第140回「セウォル号沈没事故で豹変する韓国社会」

第140回「セウォル号沈没事故で豹変する韓国社会」

配信日:2014年6月8日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)
今週の韓国経済はセウォル号沈没事件後の社会の変化について特集する。何度も説明した通 り、セウォル号沈没事故はただの人災であった。それが犠牲者・行方不明者300人を越える事故となったのは「韓国社会」そのものが原因と管理人は前々回で 結論づけた。その答えは今も同じであるが、この事故は韓国社会をあまりにも豹変させてしまった。

豹変というのは人の態度や性行ががらりと変わることの意味だが、最近では悪いことで用いることが多い。つまり、悪い方向に変わっていく「韓国社会」が今回 のテーマとなる。もっとも、元々あったのがセウォル号沈没事故で露呈されたのか。見ない振りをしてきたものを直視せざる得なくなったのか。確実に言えるの は韓国社会に良い影響を与えていないということだ。では、記事のチャートを張る。

記事のチャート

「国の格」が理由で逮捕状を裁判官が棄却→休暇中だった本来の船長に過失致死罪→指名手配中のオーナー→豹変する韓国社会は「共有地の悲劇」→今週の韓国市場

「国の格」が理由で逮捕状を裁判官が棄却

これはタイトルを読んだだけで一体何のことかわからないと思う。セウォル号沈没事故は、本来の積載量の3倍を超える過積載や船を安定させるバラスト水を減 らしていたが事故の原因であるが、それは、ルールを無視して「やれば出来る」を繰り返した悪習に過ぎない。なら、事故後は法律をしっかり守ってやるのが普 通なわけだが、裁判官自体がそれを拒否した。では、原文を読んでいただきたい。

>旅客船の運航管理点検関連書類を偽造したとして、検察は2人の運航管理者についての逮捕状を請求したが、 全州地裁群山支院で令状を担当するイ・ヒョンジュ裁判官がこれを棄却した。

その理由は「海洋での安全は国の格が上がらなければ解決できない問題だから」というものだ。

海運組合群山支部所属のこの2人の運航管理者は、実際は船まで行っていないにもかかわらず船内で安全点検を行ったかのように見せ掛けて書類を偽造するなど、旅客船の出港前安全点検報告書を500回以上にわたり偽造したとされている。

イ裁判官が作成した令状棄却の理由書には 「セウォル号沈没事故は韓国全体の法治主義の現状を示す事件であり、 大規模な海洋事故は日常生活や業務におけるあらゆる領域で国の格が上がって初めて解決できる問題。 違法行為を厳しく処罰するだけでは防止できない」と記載されていた。

逮捕状を発行すべきか判断する際の基準について、刑事訴訟法には 「証拠隠滅」「逃走の可能性」「犯罪の重大性」などの項目が明記されている。 <

安全点検報告書を500回以上にわたり偽造した運行管理者の逮捕状を裁判官が棄却した。理由はこうだ。

>「セウォル号沈没事故は韓国全体の法治主義の現状を示す事件であり、 大規模な海洋事故は日常生活や業務におけるあらゆる領域で国の格が上がって初めて解決できる問題。 違法行為を厳しく処罰するだけでは防止できない」<

裁判官の述べていることを理解するにはこの文章を3つに分ける必要がある。

1.セウォル号沈没事故は韓国全体の法治主義の現状を示す事件
2.大規模な海洋事故は日常生活や業務におけるあらゆる領域で国の格が上がって初めて解決できる問題
3. 違法行為を厳しく処罰するだけでは防止できない

まず1についてだが、これはそれほど難しくない。セウォル号沈没事故は法治主義といいながら,ルールを無視する韓国社会が原因によって引き起こされた。管理人の見解と同じだ。

次に2だが、解決方法は「国の格」が上がって初めて解決できるらしい。これがよくわからない。格の意味は、くらい。地位。また、おもむき。などだが、どれをあげても解決にはほど遠い。そもそもこの事故は大規模ですらない。

だから、2については、逆説的に考えたのではないか。すなわち,今、責任問題を厳しく追及したら、関係者全員を逮捕することになるから、国の格がどうとかで誤魔化した。3も同じような理由だろう。この時点で豹変と言いたいのだが、記者は次のように述べている。

>イ裁判官が指摘したように、数人の運航管理者を処罰したからといって、 安全管理を取り巻く韓国社会の構造的な問題が解決することはないだろう。

しかし韓国社会がより安全性を高め、国の格を上げるには、運航管理者は法律が定めた通りに安全点検を行うべきであり、 それを行わない人間がいれば司法は断罪しなければならない。

そうすることによって初めて、たとえ最初は完璧ではないとしても、 少しでも安全な社会に向けた第一歩を踏み出すことができるはずだ。

問題の運航管理者らは法律が定めた基本的な義務を守らなかった。

裁判官であればこの種の違法行為に対しては当然厳しく処罰し、同じ仕事に従事する者への教訓としなければならないし、 これこそまさに裁判官としての本来の使命であるはずだ。

