第124回「朴槿恵政権を揺るがす鉄道ストライキ!?実は理不尽極まりないものだった」

第124回「朴槿恵政権を揺るがす鉄道ストライキ!?実は理不尽極まりないものだった」

配信日:2014年2月2日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週のメルマガは前回に特集した韓国鉄道ストライキの後編である。

前編の内容を簡単に紹介すると、鉄道労組がストライキを起こし、その関連で多くの庶民が 迷惑を被ることになった。そして、臨時に雇った学生のミスで、とうとう犠牲者が出てしまう。その対策として、運行本数が減り、貨物車の減少によって経済に も影響してくる。さらに、事態を重く見た韓国政府、警察が動くことになり、鉄道ストライキを起こした幹部25人に逮捕状を出した。

12月22日、幹部9人が潜伏していると見られた民労総本部に5500人の警察を投入し、逃げられないように周りを固めながら、600人ほどの実働部隊が中へ入っていく。しかし、警察は労組関係者の激しい抵抗に遭う。

消火ホースや机や椅子などのバリケードを敷くなどして時間を稼ぐ。その死闘は12時間にも及ぶ。しかも、警察が本部にたどり着いたときには既にもぬけの殻で1人も逮捕できなかった。警察の大失態である。

以上が前編の簡単な経緯である。では、記事のチャートを張って後編を見ていく。

記事のチャート

鉄道ストライキの時系列→強行鎮圧は民営化攻防の一端→国民に重くのしかかる鉄道ストライキの影響→今週の韓国市場

2013年

12月08日 鉄道労組による鉄道ストライキが勃発
12月13日 ストライキ5日目。ソウル市内で電車の脱線や運行中事故が生じる
12月15日 鉄道ストライキ長期化の兆し。KTXの運行回数が12%減少
12月15日 鉄道ストライキ後、初の乗客死亡事故。人員不足3日だけ教育を受けた車掌が原因
12月18日 警察が民労総本部に公権力を投じる
12月22日 警察と労組の12時間の激しい小競り合い(前編はここまで)

12月24日 朴槿恵大統領、国民に耐えろと要求
12月25日 国民に重くのしかかる鉄道ストライキの影響
12月29日 労働界のスト決議、鉄道労組員の復帰率は23%
12月30日 鉄道ストに賛成39% 反対61% 緊急世論調査
12月30日 鉄道ストライキが終了

後編は24日から30日終了までの経緯を見ていくことになるのだが、この鉄道ストライキに様々な対立要素が絡んでくる。

朴槿恵大統領、国民に耐えろと要求

>朴槿恵(パク・クネ)大統領は23日、鉄道労組ストライキに関連して「今、大変だという理由で原則なしに適当に妥協することになれば、韓国の経済社会の未来を約束できない」と話した。青瓦台(チョンワデ、大統領府)で開かれた首席秘書官会議を主宰してのことだ。

「難しい時ほど原則を守ってすべての問題を国民中心に解決していかなければならない」とも述べた。鉄道労組執行部を検挙するためにソウル貞洞(チョンド ン)の全国民主労働組合総連盟(民主労総)事務室に警察力が投入された翌日のことだ。鉄道ストライキに対する非寛容原則が揺るぎないものだという点を再度 強調したのだ。

朴大統領は「いつ挑発するかも知れない北朝鮮や鉄道ストライキ問題、世界的な景気の不況と政界の対立により、国民が色々と心配する」 としながら「不便で大変だが、この時期をうまく耐えて過ごせば、むしろ経済社会の持続的発展が可能な基盤を固めることになる」と強調した。国民に不便を甘 受してほしいという呼び掛けだ。(後は省略)

(http://japanese.joins.com/article/780/179780.html?servcode=200§code=200)

朴槿恵大統領はこの鉄道ストライキにおいて、この時期を上手く耐えて過ごせば、むしろ経済社会の持続的発展が可能な基盤を固めることになると強調した。しかし、この理屈はよくわからない。

この鉄道ストライキで一番の被害者は国民である。そして、鉄道会社の赤字の損失を埋めるのも、国民の税金である。つまり、不便になって耐えたら、さらに赤字補填で国民は金を支払わなければならないという。どう考えても踏んだり蹴ったりだろう。

後、朴槿恵大統領は非寛容原則について触れているがこれは一体何なのか。これは韓国のストライキにおいて、原則なき妥協はしないという意思表示である。つ まり、相手側の要望を全面的に受け入れてストライキを止めてもらうような妥協はしない。そして、そのためには国民には耐えて欲しいと述べたわけだ。

これは以前にメルマガでも取り上げた開城(ケソン)工業団地が閉鎖されたときに、結局、北朝鮮は工団の門を再び開いたことへ対する朴槿恵大統領の粘り勝ちを再び行うというものだ。つまり、攻めの姿勢である。

