第178回「韓国はAIIBに参加決定!日本とアメリカは拒否する中、51国の国と地域に拡大。韓国は副総裁を目指す!?」

第178回「韓国はAIIBに参加決定!日本とアメリカは拒否する中、51国の国と地域に拡大。韓国は副総裁を目指す!?」

配信日:2015年4月5日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週のメルマガは、現在、経済、金融ニュースの話題になっている中国が主導するアジアインフラ投資銀行【AIIB】である。正式名称はAsian Infrastructure Investment Bankという。一応、アジア向けの国際開発金融機構になるわけだが、その実態は不明である。まずはAIIBとは何なのか。その辺りを最初に見ていこう。 では、記事のチャートを張る。

記事のチャート

AIIBの目的→参加国→韓国は参加していいのか→米韓関係は→今週の韓国市場

AIIBの目的

日米が主導するアジア開発銀行(ADB)では賄いきれない増大するアジアにおけるインフラ整備のための資金ニーズに、代替・補完的に応えるということを目的として、中国が設立を提唱したとWIKIにある。

つまり、アジア開発銀行と同じようなことをしようとするのがAIIBということになる。ただ、それならADBに投資すれば良いだけの話だったりする。それなのに、なぜ中国は別枠を造ったのか。考えられる理由は3つ。

一つはADBだと主導権を握ることができないためだ。AIIBの正確な出資率は明らかになってないが、中国が50%確保する見通しである。後の50%を参 加国で分け合うわけだが、どう考えても、50%確保されている時点で、中国の思いどおりにしかならない。しかも、理事会がなく、本部も北京に置くと最初か ら決めている。

理事会がないので話会い場もなく、出資されたお金を中国が自由に使うことだって十分に考えられる。この状態なら拒否権などいるはずもない。過半数を握っているのだから、中国と仲良くする国がインフラの投資先に選ばれるのは誰の目でも明らかだ。それが2つ目の目的に繋がる。

2つ目は中国のアジア権益の拡大である。中国は日本のODAを使ってアフリカに投資してきた。そのため、アフリカでは中国に味方する国も多い。AIIBで アジアのインフラを整えれば、決定したのは中国ということで、投資を受けたアジア各国は中国に感謝するだろう。アジアで中国の評判が高まるわけだ。これは 元の国際化にも大きく貢献するだろう。

中国の権益拡大において、警戒するのはアメリカ、ロシア、日本といった国になる。残念ながら欧州の国では脅威対象がロシア、中国の順になるので、欧州に とって中国の権益拡大はそれほど警戒されていない。欧州にとって隣となるロシアの方が怖い存在。中々、複雑な歴史関係がある。

もっとも、欧州が中国の言い分通りに投資するとは管理人は考えていない。どこかで中国を出し抜く腹案でも用意しているのだろう。欧州勢は金儲けに関しては強かである。

そして、最後の3つ目は軍事的な目的で中国の海洋進出を急ぐ中国海軍の寄港地を拡大や港湾整備に使うため。

他にも、中国国内での労働者への仕事の斡旋。アジアインフラ投資に向ければ、成長が鈍っている経済も活性化できる。

参加国

現在のAIIB参加国は5大陸と51カ国である。↓にあげておく。

■2014年に参加を決めた国々

中華人民共和国、モンゴル、フィリピン、ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、ミャンマー、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、インドネシア、バングラ デッシュ、インド、ネパール、スリランカ、モルディブ、パキスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、香港、オーマン、カタール、クウェート

■2015年に参加を決めた国々

サウジアラビア、トルコ、ヨルダン、ニュージーランド、韓国、オートストラリア、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ルクセンブルク、スイス、オーストリア、ロシア、ブラジル、オランダ、グルジア、デンマーク、エジプト、スペイン

以上の51カ国である。かなりの数の国々が参加しているわけだが、アメリカと日本が含まれていない。世界第1位と世界第3位のGDPを持つ二国がいない。中国が参加を呼びかけているが、麻生財務大臣は焦る必要はないと述べている。

後、気になるのは台湾の参加だが、中国は適切な名称を使用するなら参加を認めるそうだ。台湾内部では中国の属国化に進んでいることになる。他にも、ノルウェーやイスラエルといった国も参加を検討しているそうだ。

このようなAIIBは拡大しているのだが、管理人は日本のマスコミ、産経、読売以外が全てアジアインフラ投資銀行に参加すべきだという路線が気に入らない。

日本の左翼がバスに乗り遅れる!と焦らせるのは中国側にとって日米の参加が必要だと感じているからだろう。だが、そんな思惑に日本が乗る必要はないし、ガ バナンスの透明性がわからない以上、見送りのがベターだと思われる。そもそも、ADBで事足りるのではないか。なぜ、別組織なのか。

