第339回「米中対立激化で韓国がダブルハリケーンに苛まれる」

第339回「米中対立激化で韓国がダブルハリケーンに苛まれる」

■バックナンバー宣伝文

このような毒素条項で1番、驚いているのはおそらく韓国だろう。既に中韓FTA協定は締結しているので、いきなり何かこれが問題になるわけでもない。だが、ちょうど米韓FTA再交渉している最中である。仮にこの毒素条項が入るなら、中国との貿易協定は今後、解消するしかなくなる。急に何かあるわけでないが、米国の長期的な中国封じを韓国が受け入れるかは非常に難しい。なぜなら、韓国は米中と2つの国家と貿易黒字を出す国家である。

配信日:2018年10月14日

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今週のメルマガは米中貿易戦争を特集するわけだが、もはや、米中貿易戦争という「貿易」の類いだけではなくなってきている。

米国は中国との全面対決に入っており、例えば、ウイグル族の矯正施設でウイグル族の弾圧されていることを批判したり、南シナ海における「航行の自由」作戦を積極的に実施したりするなどを宣言して、もはや、人権や安全保障などといった分野にも米中対立が及んできた。

だから、もう、米中貿易戦争というよりは「新冷戦」といってもいい。米国と中国が世界の覇権を握って互いに対立する。中国は遅れた帝国主義を振りかざしているが、それを止めるにはもう時間が余り残されていないという判断なのだろう。だから、トランプ大統領が率先というよりは、アメリカ議会が積極的に動いている。

中国はトランプ大統領が中間選挙で負けて退けば、状況は好転するかもしれないと思って影で工作しているのだろうが、議会がやる気である以上、次の大統領も中国に甘いとは限らない。しかし、他国のことなのでさすがにどうなるかはわからない。まあ、管理人はトランプ大統領は再選すると思うが、決めるのは米国の国民だ。

さて、前置きはこのくらいにして気になる動きを2つほど追っていきたい。1つは中国の工場で造られたマザーボードに情報窃取を目的とした超小型のマイクロチップが秘密裏に組み込まれていたこと。もう一つは毒素条項(ポインズンビル)である。

■中国で製造のマザボからスパイ用チップ発見

スマホにバックドアを仕掛けるような連中なので、何かと情報収集目的に工作をしているのは自明の理だったが、まさか、マザーボードにマイクロチップを搭載までしていることには驚いた。ブルームバーグの記事を引用しよう。

>ブルームバーグの情報は、米政府内の匿名の取材対象者らを含む17の様々な情報源からもたらされた。ブルームバーグの記者らは、マイクロチップが取りつけられたサーバについて、アップルやアマゾンを含む少なくとも30社の大企業に納入されていたと主張している

(https://www.bloomberg.com/news/features/2018-10-04/the-big-hack-how-china-used-a-tiny-chip-to-infiltrate-america-s-top-companies?ref=tjournal.ru)

ただ、記事を読むとアップルやアマゾンはそんなチップがあったことは否定している。まあ、証拠でも出さない限りは取引先なので白を切るつもりだろう。ただ、これによって中国製の家電やPCなどはスパイ活動に利用される怖れがあるわけだ。もちろん、米国はこんな行為を許すはずもない。公共機関での中国製の締め出しは加速化するだろう。

■中国との貿易協定を禁止する毒素条項

>ロス米商務長官は5日、新たな米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に盛り込まれた中国との貿易協定締結を阻止する「毒薬条項(ポイズンピル)」について、米国が今後締結を見込む日本や欧州連合(EU)などとの貿易協定にも取り入れる可能性があるとの認識を示した。

(https://jp.reuters.com/article/usa-trade-ross-idJPKCN1MF2OD)

この動きにもかなり驚かされた。どうやら、米国・メキシコ・カナダ協定に中国との貿易協定締結を阻止する「毒素条項」が盛り込まれていたそうだ。しかも、その毒素条項は今後、日本や欧州連合などの貿易協定にも取り入れる可能性があると。つまり、中国製品が得意とする迂回貿易の阻止である。中国とのFTAなどもこれによって締結できない。これは、米国と貿易協定したければ、中国との貿易協定はするなという宣言に近い。

今後、米国が各国と結ぶであろう貿易協定は非常に注目することになった。何しろ、中国封じを協定に入れてくるかもしれないのだ。

■韓国はどうするのか

このような毒素条項で1番、驚いているのはおそらく韓国だろう。既に中韓FTA協定は締結しているので、いきなり何かこれが問題になるわけでもない。だが、ちょうど米韓FTA再交渉している最中である。仮にこの毒素条項が入るなら、中国との貿易協定は今後、解消するしかなくなる。急に何かあるわけでないが、米国の長期的な中国封じを韓国が受け入れるかは非常に難しい。なぜなら、韓国は米中と2つの国家と貿易黒字を出す国家である。

韓国の主な取引先は中国、米国、日本である。中国への依存度は26%と非常に高い。そう簡単に切れるような数字ではない。だが、中国にシフトしていけば、間違いなく米国から干される。しかも、米国は韓国の安全保障にかかせない。近いうちに韓国は米中から「踏み絵」を踏まされることになる。いつもの蝙蝠外交がどこまで通じるかはわからないが、苦渋の決断が迫られることだろう。

しかし、どちらを取るにしても、韓国経済にはダブルハリケーンである。米中対立は韓国にとっては禍でしかない。中国経済が失速すれば韓国市場も投げ売りされる。そういう意味では今週、KOSPIが2300以下になったのは来週の株価に何を意味するのか。注目したいところだ。

■先週と今週の韓国市場

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

24日 お休み(秋夕)

25日 お休み

26日 お休み

27日 2355.43 1112.50 833.04 302.59 2305億

28日 2343.07 1109.30 822.27 300.51 -2115億

01日 2338.88 1111.80 816.53 300.17 -480億

  02日 2309.58 1119.20 794.99 296.53 -2447億

03日 建国記念日

04日 2274.49 1129.90 789.01 291.78 -5284億←野村ファンドマネジャー、保有サムスン電子株式全量処分、サムスン電子第3四半期営業利益率26.9%…歴代最高値(速報)

05日 2267.51 1130.40 773.72 291.28 -3294億

先週、メルマガはお休みだったので2週間分の動きを掲載する。といっても、先週は秋冬で韓国市場はほぼお休みだったのだが。先週より、今週の動きに注目して頂きたい。特に4日である。4日にサムスン電子の決算速報が出てきてDRAM好調で過去最高益をあげた。3ヶ月で1.75兆円である。しかし、それと同時ぐらいに野村ファンドマネジャーが保有していたサムスン電子株式を全部売った。400万株以上あったそうだ。それもあってかKOSPIが2300以下となっている。DRAMだけではこれ以上の伸びは見込めないという判断なのだろうか。

このような大きな動きがあったが、来週に中国市場が開く。米中貿易戦争の激化で上海総合指数などの中国市場は下げているわけだが、来週はもっと下がる可能性がある。

以上。今週はこれで終わる。次回は韓国の国際観覧式での自衛隊派遣による旭日旗騒動について取り上げる。既に自衛隊派遣は中止になっているが、10日~14日まで開かれるので、それまでの経緯と、実際、どうなったかの最新情報をまとめて紹介するつもりだ。

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