だが、この鉄道ストライキの焦点は微妙にずれている。本来なら、国民生活を不便にしている労組の主張が間違っているので強行鎮圧を急いだということになる のだが、実は「民営化攻防」の方が重要視されていたりするのでややこしい。そもそも、この鉄道ストライキの発端も民営化を進めることを反対する鉄道労組か らの反発で起きていた。

しかし、前編ではこの理由を取り上げなかった。なぜなら、鉄道ストライキで被害を被るのは国民だからである。ちょっと待って欲しい。なら、韓国政府も鉄道 労組も、結局、国民を置き去りにしているじゃないかと思った人もいると思う。管理人はそう思った。つまり、国民からすれば巻き込まれて、後で赤字補填を請 求されるという理不尽極まりないのが鉄道ストライキの真相なのだ。

先ほど朴槿恵大統領の主張がどこかずれていたのはこのためなのだ。「この時期を上手く耐えて過ごせば、むしろ経済社会の持続的発展が可能な基盤を固めることになる」と強調したのは、鉄道の民営化へ一歩踏み出せるから、国民は耐えろということだ。

しかし、鉄道の民営化を推し進めるのは赤字を減らしたいのと、FTAのラチェット条項に抵触するおそれがあるから。何とここに来て米韓FTAが登場する。では、民営化攻防とは何なのか。

強行鎮圧は民営化攻防の一端

>徐昇煥(ソ・スンファン)国土交通部長官は23日、「鉄道労組は過去の枠組みの中から抜 け 出せないままストライキを押し切っている」として鉄道ストライキの発端となった水棲発KTX子会社の設立を、予定通りに進めると明らかにした。また民主党 が要求した「鉄道民営化禁止法」に反対の立場を明らかにした。

徐長官はこの日、国会国土交通委員会の全体会議に出席して「競争体制の導入という政府の政策は労使交渉の対象にはなりえず、これに反対したストライキは違法ストライキ」としながら「朴槿恵(パク・クネ)政権では絶対に民営化をしない」と強調した。

これに対し民主党議員が「水棲発KTX 運営会社の持ち分を民間に売却できないように法律で明文化すべきだ」と主張したが、徐長官は「定款、株式協約、免許など二重三重にかけておいたのが鉄道民営化防止のための適法・有効な手段」と反論した。

鉄道民営化を法律で禁止しにくい理由について尋ねる質問が出てくると徐長官は「韓米自由貿易協定(FTA)上の問題が生じうる」と答えた。「外交部の解釈 によれば、鉄道事業法で売却対象を公共部門に限定すれば(民間入を制限すれば)、FTA逆進防止条項に相反する可能性があり貿易問題などで深刻な問題を招 くかもしれない」ということだ。逆進防止条項(ラチェット条項)というのは、一度開放・自由化した部門の場合これを元に戻すことはで きないという内容だ。

共に出席した崔然恵(チェ・ヨンヘ)韓国鉄道公社(KORAIL)社長もやはり「鉄道産業の競争力強化のためには、独占体制ではなく ある程度の競争体制を導入しなければなければならないと思う」と話した。KORAILは来年1月の投入を目標に機関士300人と列車乗務員200人を期間 制で採用するという方針だ。

セヌリ党と民主党は鉄道ストライキ事態をめぐって正面衝突した。セヌリ党の崔炅煥(チェ・ギョンファン)院内代表はこの日の党最高委員会議で「野党が市民 団体と反政府共同戦線を構築して政治的利益のための術策を働かせている」と話した。民主党のキム・ハンギル代表は「全国民主労働組合総連盟(民主労総)に 対する公権力投入は、不通政治の決定版」としながら「従順にしなければ容認しないという朴政権式のやり方だ」と対抗した。 <

(http://japanese.joins.com/article/798/179798.html?servcode=400§code=400)

赤字垂れ流しの公共部門で一番の問題は競争原理が働かないこと。朴槿恵大統領は国民に耐えて欲しいといい、違法ストライキは強制的に取り締まったが、朴槿 恵政権の間では絶対に民営化しないという。子会社を作るのが経済社会の持続的な発展の基盤を固めることになるんだろうか。管理人はよくわからない。

だが、朴槿恵政権ではしない。つまり、次の大統領ではさらに民営化を進めるということだろう。民営化の米圧力が背景にあったことに驚いたのではないだろうか。そんな複雑な外交理由があって、この鉄道ストライキは被害者である国民は置いてけぼり状態となってしまった。

国民に重くのしかかる鉄道ストライキの影響

>韓国鉄道公社(KORAIL)の労組ストライキが長期化の兆しを見せながらストライキに 伴う衝撃が一波万波に広がっている。政府と鉄道労組が対立している間に、物流や輸出だけでなく庶民の生活まで打撃を受けている。キムさんは「鉄道ストライ キ と共に村の人々の生活もオールストップした」として「1日でも早く正常化するように願う」と話した。