ところが裁判官が「国の格」を口実に実定法を無視するような判断を下すことは、 自分が法律や国の上に存在すると誤解し、自己陶酔に陥っているのではないかと疑わざるを得ない。<

(http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/06/04/2014060400845.html)

おそらく、この記者の言い分がすなわちまともで日本人なら一般的な考え方であろう。そして、韓国でしばしば裁判官が行う感情主義による裁判結果は 「自分が法律や国の上に存在すると誤解」しているからこそである。

セウォル号沈没事故は関係者にスポットライトを当てがちだが、この裁判官を見る限りでは、裁判官もまた腐っている社会の一部だと認識できる。法の番人であるはずの裁判官が自己陶酔して法律を守らない。そりゃ、誰も法律なんて守らないわけだ。

休暇中だった本来の船長に過失致死罪

【木浦聯合ニュース】韓国旅客船セウォル号の沈没事故で、検察などの合同捜査本部は3日、 事故当時休暇中だった同船の本来の船長を業務上過失致死傷、業務上過失船舶埋没の罪で在宅起訴した。

同船長はセウォル号の乗務員に対し、非常時の安全教育を実施せず、同船の復原力に問題あることを知りつつ放置したとされている。 (省略)<

(http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/06/03/2014060303043.html)

セウォル号の本来の船長が過失致死罪で在宅起訴された。理由は非常時の安全教育を実地しない。船の復原力に問題があると知って放置したから。管理人が知っ ていた情報では船長はこの船に問題についてはオーナーに何度も訴えていた。危険で乗りたくないから休暇したわけだ。明らかにとばっちりである。安全教育費 は200円ぐらいだったか。

まあ、船長の言うことがどこまで本当かは裁判でわかるだろう。もし、会社に訴えていたのに、会社が全力でスルーしていたのなら、それは会社の責任だろう。

そもそも、安全教育をするのは「会社」である。船の魔改造は船長の責任でもない。さらに言えば、安全教育をしてても、どうせ全員が我先に逃げている。結果は変わらない。

もし、これで船長が有罪となれば、船の点検で安全と判断した役員など、様々な関係者全員を逮捕できることになる。もちろん、朴槿恵大統領が「国家の威信」のために日本やアメリカからの救助を断ったも有罪である。

つまり、いなかった船長に過失致死罪など本来問えるものではない。だが、豹変した韓国社会は関係者を断罪しなければ気が済まない。最後は船を売った「日本」が悪いまでたどり着くのかは知らないが。

セウォル号のオーナー、仏、カナダに亡命申請も…拒否される?

>朝鮮日報(電子版)によると、仁川地検特別捜査班は今月3日、こんな発表を行った。 「最近、韓国駐在の外国大使館に匿名の人物が現れ、兪容疑者の政治亡命の可能性を打診した。当該大使館側は、兪容疑者が単なる刑事犯という理由で、亡命申 請を拒否した」 兪容疑者が政治亡命を申請したのは、在韓フランス、カナダ大使館とされる。

東亜日報(電子版)などによると、捜査本部は兪容疑者の側近が関連企業の資金を不正に兪容疑者一家に支払っていたとして、横領や背任容疑で捜査している。 さらに検察は今月2日、兪容疑者一家に対し、 セウォル号沈没事故の責任を問うための財産保全の観点から、長男宅に対し家宅捜索を行い、高級外車4台や絵画16点を押収した。

合同捜査本部は5月9日、過積載などの危険な運航をさせ、船の乗客多数を死なせたとして、業務上過失致死などの疑いで、運航会社の清海鎮海運代表、キム・ハンシク容疑者(72)を逮捕した。兪容疑者の関与についても捜査を続けているとされる。

捜査本部によると、セウォル号は昨年3月の就航以来、241回の航海のうち139回も過積載をして、同社は29億5千万ウォン(約2億9千万円)もの不当 な利益を得ていた。安全をないがしろにし、乗客を危険にさらしながら得たカネの一部は、政治家や天下った元官僚らの懐に消えた疑いがあるという。(以下省 略) <

(http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140608/waf14060807000002-n1.htm)

なんというかどこから突っ込んでいいかわからないほど清々しい韓国人である。逃亡を図るオーナーを擁護するわけではないが、韓国にいれば「公開処刑」も普通にあり得そうな現状において、亡命しようとするのも致し方がないことだろう。

問題は金の一部が政治家や天下りの元官僚に流れていたこと。安全管理で一度も指摘されないカラクリを追求すると、この辺りの不祥事が山のように出てくるか もしれない。だとすれば,オーナーは裁判すらさせずに暗殺される恐れもある。これも、豹変の一部なんだろうか。オーナーに責任がないとは言えないが、絶対 的な悪者にされる韓国社会を知って上での行動だろう。

