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第339回「米中対立激化で韓国がダブルハリケーンに苛まれる」

第339回「米中対立激化で韓国がダブルハリケーンに苛まれる」

■バックナンバー宣伝文

このような毒素条項で1番、驚いているのはおそらく韓国だろう。既に中韓FTA協定は締結しているので、いきなり何かこれが問題になるわけでもない。だが、ちょうど米韓FTA再交渉している最中である。仮にこの毒素条項が入るなら、中国との貿易協定は今後、解消するしかなくなる。急に何かあるわけでないが、米国の長期的な中国封じを韓国が受け入れるかは非常に難しい。なぜなら、韓国は米中と2つの国家と貿易黒字を出す国家である。

配信日:2018年10月14日

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今週のメルマガは米中貿易戦争を特集するわけだが、もはや、米中貿易戦争という「貿易」の類いだけではなくなってきている。

米国は中国との全面対決に入っており、例えば、ウイグル族の矯正施設でウイグル族の弾圧されていることを批判したり、南シナ海における「航行の自由」作戦を積極的に実施したりするなどを宣言して、もはや、人権や安全保障などといった分野にも米中対立が及んできた。

だから、もう、米中貿易戦争というよりは「新冷戦」といってもいい。米国と中国が世界の覇権を握って互いに対立する。中国は遅れた帝国主義を振りかざしているが、それを止めるにはもう時間が余り残されていないという判断なのだろう。だから、トランプ大統領が率先というよりは、アメリカ議会が積極的に動いている。

中国はトランプ大統領が中間選挙で負けて退けば、状況は好転するかもしれないと思って影で工作しているのだろうが、議会がやる気である以上、次の大統領も中国に甘いとは限らない。しかし、他国のことなのでさすがにどうなるかはわからない。まあ、管理人はトランプ大統領は再選すると思うが、決めるのは米国の国民だ。

さて、前置きはこのくらいにして気になる動きを2つほど追っていきたい。1つは中国の工場で造られたマザーボードに情報窃取を目的とした超小型のマイクロチップが秘密裏に組み込まれていたこと。もう一つは毒素条項(ポインズンビル)である。

■中国で製造のマザボからスパイ用チップ発見

スマホにバックドアを仕掛けるような連中なので、何かと情報収集目的に工作をしているのは自明の理だったが、まさか、マザーボードにマイクロチップを搭載までしていることには驚いた。ブルームバーグの記事を引用しよう。

>ブルームバーグの情報は、米政府内の匿名の取材対象者らを含む17の様々な情報源からもたらされた。ブルームバーグの記者らは、マイクロチップが取りつけられたサーバについて、アップルやアマゾンを含む少なくとも30社の大企業に納入されていたと主張している

(https://www.bloomberg.com/news/features/2018-10-04/the-big-hack-how-china-used-a-tiny-chip-to-infiltrate-america-s-top-companies?ref=tjournal.ru)

ただ、記事を読むとアップルやアマゾンはそんなチップがあったことは否定している。まあ、証拠でも出さない限りは取引先なので白を切るつもりだろう。ただ、これによって中国製の家電やPCなどはスパイ活動に利用される怖れがあるわけだ。もちろん、米国はこんな行為を許すはずもない。公共機関での中国製の締め出しは加速化するだろう。

■中国との貿易協定を禁止する毒素条項

>ロス米商務長官は5日、新たな米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に盛り込まれた中国との貿易協定締結を阻止する「毒薬条項(ポイズンピル)」について、米国が今後締結を見込む日本や欧州連合(EU)などとの貿易協定にも取り入れる可能性があるとの認識を示した。

(https://jp.reuters.com/article/usa-trade-ross-idJPKCN1MF2OD)

この動きにもかなり驚かされた。どうやら、米国・メキシコ・カナダ協定に中国との貿易協定締結を阻止する「毒素条項」が盛り込まれていたそうだ。しかも、その毒素条項は今後、日本や欧州連合などの貿易協定にも取り入れる可能性があると。つまり、中国製品が得意とする迂回貿易の阻止である。中国とのFTAなどもこれによって締結できない。これは、米国と貿易協定したければ、中国との貿易協定はするなという宣言に近い。

