第334回「ムンジェノミクスで自営業の危機。雇用悪化の中、財閥グループは好調」
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このように見ていくと文在寅大統領の軽罪対策は強ち間違いではない気がしてくるのが実に興味深い結論といえる。結局、両班制度しか経済を維持できない韓国経済の限界が最低賃金引き上げで見え始めただけ。しかし、その解決策は痛みを伴わないものは何1つない。搾取されているなら財閥解体して、最低賃金を1000円に引き上げればいい。できるならな。
配信日:2018年8月26日
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今週の韓国経済は韓国の最新の雇用状況について特集していく。韓国の雇用は文在寅大統領の経済対策、いわゆる「ムンジェノミクス」によって悪化したと韓国メディアが連日報道している。その中で大きく取り上げられるのが最低賃金の大幅な引き上げである。
昨年、韓国は最低賃金を大幅に引き上げた。まず、2018年の最低賃金は前年より、30%ほどあげて7530ウォン。日本円でだいたい750円ぐらいである。これを2019年に10%ほどあげて、8350ウォンにするという。つまり、835円だ。この決定に韓国の自営業や零細企業などが反発していた。30%の最低賃金引き上げても、30%以上、売上が増えたわけではないと。それなのにまた10%もあげるのか。彼らの言い分はこんな感じだ。
だが、管理人からすれば物価が日本と大して変わらない韓国が今まで1時間、働いて最低で750円以下しかもらってなかったのだ。2017年はだいたい585円ぐらいか。自国と他国の物価水準を図るときに指標として使われるのに「ビックマック指数」というのがある。これは世界中にチェーン店があるマクドナルドで販売されているビッグマックの値段が元になっている。
2017年1月頃、韓国ではビッグマックはいくらで売られていたのか。3.68ドルである。これは世界56カ国から25位を記録して日本より高い。日本は34位の3.26ドルだった。なんと、韓国の方がビッグマックの値段が高いのだ。
これがどうしてなのか。実は韓国の方が小麦の値段が高い。だから、サンドイッチなどパン製品の物価も高いのだ。どうして小麦の値段が高いのかについて気になって調べたことある。それで、世界の小麦の価格を追ってみたが、やはり、そこまで急騰していなかった。なら、その理由は何か。実は前政権の「崔順実(チェ・スンシル)ゲート」が発端だった。
どうやら、朴槿恵前大統領はメーカーが勝手に値上げをしないように「窓口指導」というものを行っていたが、ところが政権が不安定になってことで、それが行われなくなった。その枷が外れて食品メーカーは一気に値上げしたようだ。そうしてビールやパンの値段が高くなったり、野菜の価格が高くなったり、コーラの値段が上がるなど、物価上昇が一気に加速したようだ。メーカーの言い訳はこうだ「賃借料・人件費・物流費など管理費上昇による価格引き上げ」たのこと。原材料価格が高騰ではないわけだ。
さて、話はずれたが、これが極めておかしくないだろうか。韓国ではサンドイッチを食べるのに2018年3月には840円。冷麺なら900円。これが、過去形なのは既に値上げしているからである。なんと、今は冷麺が1400円である。このように食品物価は最低賃金引き上げの影響で高騰している。
では、話を戻そう。2017年の最低賃金が585円。ビッグマックの値段は3.68ドル。ドルなどで多少のレート変動はあるにせよ。韓国の飲食店がパンや麺類の値段を不当に引き上げていることは明らか。そして、最低賃金大幅に引き上げた2018年ですら、サンドイッチのセットが840円なので、まともに食べられないのだ。そろそろ何かおかしいことに気付いてきただろうか。
そう、韓国の自営業はこんな低賃金を支給して、韓国の若者を奴隷のようにこき使ってきたのだ。良く管理人は1時間働いてビッグマックセットも食べられないと批判していた。最低賃金と物価が明らかに比例してないのだ。
韓国メディアは連日のように自営業が苦しんでいると書き立てている。実際、自営業10件が新規オープンするうちに9件の自営業が廃止しており、雇用も3ヶ月で32万人減少など悪化したという。だが、上のようなことは一切、メディアからは取り上げられない。
最低賃金を大幅に引き上げて、所得を増やした文在寅大統領を批判するわけだが、それよりも、批判するべき対象なのはこんな最低賃金で今まで働かせてきた「自営業」そのものではないのか。そこを多くの日本人は気付いていない。だから、管理人は最低賃金も払えないなんて自営業など潰れてしまったほうがましだと考えている。
仕送りの少ない韓国の学生が奴隷のようにこき使われて自営業はなりたっていたら、それこそ韓国社会の歪みだろう。しかし、韓国メディアにはそのような意見は1つも見られない。自営業が苦しんでいる。統計数値も雇用も悪化している。だから、所得主導成長型を見直せという。なら、最低賃金を引き下げるのか。それは韓国の若者が低賃金で搾取され続けるわけだ。
しかも、最低賃金引き下げたところで、物価が元に戻るわけでもなく、店がサンドイッチの値段を一気に下げるとも思えない。
■財閥グループは雇用を14000人増加
先週、30大グループ、1年間に働き口1万4千人増加したことを最後に取り上げて、なぜ、こんなことになっているかクイズを出した。既に答えは出ている。財閥30大グループは最低賃金以下でそもそも従業員を雇ってないのだ。当然、もっと待遇が良い。そして、自営業が廃業したお店を安く買い取って商売範囲を拡大させる。その店で働く従業員を募集するので雇用にも貢献した。つまり、文在寅大統領の経済対策によって財閥グループの所得が大幅に増えた。低所得者と高所得者との経済格差がさらに進行した。皮肉なことに財閥キラーである文在寅大統領が財閥を優遇した結果となった。
文在寅大統領は最低賃金を2020年まで1000円に引き上げることを公約にしていた。そして、その公約で救いたかったのは、本来は低所得者層だった。なのに、全く逆効果なわけだ。なら、最低賃金をこのまま維持して、その低所得者層は果たして救われるのだろうか。それを次回に検討していきたい。
記事が長くなったので今回の雇用については引き続き、次回も見ていきたいとおもう。
■今週の韓国市場
日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)
20日 2247.88 1123.10 769.78 288.61 -553億
21日 2270.06 1118.40 787.15 291.93 1071億←コンビニ主”収益構造改善ないならば来年月収入80万ウォン台”
22日 2273.33 1118.90 785.95 293.00 2081億
23日 2277.45 1121.30 789.75 293.62 1740億←米、予告のとおり160億ドル分中製品に25%関税発効、分配指標悪化させた雇用不振…低所得層勤労者世帯大幅減少
24日 2293.21 1118.90 798.23 295.54 794億
今週の市場は株高、少しウォン高といったところだ。株価が高いのは世界経済というアメリカの動きと関連している。日経平均も上昇していたので、世界はそこまで米中貿易戦争を懸念しているわけではないと。ただ、米中貿易戦争は拡大している。23日に160億ドルの中国製品に関税発行すれば、すぐさま中国も160億ドルの関税引き上げで対抗した。
後、来週にも出てくる韓国自営業の月収についても取り上げておいた。それと経済格差が進んでいる中、低所得者層の失業者も増加していると。詳しくは次回に特集してくので楽しみにしてほしい。