第171回「米国債売るよ!李明博前大統領の回顧録」
配信日:2015年2月8日
最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)
今週のメルマガのテーマは「李明博前大統領の回顧録」である。
回顧録というのは李明博前大統領が行ってきた政策についての自分なりの意見や、この時、このような情勢だったからこうしたといった韓国のその時の事情を垣 間見るのに役立つ。最も、このメルマガで上げるのは経済のニュースと日韓関係が中心である。裏でどのような取引されていたのか。興味深い内容だろう。で は、記事のチャートを張る。
記事のチャート
ブッシュとオバマ大統領について→米韓FTAや牛肉ついて→大運河について→平昌五輪への賭け→菅直人との駆け引き→2008年の経済危機時、米国債を売るとアメリカに宣言→今週の韓国市場
ブッシュとオバマ大統領について
>2008年7月、米国地名委員会は独島(ドクト、日本名・竹島)を「韓国領」と「公海」 から「主権未指定地域」に変更した。日本の執拗なロビー活動の結果だった。李泰植(イ・テシク)駐米大使は韓米自由貿易協定(FTA)行事で警護員の阻止にもかかわらず、ブッシュを大きな声で呼んだ。
李大使は表記を元に戻すべき理由をブッシュに説明した。ブッシュは「私の友、李大統領が望むように処理しなさい」という指示をライス国務長官に出した。1週間後、独島の表記は元に戻った。
オバマが大統領に当選してから3日後の2008年117日、彼と電話で対話した。オバマはハワイで成長期に接した韓国系米国人、プルコギ、キムチなどに言及し、韓米同盟を強化したいと述べた。
2009年4月2日、英ロンドンで開催された第2回G20(主要20カ国・地域)首脳会議でオバマと初めて会った。オバマは「北朝鮮は韓米間の強い同盟関係に割り込む隙がないだろう」と述べた。
会談で印象的だったのは当時のヒラリー・クリントン国務長官だった。彼女はオバマよりも年齢と経験で上回っていたが、低い姿勢で礼儀 を守った。韓国哨戒艦「天安」爆沈後の2010年4月13日にワシントンで開かれた第1回核安全保障サミットで、米国は私の席をオバマ大統領の隣に配置し た。会議が始まる直前、私は隣の席のオバマに話した。「戦時作戦権転換の延期問題を検討してほしい。2012年は韓米両国にとって無理があるようだ」。
するとオバマが話した。「私も李大統領の言葉に共感する」。結局、2010年6月26日にカナダ・トロントで開催された第4回G20首脳会議期間、私はオバマと会談し、戦作権転換日程を2015年12月1日に延期することで合意した。 <
(http://japanese.joins.com/article/975/195975.html?servcode=A00§code=A20)
2008年に騒がれた竹島表記の問題では裏で明博元大統領がアメリカの大統領に画策していたようだ。そして、オバマ大統領との電話会談では、ハワイで成長期に接した韓国系米国人、プルコギ、キムチなどに言及し、韓米同盟を強化したいと述べた。
その後、G20で北朝鮮に関しては韓米間は強い同盟関係があると。さらに、例の戦時作戦権転換の延期問題の検討。これで2015年12月1日となったようだ。
と、このように回顧録には中々、面白いことが書いてある。米国とは親密な関係を保っていたというアピールが多い。
米韓FTAや牛肉ついて
>李明博(イ・ミョンバク)前大統領は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が米国と「すべて の 月齢の牛肉を輸入する」という裏面合意をした、と回顧録で明らかにした。また、朴槿恵(パク・クネ)大統領が世宗(セジョン)市修正案に反対した背景が 「次期大統領選挙のため」という趣旨で書いた。以下は回顧録の主な内容。
◆「牛肉輸入を裏面合意」=大統領就任を1週間後に控え、盧武鉉大統領と対話した。盧大統領は牛肉交渉を終えてから離れる考えがな かった。後味が悪かった…(中略)…牛肉交渉は自由貿易協定(FTA)とは別の問題だった。にもかかわらず米国は牛肉をFTAと連係させた。
金宗フン(キム・ジョンフン)通商交渉本部長に米国の要求を尋ねた。彼は「盧大統領がブッシュと裏面合意をした。(30カ月の)月齢 制限なしにすべて輸入するという内容だ。その合意を守ると約束しろということだ」と答えた。…(野党の反対は)予想したが、悲しかった。
骨片事件とそれに よる数回の約束で交渉の余地が狭くなったのが、彼らが執権した時に起きなかったのか。ソウル市長時代に造成したソウル広場と清渓川(チョンゲチョン)が (ろうそく)デモ隊の集会場所になっていた。「実に妙なアイロニー」で複雑な気持ちだった。<
(http://japanese.joins.com/article/033/196033.html?servcode=200§code=200)
