第17回「日韓通貨スワップ700億ドルの増額。日本に何かのメリットがあるのか?」
配信日:2011年10月30日
最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)
週間韓国経済17回目は、前回の予告通り「日韓通貨スワップ協定700億ドルの増額」について特集する。最初に、通貨スワップと通貨スワップ協定の違いから説明していく。では、記事のチャートを貼る。
記事のチャート
通貨スワップとは?→通貨スワップ協定とは?→麻生元総理の通貨スワップ協定300億ドルの増額→今回の通貨スワップ協定の疑問点→今週の市場→主要韓国経済ニュース
通貨スワップとは?
>通貨スワップとは、二当事者が異種通貨間で金銭債権債務の元利相当額に係る将来のキャッシュフローを交換する取引をいう。これは、異種通貨間での将来の 金利と元本を交換する取引であり、他のデリバティブ取引と違い、スタート日と満期日に元本を交換するのが大きな特色である。<
よく間違った解釈に通貨スワップとは支援や援助のことではない。これはあくまでもある通貨の交換であることが特色だ。で、これから述べる通貨スワップ協定とは名前はにているが全く異なるものだという認識が必要になる。
通貨スワップ協定とは?
>用語と似たようなものに「通貨スワップ協定」というものがあるが、これは各国の中央銀行が互いに協定を結び、自国の通貨危機の際に自国通貨の預入と引き 換えに予め定めた一定のレートで協定相手国の通貨を融通してもらえることを定めた協定であり、デリバティブの通貨スワップとは異なる概念である。<
参照先は同じ。
日本は2005年に韓国と通貨スワップ協定を結んでいる。日本と韓国の経済力の違いがから見ても明らかだが、これは日本が韓国を助ける一方的な協定となっていて、建前では東アジアの安定に寄与するものだという。但し、これには重要な事項が隠されている。
まずIMFの介入である。通貨スワップは元は30億ドルだった。30億ドルで韓国を助けることなど到底できないと思うだろう。そう、この通貨スワップは韓 国に進出した日本企業のために本来使われるものなのだ。しかし、韓国に進出する企業が多くなれば、韓国経済が危機に陥ったとき、助けるのが難しくなった。 そこで麻生総理が300億ドルの通貨スワップ協定の増額した。
麻生元総理の通貨スワップ協定の増額
MF支援(なし) 最低 50億ドル 最高 220億ドル
IMF支援(あり) 最低 130億ドル 最高 300億ドル
これが真相だ。IMF支援なしで借りられるのは最高220億ドルだった。この通貨スワップ協定は何度も延長されていた。2010年で期限は切れたが。
今回の通貨スワップ協定の疑問点
では、今回の通貨スワップ700億ドルの問題点を考えていく。麻生元総理、日銀が増額したのは300億ドルまで。残 り400億ドルの取り決めが実は重要なのだ。しかし、現時点では片山さつき議員の話によれば、何の枠もなく、何も決まっていない、ただ約束してきただけと のこと。
韓国は通貨スワップ協定増額をまるで新たな外貨準備金みたいに報じているが、それほど生やさしいものではない。そもそも貸して欲しいといって、すぐに振り込まれるわけでもない。後は、IMFがなしでどこまで借りれるかの条件次第だ。
あくまでも通貨スワップ協定の増額は基本に造られたものの延長線上にあるという認識がいる。日本のメリットは日銀の 増額した300億ドル以上は何もない。なぜなら、700億ドルというのは韓国の国家予算の四分の一にも匹敵するのだ。韓国の国家予算は31兆円で東京都と 同じ規模。
また、韓国は今週、中国とも通貨スワップ協定を増額した。このニュースを先に紹介しよう。
>金滉植(キム・ファンシク)首相は26日、韓国を訪れた中国の李克強副首相と会談し、両国間の通貨スワップ限度額をこれまでの1800億元(約2兆1500億円)から3600億元(約4兆3000億円)に倍増させる内容の覚書に調印した。
韓国は19日の韓日首脳会談で、日本との通貨スワップ限度額を700億ドルに拡充することで合意しており、中国との今回の合意で、急激な為替変動に対する対策をさらに強化することに成功した。
通貨スワップとは、銀行の当座貸し越しのように、外貨の不足時に自国通貨を担保に協定相手国の通貨を融通してもらうもので、「第2の外貨準備」とも呼ばれる。中国との通貨スワップでは、韓国が中国にウォンを担保として差し入れ、人民元資金を確保する形となる。<
さて、明らかに韓国は勘違いをしているわけだが、第2の外貨準備等という言葉はきいたことがない。Googleで検 索して見たがやはり韓国の新聞でしかのってない。まあ、それはともかく、このように韓国は国家予算の三分の一にも匹敵する通貨スワップ協定を結んだわけ だ。これで外貨準備高3000億ドル、チュンマイ・イニシアチブによる192億ドルを合わせて、4500億ドルに膨らむ。国家予算より取り決めの額が大き いという。
これを盤石と述べているが、果たして本当にそうなのか?
