第332回「低迷する韓国自動車を猛追する中国自動車」
■バッグナンバー宣伝文
韓国GMはある程度は予想できたものの、現代自動車の販売台数減少は気がかりである。これについては中国企業の台頭で中国や米市場で苦戦を強いられているのと、チリなどの新興国でも中国企業に猛追を受けている。簡単に述べれば。世界の韓国自動車のシェアが中国企業に取って代わられているようとしている
配信日:2018年8月12日
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今週の韓国経済は韓国の最新自動車事情について特集していく。まずは、韓国企業の販売台数を見ていこう。ここでは現代自動車・起亜自動車。韓国GM、ルノーサムスン。双柳自動車といった代表5社の数値を採用している。
■5社の全体的販売台数(7月の販売台数)
国内販売が13万3792台(前年同月比で-2.4%減少)
海外販売が50万5307台(前年同月比で-4.4%減少)
両方を合わせた数値だと-3%減少で63万9099台
5社の全体では-3%減少ということでメーカーによって事情は異なるが、全体的に減少傾向であることは確認できる。では、ここから5社の個別データである。
■個別の販売台数
現代自動車:国内6万367台(1.3%増加)。海外27万9327台(-8%減少)
起亜自動車:国内4万7000台(7.8%増加)。海外18万3878台(4.4%増加)
韓国GM:国内9000台(16.7%減少)。海外2万8046台(-8.4%減少)
ルノーサムスン:国内7602台(4.1%減少)。海外1万963台(28.7%減少)
双柳自動車:国内1万2916台(13.2%増加)。海外3093台(12.3%増加)
各メーカーの販売台数に大きな違いがあるのだが、現代自動車の海外販売が-8%減少は大きい。しかし、逆に国内ではわずかに増加している。ただ、起亜自動車は国内、海外と共に好調である。韓国GMは例の工場閉鎖の影響もあって、国内、海外も大きく落ちている。落ちた数値だけみればルノーサムスンの海外販売の28.7%減少も大きい。双柳自動車は生産台数そのものは少ないものの国内、海外販売は好調と。
韓国GMはある程度は予想できたものの、現代自動車の販売台数減少は気がかりである。これについては中国企業の台頭で中国や米市場で苦戦を強いられているのと、チリなどの新興国でも中国企業に猛追を受けている。簡単に述べれば。世界の韓国自動車のシェアが中国企業に取って代わられているようとしている。
チリでは吉利、長城、長安など中国メーカーは上半期にチリで3万1000台を販売し、シェア15.6%で1位に上がった。現代・起亜自動車が海外販売で中国メーカーにまけたのはこれが初とのこと。このチリのシェアを奪われたニュースを管理人は数値以上に重く見ている。だから、サイトでも取り上げたのだが、我々、日本人にはまったく馴染みがない。中国メーカーの自動車なんて…。
もちろん、現代車ですらバスぐらいしか、国内で走ってないので韓国製にも馴染みはない。だが、日本以外の市場で韓国製の車が大きなシェアを獲得してきたのは紛れもない事実である。それを奪われたのだ。これが勝者と敗者を分ける変わり目になる可能性がある。さて、もう一つ気になるのが現代自動車の低迷を示すニュース。現代・起亜自動車の2次下請け会社が相次いで倒産しているという。
■下請け会社の倒産
現代・起亜自動車の2次下請け会社で年商1000億ウォン(約100億円)のエナインダストリー(慶尚北道慶山市)が7月12日、不渡り手形を出した。自動車というのは細かく分ければ数万点を超えるたくさんの部品を組み合わせて製造されている。そのため。現代自動車を向けて部品を生産する下請け会社がかなりの数となる。
実際、部品を作るにしても、その材料や原料を運ぶ運送、整備、販売、ガソリンスタンドなどの関連事業を含めれば177万人の雇用が関係しているそうだ。韓国GMを韓国政府が潰せなかったのはこういった関連企業が多岐にわたるため。だから、現代自動車の低迷で、これらの関連企業の倒産が相次いでしまう。
ただでさえ、最低賃金引き上げで雇用の悪化が確実視されており、自営業の廃業が軒並み増えている状況で、韓国の自動車危機は失業者を一気に拡大させてしまう。そういう意味ではストライキやっている場合ではないが、現代労組はそんなことよりは自分たちの給料確保に忙しいようだ。会社が低迷して下請け会社が倒産しているのにストライキなんてすれば、それが自分たちに返ってくるなんてことを理解はしてない。
現代自動車の低迷は韓国の自動車危機を加速させる。そういう意味では、今のうちに取り上げておきたいテーマの1つだった。これからの韓国自動車の行方を観察する上で大事なことになると考えている。
■今週の韓国市場
日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)
06日 2286.51 1124.00 781.41 295.24 -46億
07日 2300.16 1123.80 784.70 297.18 569億
08日 2301.45 1119.90 783.82 297.19 1400億
09日 2303.71 1117.20 789.48 297.41←外人現・先物売却にも2,300線守って
10日 2282.76 1128.90 784.81 293.64 -1076億←トルコ リラ暴落余波…11.70ウォン↑
今週の韓国市場は米中貿易戦争の拡大懸念と、トランプ大統領とトルコの応酬でトルコのリラが大幅に下落してドル高となった。そのおかげで韓国ウォンが11ほど下がった。KOSPIも2300割れている。トルコのCDSは急騰しているが、この辺りの事情もややこしい。トランプ大統領がトルコに鉄鋼・アルミニウム関税に追加関税を発表したのだ。
世界経済だけではなく、韓国経済に余波があったのである程度は調べたのだが、日経によると実体経済は安定しているそうだが、外貨頼みに弱みがあるらしい。リラは今年に入って40%以上下落しているという。他の新聞だと、トルコの自宅で軟禁されているブランソン牧師の釈放を狙う圧力とかあるが、実際、そこまで欧州事情には詳しくない。動きはチェックしているが、大きな金融ショックまで引き起こすかはまだわからない。
以上。今週は終わる。次回は米朝首脳会談から2ヶ月経過したので、結局、米国と北朝鮮の非核化交渉に何か進展があったのか。特集してきたいと思う。