第112回「韓国がインドネシア、マレーシア、UAEなどと通貨スワップ協定を締結。だが、通貨防衛にはあまり意味がない」

第112回「韓国がインドネシア、マレーシア、UAEなどと通貨スワップ協定を締結。だが、通貨防衛にはあまり意味がない」

配信日:2013年11月10日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週の韓国経済は韓国が結んでいる通貨スワップ協定特集である。既にメルマガでも取り上げた通り、7月3日に日本との通貨スワップ協定は縮小して130億ドルだったのが100億ドルとなった。

この100億ドルはチェンマイ・イニシアチブ協定のもので、IMFの同意がなければほとんど使用することはできない。また、この時期に朴槿恵大統領が自らが中国に通貨スワップ協定増額を申し入れている。

一方、日本は韓国との通貨スワップを縮小した後、他のアジアの国と通貨スワップの増額を打ち出している。つまり、韓国や中国を抜きにした日本の独自外交であり、アジア通貨危機が起きないように防波堤を強化したというところだろう。そこに韓国は含まれていない。

そんな中、韓国がインドネシア、マレーシア、UAEなどで通貨スワップ協定を締結している。さらに、オーストラリアやニュージーランドといった国などにも 交渉中である。このような動きがあるわけだが、どうして、韓国は基軸通貨や、ハードカレンシーでない国と通貨スワップ協定を締結しているのだろうか。実は その理由はごく簡単である。

韓国は先進国、アメリカ、欧州、日本に相手されてないからだ。日本の場合はプライドの問題だと思うが、アメリカ、欧州にはほとんど無視されている現状である。

だが、基軸通貨やハードカレンシーでない通貨で果たして通貨防衛の切り札となるのか。否、はっきりいって全然役に立たない。今回はそれを中心に解説していく。では、記事のチャートを張る。

記事のチャート

基軸通貨とハードカレンシー→通貨防衛に使えるのは基軸通貨とハードカレンシーのみ→今週の韓国経済

基軸通貨とハードカレンシー

最初に基軸通貨とハードカレンシーについて簡単に述べておく。基軸通貨というのは基軸通貨というのは国際間決済に広く用いられる通貨のことで、現在では米ドルである。だが、イギリスの大英帝国時代は基軸通貨は英ポンドだった。またはキーカレンシーともいう。

広く用いられていることで多くの投資家はドルを好む。つまり、世界中の企業は外国との取引で必要なのが米ドルということになる。そのため、米ドルが不足す ると取引代金が支払えないという事態となる。こういうとき、大抵の企業は自国の通貨を米ドルに交換しようと市場を使う。すると、市場は動く。つまり、外国 との取引がある企業は米ドルが大事なわけだ。

米ドルの次に交換が簡単なのがハードカレンシー。現在は米ドル、ユーロ、円の3つが主流である。イギリスポンド、スイスフランなどもあるが、この辺りの境界線は明確に定まっていない。そして、ウォン、元などの通貨はローカルカレンシーと呼んでいる。まとめておこう。

キーカレンシー 米ドル
ハードカレンシー 米ドル、ユーロ、円、イギリスポンド、スイスフラン
ローカルカレンシー キーカレンシー、ハードカレンシー以外の通貨。ウォンや元など

このようになっている。つまり、多くの企業は米ドルを好み、ハードカレンシーでも交換が簡単なので決済OKという感じである。キーカレンシーとハードカレ ンシーならそれほど大きな違いはない。しかし、ハードカレンシーとローカルカレンシーには実質的な壁が存在する。つまり、相手に取引するときに拒否される のだ。ウォンなんてもらって使い道ないよ。ドルにしろと。

通貨防衛に使えるのは基軸通貨とハードカレンシーのみ

先ほど、説明した通り、基軸通貨やハードカレンシーは広く用いられているので交換が簡単である。しかし、ローカルカレンシーだとその国以外にはほとんど流 通していない。そのため、通貨防衛には全く役に立たないのだ。どうしてなのかは市場原理を見ればわかる。韓国を例に紹介しよう。

韓国がKRW/USDの市場で1200ウォン辺りの通貨安となった。この時、ウォンの価値を高めないとますますウォン安となってしまう事態だとする。韓国政府が介入に乗り出す。すると、ウォンの価値を高めるために、外貨準備高のドルを売る。

ここで大事なのは通貨防衛に直接的に使えるのはドルだけなのだ。だから、どんな通貨でも市場へと介入するときはドルへ変換する。もちろん、韓国には円やユーロの取引もあるので、円やユーロで介入するときはこれらのハードカレンシーを用いる。

