第329回「自動車輸出減少、それでも賃上げと現代自動車の内外危機」
今週のメルマガは韓国でサムスン電子に次ぐ、第2の企業「現代自動車」の危機である。さすがにこのまま現代自動車が経営破綻なんていうことはまずないのだが、それでも危機と呼べるほどの悪材料を抱えている。それも内と外で。順番に追っていく。まずは外からだ。
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配信日:2018年7月15日
最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)
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■韓国製自動車輸出の減少
これは現代自動車だけではなく、韓国の自動車生産がどんどん落ちているということ。中国には一気に抜かれて5位に、その後、順位を少しずつ下降させて、インド,メキシコに抜かれて7位に転落した。そして、もうすぐスペインにまで抜かれて8位となるようだ。自動車生産上位10カ国のうち2年連続で減少を記録したのは韓国だけという。
その原因というのは米中といった主力市場での現代自動車の苦戦である。しかも、これはまだ米中貿易戦争前の話である。仮に米中貿易戦争が長期化すれば、韓国自動車にとっては厳しい展開が待っている。
また、メルマガでも何度か特集したが、韓国GMの群山工場が閉鎖され韓国での生産量が大幅に減った。ルノーサムスン自動車も販売量が振るわない。このように、韓国自動車に良いニュースがない。しかも、日本のトヨタ(韓国トヨタ)やフォルクスワーゲンなどが韓国で売上を伸ばしているともいう。気が付いたら自国内での自動車市場も他国のメーカーに攻略されていきそうな展開である。
■現代労組の賃上げストライキ
外では他国の自動車企業に押されている現代自動車だが、内では世界災凶の労働組合「現代労組」に足下を見られている。現代労組は今年も賃上げストライキを行う予定で、既に投票で可決された。
ストライキを行う権利は合法なので、それを止める手段はないのだが、韓国自動車企業そのものが苦しい時期において、毎年、人件費のコストが増大しているわけだ。既に、その賃金はトヨタやフォルクスワーゲンなどよりも、現代自動車の方が高いという。こうして現代自動車は今後、ますます、厳しい情勢に立たされている。
しかも、この先、どれだけ利益を下げようが、労働組合が存在する限り、毎年、賃上げ要求なされる、決裂したらストライキを起こして工場ストップさせて、大きな損失まで出させるのだから最悪である。しかし、これは別に現代労組だけではないのだ。韓国の労働組合はだいたいそれである。
例えば、1兆ウォンで救済された韓国の大宇造船海洋。今年、政府の一時金が入ったことで黒字になったのだが、それを労働組合はもう黒字化したので賃金あげろという要求である。自分たちは誰の税金で給料をもらっていることすら華麗に忘れているようだ。
この労働組合が韓国で強い力を発揮することがどれだけマイナスなのか。わりと中央日報などが取り上げているが,それを是正しようという動きが全く出てこない。これは相当,政府支援の裏に労働組合が多数存在していると想われる。
■今週の韓国市場
日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人〔ウォン〕
09日 2285.80 1112.20 808.28 295.20 -590億
10日 2294.16 1116.00 813.18 296.19 333億
11日 2280.62 1120.00 804.78 294.43 309億
12日 2285.03 1125.90 819.31 294.41 -136億
13日 2310.90 1123.50 827.90 298.65 2249億←DFドル-ウォン1,135ウォン台に12ウォン急騰、中国、貿易戦争渦中に6月対米貿易黒字史上最大
今週の韓国市場は13日に注目していただきたい。一時的ではあるが、1135ウォンまで下がった。この範囲ならウォン安有利なのでそこまで騒ぐことはないが,もう一つが中国、貿易戦争渦中に6月対米貿易黒字史上最大という。中国の6月対米貿易黒字が前月の245億8千万ドルより17.86%増えた289億7千万ドル。
米中貿易戦争が開催されたばかりにこの発表である。でも、289億ドルだからな。30兆円ぐらいか。ばく大すぎるな。トランプ大統領が問題視するわけだ。どのみち、中国の為替操作を放置して,貿易で稼がせていけば、中国の強大化は避けられない。自由市場ですらないのに為替レートを調整し放題とか。世界は一刻も速く中国包囲網を完成させるべきだな。
以上。今週はこれで終わる。次回は韓国の最低賃金の引き上げに動きがあった。750円から85円ほど増えて、2019年には835円に決まったのだが、これを経営側が反対している。その辺りを詳しく見ていこう