産業活動に及ぼす支障も本格化する見通しだ。KORAILはストライキに備えてセメント・鉄鋼・鉱石を5日分ずつ前もって輸送してお いた。しかしストライキが長期化してこれら3品目はすでに深刻な供給不足になりつつある。工場稼働や冬の庶民の燃料供給になくてはならない石炭の運送不足 はさらに深刻だ。

最長17日分をあらかじめ輸送しておいたが、クリスマスを境に備蓄された運送物量が底をつくからだ。4品目を全て合わせれば1年前に比べ て輸送量は30%に過ぎない。全国各地の工場はこれらの物品が切れて危機的状況だ。ややもすると工場稼働が中断してしまうかもしれないからだ。

こうした状況は庶民の生計までも脅かしている。セメント・鉄鋼・石炭の運送には必ず手作業が必要だが、輸送物量が減るとの同時に仕事 も大幅に減るからだ。鉄道労組ストライキが生計型の日雇い労働者には致命的な打撃となる。輸出戦線にも異常が出始めている。韓国荷主協会は「納期の支障に ともなうバイヤーの離脱の動きがないか鋭意注視している」と話した。

KORAILの経営は悪化の一途だ。KORAILは貨物輸送の縮小により一日の収入が8億(約7900万円)~9億ウォンずつ減少している。旅客運送の 支障にともなう収入減少額もやはり一日4億ウォンを超える。累積損失が貨物ですでに60億ウォンを超え、旅客運送でも40億ウォンに達する。このように発 生した損失は、そのまま国民の税金負担となる。 (後省略)

(http://japanese.joins.com/article/845/179845.html?servcode=400§code=400)

25日、クリスマスであるのだが、鉄道ストライキによって物流や輸出といった経済的な被害だけではなく、国民の生活にも多大な悪影響を及ぼしはじめた。国民の願いは一刻も早く終結することである。しかし、この時点では全く沈静化するような気配はない。

■鉄道ストライキ終結まで

29日の労働界のスト決議では、鉄道労組員の復帰率は23%である。つまり、4分の一しか仕事していないのだ。そして、30日に緊急世論調査が発表される。鉄道ストに賛成39% 反対61% である。

意外にもストに賛成しているのが4割もいたことに驚いたが、実はこれは朴槿恵大統領を支持する人は反対して、支持しない人は鉄道ストに賛成するという、極めて政治的な理由が多い。そのため、政権支持率と似ている数字となったのだろう。

このような結果でた後、30日に鉄道ストライキは事実上終結する。労組が折れての勝利なので、事実上、朴槿恵大統領の粘り勝ちである。この点は評価するところだろう。朴槿恵大統領が1人で猛進するなか、内閣は誰も付いてきていないという事実を除けばであるが。

しかも、反日姿勢もいまだに続けているので、これからも折れないで頑張って頂きたいところだ。

確かに韓国の歴代大統領とは異なる。ここまで反日ドーピングしなければいけない不安定な政治基盤、先が見えない韓国経済の舵取りをどうするのか。今後も斜め上に期待したい。日本経済にとってこれほどありがたい大統領は盧武鉉大統領以来だろう。

今週の韓国市場

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

27日 1910.34 1083.60 507.51 250.20 -5208億
28日 1916,93 1081.20 509.29 251.25 -3135億
29日 1941.25 1070.40 515.20 254.20 -219億←インドやトルコなど新興国の政府の積極的な対応(金利引き上げ)

30日 旧正月(お休み)
31日 旧正月(お休み)

今週の予想レートは1065~1085だった。今回はかなり読み通りとなったのだが、韓国はインドやトルコなどの通貨危機対策に感謝するべきである。この 新興国の金利引き上げによって、米ドルが急落した。それによってウォンの暴落は緩和されたと見て良い。しかし、新興国の通貨危機のみでは、今のウォンが一 気に暴落することがなかったのはわりと重要だろう。

ご覧の通り、一時的なウォン安となったわけだが、ここからウォン高に向かうのか考えると少し難しい状況である。もっとも、韓国は今、お正月なので市場に激しい動きは余り見られないと思う。予想レートは1065~1075辺りにしておく。

さて、1月から韓国経済を揺るがす重大事件を色々取り上げてきたが如何だっただろうか。次回は2014年の韓国経済の展望を書いていく予定だ。ただ、気になっているのがIMFストレステストの結果だ。

11月にストレステストを行ったにも関わらず、それの公表がいまだに延期されている。とんでもない状態なのは予想できるが、アメリカは韓国を潰したいの か、それとも経済植民地として延命させるつもりなのか。この辺りの判断が影響していそうな気がする。公表されないと様々な噂が飛び交うのだが、投資家たち はどのように見ているのか。おそらく、今後の経済展望でも触れると思われる。

読者様の購読に深く感謝する。これからも温かい応援の程をよろしくお願い致します。

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