今後、米国が各国と結ぶであろう貿易協定は非常に注目することになった。何しろ、中国封じを協定に入れてくるかもしれないのだ。

■韓国はどうするのか

このような毒素条項で1番、驚いているのはおそらく韓国だろう。既に中韓FTA協定は締結しているので、いきなり何かこれが問題になるわけでもない。だが、ちょうど米韓FTA再交渉している最中である。仮にこの毒素条項が入るなら、中国との貿易協定は今後、解消するしかなくなる。急に何かあるわけでないが、米国の長期的な中国封じを韓国が受け入れるかは非常に難しい。なぜなら、韓国は米中と2つの国家と貿易黒字を出す国家である。

韓国の主な取引先は中国、米国、日本である。中国への依存度は26%と非常に高い。そう簡単に切れるような数字ではない。だが、中国にシフトしていけば、間違いなく米国から干される。しかも、米国は韓国の安全保障にかかせない。近いうちに韓国は米中から「踏み絵」を踏まされることになる。いつもの蝙蝠外交がどこまで通じるかはわからないが、苦渋の決断が迫られることだろう。

しかし、どちらを取るにしても、韓国経済にはダブルハリケーンである。米中対立は韓国にとっては禍でしかない。中国経済が失速すれば韓国市場も投げ売りされる。そういう意味では今週、KOSPIが2300以下になったのは来週の株価に何を意味するのか。注目したいところだ。

■先週と今週の韓国市場

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

24日 お休み(秋夕)

25日 お休み

26日 お休み

27日 2355.43 1112.50 833.04 302.59 2305億

28日 2343.07 1109.30 822.27 300.51 -2115億

01日 2338.88 1111.80 816.53 300.17 -480億

  02日 2309.58 1119.20 794.99 296.53 -2447億

03日 建国記念日

04日 2274.49 1129.90 789.01 291.78 -5284億←野村ファンドマネジャー、保有サムスン電子株式全量処分、サムスン電子第3四半期営業利益率26.9%…歴代最高値(速報)

05日 2267.51 1130.40 773.72 291.28 -3294億

先週、メルマガはお休みだったので2週間分の動きを掲載する。といっても、先週は秋冬で韓国市場はほぼお休みだったのだが。先週より、今週の動きに注目して頂きたい。特に4日である。4日にサムスン電子の決算速報が出てきてDRAM好調で過去最高益をあげた。3ヶ月で1.75兆円である。しかし、それと同時ぐらいに野村ファンドマネジャーが保有していたサムスン電子株式を全部売った。400万株以上あったそうだ。それもあってかKOSPIが2300以下となっている。DRAMだけではこれ以上の伸びは見込めないという判断なのだろうか。

このような大きな動きがあったが、来週に中国市場が開く。米中貿易戦争の激化で上海総合指数などの中国市場は下げているわけだが、来週はもっと下がる可能性がある。

以上。今週はこれで終わる。次回は韓国の国際観覧式での自衛隊派遣による旭日旗騒動について取り上げる。既に自衛隊派遣は中止になっているが、10日~14日まで開かれるので、それまでの経緯と、実際、どうなったかの最新情報をまとめて紹介するつもりだ。

第338回「南北首脳会談で行われた平壌共同宣言は米国や国際社会に同意もなしで勝手に約束」

第338回「南北首脳会談で行われた平壌共同宣言は米国や国際社会に同意もなしで勝手に約束」

■バックナンバー宣伝文

最後は非核化について。北朝鮮のやっている実験施設の廃棄なんてただのパフォーマンスである。そもそも実験施設がいくつもあるし、それは当然、米国に知られてないものもあるだろう。そもそも非核化に何ら関係はない。実験データなんていくらでも複製可能だし、技術者もいれば研究もできる。それなのに米国に制裁を解除せよと迫るわけだ。米国もさすがにこの程度で制裁解除する意思はなく、完全非核化の後だと述べている。

配信日:2018年10月7日

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今週のメルマガは韓国の文在寅大統領が平壌に出かけて行ったとされる南北首脳会談について。中々、突っ込みがいがある内容となっている。それではまずは、平壌共同宣言の全文を読んで欲しい。

【ソウル時事】韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が19日署名した「9月平壌共同宣言」の全文は次の通り(韓国側発表に基づく)。