豹変する韓国社会は「共有地の悲劇」

管理人は韓国経済から「韓国」に興味を持って6年半ほど毎日、韓国についての何らかの情報を集めてきた。そして、セウォル号沈没事故後のニュースを読みあ さってきた。だが、韓国社会は「豹変」しているとしか思えなかった。今後、韓国を読み取る上でますます、このセウォル号沈没事故は大きなウェイトを占める ことになる予感がしている。

話は少し脱線するが、ゲーム理論の基本テーマの一つに「共有地の悲劇」というものがある。

詳しくは述べないが、ある集合体の中では、メンバー全員が協調的な行動を取れば全員にメリットがあるということ。しかし、各々が利益を優先するあまり非協力的となり、誰にとってもデメリットになってしまう。これを共有地の悲劇という。

今の韓国社会は「共有地の悲劇」とほぼ同じ状態だと思われる。だから、負の連鎖は続く。誰もが法律を守らない利益優先で動くから、全員がデメリット状態となる。この記事を読んで欲しい。

>周囲の人に尋ねた。「5万ウォン(約5000円)の交通違反の罰金を、もし欧州のように20万ウォン、 30万ウォンに引き上げれば受け入れられるか」。首を縦に振る人もいた。ためらう人もいて、嫌だという人も多かった。ある人は「そんなことをすると全国で 武装蜂起が起きるだろう」と語った。もう一度尋ねた。「もし30万ウォンの罰金が科されたとしよう。次にまた違反をするだろうか」。ほぼ全員が「もうしな いと思う」と答えた。「こうした集まった罰金を交通安全のためのインフラ構築に使えばどうか」。それにはみんなうなずいた。 <

(japanese.joins.com/article/216/186216.html?servcode=100&sectcode=120)

この記事はセウォル号沈没事故で韓国社会は変わったのかというテーマで書かれた記事。記者は何も変わっていないという。この記事の問題は罰則や罰金が怖いから「もうしない」であるだ。

この周囲の韓国人は金が大きく減るのは嫌だから法律違反をしないと述べているわけだ。管理人が述べたいことはわかるだろうか。金銭=利己的主義が考え方の 根本にあって、法律違反することの意味を頭で理解していない。普通の日本人なら車でスピード違反などをすれば、事故が起こる可能性が高くなるから止めよう である。

この記者はそこには言及していないが、韓国社会が「共有地の悲劇」に陥る根本的な理由がこの短い文章でわかったのではないだろうか。豹変しても、何もわかっていないとしか言いようがない。結局、ローマ法王の言葉が正しいことが証明されてしまう。

さらに言及すると、罰金をさらに増やしても、交通事故は減らないと思われる。次は罰金が高すぎるという斜め上が起こるだろう。後、地方選の結果にも少し触 れておくと、なんとあれだけ不利な情勢でも引き分けという結果である。朴槿恵大統領に同情票が集まったんだろうか。まあ、日本にしては大統領にはまだまだ 頑張って反日を貫いてもらうほうが良いわけだが。

今週の韓国市場

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

02日 2002.00 1024.10 535.15 261.45 2085億←国民年金1兆2000億大型株投資秒読み
03日 2008.56 1023.10 531.28 261.60 286億
04日 お休み
05日 1995.48 1020.50 523.12 259.90 649億
06日 お休み

以上。今週は4日と6日が休みなのでそれほど大きな動きはなかった。ただ,一時的にもウォンが1020ウォン台を突破されている。しかし、すぐに介入が来て1025ウォンまで下がったのだが、その後、また1020ウォンぎりぎりで終値となっている。

もう一つ注目なのが、外国人が韓国株を最近、大量購入していた理由がわかった。それは、国民年金1兆2000億大型株投資である。おそらく、投資家はこの情報を事前に掴んでいたのだろう。出なければ、材料もないのに買われる理由が見当たらない。

>国民年金が国内大型株投資に1兆ウォンを越える資金を新規に投じる予定の中で、主な機関投資家も大型株投資を本格化する動きを見せている。国民年金の大規模資金が大型株に流入してこれまで低評価された大型株価格が正常化する’国民年金効果’が予想される。

まあ、低評価されてきたのかは知らないが、これだけの資金が流入するとなると株は上がるだろう。上がったところで売り抜けを狙うと思われる。

今週の予想レートは1015~1030だった。一時的に突破されたものの1020ウォンの壁は分厚く、終値では戻されている。韓国銀行が介入しているの で、これをどう突破するか。いつ突破するかが今後の焦点となろう。次回は1015~1025辺りにしておく。終値で1020を切れば、それなりに上がると 見ている。

以上。今週はこれで終わる。来週はセウォル号沈没後の韓国経済の見通しについて触れていく。事故から1ヶ月半以上経って、様々な経済情報が出てきた。ウォン高、成長率下方修正、消費者物価上昇などの経済関連ニュースを見ていく。

読者様の講読に深く感謝する。これからも温かい応援の程をよろしくお願い致します。

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