第297回「韓中通貨スワップ協定の延長が決定!?日本にとっては良いことかもしれない」
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韓中通貨スワップ協定の延長で韓国は両国の関係改善が期待されるという報道がある。ロイターでもそう書いてあるのだが、韓国のTHAAD配備がなくなったわけではない。THAAD配備していて中国側だけが折れるとは考えにくい。しかも、韓中通貨スワップ協定の満期を迎えた後に、中国側はTHAAD配備に反対している。韓中関係が改善するというのは現時点で難しいだろう。
ただ、韓国は中国からの経済報復措置に対してWTO提訴を検討していたのをいきなり、韓中通貨スワップ協定の満期前に取りやめた。この動きも怪しいといえば怪しい。今後、韓国が中国に折れることが増えれば、逆らうな。協力しろ。でないと韓中通貨スワップ協定の延長はなしだと脅迫された証かもしれない。もちろん、表だって証拠は出てこないだろう。
配信日:2017年10月15日
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今週のメルマガは10月10日に満期を迎えた韓中通貨スワップ協定の延長について特集する。まずは韓国側からの韓中通貨スワップ協定の延長についての報道を引用する。
■韓中通貨スワップ協定の延長
[ソウル 13日 ロイター] – 韓国企画財政省と韓国銀行(中央銀行)は13日、中国との二国間通貨スワップ協定の延長で合意したと発表した。安全保障政策を巡り両国間で高まった緊張の緩和を示唆している可能性がある。
両国は560億ドルのスワップ協定を3年延長する。韓国中銀の当局者が13日にロイターに明らかにしたところによると、両国は協定の期限だった10日に延長で合意した。
(https://jp.reuters.com/article/currency-swaps-southkorea-china-idJPKBN1CI0OZ)
ロイターからの報道だ。何かしら動きはあったように見えるのだが、これらの報道は全て韓国側からの報道である。中国側の発表は何もない。銀行もなければ新聞社にもない。レコードチャイナは韓国側の報道を引用して報道している。なので、管理人は判断は保留でいいかもしれないと自分のサイトで申し上げたのだが、では、どうして中国側の発表がないのか。これについては何らかの裏取引の「履行待ち」ではないかと考えている。
ただ、こういうのは憶測を超えることはないのでメルマガではその先、韓中通貨スワップ協定の延長された場合はどのような影響が期待されるかを3つの視点から検討する。
■韓中通貨スワップ協定の延長された場合の影響
1.韓中関係が改善
2.日韓通貨スワップ協定はこれでなし
3.韓中通貨スワップ協定の延長で通貨危機を防げるのか
■韓中関係が改善
韓中通貨スワップ協定の延長で韓国は両国の関係改善が期待されるという報道がある。ロイターでもそう書いてあるのだが、韓国のTHAAD配備がなくなったわけではない。THAAD配備していて中国側だけが折れるとは考えにくい。しかも、韓中通貨スワップ協定の満期を迎えた後に、中国側はTHAAD配備に反対している。韓中関係が改善するというのは現時点で難しいだろう。
ただ、韓国は中国からの経済報復措置に対してWTO提訴を検討していたのをいきなり、韓中通貨スワップ協定の満期前に取りやめた。この動きも怪しいといえば怪しい。今後、韓国が中国に折れることが増えれば、逆らうな。協力しろ。でないと韓中通貨スワップ協定の延長はなしだと脅迫された証かもしれない。もちろん、表だって証拠は出てこないだろう。
■日韓通貨スワップ協定はこれでなし
日本人には関心があるのは韓中通貨スワップ協定の延長したなら、日本に日韓通貨スワップ協定を求めてこないだろうという意見と思われる。でも、管理人はそこまで甘くないと考えている。韓国は通貨危機でIMF行きを避けるためなら、日本にも土下座してくる。もっとも、それを受けるかは日本政府の問題だ。ただ、選挙で忙しいのでしばらくそういう話は出てこないだろう。選挙が終わって年明けてからではないだろうか。しかし、それだと日韓慰安婦合意から2年経過することになる。何ら履行もしない韓国政府に対して日本が何らかの経済報復を検討する可能性はわずかにあるだろう。
■韓中通貨スワップ協定の延長で通貨危機を防げるのか
管理人が注目したのは韓中通貨スワップ協定の延長で通貨危機が防げるかだ。報道を鵜呑みにすれば、結局、560億ドル規模といっても、人民元とウォンの交換である。欲しい米ドルではない。しかも、満期で終わった後も韓国市場にたいした影響はなかった。延長報道でも同じだ。市場や投資家はそこまで韓中通貨スワップ協定の延長、有無に注目はしていなかったわけだ。
しかも、韓中通貨スワップ協定の延長は韓国側には有利のように見えるが、中国側が本当にそれに応じるかどうかは未知数である。以前の北朝鮮が水爆実験をしたとき、韓国がホットラインで中国側に対応を求めたとき、全く無視された経緯もある。土壇場で裏切ることだって考えておいた方が良いんじゃないか。
■今週の韓国市場
日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)
09日 お休み
10日 2433.81 1135.10 654.59 322.49 8190億←韓中通貨スワップ協定の満期日(有価証券市場の時価総額、過去最高更新)
11日 2458.16 1135.20 662.31 326.12 4465億
12日 2474.76 1133.20 666.54 328.11 2440億
13日 2473.62 1128.90 663.08 327.35 -349億←韓中通貨スワップ協定の延長報道(韓国側のみ)
今週の韓国市場は韓中通貨スワップ協定満期を迎えてどうなるか注目していたのだが、同時期にサムスン電子の過去最高の販売利益(1兆4400億円)というのが出てきて、KOSPIは大幅に上昇した。その流れは韓中通貨スワップ協定の満期となってもたいした影響はなかったと思われる。
実際、韓中通貨スワップ協定はあくまでも保険なので、輸出が好調のときは何ら問題はない。
以上。今週はこれで終わる。来週は日本ではちょうど選挙の日なのだが、メルマガネタには間に合うかは微妙なところ。順当に行けば圧倒的に強いサムスン電子、または韓国の市場そのものについての分析、その辺りになると思われる。ただ、まだ決まってはいない。今週中には決めておくので楽しみにして欲しい。
10月に入って2017年も残り2ヶ月を切った。2017年を振り返るデータは結構、出てきている。そういった意味では様々なデータから韓国経済を見つめ直すのも悪くない。