第123回「朴槿恵政権を揺るがす鉄道ストライキ。内部問題が勃発!?」

第123回「朴槿恵政権を揺るがす鉄道ストライキ。内部問題が勃発!?」

配信日:2014年1月26日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週のメルマガは前回の予定通り、昨年の12月辺りから連続して起きている鉄道ストライ キについてまとめていく。日本のニュースではほとんど話題にならなかったし、韓国への銃弾提供、安倍総理の靖国参拝といったニュースでかき消された感じで はあるが、韓国では12月30日までこの鉄道ストライキが続いていた。

記事は色々あるのだが、わかりやすいの中央日報の記事だと思うので、こちらを中心に振り返っていく。では、記事のチャートを張る。

記事のチャート

鉄道ストライキの時系列→鉄道ストライキ勃発→ストライキ突入5日後~乗客の死亡事故まで→鉄道ストライキ長期化~警察という公権力の投入まで→5500人の警察と労組の激しい小競り合い→今週の韓国市場

鉄道ストライキの時系列

最初にストライキの時系列についてだ。ここの詳しい内容や、取り上げたい箇所は後で解説していくので、まずは鉄道ストライキの全容を掴んでい欲しい。

2013年

12月08日 鉄道労組による鉄道ストライキが勃発
12月13日 ストライキ5日目。ソウル市内で電車の脱線や運行中事故が生じる
12月15日 鉄道ストライキ長期化の兆し。KTXの運行回数が12%減少
12月15日 鉄道ストライキ後、初の乗客死亡事故。人員不足3日だけ教育を受けた車掌が原因
12月18日 警察が民労総本部に公権力を投じる
12月22日 警察と労組の12時間の激しい小競り合い

12月24日 朴槿恵大統領、国民に耐えろと要求
12月25日 国民に重くのしかかる鉄道ストライキの影響
12月29日 労働界のスト決議、鉄道労組員の復帰率は23%
12月30日 鉄道ストに賛成39% 反対61% 緊急世論調査
12月30日 鉄道ストライキが終了

以上のような時系列となっている。

鉄道労組による鉄道ストライキが勃発

>鉄道労組がストライキに入るやいなやKORAIL(韓国鉄道公社)はストライキに参加した労組員数千人を職位解除した。超スピード強攻だ。政府と KORAILの強い意志が読みとれる。しかし時間が過ぎるほどに政府の対策がこじれている。「違法 ストライキ」に対する対国民広報のほかには特に妙案を出すことができなかった。世論に訴えて労組にプレッシャーをかけるレベルにとどまっているということ だ。鉄道労組がストライキをするたびに見てきた、なじみの姿だ。

この渦中で12日明け方、慶尚北道義城(キョンサンブクド・ウィジョン)で貨物車両の脱線事故が起きた。貨物列車の運行率は30%台 に大きく落ちた。旅客輸送も支障をきたしている。市民と業界の不便がいつまで続くのか分からない状況だ。鉄道労組のストライキは今年初めから予告されてい た。その間にKORAILと政府が立てた対策がこの程度だったというのが、何とも首をひねりたくなる状況だ。(後、省略) <

(http://japanese.joins.com/article/413/179413.html?servcode=100&sectcode=120)

ポイントになるのは鉄道ストライキが予告されていたのにKORAILと韓国政府の対策はたいしたことをしていなかった。それと、貨物車両の脱線事故が起きており、貨物列車の運航率が30%台に落ちたこと。ストライキに入り、数日後でこの有様である。

ストライキ突入5日後~乗客の死亡事故まで

さらに、ストライキ突入から5日後、ソウルの地下鉄で事故が相次ぐ事態となる。明らかに鉄道ストライキによる人員不足が原因であることは疑いようがない。 そこで、KORAILはこの事態に対処するために、韓国交通大学の学生を臨時雇用する。だが、その教育期間は僅か3日だった。そして、とうとう、乗客が1 人死亡してしまう事故が発生する。

>鉄道労組のストライキにより代替人材が投入された電車で乗客が死亡する事故が15日に発 生した。9日にストが始まって1週間ぶりだ。事故列車の車掌を務めた乗務員は3日間の教育だけ受けて投入された韓国交通大学の在学生であることが確認さ れ、コレール(韓国鉄道公社)の代替人材運用方式が議論になっている。 (省略)