日本でもアメリカ産牛肉について問題になったので、覚えている人も多いだろう。アメリカ産牛肉の吉野屋が牛肉が使えなくて、苦肉の策として豚丼を提供して いた。そして、日本でもアメリカ産の牛肉の全面輸入は危険だと広がり始めた。しかし、韓国にはそれは許されなかった。アメリカがFTA交渉で牛肉を出し、 全ての月齢制限なしで輸入すること。上の要求があっさり通った理由がなとなくわかる。
竹島表記や、韓国が喜ぶことをしてあげる代わりに、危ない牛肉でも全部輸入してくださいである。米韓FTAも交渉するよ。ただし、牛肉のこともいれるから と。あの当時、米国の牛肉を輸入する国はほとんどなかったからな。アメリカとしては韓国に買わせるために色々と飴を与えたようだ。まあ、韓国人はアメリカ 産牛肉好きなのでいいんじゃないか。
大運河について
>◆「政治論理で大運河は挫折」=運河は朴正熙(パク・ジョンヒ)大統領も推進した。彼は未 来に目を向けた。金大中(キム・デジュン)、盧武鉉政権当時も水害で数百人が命を失うと、24兆ウォンから87兆ウォン規模の河川整備計画を3回も発表し た。
反対論者は頑なに大運河を食い下がった。与党の一部も反対した。第17代大統領選挙当時、党内選挙で反対側に立った(親朴)議員が中心に立った。…金 融危機を迎えた時、迅速に4大河川復興事業を施行でき、不幸中の幸いだった。オバマ大統領もなぜそれほど迅速で効率的な財政投資ができたのかと尋ねた。 <
あんなゴミのような内容で、財閥が儲けるだけに作られた4大河川復興事業を自画自賛。まあ、回顧録なので仕方がないが、財閥優遇策でお金を吸い取られた国民の嘆きを知らないんだろうか。しかも、ほとんど役に立たないと最初から言われており、事故まで起きたのに。
平昌五輪への賭け
>李明博(イ・ミョンバク)前大統領は回顧録で、「李健熙(イ・ゴンヒ)サムスン電子会長 に 対する赦免は平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック(五輪)招致のための賭け」と明らかにした。故鄭周永(チョン・ジュヨン)現代グループ会長と決別した 理由については、「新しい政治勢力が必要だったが、財閥のトップが大統領になるというのは別の問題」と書いた。
◆李健熙会長の赦免=平昌冬季五輪の招致のためには国際オリンピック五輪委員会
(IOC)委員の資格でIOC委員を説得する人物が必要だった。しかし李会長の赦免は野党の政治攻勢を招く可能性が高かった。国益と政治的な状況の岐路に 立った。世論調査では、国民の55%が五輪招致のため に李会長の赦免に賛成するという結果が出た。結局、李会長だけを赦免する“ワンポイント赦免”をした。
李会長は健康に問題があったが、1年半に11回も海外を出張し、招致活動を支えた。招致決定6カ月前の2011年初め、李会長は私に 手紙を書いていくつか建議した。▼招致活動では団結が最も重要▼開催地が決定するダーバン(南アフリカ)IOC総会には大統領が必ず出席する▼プレゼン テーション演説は英語でする--という点を強調した。
招致が確定すると、李会長の目に涙が浮かぶのが見えた。李会長は涙声で「国民の皆様が作ったものだ。平昌招致チームも苦労が多かった。特に大統領が熱心だった。私はわずかな部分を担当したにすぎない」。 <
(http://japanese.joins.com/article/002/196002.html?servcode=300§code=300)
これも、今の平昌の危機的な状況を考えると興味深い内容だ。サムスンの会長を恩赦した理由が「国益」で、平昌五輪招致に動いたわけだ。しかし、平昌五輪の スポンサーにサムスングループが積極的に関わると思っていたら、名乗り上げたのは大韓航空だった。しかし、大韓航空は例のナッツ・リターン事件で窮地に追 い込まれている。
これを回顧録に盛り込んだのはサムスン電子も金を出せという話だと思う。しかし、サムスン会長の恩赦は、国益のためなのに、サムスン会長は社益でしか動い ていない。全然、かみ合ってないように見えるんだが・・・。涙を浮かべても決してスポンサーにはならないサムスンの会長が素晴らしいな。
菅直人との駆け引き
>◆菅直人との駆け引き=2011年5月、韓日中会談のため日本を訪問した際、日本が首脳会談を提案してきた。菅直人首相が領土という表現で独島(ドクト、日本名・竹島)問題に言及しようとした。
ある参謀が菅直人首相が言及しても私が答えないという条件で、その程度の要求は受け入れようと話したため叱った。「独島問題を取り上 げた日本の提案を持っていること自体が間違っている。独島はもちろん領土の領という字が出てきても、私は会談できない」。結局、日本は領土問題を取り上げ ないことにした。
