」と述べた。
(http://japanese.joins.com/article/318/175318.html?servcode=300§code=300&cloc=jp|main|top_news)
さて、サイトの読者様に住宅担保貸出で家計負債が増加したと考えられる理由を説明した。実は、このメルマガで取り上げるつもりで詳しく解説したものなので、ここでも取り上げていく。
>ちなみに韓国政府は来年から中・高所得者の税金を引き上げる政策を示している。朴槿恵政権が低所得者を大事にしているという印象を強めるためと税収確保 が目的だろう。政府の借金もどんどん増えているからな。9月以降は財政の崖に突入して、死んでしまうのも避けたいものな。
家計負債が増えた理由は、住宅担保貸出らしい。韓国では住宅は投資目的に使われる。日本のように住む場所だけではなく、値上がりして売る、または貸すと いったことが頻繁に行われる。そのために、ウォルセ、チョンセという家賃制度がある。これ結構、特別な制度なので、過去に詳しく解説したのだが、賃貸契約 時にまとまった保証金を払えば、月々の家賃を支払う必要がないのがチョンセ。一方、ウォルセというのは毎月決められた額の家賃を払う制度のことをい う。
ウォルセの場合も保証金を一般的に支払う。これには、ウォルセの保証金の金額を多めに払えば、ウォルセの月々の支払いが安くなるというメリットがあ る。つまり、住宅担保貸出というのはチョンセのために資金か、またはウォルセの保証金を先に払って家賃を減額してもらえるという制度から増えていることに なる。
つま り、日本で言う頭金の制度みたいなものと似ている。ちなみにチョンセでも、ウォルセでも契約終了時には保証金は全額返してもらえる。これは韓国の不動産投資で儲かる仕組みがあったためだ。
韓国在住のブロガーさんから教えてもらった情報になるが、韓国の不動産投資の利率10%ほど付いたために、このようなシステムでも成り立っていた。 ただ、最近は不動産投資の利率が減少しているため、チョンセよりウォルセのほうが多いというのも前回に触れたとおりだ。これ以外にも、日本の家賃に相当す るサグルセというものもあるが、これは家賃の一括払いが基本だ。つまり、1年借りたいなら1年分先に払うことになる。<
以上。このように解説した。保証金が増えているということは、チョンセ、ウォルセのことだろう。特にウォルセが最近、増えているのでウォルセが中心という ことになる。この家賃制度はこのように解説しないと、日本の不動産事情とは異なるシステムなので、書いてある意味が理解しにくい。
今週の韓国経済
日付 KOAPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)
19日 1917.64 1115.60 550.49 249.20 1700億
20日 1887.85 1120.80 537.57 245.25 2879億
21日 1867.46 1117.40 530.54 241.80 -1454億
22日 1849.12 1123.00 517.64 240.45 -1018億
23日 1870.16 1116.90 521.19 243.10 1065億
今週の予想レートは1105~1120だった。少し、予想値よりウォン安となった日もあるが、元に戻して予想範囲内に収まった。ウォン安になった理由がド ル高(アメリカの規制緩和の縮小)から来ている。最も、来週も大きな動きはない。ジャクソンホールミーティングが週末にあるが、バーナンキさんは欠席らし いので、いきなり何か凄い発表はすることはなさそうだ。だとすれば、そう大きくは変わらないだろう。
次週の予想レートは1105~1125にしておく。もっとも1110は終値では超えないとみている。
今回はこれで終わる。さて、来週は9月危機まで1週間に迫る8月4週目となる。いよいよ、9月危機があとわずかなわけだが、今回は韓国メディアが9月危機 をどう取り上げているかを紹介していく。昨日、一つだけ出てきたのだが、これから色々と出てくると思う。一方、電力危機の方はブラックアウトはしないで何 とか乗り超えそうな感じだ。もっとも、電力危機の本番は冬なのだが。
読者様の購読に深く感謝する。これからも温かい応援のほどをよろしくお願い致します。