記事によると車掌は3日間だけ教育を受けた19歳の学生。彼の役割は乗客が乗り降りして、電車運行するときのドアの開閉確認である。学生は当時警告表示灯に異常がなく列車の外を見て乗客の乗降を確認したそうなのだが、安全信号手の手信号は見えなかったと述べている。

この事件で責めるのは学生ではないことを見ての通りだ。大事な作業をたかが三日間だけの訓練期間のみでゴーサインを出したKORAILである。そして、次の記事が腹立たしい。

>鉄道従事者のうち乗務員に対する資格・経歴規定はない。3時間の安全教育だけ受ければ大 学 生が務めても法的問題はない。コレールは今回のスト代替乗務員人材として交通大学の在学生238人を3日間教育して投じてきた。鉄道労組のチェ・ウンチョ ル広報担当は「過去には乗務員になるには2~3年の勤務経歴がなければならなかったが、2009年に使用側の主導で削除された。今回の事故は無責任な代替 勤務投入が招いた予告された人災だ」と批判した。

(http://japanese.joins.com/article/510/179510.html?servcode=400&sectcode=430)

確かにこの鉄道労組の意見はまともだ。だが、今回の事故を引き起こしたのは鉄道ストライキが原因なのは言うまでもないだろう。ふざけているのか。管理人は 朴槿恵政権の肩を持つようなことは一切ないが、その鉄道ストライキが原因で乗客が不便になった。生活のリズムを狂わされた、しかも、犠牲者が出たとなれ ば、それはまた別問題であろう。

ストライキするのは構わんが、乗客に迷惑をかけるなといいたい。だが、この鉄道ストライキは乗客だけではなく、韓国経済にも大きく影響することになる。

鉄道ストライキ長期化~警察という公権力の投入まで

>15日、KORAIL(韓国鉄道公社)によれば17日からKTXの運行回数が一日 176~208回で通常(200~232回)よりも12%程度減少する。首都圏の電車(1・3・4号線の一部区間)は16日から8.4% (2109→1931回)に平日の運行回数が縮小される。

KORAILはこれまで退職機関士や軍所属機関士らの代替人材を投入してKTXと首都圏の電車を正常運行してきた。だが代替人材の疲労が蓄積して乗客の安 全に支障が生じかねないと判断、運行回数を減らすことにしたものだ。ただし縮小運行は、出退勤時 間帯ではない昼間の時間帯に主に行われる予定だ。貨物列車は物流大乱を憂慮する業界の声を反映して一部区間の運行回数を増やすことにした。 (省略)<

(http://japanese.joins.com/article/460/179460.html?servcode=400&sectcode=430)

先ほど取り上げた死亡事故とこのKTX運行回数減少の決定日は同時系列である。つまり、その対応は遅すぎたのである。既に人が死んでしまってから運行回数を減らすと発表しても、死んだ人間は生き返らない。

このような鉄道ストライキで乗客の鬱憤が増大する中、政府や警察が動き出す。鉄道ストライキ決行した労組幹部ら25人に逮捕状令を出した。まずは、鉄道労組決議大会に参加するために現れた全国鉄道労組栄州地域本部ユン某(47)車両支部長を逮捕する。

鉄道労組の地方本部を押収捜査。さらに、韓国政府は聖域とまでされていた、労組総本部に警察勢力を投入した。そして、鉄道ストライキを計画した幹部たちを一斉検挙、逮捕といった強制捜査に乗り出す。その数はなんと5500人余り。

5500人の警察と労組の激しい小競り合い

>警察が22日午前、ソウル中区貞洞(チョンドン)の京郷新聞社建物にある全国民主労働組 合 総連盟(民主労総)の本部事務室(13~15階賃貸)に電撃的に公権力を投じた。違法ストライキの主導容疑で逮捕令状が出された鉄道労組幹部13人中、キ ム・ミョンファン鉄道労組委員長ら9人を検挙するためだった。

民主労総本部に警察などの公権力が投入されたのは1995年の民主労総設立以降、18年目に して初めてとなる。公権力投入に反発して民主労総は28日にもゼネストに突入して政権退陣運動に出ると明らかにした。これに伴い、政府と労働界間の年末の 大激突が展開されるものと見られる。

