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第98回「9月、世界銀行とIMFが韓国銀行へのストレステストを実地。賄賂責めで危機を回避する!?」

第98回「9月、世界銀行とIMFが韓国銀行へのストレステストを実地。賄賂責めで危機を回避する!?」

配信日:2013年7月21日

最新情報は→2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)

今週の韓国経済のメルマガは世界銀行とIMFが行う韓国銀行へのストレステストについてである。ストレステストは経済用語の中でも専門的な部類に入るので一からわかりやすく説明していく。それでは、記事のチャートを張る。

記事のチャート

ストレステストとは何か→2013年9月、韓国でストレステストが決定→韓国政府、慌てて地方債を政府負債に導入→今週の韓国経済

ストレステストとは何か

ストレステストというのは、アジア通貨危機、リーマン・ショックなど、金融市場での予期せぬ事態が生じた時、ポートフォリオ(運用資産)の損失、または損失の回避策を予めシミュレーションしておくリスク管理手法のこと。

ストレステストという言葉が有名になったのは2009年のリーマン・ショック後である。最近は、原発ニュースでも良くこのストレステストという言葉が使われるのだが本来の対象は異なっている。

一般的に、ストレステストは銀行だけではなく、証券会社、生命保険会社、損害保険会社、資産運用会社、企業年金、持ち株会社、リース商社など、幅広い分野で行われている。ただ、今回のメルマガで関係があるのは「銀行」のみなので、銀行だけに焦点を絞っていく。

管理人が欧州危機のニュースをチェックしていたときに、ちょうど注目されていたこともあって知ることになったのだが、つまり、ある世界的な危機が起きたと きにその銀行はどれぐらい耐えることができるのか、または、自己資本比率の低下が想定範囲内なのかといったテストである。

言い換えれば、ストレステストの目的は「客観的な審査で、市場の不安感を解消すること」である。

■ストレステストの実際例

実例として、FRB(連邦準備制度委員会)、米金融当局が行ったのをあげておこう。、

FRBが行ったのは、今後2年間に予想以上に景気が悪化した場合の損失発生状況などを査定し、資本不足額を試算したもので、金融機関の資産内容の透明性を高めることで、資本増強を促し、金融システムの安定化が狙いであった。

ただ、このストレステストには色々問題が発生している。次はそこをみていく。

■ストレステストの問題点その1「不合格となった銀行への信頼低下」

先ほど、ストレステストの目的は「客観的な審査によって、市場の不安感を解消すること」だと述べた。

しかし、ストレステストの結果が不合格の場合には、むしろ信用不安が増大するという問題点がある。起きてもいない危機を想定して事前に対応することはとて も大事なことであるが、それを一般的に公開して不合格となれば、あの銀行は危機には耐えられないという評価が下されてしまうわけだ。評価というのは一人歩 きするので、銀行の信頼を失いかねない。

■ストレステストの問題点その2「審査の判断基準が事前に公開されない」

もう一つの問題点として、ストレステストは客観的な審査のはずなのに、その判断基準が事前には公開されない。つまり、意図的な操作が行われている可能性があるということだ。

ただ、客観的な審査を事前に公開することはリスクも発生する。これが次に紹介するストレステストの課題にもつながる。

■ストレステストの課題は「納得」させる目的と整合性

ストレステストの問題点その2にも関連するが、ストレステストで行う危機的な状況へのシミュレーションというのは、その目的設定によって大きく結果が異な る。つまり、判断基準の難易度によって、合格、不合格が決まるわけだ。難しいと思うのでわかりやすい例で説明していこう。

例えば、リーマン・ショックみたいな金融危機が起きたと想定してストレステストを行う。ある銀行の自己資本比率は3%まで落ちた。別の銀行は4%だった。この時、4%以上の銀行は合格で、3%以下の銀行は不合格となる基準だった。

これぐらいわかりやすいなら苦労はしないのだが、言いたいことはその判断基準をどこまで厳しくするかでも合否の判断が異なってくる。もし、このような判断基準が公開されたらわかりやすいが、それで銀行の危機対処能力が低いことを露呈する。

つまり、起きてもいないリスクが考慮されて、銀行の未来の自己資本比率の低下を招くことになる。不合格になった銀行にお金を預けたいと問われたら、多くの預金者はNOとこたえるだろう。

