第346回「北朝鮮への制裁緩和を訴える文在寅大統領に激怒する米国が取った行動とは」
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一方、北朝鮮は非核化に向けて何か進展したこともなく、先に制裁緩和をしろと主張するだけ。しかも、11月3日には「並進路線」に戻ることもあり得ると警告している。この並進路線というのは開発と経済の立て直しを並行して進めることを指すのだが、経済の立て直しなんて北朝鮮のみができるわけもない。こんな状況で2回目の米朝首脳会談が開催されるのか。既に水面下で交渉が行われていた米朝官協議の11月8日開催も北朝鮮の都合で突然の中止となった
配信日:2018年12月2日
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今週の韓国経済は北朝鮮関連を特集していく。北朝鮮関連といえば文在寅大統領による北朝鮮への制裁緩和をひたすら訴えていること。これには先日の欧州でのイギリスやフランスなどの首脳会談、バチカン市国でのローマ教皇の対談でもそうだし、ASEANやAPECでの会合すら似たようなことを行っている。結果的に文在寅大統領の思惑通りにはまったく事は進まなかったのだが、不信感を米国に抱かせるには十分だった。
それでなくても、南北首脳会談での南北鉄道の連結の年内着工式を合意するなど明らかに安保理制裁違反であることを米国の同意なしに進めており、未だに米国から了承を得ていない。それなのに予定通り進める準備はしていると発言するなど、とにかく米国との協調がまったく見られない。
しかも、陸路だけではなく、航路連結まで提案している。つまり、空のルートも確保しようという。韓国は実務協議で検討するとだけ述べているが、どうやらよほど輸送ルートを確保に必至のようである。
一方、北朝鮮は非核化に向けて何か進展したこともなく、先に制裁緩和をしろと主張するだけ。しかも、11月3日には「並進路線」に戻ることもあり得ると警告している。この並進路線というのは開発と経済の立て直しを並行して進めることを指すのだが、経済の立て直しなんて北朝鮮のみができるわけもない。こんな状況で2回目の米朝首脳会談が開催されるのか。既に水面下で交渉が行われていた米朝官協議の11月8日開催も北朝鮮の都合で突然の中止となった。
今の韓国政府はとにかく北支援に頭がいっぱいで、米国の財務省は韓国政府ではなく直接、韓国の銀行や大企業に直接コンタクトを取っている。今のところあくまでも警告のみだが、勝手に北支援などを大企業や銀行などがすれば米国にある口座が凍結されるかもしれない。
この韓国政府無視というのは続いていて、例えば、11月11日から18日までの日程で日本など4カ国を訪問した米国のベンス副大統領はASEANやAPECへの打ち合わせが必要であるはずの韓国だけを訪問しなかったのだ。しかし、このペンス米副大統領の韓国訪問しないことに韓国メディアはほとんど何も取り上げていない。いつもならコリアスルーされたのに騒いだはずなのに何1つだ。
後、北朝鮮関連で2つ気になるニュースがある。1つは北朝鮮制裁対象が個人も含まれたということだ。米財務省は19日、制裁網をくぐり抜けた北朝鮮の石油輸入を助けたとして、ロシア生まれで南アフリカ国籍の男を米独自の制裁対象に指定したと発表した。おそらくロシアのスパイだと思われるが、企業や組織だけではなく個人も制裁対象となったことで、まさかの文在寅大統領が制裁対象になってしまう伏線なのかと考えたのだが、実際、これ以上の検証可能な完全な非核化が実現しないで、北との支援ばかりを進めていくならわりとあり得るのではないかと。
最後は日本の三菱UFJ銀行が北朝鮮へのマネーロンダリングを巡って昨年に米検察から調査を受けていたことが判明。昨年のことであるが、日本にも北朝鮮のマネーロンダリングに関わる組織がないとはいえない。三菱UFJ銀行にその手の銀行口座が置かれていたかもしれないが、銀行の話題は取り付け騒ぎ、システミックリスクが付きまとうので慎重に扱いたい。
もうすぐ6月の米朝首脳会談から半年が経過するわけだが、進んでいるのは韓国からの支援策ばかりで、完全非核化の道はほど遠い。今後、どうなるかはわからないが、トランプ大統領がTwitterで米朝首脳会談は失敗だったとTweetする日も近いかもしれない。
■今週の韓国市場
日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人〔ウォン〕
19日 2100.56 1128.60 702.13 272.31 ー924億
20日 2082.58 1125.80 690.81 269.58 -2528億
21日 2076.55 1131.60 690.65 268.27 -3897億
22日 2069.95 1129.20 692.39 267.76 -449億
23日 2057.48 1130.50 683.08 266.33 315億
今週の市場は月曜日までは好調だった。2100まで上がったKOSPIだが、ここからどんどん外国人投資家に投げ売りされていく。最終的には2050まで下がると急に上昇するというパターンを繰り返しながら、どんどん落ちている。外国人投資家は22日までで7日連続売りであった。
おそらく2050辺りで介入していると思われるが、来月の米国の利上げからが本番だったりするので、30日に韓国も基準金利を引き上げるとみられている。しかし、景気が悪いのに金利を引き上げるのは企業をますます苦しめる。キャピタルフライトを防ぐためとはいえ、その利上げでますます景気が後退していくことになる。来年は今年より酷い状況となるのは明らか。2019年は韓国経済にとっては試練の時である。
以上、今週はこれで終わるが、実は来週に12月5日だった三菱重工の元徴用工訴訟の最高裁判決が29日に前倒しされることがわかった。三菱重工の敗訴はほぼ確定しているが、どうなったかを来週のメルマガで特集していく。