計69個中隊5500人余りの警察人員を投入した警察の強制進入・逮捕作戦はこの日午前9時頃に始まって午後9時すぎまで行われた。 警察は鉄道労組指導部がこの建物の14階に集まっていると判断。警察逮捕グループ600人余りが押し入り、建物の1階から17階屋上まで1階ずつ上がって 行き、該当者を探した。

この過程で「強制進入は違法だ」としながら抵抗した民主労総の組合員、鉄道労組員、統合進歩党員ら500人余りと繰り返し衝突し た。警察は現場でヤン・ソンユン、イ・サンジン民主労総首席副委員長ら138人を公務執行妨害容疑に連行し、現在彼らをソウル市内の12署に分散させて取 り調べ中だ。だが逮捕対象者は1人も検挙できなかった。

シン・スンチョル民主労総委員長はこの日、警察の捜索終了後に「朴槿恵(パク・クネ)政権との戦争に出る」と明らかにした。彼は「民主労総が権力に侵奪された最も恥ずべき日でもあるが(闘争を)決めた日でもある」と話した。

チョン・ホヒ民主労総スポークスマンンは自身のツイッターを通じて「警察が一日中大騒ぎをしたこの民主労総の建物に、鉄道労組手配犯はただの1人もいない」として「警察と朴槿恵大統領が責任を取るべきだ」と主張した。

キム・ギョンジャ民主労総副委員長も「23日から拡大幹部ストライキ に突入して28日にはゼネストを組織する」としながら「100万人市民の行動の日を開催して、政権退陣運動に出る」と明らかにした。

(http://japanese.joins.com/article/724/179724.html?servcode=400&sectcode=400)

5500人の警察を投入。そして、聖域とまで言われた民主労総を強制侵入したのだが、25名の逮捕状礼者を1人も検挙できなかった。つまり、事前に強制侵入が洩れていたということになる。政府内にも一枚岩でないことが露呈される。

韓国のストライキは北朝鮮による指示が多いのだが、今回の場合もその辺が強い気がする。なぜなら、このことで政権退陣運動に出ることを明らかにしたから だ。異常なまでのストライキを頻繁に成功させるには確実な内通者が必要である。しかも、あれだけの大規模な捜査を決行して、誰も逮捕出来ないとなれば、当 然、警察は無能だと批判される。

さて、ここからは12時間に及ぶ激しい小競り合い取り上げる。今回の特集ではもっとも盛り上がるシーンだろう。

■12時間に及ぶ激しい小競り合い

12月22日、警察は逮捕状を出した鉄道労組幹部9人が潜伏しているとされる民主労総に強制侵入を開始する。強制立ち入りは朝の9時過ぎに始まり、ここか ら12時間の小競り合いが続く。警察の数は69個中隊、総勢5500人余りの人員であり、それらを逃げられないように要点に配置し、突入部隊は600人で ある。目指すは17階建てのビルにある全国民主労働組合 総連盟(民主労総)の本部事務室(13~15階賃貸)である。

だが、向こうも簡単に中に入れてくれるはずもなく、ガラスドアを閉めたまま立ち退かなかった。そこで、警察は強制的に関係者らを連行し始める。こうして、 外には誰もいなくなった。11時過ぎ、警察は消防隊の力を借りながら、ガラスドアを割って本部へと侵入する。しかし、そこに待っていたのは労組員による激しい抵抗だった。彼らは割れたガラスの破片や氷などを投げて激しく抵抗した。

しかも、警察は建物内部にある自動ガラスドアによって再び侵入を遮られる。自動ドアの内側では民主労総組員ら200人余りがドアを押して防いだからであ る。埒が明かない、警察は催涙スプレーを投入。建物の非常ドア、自動ガラスドアを壊しながら、ようやく13時前に建物ロビーに入った。そして、138人の 関係者が連行された。だが、内部にはまだまだ抵抗するものが残っていた。

ロビーに入った警察はエレベーターの電源が切られているため、両側にあった非常階段へと二手に分かれて進んでいく。二階には非常通路の鉄扉もあったが、そ れも取り壊す。だが、その道中で労組関係者が消火ホースをかけて警察を妨害する。警察は連行しながら建物を上へと進んでいく。目指すは13階。民主労総事 務室である。