 大韓民国の文在寅大統領と朝鮮民主主義人民共和国の金正恩国務委員長は2018年9月18日から20日まで平壌で南北首脳会談を行った。

 両首脳は歴史的な板門店宣言以降、南北当局間の緊密な対話と意思疎通、多方面にわたる民間交流と協力が進み、軍事的緊張緩和のための画期的な措置が取られるなど、立派な成果があったと評価した。

 両首脳は民族自主と民族自決の原則を再確認し、南北関係を民族的和解と協力、確固とした平和と共同繁栄に向け、一貫して持続的に発展させていくことにし、現在の南北関係発展を統一へとつなげることを願う全同胞の志向と念願を政策として実現するため、努力していくことにした。

 両首脳は板門店宣言を徹底して履行し、南北関係を新たな高い段階に進展させていくための全般的問題と実践的対策を虚心坦懐(たんかい)に深く論議し、今回の平壌首脳会談が重要な歴史的転機となるという認識を共にし、次のように宣言した。

 1、南北は非武装地帯をはじめとする対峙(たいじ)地域での軍事的敵対関係の終息を、朝鮮半島全地域の実質的な戦争の危険除去と根本的な敵対関係解消につなげていくことにした。

 (1)南北は今回の平壌首脳会談を契機に締結した「板門店宣言軍事分野履行合意書」を平壌共同宣言の付属合意書として採択し、これを徹底して順守し、誠実に履行し、朝鮮半島を恒久的な平和地帯とするための実践的措置を積極的に取っていくことにした。

 (2)南北は南北軍事共同委員会を早期に稼働させ、軍事分野合意書の履行実態を点検し、偶発的武力衝突を防止するため、常時、意思疎通と緊密な協議を進めることにした。

 2、南北は互恵と公利共栄の土台に基づき、交流と協力をさらに増大させ、民族経済を均衡ある形で発展させるための実質的な対策を検討していくことにした。

 (1)南北は今年中に、東海線、西海線の鉄道および道路連結のための着工式を行うことにした。

 (2)南北は条件が整い次第、開城工業団地と金剛山観光事業をまず正常化し、西海経済共同特区および東海観光共同特区を造成する問題を協議していくことにした。

 (3)南北は自然生態系の保護および復元のための南北環境協力を積極推進することにし、優先的に現在進行中の山林分野協力の実践的成果のために努力することにした。

 (4)南北は伝染性疾病の流入および拡散防止のための緊急措置をはじめ、防疫および保健・医療分野の協力を強化していくことにした。

 3、南北は離散家族問題を根本的に解決するための人道的協力をさらに強化していくことにした。

 (1)南北は金剛山地域の離散家族常設面会所を早期に開所することにし、このための面会所施設を速やかに復旧することにした。

 (2)南北は赤十字会談を通じ、離散家族の画像による面会と映像による手紙交換問題を優先的に解決することにした。

 4、南北は和解と団結の雰囲気を高め、わが民族の気概を内外に誇示するため、多様な分野の協力と交流を積極推進することにした。

 (1)南北は文化および芸術分野の交流をさらに増進させていくことにし、優先的に10月中に平壌芸術団のソウル公演を進めることにした。

 (2)南北は2020年夏季五輪をはじめとする国際競技に共同で積極的に出場し、32年夏季五輪の共同開催を誘致することで協力することにした。

 (3)南北は10・4宣言(07年の南北平和宣言)11周年を意義深く記念する行事を開催し、3・1運動100周年を南北共同で記念し、このための実務的な方策を協議していくことにした。

 5、南北は朝鮮半島を核兵器と核脅威がない平和の地にしなければならず、このために必要な実質的な進展を速やかに実現しなければならないということで認識を共にした。

 (1)北朝鮮はまず、東倉里のエンジン試験場とミサイル発射台を関係国専門家の立ち会いの下に永久に廃棄することにした。

 (2)北朝鮮は米国が6・12朝米共同声明の精神に沿い、相応の措置を取れば、寧辺の核施設の永久的廃棄などの追加措置を引き続き講じる用意があると表明した。

 (3)南北は朝鮮半島の完全な非核化を推進していく過程で緊密に協力していくことにした。

 6、金委員長は文大統領の招請により、近くソウルを訪問することにした。

2018年9月19日

大韓民国大統領 文在寅

朝鮮民主主義人民共和国国務委員長 金正恩。

(https://www.jiji.com/jc/article?k=2018091901061&g=prk)