(http://japanese.joins.com/article/029/196029.html?servcode=A00§code=A00)
日本の総理大臣であった菅直人との駆け引きの内容。この辺りは日本と韓国では全く正反対の立場なので、日本が波風を立てないように折れたようだ。このような動きから、最後の現大統領の竹島不法侵入へと繋がるようだ。
2008年の経済危機時、米国債を売るとアメリカに宣言
2月2日に発売予定の李前大統領の回顧録『大統領の時間』には経済の難局を乗り越えた舞台裏が克明に記録されている。
■ウォン安主張した姜長官は正しかった
08年の世界的な金融危機に対抗し、企画財政部(省に相当)の姜万洙(カン・マンス)長官(当時)は、米国との通貨スワップに突破口を見いだした。
李前大統領は「当初米国側は否定的な反応で、韓国銀行関係者は米連邦準備理事会(FRB)関係者から『通貨スワップとは何か知っているのか』 とからかわれたりもした」と振り返った。当時政府は「韓国が保有する米国債を売り払えば、韓国は通貨スワップなしでも危機管理ができる」と米国に圧力をか け、通貨スワップを実現させたという。
就任初期のウォン安政策に対しては、「一部からウォン安主義者の姜長官を解任すべきだとの助言があったが、自分の政治的利益のために国を危険にさらすことはできなかった」と記した。
李前大統領は「野党の要求に応じ、就任当初から物価安定のためのウォン高政策を取っていればどうなっただろうか。経常収支赤字が膨らみ、外貨準備が底を突 いた状況で金融危機を迎えたはずで、韓国国民は1997年に続き、再び通貨危機の苦痛を味わっていたかもしれない」と指摘した。
李陳錫(イ・ジンソク)記者 , 金正薫(キム・ジョンフン)記者
(朝鮮日報より)
あの当時、管理人も毎日、韓国市場をチェックしてブログを更新していたわけだが、米韓通貨スワップ協定の裏には明博元大統領の米国債を売るという発言まで あったようだ。ここまで追い詰められていたわけか。ここでアメリカが拒否したら、韓国は死んでいたと。米国債をいくら持っているかはしらないが、売却して 本当に危機を乗り越えられたのか。数百億円程度だろうに。
しかし、面白いことはアメリカは韓国と通貨スワップ協定を結ぼうとはしなかったこと。日本と中国はあの当時、率先して韓国と通貨スワップ協定の増額したの に、実に正反対だったわけだ。最も、リーマン・ショックの引き金を引いたのは韓国だったので、その韓国を助けようという発想がなかったかもしれない。アメ リカは韓国を同盟国として扱うが、決して良好に助けるわけではなさそうだ。
以上が回顧録の経済や日韓関連の主な内容だ。慰安婦問題で野田元総理が謝罪や賠償しようという話はあったが、これは野田総理が解散総選挙をしたために消えたそうだ。最も、野田総理も慰安婦問題での賠償はしたくなかったからこそ、あのタイミングだったかもしれない。
慰安婦詐欺なのは有能な野田総理ならとっくに知っていただろうし。管理人は民主党政権で最初に野田氏が総理大臣ならもう少し続いていたのではないかと考えている。もっとも、歴史にIFはない。
回顧録はリーマン・ショック時の状況が、韓国にとって如何に危機的だったかを語っている。
今週の韓国市場
日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)
02日 1952.68 1103.30 590.27 251.30 60億
03日 1951.96 1097.90 593.31 250.90 -244億
04日 1962.79 1084.10 598.23 252.45 2267億
05日 1952.84 1090.50 600.81 249.80 -1087億
06日 1955.52 1089.70 604.13 250.45 -1529億
今週の予想レートは1085~1110。予想通りの動きではあるが、材料がないので1100越えるのは一時的だった。おそらく、今月も韓国の金利は凍結さ れると思うので、ウォン安が一気に進むことは考えにくい。ただ、アメリカの雇用統計が発表される時期なので、それに影響して若干のウォン安はあるかもしれ ない。
また、日韓通貨スワップ協定の延長期限が23日までとなっているので、動くとしたらこのスワップの行方がわかった頃だろう。今のところ、そんなニュースはないので打ち切りに動いてそうではある。
来週の予想レートは1080~1100といったところだ。
以上。今週はこれで終わる。次回は通貨スワップ協定のニュースが出てくれば、通貨スワップ協定とは何かについての解説を入れて特集する予定だ。ただ、来週 に本当に出てくるかは判断つかないので、もし、出てこなければ、韓国経済における「中産階級」の消失がどれだけ絶望的なのかを解説したい。
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