そもそも、3000億ドルも外貨準備金があるはずなのに、なぜスワップ協定を増額したのか。ヘッジファンドにとってはおかしな話だ。3000億ドルという金額は世界の外貨準備金でもかなり多いのだ。なのに足りない。
スワップ協定を増額しなければ駄目の理由はただ一つ……外貨準備高が本当に3000億ドルあるわけでない。誰も信じ ていない。という推論が成り立つ。そうなってくれば禿は外貨準備高が少ないとみて攻勢に仕掛けてくるのではないかと考えている。そもそも欧州危機は終わっ ていない。
今週の市場
通貨スワップ協定増額ニュースで、今週の韓国市場は絶好調だった。だが、あることに気付く。これをご覧頂きたい。
KOSPI ウォン KOSDAQ 外国人(単位はウォン)
9月
26日 1652.71 1198.5 409.55 -2,602億
27日 1735.71 1173.8 433.41 1,660億
28日 1723.09 1171.3 434.20 3124億
29日 1769.29 1174.0 443.26 1180億
30日 1769.65 1178.8 449.66 2209億
10月
04日 1706.19 1193.8 436.13 -4547億
05日 1666.52 1189.3 421.18 -3,019億
06日 1710.32 1190.9 431.18 1211億
07日 1759.77 1178.4 442.64 3703億
10日 1766.44 1171.4 453.91 -1026億
11日 1795.02 1164.1 459.06 3179億
12日 1809.50 1167.2 467.65 78億
13日 1823.10 1155.8 473.56 4369億
14日 1835.40 1156.5 473.89 381億
17日 1865.18 1140.2 485.38 2511億
18日 1838.90 1145.3 483.43 -1813億
19日 1855.92 1132.6 488.17 -260億←通貨スワップ増額
20日 1805.09 1145.1 469.98 -1043億
21日 1838.38 1147.4 481.22 -2543億
24日 1898.32 1134.4 493.03 1808億
25日 1888.65 1129.1 492.69 3616億
26日 1894.31 1132.6 497.51 -1031億
27日 1922.04 1115.2 497.04 1691億
28日 1929.48 1104.6 490.59 4619億
以上。1ヶ月間の市場の動きを貼ってみた。注目は10月10日だ。よく見るとこの日からずっとウォン高傾向になっているのだ。通貨スワップ増額は19日なので、その前からウォン高へと向かっている。これは明らかに介入がずっと行われているのを示唆している。
そして、日本の円は最高値を超えて、75円台の円高となった。つまり、通貨スワップ協定増額しても、何の円安効果はないし、日経も下がったまま。欧州危機も終わってない。しかし、韓国だけKOSPIもウォンも一気に回復している。
なので、管理人はおそらく、1100ウォン以下に今月目標を置いていると睨んでいる。31日で1100以下にしてくる。おそらく、それが借金返済レートではないのかと。なので、来週の市場がどうなっているのか判断がつかない。
主要韓国経済ニュース
「人生には手が届かないものはいくらでもあるが、それは自分にとって必要ないのだ」と エクレストンはインドGPを前にしたブッダサーキットにおいて報道陣に語った。
「我々は最初の段階で彼らと十分な時間をかけて交渉を行った」
「残念なことだ。実現させるために多大な努力を払ったというのに」
エクレストンは、今後も韓国GPがカレンダーに残るかどうか「分からない」と語った。開催権料を支払えなければ韓国GPは終わってしまうのかと聞かれたエクレストンは「そうだ」と答えた。<
(必読!韓国経済、バーニーエクレストン、韓国GP打ち切りの可能性を認める )
韓国F1GPの第3回目が開催されるかがわからなくなってきた。だが、バーニー氏が韓国に甘い顔すれば、他の国とも値下げ交渉に応じなければいけなくなる。当然、そんなことはしない。
>10月26日(ブルームバーグ):韓国のLG電子の7-9月(第3四半期)決算は、純損益が4139億ウォン(約 278億円)の赤字となった。前年同期は76億ウォンの黒字だった。同社が26日、当局への届け出で明らかにした。ブルームバーグがまとめたアナリスト8 人の予想平均は561億ウォンの赤字だった。<
韓国経済、LG電子、7-9月の純損益は4139億ウォンの赤字)
ウォン安、低価格でのシェア拡大の要因、反ダンピングの制裁金、そうしたことも含まれている。しかし、次のニュースと米韓FTAでそれもできなくなるかもしれない。
>アメリカ商務省は28日、韓国の三星電子とLG電子の冷蔵庫の一部モデルが不当に安い価格で販売されているとして、反ダンピング税を適用する仮決定を下しました。
この決定は、三星電子の場合、韓国工場で生産したものは32.2%、メキシコ工場で生産したものは36.65%、LG電子の場合、韓国工場で生産したもの は4.09%、メキシコ工場で生産したものは16.44%の反ダンピング税を適用することにしており、アメリカ商務省は来年3月にも最終決定する見通しで す。<
(必読!韓国経済、韓国・三星電子とLG電子の冷蔵庫 米商務省が反ダンピング税仮決定 )
これも前に特集したと思うが、あの時の仮結果が出て、反ダンピング税を適用することになった。これによって、韓国の補助金による輸出政策ができなくなりつつある。
以上。今回は日韓通貨スワップ協定を特集した。来週はどうするか決めてないのだが、市場が安定していたら、また別の 話題を特集して行こうと思う。また、今回のメルマガは発信が第5日曜日なので、本来はお休みなのだが、管理人がそのことを忘れていたのと、韓国経済危機特 集で市場変化が激しいということで、号外として出しておく。
ご購読に感謝する。これからも応援をよろしくお願いする。