このような理由から、合格、不合格の審査基準を事前に公開するのは難しいわけだ。だが、そうなればストレステストの目的と整合性が取れない。

銀行に将来の資本増強を促すのが目的なら、合格、不合格の二択で決めてしまうことへは違和感を覚えるわけだ。といっても、数値で決めてもあまり変わらないかもしれない。何かの判断基準による合否はその影響を未来に及ぼす。

極端な可能性でいえば、金融危機が5年後に起こるとは限らないのだ。当然、起こらないとも限らない。

このように銀行のストレステストを有効的に活用するのは難しい。今後の課題といえる。以上を踏まえて韓国でのストレステスト実地ニュースについて見ていこう。

2013年9月、韓国でストレステストが決定

>国際通貨基金(IMF)と世界銀行は、経済危機に直面した際、韓国の銀行にどれだけ抵抗力があるかを調べるストレステストに着手した。家計債務の増大に 加 え、景気低迷で建設、造船、海運などの業種で不良債権が増えており、危機が深刻化した場合に銀行が財務の健全性を維持できるかがチェック対象となる。

金融委員会によると、IMFの局長級を団長とする6人程度の評価団がこのほど韓国入りしており、4日には国民銀行など4大銀行のリスク担当役員と会合を持ったという。

今回のストレステストは、IMFが加盟国の金融システム、金融監督体制などが国際基準を満たしているかを確認するために実施する特別プログラムに沿ったも ので、1999年に導入された。世界的な金融危機後の2009年に主要20カ国(G20)が参加して発足した金融危機対応機関、金融安定理事会(FSB) の加盟国は5年ごとにテストを受けなければならない。9月にはIMFと韓国政府による定例協議が行われ、ストレステストの結果は11月ごろに公表される。

金融委関係者は「ストレステストはこれまでIMFの人手不足で延期されてきたが、2004年以降10年ぶりに実施されることになる」と説明した。

(http://kankokukeizai.kilo.jp/2013/07/05/httpkankokukeizai-kilo-jpp602/#more-602)

韓国では10年ぶりにストレステスト実地が決定した。つまり、9月から行われるわけだが、当然、韓国の銀行は不合格にされたら困るので、賄賂責めということになる。

先ほどの問題点2「審査の判断基準が事前に公開されない」にあげたとおり、意図的な操作が行われる可能性がある。というより、格付け会社の接待を見ている限りでは確実に韓国なら行うだろう。

ここ数年で、韓国の貯蓄銀行がかなり潰れたわけだが、韓国の銀行が自己資本比率といった資産データを誤魔化していないなど、まず考えられないので何か出てくるかもしれない。それが公にされるかは賄賂次第というところか。

韓国政府、慌てて地方債を政府負債に導入

IMFと世界銀行が9月に韓国での10年ぶりのストレステストを行うことになった。おそらく、それの下準備だと思われるが、韓国政府が今まで政府の借金になぜか含めなかったLH,韓国水資源公社といった公共機関の借金も合算した。

これで公開された政府借金が1500兆ウォン(約130兆円)となった。ただ、通貨安定証券、外弊債など、まだまだ含まれていない負債が存在するので、この数字も鵜呑みにはできない。

ストレステストについては9月以降なので、このメルマガでもそのうちまた特集する予定なので楽しみにして欲しい。

今週の韓国経済

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)

15日  1875.16 1122.00 531.67 244.90 1081億
16日  1866.36 1118.00 537.72 242.65 185億
17日  1887.49 1121.60 541.82 244.65 1193億
18日  1875.48 1126.30 541.56 243.45 -1130億
19日  1871.41 1121.70 541.87 243.00 -1321億

今週の予想レートは1110~1130だった。予想範囲内の動きであったので特に言及することはない。中国経済成長率も市場予測であり、バーナンキ、FRB議長の発言も曖昧なものだった。

さて、来週だが21日に、日本で参議院総選挙が行われる。

市場予想、支持率、政治判断からして自民党の圧勝が予想されている。そのため、アベノミクス、ねじれ解消の影響で円安となり、韓国市場ではウォン安、株安となるだろう。予想レートは、1125~1140ぐらいにしておく。

以上。今週はこれで終わる。来週の予定は「サムスンの株価と衰退」についてである。

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