これが平壌共同宣言である。全文掲載したのはこの平壌共同宣言を読んで欲しかったというのがある。ここに書かれてあることを韓国は実際、やっていくわけである。それで全部見ていくのは膨大なのでいくつか気になるところに触れていく。

■南北は非武装地帯をはじめとする対峙地域での軍事的敵対関係の終息

まず、この南北は非武装中立地帯とはじめとする対峙地域での軍事的敵対関係の終息というのは中止されている、米韓合同軍事演習の永遠に休止になるのではないか。この地域は朝鮮半島全体だと解釈できるので、米韓合同軍事演習は北朝鮮への牽制のために毎年、行ってきたわけだ。米朝首脳会談でトランプ大統領は米韓合同軍事演習の中止を決めたが、これが今後、行われないとなると米韓の連携が保てなくなる怖れがある。

しかも、韓国側が約束したのだから、韓国が米韓合同軍事演習を要求することもできなくなった。軍事演習がなくなるのは平和に近づいたという考えもあるかもしれないが、北朝鮮のように何度も約束を平気で破ってきた連中の合意なんて縛るのは韓国側のみだろう。もっとも、韓国も日本との日韓慰安婦合意の履行をしないまま放置しているので、このような平壌共同宣言はどちらにとってもたいした問題ではないかもしれない。

■南北は今年中に、東海線、西海線の鉄道および道路連結のための着工式を行う

次に気になったのが「南北は今年中に、東海線、西海線の鉄道および道路連結のための着工式を行う」というもの。文字通り、韓国と北朝鮮を鉄道や道路で行き来を可能にするわけだが、これは陸路で北朝鮮に物資を密輸する安易なルートを造るようなものである。韓国が平壌共同宣言以外にどれだけ裏支援を決めているかは知らないが、それらに利用される怖れもある。

そもそも、国連安全保障理事会の制裁決議違反の可能性が高い。もちろん、米国の合意を取っているわけではない。韓国が勝手に約束してきたことである。このような鉄道や道路などの南北ルート造りは経済協力という範囲だけでは済まない。逆に言えばそのルートを使って北朝鮮軍が韓国を攻めることだって可能だ。そんなことは100も承知だと思うが、文在寅大統領は宣言したわけだ。とても敵対国家とするものではない。

■南北は条件が整い次第、開城工業団地と金剛山観光事業をまず正常化

次に、南北は条件が整い次第、開城工業団地と金剛山観光事業をまず正常化というのは南北でのやりとりで良く出てくるが、当然、これも米国が許すはずもない。そもそも開業工業団地から得た金が北朝鮮のミサイル資金源となっていた。それを中止させたのが朴槿恵前大統領なのだが、既に遅かった。

北はウクライナかロシアか知らないが、それらからミサイルの設計図を購入してミサイル開発を行ってきた。つまり、このような北朝鮮に外貨獲得手段を与えるのは時期尚早であるが、それらの正常化交渉も始めると。まだ、完全非核化に遠い及ばない状況でだ。

■北朝鮮は米国が6・12朝米共同声明の精神に沿い、相応の措置を取れば、寧辺の核施設の永久的廃棄などの追加措置を引き続き講じる用意があると表明

最後は非核化について。北朝鮮のやっている実験施設の廃棄なんてただのパフォーマンスである。そもそも実験施設がいくつもあるし、それは当然、米国に知られてないものもあるだろう。そもそも非核化に何ら関係はない。実験データなんていくらでも複製可能だし、技術者もいれば研究もできる。それなのに米国に制裁を解除せよと迫るわけだ。米国もさすがにこの程度で制裁解除する意思はなく、完全非核化の後だと述べている。

以上、このように平壌共同宣言を見ればわかる通り、たいして注目するべき内容ではない。また、米国や国連などの制裁決議に違反しているかもしれない内容も含まれている。しかし、文在寅大統領の支持率は6%もあがって、59%になったようだ。韓国の庶民はこの宣言のどこが気に入ったかは知らないが。全文、読んでない韓国人がほとんどだろうな。

■今週の韓国市場

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン〕

17日 2302.71 1126.60 828.88 295.18 1709億

18日 2308.98 1123.20 831.84 296.10 -110億

19日 2308.46 1121.10 826.91 296.64 802億

20日 2323.45 1120.40 821.13 299.04 3109億←キム・ドンヨン”過剰流動性不動産に影響…金利は金融統委が決定”