6月に運営体制を決めていくそうだが、それを見てからの判断でも良いだろう。

韓国は参加していいのか

韓国が参加を決めたのは3月26日である。この前に、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアといった欧州勢が参加を表明した。つまり、韓国は欧州勢が参加するならアメリカも許してくれるという判断がついたのだろう。

アメリカもG7国が参加するなら、韓国に強く拒否させるようにはもっていけない。各国の判断に任せるに止まった。そのため、同盟国の韓国が表だって参加しても、イギリスも参加したから、大丈夫だというわけだ。

イギリスの思惑はともかく、韓国の場合、それをするのは色々と危険である。イギリスは別にアメリカがなくても生きていけるが、韓国はアメリカがなければ北朝鮮に滅ぼされる。この違いが決定的である。

北朝鮮が韓国に攻めない理由はアメリカが守っているからであって、韓国を警戒しているからではない。米韓同盟の亀裂は韓国にとって死活問題である。それをリッパート大使襲撃事件から、間、髪を入れずにAIIB参加である。どう考えても、韓国の選択がベターとは思えない。

韓国が経済的に滅びを迎えるのは予想しているが、軍事的に滅びるのは予想できていない。だが、韓米同盟がなくなれば、それも憂慮されるわけだ。

ただ、参加を決めたのならやることは一つ。韓国の利益を拡大するために出資率を上げて、副総裁の地位を目指すことである。それが出来るかはどうかはともかくだ。

管理人は無理だと思う。なぜなら、韓国にはお金がない。しかも、参加国がこれだけ増えれば出資率5%も確保できないだろう。韓国の高官はAIIBは韓国に利益をもたらすと述べているが、中国が韓国に甘くする理由がない。

まずは2014年に参加を申請したアジアの国々からとなる。つまり、参加するならその当時にするべきだったのだ。まあ、これは結果論に過ぎない。

今週の韓国市場

先週メルマガが休みだったので、二週間の動きを掲載しておく。

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

23日 2036.59 1114.60 640.29 260.15 1349億
24日 2041.37 1104.60 641.87 260.30 606億
25日 2042.81 1100.80 651.05 260.60 1147億
26日 2022.56 1108.00 642.53 257.90 -1167億
27日 2019.80 1103.30 640.12 257.40 -665億

30日 2030.04 1104.90 646.74 257.65 737億
31日 2041.03 1109.50 650.49 257.80 1360億
01日 2028.45 1102.40 650.23 255.85 1218億←3月貿易収支は84億ドル。1.4半期貿易黒字は215億ドル
02日 2029.07 1095.50 650.57 256.25 -177億
03日  2045.42 1092.70 658.04 258.10 407億

管理人は為替介入もあり、ウォン高にはなりにくいと考えていたのだが、先週は一気にウォン高という結果となった。この結果になった理由はウォンより、ドル 安になっていることがあげられる。ドル/円の方も119円になっていたので、世界的なドル安によるウォン高。そして、今週もその勢いが続いたことになる。

後、韓国の3月の貿易収支が84億ドルと史上最大記録をにぬりかえた。さらに、1.4半期までの貿易黒字は215億ドルで、昨年の同時期に比べて4倍増えた。中々、好材料となり、ウォンが下落したようだ。

これだけ見れば韓国は絶好調なんだが、実は喜んでいられない。輸出は469億8800万ドルで、昨年3月対比4.2%減少した。輸入は15.3%減少した385億9600万ドルだった。

つまり、不況型黒字である。特に輸入が15.3%減少しての史上最大記録である。さらに消費者物価指数も前年に比べて0.4%上昇したにすぎない。

ウォン安になった理由はこれで理解できるが、内訳を見れば、物価上昇はほぼマイナスで、輸入が減りすぎているのが気になるところだ。一時的ならそれでいいのだが、これが続けば、過去最大を更新つつ、実は経済そのものは衰退しているという悪循環(デフレスパイラル)に陥ることになる。

さて、次回の予想レートだが、1075~1095で考えている。これはアメリカの雇用統計が市場予測ではあまり良くないという判断から。良くなければ、ウォン高になるだろう。ただ、為替介入もあるので1070以上といった急激な変動は少ないとみている。

以上。今週はAIIBについて見てきた。次回はもう一つの踏み絵であるTHAADについて見ていく予定なので楽しみにして欲しい。

読者様の購読に深く感謝する。これからも温かい応援の程をよろしくお願い致します。

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