問題はここからだ。通貨スワップ協定を結んだ、マレーシアの通貨はリンギットである。10月20日、韓国はマレーシアと5兆ウォン(150億リンギット)47億ドル規模の通貨スワップ協定を締結した。

この150億リンギットを5兆ウォンで交換することが可能なわけだが、仮にドル防衛しようと、通貨スワップを交換する。5兆ウォンと引き替えに150億リ ンギットが手に入る。だが、このままでは使えないので市場でドルに交換する必要がある。交換した後ドルになるので、通貨防衛に使用可能だ。

しかし、ここで大事なのが莫大なお金を国を隔てて動かすときには手数料が高いということ。通貨スワップ協定では金利が固定なので、有利な条件で通貨を手に 入れることができる。しかし、ここにもう一度の交換が入れば、手数料がかかることで、通貨スワップ協定の有利さが消えてしまう。

さらに国によって米ドルレートは違うので、この手段で防衛するドルを手に入れても、大きな損失となってしまう。このため、通貨防衛では全く使えないわけだ。

これがアメリカとの通貨スワップ協定ならそのまま使えたし、日本の円のようなハードカレンシーならドルとのレートはそれほど大差がないので、通貨防衛に使うこともできた。だが、ローカルカレンシーではあまりにもレート差がありすぎる。

他にも、13日にはインドネシアと54億ドル規模、UAEと54億ドル規模の通貨スワップ協定を結んでいるが、通貨防衛にはどちらも使えないので、貿易決済でのみ使用することになるだろう。ここで一つニュースを紹介しよう。

>(省略)韓国はインドネシア、UAE、マレーシアなどの資源国と相次いで通貨スワップ協定を調印。さらにオーストラリア、ニュージーランドとの協定も検 討されている。韓国は日本と700億ドル(約6兆8100億円)の通貨スワップ協定を締結していたが、日韓関係悪化を受け、現在では100億ドル(約 9700億円) にまで縮小している。

こうした中、新たな活路となったのが資源国。通貨危機に陥った際、通貨スワップ協定を利用すれば相手国の通貨で資源を購入することが可能になる。また、 オーストラリア・ドルのように流通量が多く、別の外貨と交換しやすい通貨を持つ国もターゲットになっている。しかし延世大学の成太胤教授は「危機の際には 米国、欧州、日本との通貨スワップ協定が重要な意味を持つ。先進国との協定を推進しなければならない」とコメント、途上国との協定は代替にならないとの見 方を示した。<

(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131028-00000029-rcdc-cn)

韓国の狙いは通貨危機の際に、ドルを少し多く為替介入に使用したいため、資源を購入するときに相手国の通貨を利用することにあるわけだ。確かに資源はある 程度は手に入れることは出来ると思うが、問題は通貨防衛であって、その危機を脱出しなければ、結局はデフォルトが待っている。

やらないよりはましであるが、通貨スワップ協定は韓国だけが得するものではない。途上国だってウォンを使うことが出来ることを忘れている気がする。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KODSAQ 先物 外国人(ウォン)

28日 2048.14 1061.10 534.98 271.00 1018億
29日 2051.76 1060.60 533.91 272.00 1037億
30日 2059.58 1060.20 537.68 272.85 643億
31日 2030.09 1060.70 532.44 268.85 869億
01日 2039.42 1060.70 534.74 269.50 1575億

予想レートは1055~1070ウォンだった。今週は韓国政府が必死に為替介入を示唆していた。その影響もあって1060以上にならなかった。実際には終 わり値では越えてないが、31日の1060ウォン辺りから、11月1日の朝に1066ウォンまでいきなり下がった。このように介入した動きが見て取れる。 それでも予想範囲ではある。1060付近が韓国政府のマジノ線と見て間違いないだろう。

来週もアメリカの雇用統計が発表されるのだが、市場予測ではあまりよい感じではないようだ。そう考えると、ドル高ウォン安になる可能性は考えにくい。以前としてウォン高の圧力が高まるだろう。来週も1055~1070としておく。

次回の予定だが、11月といえばIMFのストレステストの結果である。ただ、11月にいつにでるかまではわかっていない。今週中にでるなら次回はそれを特 集する予定だ。もし、来てなければ韓国の朴槿恵大統領による欧州来訪を取り上げる。中々、面白いネタが集まりそうな感じだ。

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