21日 2339.17 1115.30 827.88 300.81 420億

今週の韓国市場はわりと順調だったと思われる。結果的にKOSPIが上がり、ウォンもあがっている。ただ、少し触れてあるが、不動産価格の高騰に韓国政府が規制を入れるかもしれない。不動産価格は家計債務の増加と密接に繋がっているので、この動きにはわりと注目している。ただ、今のところはまだ検討段階で具体的な処置が出たわけではない。様子見だろう。

以上。次回は米中貿易戦争で被害が広がる韓国経済を特集していく。気が付くと米中貿易戦争は規模も拡大して長期化である。どちらも一歩も引かないまま関税爆弾が発動していく。そして、韓国経済は嫌でもその荒波に飲み込まれてしまう。

第 337回「絶望の韓国経済が生き残る道はあるのか」

第 337回「絶望の韓国経済が生き残る道はあるのか」

■バックナンバー宣伝文

これが本当かどうかは知らないが、米国に対抗できる唯一の国家だという評価が正しいなら、韓国が相手になるわけがない。ただ、中国は知的財産権や表現の自由の侵害を無視しているので、これが将来において、どのような世界との衝突をもたらすか。米中貿易戦争は長期化、規模の拡大が続く。米国はまったく妥協するつもりもなく、さらに中国を締め上げようとしている。

そういう意味ではファーウェイやZTEのように中国のスマホが世界的に輸出禁止措置とかになれば、韓国企業にとっては有利だろう。米国、欧州がこのまま中国の台頭を許すとも思えない。どちらにせよ。世界は保護貿易主義へと舵を取っている。韓国が米国か、中国のどちらを取るかでも韓国経済に大きな影響を与える。

配信日:2018年9月16日

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今回のメルマガは前回に韓国経済の今後、10年が絶望的な状況だということを解説したわけだが、では、何か生き残る道はあるのかを考えてみようというのが今回のテーマである。それで1週間ほど考えたわけだが、延命策はいくつか思いつく。ただ、根本的な解決とかになると韓国庶民の多大な犠牲を伴うのでおそらくできないだろう。そこで延命策をいくつか考えてみた。

1.財閥の解体。国有化

2.韓国の技術力を中国より向上させる

3.財閥の会長を韓国の大統領にする

■財閥は解体、国有化はできるのか

例えば、財閥支配構造なのだから、財閥を解体すれば良いんじゃないかと思うわけだが、今、韓国経済の8割の輸出は財閥グループによって成り立っている。それを解体するとなれば社会の混乱は必須。しかも、財閥を国有化したところで、未来のビジョンが示せないなら、輸出が激減することになる。さらに国有化すれば国際競争力も落ちてしまう。無駄な肥大化も免れないだろう。税収入も減る。

このように財閥を解体したり、国有化したりすることに別のリスクが伴う。簡単に解体するといっても、韓国経済の本体が財閥グループにあるのだから、壊せば経済危機も待ったなしである。1997年に起きたアジア通貨危機でデフォルトした韓国を支援したIMFですら、財閥の解体までできなかったのだ。せいぜい影響力を落とすぐらいだった。

たまに韓国人に財閥は嫌われているとか、メディアの報道で読むことはあるが、実際、全ての財閥解体なんて韓国人は願っていないだろう。一部の財閥が不正なことをして、つるし上げられて喜ぶレベルである。それよりも、管理人は財閥というか。サムスン電子が韓国を見捨てないかを懸念している。このまま赤化していくなら、サムスン電子にとって韓国にとどまるのはマイナス効果にしかならない。最もサムスン電子が韓国から米国に移ってやっていけるかはまた別の問題だが。

■韓国の技術力を中国より向上させる

中国に技術レベルで追いつかれそう、また追いつかれての輸出危機なのだから、韓国の技術力を中国より向上させればなんとかなるかもしれない。とまあ、第2のプランはこんな感じだが、それができたら韓国も苦労しない。実際、国の規模が違い過ぎてどうしようもない。中国は20年先には米国を抜くとまで言われている。

これが本当かどうかは知らないが、米国に対抗できる唯一の国家だという評価が正しいなら、韓国が相手になるわけがない。ただ、中国は知的財産権や表現の自由の侵害を無視しているので、これが将来において、どのような世界との衝突をもたらすか。米中貿易戦争は長期化、規模の拡大が続く。米国はまったく妥協するつもりもなく、さらに中国を締め上げようとしている。