■警察がたどり着いた頃にはもぬけの殻

15時45分、警察は事務室がある13階にたどり着いた。それまでには激しい抵抗があり、突入開始からだいたい7時間ほど経過していた。しかし、その事務 室に続く道は、既に椅子などの事務室用品をロープで縛ってバリケードが形成されていた。バリケード壊す警察。消火ホースでみずをかけて抵抗する労組員。そ して、18時25分ようやく警察は17階屋上までを掌握した。そして、敷地内の事務室やトイレを捜索するが逮捕者リストの人物は一人も見つからなかった。

しかし、民主労総側は「(逮捕令状が出された)鉄道労組指揮部は警察人員が投入される前夜のうちにすでに建物を抜け出した」と主張キム・ミョンファン鉄道労組委員長は、午後8時頃「指導部は無事に避難して健在だ」という文字メッセージを労組員に送っていた。

それでも警察は諦めずに、今度は14階にある労組指導部が潜伏していると目星をつける。そして、2時間余りの間、14階事務室を集中捜索する。だが、逮捕対象者はいなかった。12時間以上にわたって繰り広げられた逮捕作戦が結局失敗に終わった。

こうして、12時間にもなった長い警察の突入は失敗に終わった。これではストライキを防ぐことは出来ない。

さて、まとめていると思ったより長くなったので今回はこの辺りにして、続きは次回にする。時系列で30日にストライキが終了することは書いてあるが、後半も中々面白い展開となっている。

今週の韓国市場

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 外国人(ウォン)

20日 1953.78 1063.70 519.99 256.10 -232億
21日 1963.89 1065.30 520.99 257.80 -237億
22日 1970.42 1067.40 523.07 257.75 115億←IMF介入は駄目と釘刺す
23日 1947.59 1073.90 522.72 254.55 -1564億←ダウが暴落。中国PMIに嫌気。
24日 1940.56 1080.40 520.31 253.40 -1584億←サムスン電子の決算発表。アルゼンチン市場が一時デフォルト

今週の予想レートは1055~1070だった。しかし、23日辺りから一気にウォン安となっている。まさか、二日で13ウォンも下がるとは思わなかった。一体何があったのか。テーパリングの問題も引き続き取りざたされている。

まず、22日にIMFが韓国政府が為替介入していることを指摘する。これで介入しにくくなったのかと思っていたら、23日にダウ150ドル近く暴落。原因 は中国PMIが悪かったためだ。これを日本、世界市場が大きく影響を受けての全面安の展開となった。また、豪ドルが急落しているのも付け加えておく。

さらに、韓国企業の決算が続々と発表されるなか、多くの企業が減益になったことでの企業株が売られていく。結果的にウォン安になったのに、KOSPIはさ らに下がった。しかもサムスン電子の決算は予想通りの18%減益だった。それでも、売上高は凄いんだが、韓国の会計基準なので、信用に値しない。

もう一つ、気になるのがアルゼンチン市場である。アルゼンチン市場の一時的なデフォルトを受けて、日本の円買いが加速した。1ドル=102円となる。

このまま行けば、新興国による通貨危機が再発しかねない状況である。アルゼンチンの通貨ペソの急落がトルコ・リラやアフリカランドといった新興国通貨を巻き込んでの全面安はアジア通貨危機の時と状況が少し似ている。

韓国経済への影響が何処まであるかは知らないが、新興国の通貨とは移ろいやすい。ウォンも新興国通貨であるため、一時的な影響を受けてのウォン安になる恐れもある。また、中国経済の悪化もマイナスだろう。ウォンが下がってもKOSPI上がらないところを見ればよくわかる。

さて、次回の予想レートは1065~1085としていく。確かに全面通貨安になる可能性は否定できないが、一気に1080台を越えて1090、1100に なるといった展開は考えにくい。本格的な資金離脱をするにしても、現在の外国人はそれほど大きく投げ売りしていない。となると、一時的な下落とみている。 ただ、新興国通貨の暴落は気になるところだ。来週の市場は注目だろう。

以上。今週はこれで終わる。来週は鉄道ストライキの続きを見ていく予定だ。

読者様の購読に深く感謝する。これからも温かい応援の程をよろしくお願い致します。

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