そういう意味ではファーウェイやZTEのように中国のスマホが世界的に輸出禁止措置とかになれば、韓国企業にとっては有利だろう。米国、欧州がこのまま中国の台頭を許すとも思えない。どちらにせよ。世界は保護貿易主義へと舵を取っている。韓国が米国か、中国のどちらを取るかでも韓国経済に大きな影響を与える。

ただ、これはそうなってしまう可能性であって、現在のところ、中国の技術核心は急ピッチに進んでいる。韓国は抜かれてしまえば、追いつくことは不可能だろう。後、まだ時間はかかるがインドやメキシコの経済だって急激に成長している。韓国の競争相手は何も中国だけではないのだ。

■財閥の会長を韓国の大統領にする

管理人は韓国の歴代大統領で1番経済的な評価が高いのは明博元大統領であると考えている。今は文在寅大統領の手で逮捕されて牢獄生活を強いられているが、彼の経済対策の手腕は見事なものであった。彼は1965年に現代建設に入社して、29歳に取締役。47歳で会長に就任した。

現代建設の当時は90人ほどの会社だったが、それが27年後には16万人という大会社に発展させた。その功績から、「現代の韓国を創った50人」として称えらている。

この手腕が大統領になった時にもわりと有能に発揮されたことで韓国経済はさらに発展したわけだ。リーマンショック後の動きもそうだ。日本との日韓通貨スワップの協議を成功させて、米国や中国とも通貨スワップ協定を結んだり、増額させたりして、国内への投資を呼び戻した。そして、なんとか経済危機を乗り越えた。就任した当時、牛肉問題などもあったが、今では米国産牛肉が韓国人の胃袋として大事なものとなっている。

このように彼の経済的な手腕がなければ、リーマンショック後の韓国経済はもっと酷い状況だったことは明らか。つまり、経済や経営に強い人材を大統領にすれば、もう少し、まともな経済対策ができて延命できると思われる。少なくとも文在寅大統領より、ましな人材はたくさんいるだろうに。ただ、明博元大統領は優秀であったが、日本にとっては現大統領で竹島に上陸(不法侵入)した唯一の大統領でもある。しかし、それでも逮捕は免れなかった。韓国内の分裂が相当、強いことを伺わせる。

思いついた延命策はこれぐらいだが、残念ながら根本的に韓国経済がこの先、バラ色の未来を描くのは難しい。同じことしても、中国に真似されてしまうので結局、負けるからだ。しかし、ニッチでの生き残りはまだあると思う。

例えば、サムスン電子の家電のようにインドで販売している冷蔵庫に鍵を付けるなど、大きなシェアは取れないが、確実に現地の顧客層を掴んで行けばそれなりに奮闘できるかもしれない。

■今週の韓国市場

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

10日 2288.66 1128.40 816.16 293.70 1151億

11日 2283.20 1125.30 820.22 292.46 -1880億

12日 2282.92 1128.60 826.33 292.35 -4150億

13日 2286.23 1122.40 830.95 292.42 -2724億

14日 2318.25 1116.60 834.91 297.29 1934億

今週の市場はそこまで大きな動きはない。KOSPIが2300回復したのは良い傾向だと思うが、主に中国の統計指標が予想より上回ったことでの買いのような気がする。ただ、韓国の輸出自体は半導体需要のおかげでもあり、好調なので株価も高い数値を維持している。9月15日でリーマンショックからちょうど10年なわけだが、当時と比べてもKOSPIは1.4倍ほど高い。

以上。今週はこれで終わるが、来週は文在寅大統領が北朝鮮に行くそうなので、非核化や休戦宣言がどうなるかは注目したいところだ。また、米中貿易戦争の追加関税2000億ドル規模の発動などもあるかもしれない。また、負債の増加、金利の上昇など気になるところだが、何にするかは迷っている。次回までに考えておく。

第336回「この先の韓国経済の展望が絶望的な4つの理由」

第336回「この先の韓国経済の展望が絶望的な4つの理由」

配信日:2018年9月9日

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今週のメルマガは。ちょうど管理人がサイトで韓国経済を特集して10年目の節目を迎えたので、その機会に韓国経済の今後の展望を検討していく。なんで10年とわかるかというと、2008年8月末ぐらいに韓国経済を特集したことを覚えているためだ。始めた時期がわかりやすいという。

では、今後の韓国経済の展望を検討していくわけだが、今回の内容は韓国にとっては絶望的に暗い話となる。人間というのは希望があれば、そこに到達しようと努力するわけだが、この先の10年に韓国経済に希望が一切ない。1つもない。全くない。その欠片もない。

最初に結論を書いたのはその現実を受け止める必要があるためだ。さて、韓国経済がこの先、絶望的な理由が主に4つある。

1. 財閥支配構造

2. 家計債務の爆弾

3. 米金利と韓国金利差による外資のキャピタルフライト

4. 中国企業の猛追と日本企業の躍進

外交的に北朝鮮や中国の関係、米韓同盟の危機、少子高齢化とか色々あるのだが、経済的な話題として絞るなら4つである。どれも暗い内容過ぎるのだが1つずつ見ていく。

■財閥支配構造

文在寅大統領の最低賃金引き上げは自営業の廃業を増加させて、財閥は採用人数を逆に増やした。低所得層者は最低賃金引き上げで仕事を失い、高所得者は優秀な人材を確保してますます所得を伸ばした。いわゆる「二極化」である。

文在寅大統領は最低賃金引き上げで低所得層の所得を増やして、この格差を縮小したかった。しかし、現実はそうはならなかった。なぜなら、自営業や中小企業が低所得層を最低賃金に野党という搾取によって韓国経済は回っていたからだ。これについて前回に触れたので覚えている人も多いだろう。

しかし、仮に最低賃金引きあげをやめても、この構造に何の変化が生じないのも理解されよう。どのみち低所得層は自営業に搾取されるだけである。それが良いのかどうかは知らないが、最低賃金引き下げを訴える韓国人がいるのがあまりにも滑稽である。自分たちで奴隷に逆戻りを志願するわけだ。しかし、最低賃金を引き上げると自営業は潰れていく。どのみち低所得層の所得が増えない。無職になれば統計では出てこないので、平均所得は向上するかもしれないが、そんな数値にたいした意味はない。

結局、財閥支配構造が韓国経済の最終到達点なのだ。これが続く限りは何も変わらない。

■家計債務の爆弾

自営業の廃業で自営業の夫妻が増えていることがわかった。なんと600兆ウォン(日本円で約60兆円)を超えたようだ。問題はこの負債が「いつから」こんな膨れあがったのかである。実は自営業の負債は2年前なら185兆ウォンだったのだ。つまり、ここ数年で3倍以上となっている。

2年前の記憶は曖昧だが、185兆ウォンぐらいならそこまで気にしていなかった。しかし、いきなり3倍に増えたら驚くしかない。しかも、この負債の計上は家計にも企業の負債にもできて特別なのだ。家計負債に入れたら、1500兆ウォン+600兆ウォンで2100兆ウォンとなってしまう。

また、企業の負債としてもカウントできる。2016年の国内企業の負債は2401兆ウォンである。これに足したら3000兆ウォンを超える。これはもう韓国GDPの200%を越えている。

自営業の負債をどう扱うかは難しいが、家計債務の爆弾は1500兆ウォンということ。もう、いつ爆発してもおかしくない。そして、そのおかげで韓国の金利が上げられない。

■米金利と韓国金利差による外資のキャピタルフライト

家計負債や企業の負債が増加している中、金利を上げることは借金を増やしてしまう。しかも、景気が悪いときに金利を上昇させれば逆効果である。そのため、韓国が今の状況なら金利を下げたいのだ。しかし、金利を下げると米国の金利差がさらに広がってしまう。

ただでさえ、9月に米国が金利を上げたら。もう、韓国との金利差は0.75%となる。投資家にとって韓国で投資をする意味がなくなっていく。リスクの高い韓国のような新興国では金利は非常に重要だ。このまま金利差が離れていくならキャピタルフライトが発生してしまうだろう。

既にゴールドマンサックスが米中貿易戦争でウォン売り、円買いを推薦してしまっている。これをきっかけにウォンを投げ売りされて、外資が一斉に引き上げると負債の借り換え(ロールオーバー)すら厳しくなる。そういう意味では負債の償還時期にあたる9月末以降は注目である。

■中国企業の猛追と日本企業の躍進

既に上にあげた3つでも絶望的な韓国経済だが、10年前と違うのは輸出に大きなライバルが存在しているためである。1つは円安によって順調に売上を伸ばす日本企業。そして、技術差がほとんどなくなり、政府主導で韓国のシェアを根こそぎ奪っていく中国企業である。特に中国企業は韓国と同じこと、ダンピングと通貨安政策をしているので、韓国に勝ち目はない。相手の経済規模が違い過ぎるからだ。例えば、スマホの世界シェアも来年にはファーウェイに奪われているかもしれない。もう、そこまで来ているのだ。

韓国で中国企業に対抗できるのは半導体輸出だけ。だが、あまりに知られてないが、半導体輸出を手伝っているのは日本企業である。日本企業が製造した半導体製造装置や機械や素材を購入して、韓国は半導体を大量生産しているに過ぎない。最新の韓国ニュースにこんな記事がある。

>昨年、輸出増加率が前年同期比57.4パーセントに達するほど半導体輸出が増え、日本からの製造用装備輸入も57億ドルに達して127パーセント増加した。今年の1~7月の間には25パーセント増加した43億ドルに達した。半導体製造装備の他にも素材と部品の多くの部分を日本に依存しなければならない貿易構造が慢性的赤字現象を産む原因だ。輸出すればするほど日本からの中間材輸入が増えるほかないので「鵜飼い経済」という自嘲混じりの批判が出てくる。

ソースは韓国語。翻訳は2chの記事より

http://www.nocutnews.co.kr/news/5028410

半導体が強いと自慢しながら、実態は日本企業がバックアップしているだけに過ぎないという。だが、この事実は日本では注目されない。サムスン電子だけがピックアップされて、サムスンに負けたとか吹聴するからな。これを意味することは中国が日本から同じように半導体製造装置や機械を購入すれば、いつでもサムスン電子に追いつくことが可能であるということ。そして、既に中国で半導体の大規模な工場が来年辺りから稼働する予定である。頼みの半導体もそのうち食われてしまうわけだ。

以上。このように見ていけば、輸出が実に絶望的な状況か理解されただろう。国内では財閥搾取。海外では中国企業にシェアを奪われていく。これが今の韓国経済である。10年後にはもっと酷い有様であることが容易に想像できるわけだ。

もっとも、管理人は2020年に韓国経済が家計債務の爆弾で破綻すると予測している。その予測は実に順調に推移しているという。最初に述べたとおり、本当に「希望」がないのだ。輸出がダメになれば韓国は何で食べていけば良いのかわからない状態である。

■今週の韓国市場

03日 2307.03 1110.30 816.84 297.49 -2142億

04日 2315.72 1114.90 827.27 298.80 146億

05日 2291.77 1121.50 820.00 294.96 -859億

06日 2287.62 1124.00 815.18 294.28 -2924億

07日 2281.58 1122.80 818.56 292.86 -7733億←ムン大統領国政支持度49%で最低値…50%以下は初めて、ゴールドマンサックス”急進的朝鮮半島統一、ウォン劣勢招来” 、金利引き上げ期会社債市場で投資資金’引き潮’、コスピ、半導体発悪材料に下落締め切り…外人7千億大量売却

今週の韓国市場は外国人の投げ売り状態である。特に7日は酷い。半導体に関しては日経新聞が詳しい、リンク張っておくので確認してほしい。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35110240X00C18A9EN2000/

世界的に半導体需要が弱気という観測したことでサムスン電子やSKハイニックスだけではなく、東京エレクトロンや中芯国際集成電路製造(SMIC)も下げている。KOSPIはそこまでさがっていないのだが、実は機関が売った分を購入しているだけに過ぎない。

15:41 (締め切り)プログラム2056億売り優位
15:40 (締め切り)コスピ機関5009億買収優位
15:39 (締め切り)コスピ外国人7733億純売渡

7日はこのようになっている。来週もこの流れを引きずるなら外国人の投げ売りは続く。それが米国の金利差を相まってキャピタルフライトが発生となれば、この先、地獄となる。しかも、米中貿易戦争は継続している。

以上。今週、韓国経済の展望が絶望的であることを解説したが、では、本当に希望がないのかを来週までに考えたいと思う。ここでないといえば、簡単だが、それでは建設的ではない。だから、なんとか、希望の欠片でも探してみようと思う。